筆文葉吹き寄せパック~風物のデザイン~新発売

筆文葉吹き寄せパック~風物のデザイン~新発売
筆文葉吹き寄せパック~風物のデザイン~新発売

長い期間をかけてデータとして保管しているものは別として、例えばブログやホームぺージに書く文章の下書きなどは、いろんなものに書いていて、ある程度使って区切りがついたら、次は違うものを使いたいと思ってしまいます。
一貫して同じものを使えたらいいけれど、違うものに変えると気分が変わったりして新鮮な気持ちで書くことができるし、それらから何らかの刺激があって、書くものがもっと良くなってくれたらという淡い期待があるからです。

万年筆を換えたり、インクを変えたりするのも同じ理由からで、いつも同じ万年筆、同じインクを使いたいとは思わない。
他の人はどうか分からないけれど、使うモノからの刺激というのは、私の場合少なからずあって、モノに頼っているようではまだまだだと思うけれど仕方ない。

当店のオリジナルシステム手帳リフィル筆文葉の新製品が完成しました。
しっかりと使うことができる定番的なものは確立されつつあるので、今回は遊び心のあるものを作ってみようという金治智子さんの提案、デザインもあって、かなり冒険的なフォーマットのものを5種類4枚ずつセットした「吹き寄せパック/風物のデザイン」を発売しました。
どのフォーマットを何に使うか、特に決まりはないけれど、その罫線の上に書く時、イマジネーションに何らかの刺激があればと思います。

一応ひとつずつご紹介します。
・スクランブル罫・・・様々な方向に印刷されている罫線にきっちりと文字を入れていくと面白い効果が得られます。書いた場所を忘れないので、メモなどに向いていて、打ち合わせの記録などにもいいかもしれません。自分なりの英語の単語帳にするというアイデアもありました。
・木目・・・書くか書かないかは別として、詩のような文章を書くのにいいのかもしれません。
詩までいかなくても、方眼や横罫よりもこちらの方が柔らかい印象があるので、そういう文章を書くのに向いていそうで、私も使ってみたいと思っています。
・変わり水玉罫・・・定番の水玉の発展形で、要件の強弱によって書く場所を書き分けるというもので、意外と実用的な仕様で、定番の水玉罫を愛用されておられる方には、難なく使いこなせそうです。
・吹き出し罫・・・会議の議事録で使うと、ラインのやり取りみたいになって面白いかもしれません。日記や住所録に使うのも面白いという意見もありました。
・分度器罫・・・2枚見開きにして、一年を円でレイアウトしてみてもいいかもしれないと思っています。私の感覚では一年は円形で、こういったものに書きこむことで、一年に景色ができる。

それぞれ書いたけれど、本当に自由に使ってもらいたいと思います。
用紙は定番のしっかりとした紙質で、書き味に気持ちいい手応えのある筆文葉用紙を使用しています。もちろん、インクもにじまずに早く吸収してくれます。

なるべく万年筆で書きたいけれど、ボールペンやシャープペンシルや鉛筆で書いても心地よい。手帳にとって紙は本当に大切な要素です。筆文葉リフィルは、本当に良い紙に恵まれていると思っています。
こういうパックものは使用頻度の高いものと少ないものが出てしまうものですが、このリフィルに関して言えば、どれも使う価値のあるものだと思っています。
これらのフォーマットによってイマジネーションが刺激されて、今までと違うものが書けたと思っていただけたら、とても嬉しく思います。

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⇒2017.5.19「システム手帳リフィル「筆文葉」のある私の生活」

自分のテーマの万年筆

自分のテーマの万年筆
自分のテーマの万年筆

黒金の万年筆にどうしても惹かれてしまいます。
オーソドックスな黒のボディに金のリングが施されたものもいいけれど、どうしようもなく惹かれるのは金キャップに黒ボディの万年筆です。
他の万年筆は私の商売の大切な商品として見ているけれど、黒金だけは違う。自分が手に入れなければならないように思えてしまい、それが売れてしまうと、これは良いですよと勧めておきながら喪失感を覚えます。
好きなモノを商売にする人間の心得として、自分が一番良いと思うものから売るということをずっと守ってきて、これは鉄則だと思っています。
それで当店は続いてくることができたと思っているけれど、どうしてもそういうふうに割り切れないものが、私にとっては黒金の万年筆なのです。

恐ろしいことに私も今年50歳になります。齢だけは着実にとっているけれど、自分に50歳の男の重厚さがなく、若い時にコンプレックスに感じていた青二才さがいまだに抜けずにいるのではないかと思っています。
といっても今は若い頃に感じていた、どの場所にいても自分が場違いに感じるような感覚を覚えることはこの店ではなくなったけれど。
相手を緊張させるような重厚さは、私のような仕事の人間には要らないし、自然体だからこそどのお客様ともコミュニケーションをとることができているのだから、今さら重厚さを身に付けたいと思っているわけではないけれど、黒金のペンに惹かれてしまうのは自分に欠如している部分をペンによって補給しようとする人間の本能で、例えば体にビタミンが不足していたらやたらと野菜が欲しくなるような感覚に近いのかもしれません。

時計で金無垢のものはとても重厚に見えるかもしれないけれど、自分には重厚過ぎる。
でもペンならいいかと思う。ただし全身が金色ではなく黒金だというところにこだわりがある。
時代の流れか、特に万年筆においてはどんどん雰囲気の軽いものが増えてきていて、重厚なものが少なくなっている。
新品で現在手に入れることができる黒金の万年筆というとかなり少なくなっていて、寂しい状況ですが、黒金が売れないわけではなく、やはりそういう雰囲気のものを求めている人は多くおられると思います。
例えばアウロラ88クラシックは、調整した時の書き味や使用感もとても好きな万年筆で、一人でも多くの人に使ってもらいたいと思っています。

木工家の工房楔の永田さんはオレンジがテーマカラーで様々なオレンジ色のものを持っています。
彼の場合はオレンジ色が不足しているわけではなく、彼のパッションを表現した色だからオレンジをテーマにしているのだと思うけれど、それはペンから時計など様々なものにまで徹底されています。
そこまでではなくても、さりげなく持ち歩くことができて一人の時に使うことが多い万年筆に、自分のテーマやこうありたいという課題を込めて、それに沿ったものを手に入れてみるのは、持ち物に統一感も出て、なかなかいいものだと思います。

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⇒2016.6.10「大人になったら選びたくなるペン~アウロラ88クラシック~」

旅を楽しくしてくれるル・ボナーポーチピッコロ

旅を楽しくしてくれるル・ボナーポーチピッコロ
旅を楽しくしてくれるル・ボナーポーチピッコロ

店を始めてから年末年始は京都か奈良で泊って、宿で除夜の鐘を聞いて過ごしています。部屋で食事をするタイプの宿は嫌なので、食事に部屋から出るし、部屋でじっとしてゆっくりしていられない性質なので、一人、もしくは嫌がる家族を連れだして何度も外に出ます。
そんな時に、あまり見すぼらしい恰好で出たくないので、財布やスマホなどをまとめて持って出ることのできるポーチピッコロのようなものはとてもいいと思っています。
大きさもそういう用途にはちょうどいいし、何よりも見栄えが良いので、気に入って使っています。

当店のお客様にたくさんおられる、仕事で頻繁に出張に出る方たちほどではないけれど、出張販売を他所の街でするようになって、私も仕事で外に出る機会ができました。
仕事が終わって、夕食後ホテルの部屋に帰っても、そのままじっと部屋に居るわけではなく、2度、3度は外に出たくなるので、ポーチピッコロに必要なものを入れて出かけます。飛行機や新幹線でも同様にポーチピッコロは重宝しています。
短い車内での時間でできることは限られているけれど、文庫本や手帳を手元に置いて、読みたい時に読んで書きたい時に書くためには、それらは大きな鞄の中ではなく、ポーチピッコロのようなものの中に入って、手元にあってほしい。
ル・ボナーの松本さんは、このポーチピッコロをこのような用途で使うために、考案したのだろうと思います。

この小さな鞄の中に何を入れて行こうと考えるのもとても楽しいので、荷物が少しだけ重くなってしまうけれど、ポーチピッコロを旅の荷物の中に必ず入れておきたいと思います。
他の色々なものがこのポーチピッコロの代わりになるのだろうと思いますが、良い革でできた、見栄えのするものと思うと、なかなかないと思います。
筆記具や手帳もそうかもしれないけれど、それらの私の持ち物を見て、きっと誰も何も思わない。
ましてやそれを持っている私を見て、どこかの知らない女性に素敵だなんて思ってもらうためでもないけれど、それらを使っている自分は精一杯カッコよくしているつもりなのだ。
そんなふうに考えるかどうかは別として、ポーチピッコロは旅を必ず楽しくしてくれるものだと思います。

ポーチピッコロには、最もオーソドックスなシュランケンカーフ仕様のもの、キメが細かくとても手触りの良いデンマークカーフのもの、個性が強く、革自体も強靭なエレファントがあり、素材を選べるのはル・ボナーさんらしいと思います。

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⇒2015.1.23「ポーチピッコロの持ち方」

正方形ダイアリー&ノート用透明カバー

正方形ダイアリー&ノート用透明カバー
正方形ダイアリー&ノート用透明カバー

以前「コラージュでノートを彩る」という、コラージュを楽しむワークショップをしていました。
スタンプやマスキングテープ、折り紙やシールなど様々な素材を提供してくださった奥谷菜摘子さんと、その時々で参加された方々でわいわい話をしながら、切り抜きを貼ったりして、自分のイメージを表現する時間はとても楽しかった。
今は奥谷さんの体調が難しくコラージュの集まりは中止しているけれど、このワークショップのおかげで、ノートの表紙をアレンジして自分仕様にする楽しさを知りました。

当店オリジナル正方形ダイアリーや、大和出版印刷(神戸派計画)の正方形ノート用の「透明カバー」を作りました。
透明カバーを作りたいと思ったのは、当店が扱っているイタリア人のグラフィックデザイナーグイード・リスポーリ氏のグリーティングカードと正方形ダイアリーを組み合わせて使えるのではないかと思ったからです。
イタリアの紙を使って、イタリアで作ることにこだわったグイード・リスポーリ氏のグリーティングカードは、メッセージを書いて人に渡すのが惜しくなるほど、美しく、上質なカードです。
額に入れてインテリアにすることもできるものだと思っていて、透明のカバーを作ることで、このグリーティングカードをダイアリーの表紙として使えると思いました。
厚手のウィークリーダイアリーやフリーデイリーノート、Liscio-1の方眼や横罫ノート、薄手のマンスリーダイアリーや正方形方眼ノートrectなど、どちらの厚みにも対応できるように、フリータイプにしています。

ル・ボナーさんが作る革カバーは上質な革を使用していて、使っていて喜びを感じるもので、万年筆を使う人の好みに合っていると思いますが、オリジナルダイアリーをアレンジして使うような使い方も提案したいと思いました。
「コラージュでノートを彩る」ワークショップは今していないけれど、奥谷さんが教えてくれた楽しみはしっかり覚えていて、こんなところに生かされています。

近日中にホームページでご紹介したいと思います。

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⇒2017.11.24「新作ル・ボナー製ダイアリーカバー入荷」

趣味の道具か、実用か2・ペリカンM805オーシャンスワール

趣味の道具か、実用か2・ペリカンM805オーシャンスワール
趣味の道具か、実用か2・ペリカンM805オーシャンスワール

当店は実用で万年筆を使う人の店であり、万年筆を趣味のモノだとする人たちの店ではないと思ってきました。
趣味のモノというと、休日にそれを触ることを楽しんだり、ただ眺めて楽しむ喜びを提供してくれるような言葉の響きがあって、当店の顧客像と隔たりがあるように思えたからでした。
お客様方が当店に求めに来られるのは、楽しむための万年筆ではなく戦いの道具としての万年筆で、それを求める心と、趣味というオフタイムを連想させる言葉とは違っています。
しかし、戦いの道具というのなら、ものすごくよく書けたらそれでその目的に適っているような気がするけれど、でもそれだけでもない。
当店に来られるお客様方の中には、書く道具に対する不満から万年筆を手にしたけれど、それにも不満を抱いて、もっと書きやすい万年筆を手に入れたいと思っている方も多く、実用的に十分書くことができて、そこに楽しみもあるものを皆様は求めている。
それは広い意味で趣味の道具ということになるのかもしれないと思うようになりました。

私もただよく書ける万年筆だけをお勧めしたいわけではなく、自分の美意識や生き方を表現してくれるものを手に入れてもらいたいと漠然と思っていたけれど、この店が始まって10年経った今、確信しました。
書くものに対しての不満も解消してくれる、実用性も備えていて、楽しめる要素があって、自分の美意識や生き方を表現してくれるもの。
最後の項目は人それぞれ違うものだと思うけれど、そんな万年筆を買ってもらいたいと思うと、扱えるものがかなり限られてしまうかもしれませんが、当店はそれを貫いていきたいと思っています。

当店の限られた品揃えの中心にペリカンM800はあって、これは不動の、当店の定番中の定番だと思っています。
ペリカンM800は理想的なバランスを持つ万年筆の中の万年筆で、最もスタンダードな、万年筆の基準となるものだと思っています。
この万年筆よりも大きければオーバーサイズ、小さければコンパクトな万年筆と判断できる目安のような存在です。
万年筆で書くことの醍醐味である「ペンの重みに任せて力を抜いて書く」書き方は、M800で覚えることができるので、初めて万年筆を使う人にでも、予算が合えばM800をお勧めしています。
それは万年筆を使い慣れたとしてもM800を使わなくなることはない、生涯使い続けることができる万年筆でもあるからです。

このM800でも楽しめる要素は十分あるものだけど、さらに見て楽しむ要素を持ち合わせた限定万年筆M805オーシャンスワールが発売になりました。
M805オーシャンスワールは、海の渦を表現した青みの強い深緑に無数の細かい粒が光線の具合でキラキラと輝く、大変美しく奥行きのあるボディです。
私にはこれは花梨など自然の木のこぶ杢をイメージします。

このオーシャンスワールのボディの中に、どんな景色を見るかは人それぞれかもしれませんが、実用に不満なく使うことができて、見て楽しいめるもの。
当店がお勧めしたい要件を完璧に備えた万年筆のひとつだと思います。

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筆文葉3つ折りカレンダー2018

筆文葉3つ折りカレンダー2018
筆文葉3つ折りカレンダー2018

当店オリジナルシステム手帳リフィル「筆文葉(ふでもよう)」の3つ折りカレンダーの次期間(2018年7月~2019年6月)が完成しました。
スケジュールなどの計画を練るなど様々な用途に使って欲しいと思い、同じものが3枚セットになっています。
3つ折りカレンダーは普通のカレンダーと比べると、始まりと終わりの月が違っています。
見開きで左ページに1~6月、右ページに7~12月が来て、1年を見開きで見渡せるようになっています。そのため1枚は表面が7~12月、裏面が次の年の1~6月というレイアウトになっています。
今回の発売分で、再来年の6月までのスケジュールを書き込めるということになります。

筆文葉のリフィル全てがそうですが、このカレンダーも自分で線を引いたり色を塗ったりカスタマイズする余地のあるものになっています。
私は個人的にノートや手帳に罫線を追加して使うことがありますが、そんな時はいつもグレーのゲルインクボールペンを使います。
黒だったら強すぎる罫線もグレーで線を引くとさりげなくて、紙面に自然に馴染んでくれます。私は罫線用として、ゼブラサラサを愛用しています。
3つ折りカレンダーも月と月の境目をグレーでなぞって自分の基準で分かりやすくして、休日や祝日にスタンプを押しています。
1ページ1ページ手を加えてカスタマイズすることで、より深くスケジュールと向き合うことができます。

システム手帳リフィルも以前は様々なフォーマットのものが売られていましたが、それらの多くは横罫や方眼で代用できるものでした。
でもそれらのフォーマットを見て、使いこなしをイメージするのは楽しい。
ほとんどのシステム手帳メーカーが、余分なリフィルを作っていたと自覚したのか、今ではそういった用途を限定したものは殆どなくなってしまいました。
それなら多くの人が自分で線を引くようになるような気がするけれど、グレーのゲルインクボールペンもあまり店頭では見かけない。
でも筆文葉リフィルや、ほかのノートやダイアリーにグレーのボールペンで線を引くことを話したくて、この機会を待っていました。
普段何に使うか分からないグレーのペンにも、立派な用途がある。
万年筆は自分の精神性を表すものだけど、こういった文房具を集めたり、使ったりすることは私にとって趣味のようなもので、こういう話を始めると止まらなくなります。

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⇒2017.5.19「システム手帳リフィル「筆文葉」のある私の生活」

新作ル・ボナー製ダイアリーカバー入荷

新作ル・ボナー製ダイアリーカバー入荷
新作ル・ボナー製ダイアリーカバー入荷

システム手帳にはシステム手帳でしかできない役割があり、綴じ手帳には綴じ手帳の良さがあって、当店はその使い分けについてお伝えしていきたいと思っています。
物事が時系列で並んでいるダイアリーは、順番を差し替える必要がなく、ページの開き方など記入しやすさにアドバンテージがある綴じ手帳の方が使い勝手が良いと思っています。
スケジュールの管理を中心に使う場合は、マンスリーダイアリーは最も使いやすいツールだと思いますし、更に日々のToDo等も管理する場合は、マンスリーダイリー付きでスケジュール管理もできるウィークリーダイアリーくらいの紙面が必要になります。
日々のドキュメントをもっとたくさん書く方はデイリーダイアリーが合っていますし、それにマンスリーダイリーを一緒に革カバーにセットするとスケジュール管理も可能なダイアリーが完成します。
このようにオリジナル正方形のダイアリーには、スケジュール管理や記録機能において抜けがありませんので、スタイルに合わせてお使いいただきたいと思っています。

ル・ボナーさんが製作するオリジナルダイアリー用カバーが今年も入荷しました。
六甲アイランドの鞄工房兼ショップのル・ボナーの松本さんは革の魅力にとりつかれた鞄職人で、いつかそれらの革で鞄を作りたいと、様々な良質な革をコレクションのようにストックしていて、日本でル・ボナーにしかないという希少な革もたくさんあるのではないかと私は思っています。

新作のカバーは希少な限りある革が中心で、シンプルなシングルのみで製作していただきました。
厚手のものと薄手のものを組み合わせると最大4冊までのダイアリーやノートを収納できるダブルタイプは、昨年製作したソフトカーフのダークブラウンのみになり、ペンホルダー、ベルト付のDRAPEタイプのカバーをお求めの方は昨年製作しましたノブレッサーカーフのものをお使いいただきたいと思います。

今年製作したものは、4種類になります。
テイカオイルヌバックは、手触りのとても良い革で、こんなに触り心地の気持ち良い革は他にないのではないかと思い、松本さんのお勧めもあり選びました。
ヌバックは、革の表面を人工的に毛羽立たせて、表でもない裏でもないような独特の風合いに仕上げた革です。
テイカは今はもう廃業してしまった日本のタンナーです。
最高の革を作って世に問うことを標榜して数々の銘革を作りましたが、その良さを認めてくれる目利きが少なかったようです。
ル・ボナーの松本さんはテイカ廃業後の10年ほど前にそのクオリティの高さを認めてこの革を手に入れました。
クラシックカーフは、カーフよりももっと若い水牛の革で、水牛特有のハリを持ちながらキメが細かい美しい革です。
インドのタンナーによるもので、バッグ、革小物に多く使われましたが、イギリスで始められたこの革の鞣し方は本国ではもうできなくなっているそうです。
もともとマットな質感の革に、アイロンをかけて艶を出した仕上げになっています。
これも今手に入れることができない革で、松本さんは4,5年前に手に入れた貴重な革です。
シュランケンカーフのアイリスとレッド、トープでもシングルのカバーを製作してもらいました。
シュランケンカーフは、傷に強く、とても扱いやすい発色の美しい革で、その美しさが長持ちしますので、変わらずに長くきれいに使いたいという方にはお勧めです。
マニアックな革は茶系が多いので、シュランケンカーフではその色目をお楽しみいただけえたらと思っています。

また、毎年少量作っております革の「下敷き」ですが、今年はブッテーロ革にシープシルキーの革を貼ったものを作りました。
薄手のマンスリーダイアリーや、大和出版印刷の正方形方眼ノートrectを使われる時に威力を発揮しますが、こういうものが手帳に挟まっていると楽しい気分になります。

このダイアリーカバーに収めることができるダイアリー・ノートを整理すると、
・マンスリーダイアリー(薄手)
・ウィークリーダイアリー(厚手)
・デイリーダイアリー(厚手)
・Liscio-1 正方形方眼ノート(厚手)
・Liscio-1 正方形横罫ノート(厚手)

・正方形ノート rect(3mm、4mm、5mm、6mm)(薄手)
の9種類になり、シングルのカバーには薄手と厚手各1冊を収納することができます。

綴じ手帳であるオリジナルダイアリーを使うメリットは冒頭で申し上げましたが、革を熟知しているル・ボナーの松本さんのコレクションから貴重な革を選んで作るカバーを使いたくてオリジナルダイアリーを使う方もおられるかもしれません。それだけの魅力ある革カバーだと思っています。

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ル・ボナーの絞りペンケース

ル・ボナーの絞りペンケース
ル・ボナーの絞りペンケース

1本差しと3本差しのル・ボナーのペンケースが入荷しました。
厚いブッテーロ革を2枚重ねにして貼り合わせて、型で絞って丈夫なシェル構造にするル・ボナー絞りのペンケースは、大切なペンを守りながら、いつも持ち歩くためのペンケースです。
ペンを鞄に入れて持ち歩かず、机上で使用するだけであれば、ここまで丈夫なペンケースは必要ないかも知れません。
ペンケースはたくさんの種類が世の中に出回っているけれど、この絞りペンケースほど、ペンを収めて鞄の中に放り込んで安心感のあるものはあまりない。
本当に大切なペンが出来た時には、ぜひこのペンケースをお使いいただきたいと思います。

このペンケースに使われているブッテーロ革は、40年以上鞄職人としてたくさんの革を見てきたル・ボナー松本さんが最良の革として行き着いた革のうちのひとつです。
ブッテーロ革の特長は、その柔らかく滑らかな手触りとエージングの良さにあります。
自然素材のタンニンでなめされた革は、香りも良く、上質な自然な風合いを持っています。
加工しすぎず、自然な風合いが残されているので、革の表面は時間をかけて艶を帯びていく余地が残されています。
ブッテーロ革は油分を多く含む革なので、手で触ったりするうちに油分は表面に出て膜を作るように艶が出て、表情に奥行きが出ます。

そのように使い込むことで少しずつ艶が出るけれど、ご自分でブラシをかけたり布で磨いて艶を出すこともできます。
革製品の大敵は埃で、ブラシを掛けたり、布で磨いたりすることはその埃を払うことにもなりますので、革製品を長く愛用するためにも有効なことです。
メンテナンスで私のおすすめは、ブラシ掛けです。
ブラシを掛けると、革の余分なものを落としたようなクリアでキラキラした表面になり、とても美しい艶が出ます。
ある方は布で軽く撫でるというやり方をしていて、これは時間がかかると思いますが、とてもきめの細かい鏡面のような艶を出す磨きの方法です。
店に並んでいる時が一番美しいものもあるけれど、長く使っていくうちに美しくなってくれる革製品は、また違う楽しみがあると思います。

それには素材の良さ、縫製の良さが絶対的な条件になりますが、ル・ボナーの絞りのペンケースはそれを備えています。
ペンケースの機能としては、モンブラン149、キングプロフィットなどの大きいサイズの万年筆は3本差しの両サイドに入れることができます。
1本差しの場合も、少しきつめですが入ります。
それ以上の大きさのペン、例えばカスタム漆は入りませんが、ほとんどのペンで使うことができます。

この店を始める前からル・ボナーの松本さんが応援してくれてとても助かったことは何度もお話しているけれど、きっと松本さんがいなければ10周年を迎えることはできなかった。
松本さんも鞄職人を始めた時に助けてくれた人たちがいて、その人たちのおかげで40年も鞄職人としてやってくることができたそうです。
お世話になった恩人たちへの恩返しは、次の世代の新たに自分の道を歩もうとしている人を応援することだと思って、当店のことを応援してくれた。
私も自分の仕事を続けさせていただいている恩を返すなら、次の世代の人を応援することなのだと思っています。

自分にどんなことができるか分からないけれど、松本さんがしてくれたように頑張って欲しいと思った人を応援したいと思っています。

⇒ル・ボナー絞りペンケース

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⇒2010.7.16「旅の装備 ル・ボナーのペンケース」

ペリカンM605ホワイトストライプ発売

ペリカンM605ホワイトストライプ発売
ペリカンM605ホワイトストライプ発売

ペリカンから特別生産品M605ホワイトストライプが発売されました。
今までありそうでなかった白縞のペリカンは、現代的でクールな印象。どちらかというと男性的でクラシカルなデザインのスーベレーンの雰囲気とは違って見えます。
M605はM600のシルバー金具の品番で、M600とサイズなどのスペックは全て同じです。

M600はペリカンの代表的なペン、M400とM800の中間のサイズで、重さはM400に近く、大きさはM800に近いというものです。M800では重すぎるという女性の方に好まれ、胸ポケットに差して持ち歩く万年筆を求めているけれど、M400では小さすぎるという男性の方にも向いたサイズです。
シルバーの金具のホワイトストライプはピンクに続き、女性にも人気が出そうだと思っています。
ホワイトストライプは首軸もキャップも純白で、インクの汚れが気になる万年筆かもしれませんが、ペリカンはハート穴からインクを吸入することができるので、インク吸入時にインクにペン先だけ浸してインクを吸入すると、首軸がインクで汚れることもありません。
また、キャップ内部も時々水で濡らした綿棒などで掃除すると、いつまでもきれいに使うことができます。この辺り、白ということで汚れを気にされる方も多いと思います。

ペリカンのM400やM600の売れ筋はEFです。
ペリカンのEFは、日本製のペンに比べてかなり太く、中細くらいの太さになりますが、書く文字の画数の違いを考えると当然のことかもしれません。
それでもペリカンをもっと細く書けるようにしたいという要望は多く、当店ではペリカンM400のEFを国産細字くらいに研ぎ出しした、細字研ぎ出し加工をしています。
M400は軽く、コンパクトなボディなので手帳用の万年筆として最適で、それを国産細字以下の太さにすることで、理想的な手帳用の万年筆になります。

軽いM600もM400同様に「理想的な手帳用万年筆」にすることができます。
ただ、M605は14金のペン先にプラチナ装飾を施して銀色にしていますので、細字研ぎ出し加工をすると、ペン先サイドの先の方に金色の露出がわずかに見られるかもしれません。それをご了承いただければ、M605ホワイトストライプでも細字研ぎ出し加工を承っています。

ちょうど今、来年のダイアリーについて色々考える時期だと思います。
もちろん当店オリジナルの正方形ダイアリーや筆文葉のシステム手帳リフィルをお使いいただきたいと思っていますが、これらのダイアリーには細字研ぎ出しくらいの太さが合っていると思っています。
正方形ダイアリーは、滑らかな書き味と、にじみや裏抜けのしにくさを追求した紙グラフィーロを使用しています。グラフィーロはかなり細いペン先の万年筆でもヌラヌラと書ける魔法の紙ですが、インクの乾きが少し遅い。
インク出が多い太めの万年筆だと、乾くまで待って閉じるということになりますので、できるだけ細字で使われることをお勧めします。
書き込むスペースの小さな筆文葉3つ折りカレンダーにも当然細いペン先の方が合っています。
当店オリジナルのダイアリーに限らず、どのダイアリーでもペン先は細い方がきれいに書ける。M605ホワイトストライプの細字研ぎ出し万年筆、いい手帳用の万年筆になると思います。


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使うことで完成する日本の手仕事のステーショナリー~Cohanaの道具~

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万年筆という海外で作られているものを扱い、それらをいつも使っていて言うのも何ですが、なるべく日本製のものを使いたいと思います。
日本で作られた、人の手で作られたことが感じられる品を手に入れて使いたい。
デザインもマーケティングも生産効率も非の打ちどころなく計算された大量生産された製品はすごいと思うけれど、自分の好みではないし、当店で扱うべきものでないと思って今まで避けてきました。

同じ万年筆という工業製品であっても、人の手による仕事がその製品の中に存在していると思えるものを扱いたい。
それはあくまでも私の直感で、ただの好みなのかもしれないけれど。
倉敷にある「林源十郎商店」が好きで、たまに訪れたいと思うのは、その店が日本の手仕事によるモノにこだわっているからで、それらのものが醸し出す雰囲気にホッとさせられ、私の迷いのようなものを吹き飛ばしてくれるからかもしれません。

東京の手芸用品メーカーKAWAGUCHIさんが企画するcohana(コハナ)の商品を扱うようになりました。
商品企画をKAWAGUCHIさんで行い、日本中の伝統的な地域産業や工芸に携わる会社、職人さんに製作を依頼したものばかりです。
どの商品にもそれぞれ醸し出す空気感のようなものがあって、人の手による仕事が感じられます。万年筆とは直接関りはないかもしれないけれど、当店で扱いたいと思いました。

こういった商品を言い表す時、温かみとか、ぬくもりという言葉はなるべく使いたくない。
その言葉は言い表すのに良い言葉だとは思いますが、古くからあまりにも多くの人が使ってきたし、分かりきった事柄に感じられる。
それらの品々を私は「完成と未完成の間」にあるものだと思っています。
パッケージに入って店に並んでいる時が一番美しい完成された工業製品ではなく、使い込まれて使用感が出た時が一番美しい。
新品の状態では未完成で、使い込むことで完成するものだと思っています。

使っているうちに美しくなってくれるもの。
それは新品の時の傷一つない美しさだけではなく、経年変化の美しさを増していくものだと思います。
そんな使い込んで美しくなってくれるCohanaの商品は、私が好む万年筆と離れたものではないと思っています。

⇒Cohanaのこだわり文具cbid=2557541⇒Cohanaのこだわり文具csid=1″ target=”_blank”>⇒Cohanaのこだわり文具cbid=2557541⇒Cohanaのこだわり文具cbid=2557541⇒Cohanaのこだわり文具csid=1″ target=”_blank”>⇒Cohanaのこだわり文具csid=1″ target=”_blank”>⇒Cohanaのこだわり文具

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⇒2015.8.14「日本的な万年筆」