ペリカンM800バーントオレンジ~年代ごとの味の違いを楽しめる万年筆~

ペリカンM800バーントオレンジ~年代ごとの味の違いを楽しめる万年筆~
ペリカンM800バーントオレンジ~年代ごとの味の違いを楽しめる万年筆~

ペリカンM800をずっと使っています。
最初に自分で買った万年筆で、もう20年近く使い続けていますので、ペン先が馴染んで本当に使いやすくなっています。

M800は書くことにおいて完璧なサイズ、バランスを持った万年筆だとよく言われていますが、私も長く使うほどにそう思えるようになってきました。
しかし、この万年筆を使い始めたばかりの時は、どうやって使えばいいのか持て余していました。
キャップを尻軸につけて書きたいけれど、後ろが重いような気がしてどこを握って書いていいのか分からない。キャップを尻軸につけずに書くようにすると何とか普通に使うことができましたが、キャップをつけて力を抜いて、ペンの重みで書くのがこの万年筆の書き方だと今では理解しています。

そう考えるとペリカンM800は使い手がどこまで万年筆に慣れているか試されるペンだということになります。
言い換えるとこのペンに慣れると、力を抜いてペンの重みで書くという、万年筆の書き方を習得できるということにもなります。
今すぐに書きやすい万年筆を選ぶのも万年筆のひとつの選び方ですが、最初は扱いにくいかもしれないけれど、手が慣れてくると必ず書きやすくなってくれる万年筆。
長く万年筆と付き合うつもりなら使いこなしに時間がかかる万年筆を選んでみてもいいのではないかと思います。

ペリカンM800は1980年代から、価格もデザインもほとんど変わらずに作り続けられています。
重さ、バランスなど完璧なので、変えようがないのかもしれませんし、価格はまさに企業努力だと思うけれど、それはなかなかできないことだと思います。
変わらないM800の中でも、ペン先だけは細かな変更を繰り返していて、年代によって書き味が多少違っているのは、お客様を飽きさせずに長く惹きつけるこの万年筆の魅力だと思います。
少しマニアックかもしれないけれど、M800の年代ごとのバリエーションを揃えて書き味を楽しむようなところに、私はとても興味をそそられます。

縞模様が特長のM800は不定期に定番色とは違う、特別な色のボディが発売され、このたびバーントオレンジが発売されました。

イタリアの万年筆メーカーがオレンジ色で万年筆を作ると、華やかで瑞々しい、果実のような色合いで仕上げてきますが、ペリカンのオレンジ色は重厚な落ち着きを感じさせるものに仕上がっています。
不定期に発売されるペリカンM800の限定品ですが、今年は当たり年になっていて、このバーントオレンジの前には、シルバー金具で透明ボディのM805デモンストレーターが発売されました。
そして12月にはボディにピストンなどのパーツ名が刻印された、まさに吸入機構を解説するデモンストレーションペンM805デモンストレーター刻印ありが発売になります。

書くことにおいて、完璧な機能性を感じさせてくれるペリカンM800だからこそ、何本も揃えて、それぞれの味の違いを長く楽しむことができるのではないかと、これも万年筆の楽しみなのだと思います。


3本差しペンケースの楽しみ~コンチネンタルペンレスト兼用万年筆ケース再入荷~

3本差しペンケースの楽しみ~コンチネンタルペンレスト兼用万年筆ケース再入荷~
3本差しペンケースの楽しみ~コンチネンタルペンレスト兼用万年筆ケース再入荷~

しばらく品切れしていましたコンチネタルペンレスト兼用万年筆ケースが出来上がりました。
コンチネタルのシリーズに使っているダグラスは、革用のブラシで磨きながら使い込んでいくと、内側から色気のある艶がにじみ出てくる革で、個人的にとても気に入っています。

このペンケースは、持ち歩きの時はフラップを被せてペンの脱落防止・保護の役割を果たしてくれ、机上にあるときはフラップをペンの枕のようにしておくと、ペンの出し入れが簡単にできます。

この機能はひとつの作業の中で、ペンを持ち替えて使う時にとても便利です。
私は書道教室に行っていて教室では毛筆を練習しているのですが、ペン習字の課題が宿題で出るので、それを家で練習しています。
ノートに何度も書いて、きれいに書けるようになったら清書するということをしていますので、けっこう時間がかかります。そんな時はペンを持ち替えて気分を変えながら練習しています。

私の現在のペン習字用万年筆は、オマスパラゴンEF,銘木ボディこしらえにフォルカンペン先、パイロットカスタム72で、この3本をコンチネタルペンレスト兼用万年筆ケースに入れて、使い分けながら書いています。

オマスパラゴンは一番きれいな文字を書くことができる万年筆で、そのさすがの安定感にいつも感心しながら、手応えのある書き味を楽しんでいます。
このパラゴンもそうだし、発売中の限定品アウロラマーレアドリアそうですが、このクラスのイタリアの万年筆の実力はすごいものがあると思います。
ボディとペン先のバランス、デザイン的な存在感など完璧な万年筆だと思っています。

銘木ボディこしらえと極端に柔らかいペン先のフォルカンの組み合わせは、とても繊細なペン先であるにも関わらず、どんな用途にも対応する豪快な印象の万年筆になっていて、これをいつも使いこなしたいと思っています。
筆圧をかけずに書くと細字、筆圧をかけると中字くらいになりますので手帳から手紙までをカバーしてくれるペン先ですが、これを使いこなせるのは余程万年筆を使い慣れた人だと思っています。
はらいなどもきれいに表現できて、ペン習字には最適なペン先がフォルカンです。

カスタム72はかなり以前に廃番になったものですが、現行ではパイロットカスタムヘリテイジ912のポスティングがこれに近いと思います。
かなり硬いペン先で、筆圧による開きが少なく、安定して細い線を書くことができ、揃った整然とした文字を書くことができます。
パイロットは最も一般受けする筆記具を作るメーカーだと思われていますが、国産万年筆メーカー3社の中でペン先に関して一番マニアックな取り組みをしていて、ユニークなペン先を揃えています。

銘木万年筆ボディこしらえをパイロットの中でもペン先バリエーションの多い、カスタムヘリテイジ912/カスタム742に合わせたのもその辺りに理由があります。

私の場合、ペン習字という用途で3本の万年筆を揃えましたが、3本をある用途に合わせ入れたペンケースのセットがいくつかあると、その用事の時に3本まとめて持ち出して使い分けることができて、とても便利で、ペンがある程度増えた人の万年筆の使い分けなのだと思います。

当店は万年筆店なので、万年筆のコートであり、鞄であるペンケースはなるべく揃えたいと思っています。
様々な用途に合うように、色の好みに合うように、季節に合うようにと考えると本当にたくさんのものが必要になるけれど、良いものをなるべく多く揃えて、万年筆を楽しむお役に立ちたいと思っています。

大和出版印刷デスクトップオーガナイザー~大人の遊び場に~

大和出版印刷デスクトップオーガナイザー~大人の遊び場に~
大和出版印刷デスクトップオーガナイザー~大人の遊び場に~

その店に合っていなくて売れない商品というものがよくあります。また時代の先に行きすぎて売れないというものもあって、それはとても良い商品なのにもったいないと思うものばかりです。
良いのに売れないというのは不思議な気がしますが、例えば文具店には文房具を期待してお客様方は来られているので、その範疇に入らないものや、今までの文房具とあまりにも価値観が違うものは、とても良い商品でも売れないことがあります。
本当に残念なことだと思うけれど、こういう商品を今までたくさん見てきました。
大和出版印刷さんと工房楔の永田さんが共同で企画したデスクトップオーガナイザーももしかするとそんな商品なのではないかと思うと言うと後ろ向きに聞こえるかもしれないけれど、私はこの商品から夢とロマンを感じています。

ステーショナリーや机上用品というカテゴリーでは収まらない、もしかしたら高級家具屋さんなどの方が売れる商品なのではないかと思っています。
用途から言うと机上を整理するためのもの、机上、ワークスペースを効率的にするための実用的なものですが、大和出版印刷の武部社長と工房楔の永田さんの狙いは違うところにあって、机上で遊ぶための大人のおもちゃなのではないかと、このデスクトップオーガナイザーをいじっていて、思い当たりました。

子供の頃、ユニットやパーツに分かれた基地をいろいろ組み替えてドッキングさせるおもちゃで遊んだことがある男性は多いのではないでしょうか。
ちょっとしたアイデアを込めることができて、いつも新鮮な気持ちで遊ぶことができる。
そんな自分だけの世界にワクワクした時と同じ気持ちが味わえるもので、例えばこのデスクトップオーガナイザーの横に鉄道模型や、プラモデルがあっても全くおかしくない。
大人の遊び道具だと言うと誤解を招くかもしれないけれど、机上での時間にワクワクする私たちにとって、これ以上のステーショナリー基地はないだろうと思います。

立派な遊び道具でもありますが、大人のためのものだから本気で作られている。
これをプラスチックを使い、簡単な作りだと何の意味もなく、面白くも何ともないと思います。
素材であるウォールナットは全て刳り貫かれているにも関わらず、薄く上品に仕上げられていて、緊張感さえ感じます。
ベースに各パーツがキッチリと収まり、配置を自由に変えることができ、どこに何をレイアウトするか、どこに何を収納するかを考えるのは、子供の頃ドッキングさせるおもちゃで遊んだ気持ちと変わらないのではないかと思います。

大人が机上で遊ぶためのもの、それがデスクトップオーガナイザーです。


ペリカン ノック式ペンシル

ペリカン ノック式ペンシル
ペリカン ノック式ペンシル

創業時から当店は万年筆を主に扱う店としてやってきました。
それは万年筆を特別なものとして、万年筆を使う人を増やすということをライフワークとしていたことだけでなく、ペン先調整ができる強みを最大限に生かしたいと思っていたからです。

しかし私自身もそうですが、万年筆以外のボールペンやシャープペンシルでもそれぞれの書く楽しみはあって、万年筆だけを使うということはまず考えにくいし、きっとそんな人はいないと思います。
万年筆店の当店として、日常的に使うことができるボールペンやシャープペンシルもご紹介したいと思っていました。

万年筆と対になるボールペンやシャープペンシルは、回転させることによって芯を出すものが多いです。
しかし、特にシャープペンシルは私たちが子供の頃から使ってきたということが理由なのかもしれませんが、ノック式の方が使いやすく感じます。
そしてこれもまた子供の頃からの慣れなのかもしれないけれど、芯の太さは0.5㎜の方が使いやすく感じることもあります。

そのように考えると、お勧めできるものは海外のメーカーの主なところではラミー2000のシャープペンシルだけになってしまいました。
しかし、ペリカンD400シャープペンシルもその範疇に入れることができるようになっています。

D400シャープペンシルは万年筆のM400と対になるポケットに差して持ち歩きやすい、あまり大きくないボディで、小さなペリカンマークのついたかわいらしく趣きのあるノックバーをノックすることで、芯を出すことができるノック式のシャープペンシルです。
今まで0.7㎜芯仕様しかありませんでしたが、内部機構をそっくり入れ替えることで、0.5㎜もご用意することができるようになりました。

これでノック式で0.5㎜芯という今まで私たちが使い慣れてきたシャープペンシルをペリカンでもお選びいただけるようになりましたが、シャープペンシルの書き味や使用感において、使うことができる芯の選択肢は0.5㎜が圧倒的に多く、様々なものから選ぶことができるメリットも生まれました。
シャープペンシルの場合、書いているうちに芯が減って行くので、ノックする回数は多く、ノック式の方がやはり使いやすい。

そしてこの芯をチクチクとノックする動作も何か素朴な趣があって、私にとっては書くということの原体験を思い出させてくれるものです。
クラシックな魅力のあるペリカンだからこそ、ノックして芯を出すという機構がよく似合っていると思います。

⇒Pelikan K400ボールペン・D400シャープペンシル(0.5mm/0.7mm)

工房楔の遊び心

工房楔の遊び心
工房楔の遊び心

工房楔のイベントが終わって、しばらく経ちます。
いつも何かニュースを用意してくる永田さんの探求心と創造性に感心しています。
イベント後に仕入れたたくさんの商品を見ながら、触りながら、お客様とゆっくりその魅力を味わっています。
永田さんの木製品を大きく2つに分類すると、工房楔を始めた時から追究している杢を表現するものと、独自のアイデアを込めた遊び心のあるオリジナリティのあるものとに分けられると思っています。
杢を表現するものとしては、パトリオットボールペン、当店とのオリジナル企画である万年筆用ボディこしらえ、万年筆ケースコンプロットなどが挙げられます。
それらのものは工房楔の永田さんにとってステーショナリーの形をした、杢を表現するためのキャンバスであると私は思っています。
杢の美しさ、面白さを手軽に知ってもらうために、永田さんはペンを銘木で作ることを始めて、それは今でも工房楔の代表的なものになっています。

もうひとつ遊び心のあるステーショナリーは、永田さんの発想力とそれを実現する行動力によって生み出されています。
それはカッターナイフであり、鉛筆を長いままで使うことができるペンシルエクステンダー、トゥラフォーロ、トンボノック消しゴムのカスタム軸で、今回新たに2㎜芯ホルダーと三菱3機能ジェットストリーム用銘木グリップが加わりました。
銘木グリップは、普段の仕事でも使う機会の多いプラスチックの3機能ペン(3色ボールペンまたは2色ボールペン+シャープペンシル)に装着できるものです。
この楽しさは使ってみるとすぐに分かり、普通のボールペンを全く違うものにしてくれます。
アルミ削り出しのパーツのしっかりとした質感と木の手触りが感じられて、これほどまでの変わるものかと不思議な気持ちになりますが、侮れない小品だと思います。

2㎜芯ホルダーは、遊び心という言葉だけでは片付けられない本格的な作り込みを感じます。
ステンレス削り出しパーツはノックバーまでにも及び、普及品の芯ホルダーと変わらない形のクリップまでも流用ではなくオリジナルパーツにしています。
ストレートな端正な姿、2パーツに分かれた木部は同じ材から取って木目を合わせてあり、相当なこだわりが貫かれています。
機構は最もシンプルでスタンダードなドロップ式になっていて、芯の出方を好みの長さにすることができます。
ドロップ式の特長は他にあり、芯詰まりがしにくい点で故障の起こりにくい最も信頼できる機構だと思います。
しかし、そんな実用的なメリットよりも、しっかりと作り込まれたこだわりを追究した2㎜芯ホルダーは永田氏の本気の遊び心が込められています。

カンダミサコさんの特別仕様ペンシース

カンダミサコさんの特別仕様ペンシース
カンダミサコさんの特別仕様ペンシース

ペリカン600ピンクは、万年筆もボールペンもあっと言う間に売り切れてしまいました。
久々に出た、女性をターゲットにした万年筆の出現に各店は大いに期待しましたが、数が少なすぎました。
ペリカンはたまに女性に向けたペンを発売していて、それはどれも成功しているように思います。
きっとこういうことの積み重ねが万年筆を使う女性のお客様を増やすことにつながっていくのだと思います。
一昨年辺りから当店にも、それまで珍しかった女性のお客様が目立つようになっています。
一概に言うのはあまり良くないけれど、女性は男性のようにモノから入らず、結果や行動から万年筆に入ってくる傾向にあると思っています。
日記を楽しく書きたいから万年筆を使うとか、手紙を書きたいからインクに凝るとか、多くの女性は自分の価値観で、自分好みのものを見つけて楽しむことができる。
それに対して男は、人の影響を受けているようなところがあります。
自分の価値観よりも人の意見に左右される。そして自分がそれで何をするかよりも、そのモノに惹かれて、手に入れてからどうしようかと考える。
私もカメラというモノに惹かれて、まず手に入れてから、自分のライフスタイルの中でのカメラの居場所が見つかった。
そんなふうに言うと一緒にするな、と怒られるかもしれないけれど。

これから万年筆をもっと多くの方に使ってもらえるものにしたり、華やかなものにするためには、女性と若い人、子供たちにいかに使ってもらえるかだと思っていて、万年筆店としてまず女性のお客様に来ていただける店になるにはどうしたらいいかとよく考えます。
そう考えるところまで当店を連れてきてくれたのは、カンダミサコさんのペンシースだったのかもしれません。
革1枚を丸めただけのシンプルな形ですが、コロンとしていて、素材となるシュランケンカーフのカラーバリエーションと相まって、早い段階から女性のお客様に人気がありました。

ペリカン600ピンクが発表になった時に写真をカンダさんに見てもらって、1本差しと2本差しのペンシースをこれに合わせて作って欲しいとお願いしました。
2本差しペンシースもシンプルな形で、ペンの出し入れがしやすく、例えば仕事で必要な万年筆とボールペンを組み合わせて使う時などにスマートに使うことができるものだと思っています。
ペリカンピンクはすぐになくなってしまい、女性の万年筆ユーザーを増やすことにつなげることはできなかったけれど、カンダミサコさんのピンクのペンシースのシリーズがその代わりになるかもしれないと思っています。

1本差しはシュランケンカーフエッグシェルにピンクのステッチ、2本差しはエッグシェルの表革にピンクのシュランケンカーフの内革にして、派手派手しくなく大人の女性向けの配色になっています。
当店から女性のお客様にもっと万年筆を楽しんでいただくための働きかけのひとつになったと、大いに気に入っています。


時間の形~オリジナル正方形ダイアリー2016~

時間の形~オリジナル正方形ダイアリー2016~
時間の形~オリジナル正方形ダイアリー2016~

大和出版印刷さん、分度器ドットコムさんとの共同企画のオリジナルダイアリー2016年版が出来上がりました。
ウィークリーとマンスリーの2種類を毎年製作しています。

昨年は2015年版ウィークリーでかなり手を入れてリニューアルして理想の形になっていると思っているので今年は大幅な変更はありませんが、マンスリーダイアリーにも前後の月のミニカレンダーを右下に追加しました。計画を立てる時にさらに便利になったと思っています。

私が仕事をするようになってから持ち続けている、一年間の月の並びに対するイメージがあります。
一年は時計のように円形に並んでいるというものです。
並び方は12時の位置に10月があって、6時の位置に4月があります。
きっと自分のバイオリズムというか、調子のリズムがあってそのように思うのかもしれません。
一年の始まりである1月が3時の位置という変なものですが、その位置が私には1月に相応しいような気がするのです。

4月をピークに、それ以降は毎年調子が悪く上がっていくのに苦労するので、4月が一番低い位置にある。それ以降時間の針は重力に逆らって上がっていかなければならない位置にある。
季節は巡るということを考えると、一年を時計のように円形に捉えることが何となく合っているような気がしていて、これは何年も商売に携わってきて自分の頭の中にできたものです。
でも同じ年は絶対にないので、正確に言うと蚊取り線香のような螺旋形になりますが、そんな形のダイアリーをもしオリジナルで作ることになった場合商売としては大いに心配です。
もちろん1年を違う形でイメージする人もおられて、それはその方のお仕事などと関係があるのかもしれません。

でも一か月の形と言うと、多くの人にとってブロック型のカレンダーの形が馴染があるのではないでしょうか。
オリジナルダイアリーもマンスリーはカレンダーと同じ形にこだわっています。
カレンダーは日曜日始まりのものが多いですが、土日の休みが一般的になっていますので、土日は隣り合っている方が分かりやすく、月曜日始まりとしています。
ウィークリーダイアリーか、デイリーダイアリー(日付なし)か、その年ごとに使うものは違っていましたが、それらと組み合わせて使うマンスリーダイアリーは毎年使っていて、目に馴染んだ形なので、とても使いやすいと自信を持っています。

TO DOリストなどは細々と書くことができるウィークリーやデイリーが使いやすいかもしれないけれど、スケジュール帳を突き詰めると、結局このカレンダータイプに行き着くのではないだろうか。
オリジナルダイアリーを作るということは、時間の形を表現するものだと思っていて、それはとても楽しいけれど、責任の重いものだと思っています。
それでも万年筆を使う人のことだけを考えた理想的だと思うものに仕上がっていると思います。

オリジナルダイアリー用の革カバーをル・ボナーさんが現在製作してくれていて、11月には出来上がってくる予定になっています。
当店で発売しています写真冊子「手帳のある風景」には、オリジナルダイアリーをお使い下さっている方々の机上の風景を掲載していて、大いに刺激を受けました。

来年私はシングルのカバーにマンスリーとデイリーダイアリーを入れて使いたいと思っています。
ぜひ一緒にオリジナルダイアリーをお使いいただき、内容や使い方についてご意見を伺えたら、と思っています。

⇒オリジナルダイアリー2016(Pen and message.オリジナルトップへ)cbid=2557112⇒オリジナルダイアリー2016(Pen and message.オリジナルトップへ)csid=1″ target=”_blank”>⇒オリジナルダイアリー2016(Pen and message.オリジナルトップへ)

8周年に

8周年に
8周年に

今月、当店は創業8周年を迎えます。

直接的な言い方で大変不躾ですが、当店で商品を買って下さるお客様がおられたからこそ、存続してくることができたわけで、本当に感謝しています。
誠にありがとうございます。

この店が始まってから、月並みでつまらない言い方ですが、あっと言う間に年月が過ぎてしまいました。
時間の経過はあっと言う間でしたが内容は格段に濃いもので、充実していたことも有り難いと思っています。
8年前や、それまでの自分を振り返ると、考えの甘さや未熟な部分が多く恥ずかしいことばかりのように思います。できれば思い出さずに未来だけを見ていたいけれど、創業記念の9月だけは仕方ないと今までのことを振り返ったりしています。

創業記念日の9月23日は祝日ですが、その日は水曜日ですので当店は通常通り定休日です。
祝日だし、特別な日なのにどうして?と言われるけれど、他の日に定休日を振り替え始めると、お客様にも覚えていただきにくいかと思っています。
当店は水曜日が定休日だということを多くの人に知っていただきたいということもあります。

色々変な考え方だということは自分でも分かっているけれど、ついでに申し上げると私は万年筆というもの自体にはあまりこだわっていません。

それよりも万年筆で書く生き方、書くことを大切にした生き方を追究したいと思っています。そして、その生き方を支える、書きやすい、生涯の友とも言える万年筆を提供したいと思っています。

そんな生き方が本当にあるのかどうかは別として、それを追究して示すことに興味があって、おもしろいことだと思っています。
それは万年筆販売店として正しいのかどうか分からないし、本当はもっと万年筆というモノを気軽に楽しむことを追究するべきとも思いますが、私がやると何かシリアスなやり方になってしまう。
8年経ったのに、色々なことがまだまだで、道半ばです。
創業当初から早く「10年になります」と言いたいと思っていたけれど、ただ年月を積み重ねるだけでなく、堂々と10年と言えるような店にしたいと思っています。

皆様今後ともよろしくお願いいたします。

8周年企画~ペンレスト兼用万年筆ケース(7本用・Sモデル)~

8周年企画~ペンレスト兼用万年筆ケース(7本用・Sモデル)~
8周年企画~ペンレスト兼用万年筆ケース(7本用・Sモデル)~

9月23日は当店の創業記念日で、8周年を迎えることになります。(その日は水曜日で定休日なのですが)
今月出来上がる商品やイベントは、8周年記念という特別な思い入れがあります。そして関わって下さった方々も、当店の8周年を盛り上げてやろうとご協力いただき、とても感謝しています。

今月は、今回ご紹介するベラゴの牛尾さんが作るペンケースの他にも、6年目になるオリジナルダイアリーの2016年版の完成や、9月26日(土)27日(日)の工房楔のイベントもあり、盛りだくさんの月となります。

今回の主題「ペンレスト兼用万年筆ケース(7本用・Sモデル)」は、出来上がるまでの経緯も面白いと思います。
このペンケースは当店でデザインしたものではなく、当店のお客様S浦さんを革製品のオーダー製作をされている鞄職人ベラゴの牛尾さんにご紹介して、持ち込んだ依頼から始まったものでした。

S浦さんは当店のペンレスト兼用万年筆ケースを背中合わせに2つくっつけたような、大量にペンを収納できるケースを望まれていました。
その希望を受けてベラゴの牛尾さんが試行錯誤され、デザイン的にも洗練された
このケースを製作されました。
牛尾さんのデザイン的なセンスは、並外れた才能だと思います。
それは彼の鞄作りにも表れてベラゴの特長になっていて、丁寧で細やかな仕事とともにとても信頼しています。

デザインから取り組んだので時間はかかりましたが、S浦さんが「待った甲斐がありました」と言われるものに仕上がっていて、完成品を見せていただいた時から商品化したいと思っていました。
S浦さんの手にペンケースが届いてからしばらく我慢していましたが、S浦さんに了解を得て、やっと商品化することが出来ました。

このペンケースの構造は、後ろ部分が内部が4つに分かれた4本差し、前部分が3つに分かれた3本差しで、1本ずつのスペースは前の方が大きくとってあります。
持ち運ぶ時はフラップを被せて持ち運ぶと脱落防止、キズ防止になります。
机上で使用している時は、フラップを後ろ部分のペンの枕のようにしておけば、開いたままにすることができます。
フラップ周りの構造は、当店の3本用ペンレスト兼用万年筆ケースと同じものですが、これを7本用に上手くリデザインされています。

使用している革は、牛尾さんお勧めのベルーガ革です。
ベルーガは傷もつきにくく粘りのあるとても丈夫な革で、エージングはありませんが、色気のある革だと思います。
内装は柔らかいピッグスエードで、ペンに傷がつきにくくなっています。
外周はミシンで縫製していますが、仕切り部分は手縫いでされていて、牛尾さんの工夫の跡が見られます。

7本もペンを持ち歩く人は少ないかもしれないけれど、このペンケースのデザインや構造を多くの人に見てもらいたかった。
S浦さんのご理解によって、こういうものを8周年の記念に発売できて、誇らしく思っています。

旅に携えた万年筆~オマスパラゴン~

旅に携えた万年筆~オマスパラゴン~
旅に携えた万年筆~オマスパラゴン~

夏季休業で金沢に2泊3日で家族旅行をしてきました。
私は神戸を適度に街で適度に田舎だと思っていて、それが良いところだと思っていますが、金沢も同じようなところがあるのではないかと思っていました。

新幹線の開通によって駅前の再開発は徹底的に行われたようで、古い建物やお店は一切なく、金沢城周辺など公的なお金がかけられているところはとてもきれいになっていました。
しかし公の手の入っていない他の場所とは激しい対比があって、それを見ると寂しい気持ちになりました。
新竪町商店街などは、きっと一度は寂れたのかも知れませんが、とても良いお店がいくつかできていて、また訪れたいと思わせるものでした。
商店街再興の動きはきっと全国で起こっていて、地方の商業が若い人たちの感性で、それぞれの持ち味を生かして甦ってくるのだと思います。

旅をしながら感じたことなどを書き留めるために、万年筆を携えたいと思っています。
最近は写真も一生懸命撮っているので、書いてばかりもいられないけれど、旅先で見たものから受けた刺激で何か書きたいといつも思っています。

旅の途中は立ったまま書く事も多いので、ラミーサファリでメモしたりしていて、サファリは私のそんな用途にぴったりな万年筆だと思います。
でもホテルに戻ったらより書き味が気に入っている万年筆を使いたい。だから一番大切に思っている万年筆も持って行きます。

今回の旅行にも、オマスパラゴンを持って行きました。
私が持っている万年筆の中では、オマスパラゴンがインクもたくさん入りタフなので、一番旅に合っていると思っています。道中はサファリでメモして、パラゴンでシステム手帳に清書したり、原稿の下書きを書いたりしています。オマスのEFの字幅だと、1本で様々な用途に使えるところも旅向きだと思います。

私はある時から、ある程度重さのある万年筆でないと使いにくく感じるようになりました。
軽い万年筆は手帳やメモ帳に少し書くくらいならいいけれど、きれいな文字を書くには重量のある万年筆の方がいいと思っていて、自分が持っている万年筆の中でも、オマスパラゴンを使うことが多くなりました。

一番気に入っている万年筆を旅先にも持って行くようにしたいと思っていて、今回はパラゴンと旅をしたい気分でした。