オマス追想

オマス追想
オマス追想

ブログでは既に記述済みですが、このコーナーでもオマスの廃業について書いておきたいと思いました。少しお付き合い下さい。

6年前のル・ボナー松本さん、分度器ドットコム谷本さんと行ったドイツ~チェコ~イタリア旅行でボローニヤを訪れたのは、オマスの本社、工場訪問の約束がとれたためで、オマスのおかげでボローニヤやその周辺の街モデナ、パルマを訪れることができたとも言えなくもない。
どの町も古い街並みを持っていて、文具店が何軒もありました。それらを歩いたり、レンタルした自転車で走ったりして巡りました。

6月の始めでしたが、イタリアはアフリカの近さを実感させられるほど、乾いた風と強い日差しで、旅の思い出はその熱い日々とともにあります。
オマスを訪れた時、商品説明の中でパラゴンを「モンブラン149がライバルです」と説明していて、オマス社は本気で打倒モンブランを標榜してペン作りに取り組んでいることが言葉の端々から感じることができて、大いに共感しました。
規模も全く違うし、モンブランはオマスのことをライバルだとは思っていないかもしれないけれど、自分よりはるかに大きなものをライバルだと位置づけてそれを目指すという考え方は好きだと思いました。
大きな力と戦うなら、自分たちの強みや特徴を見極めて、それらを生かした戦略をとらないとまともに行くと歯が立たないに決まっている。
オマス社は自分たちの特長である、歴史的モデルの継承と未来に目を向けたモデルを同時進行させて発売していました。

万年筆の中でもオーバーサイズという範疇に入る大きなボディのパラゴンは、書くことが楽しくなる手応えのある最高の万年筆だと思いましたし、レギュラーサイズのミロードは最もきれいな文字を書くことができる万年筆のひとつだと思っています。私はその派手ではないけれど、万年筆の基本を押さえていた玄人好みなモノ作りにほれ込んでいました。
セルロイドやウッドなどのボディ素材も定番品として作り続けていたのに、自分がそれらを一本も持っていないのがとても残念ですが、もちろん一番残念なのはオマスがもう存在しないということです。
親会社が存廃を検討し始めた時にオマスのスタッフたちは必死になって、新しい引受先を探したそうです。
しかしオマスは譲渡されることなく、工場閉鎖、廃業してしまいました。
昨年90周年を迎えて、記念の万年筆もたくさん発売して活発に活動していると思っていましたので、オマスを失った喪失感は大きい。
タイムスリップしたような古い建物が連なり迷路のような通りを作るボローニャの街同様、オマスも時代に取り残されて存在する役回りを負っていました。

でもその役回りを維持して続いていくことを時代が許さなかったのかもしれず、私はここから何かを学び取らなければならないと思っています。

憧れる不良性 モンテグラッパエキストラ1930/エキストラオットー

憧れる不良性 モンテグラッパエキストラ1930/エキストラオットー
憧れる不良性 モンテグラッパエキストラ1930/エキストラオットー

大人の不良性、というものに憧れることがあります。
言葉遣いや服装など表面的なものではなく、何かちょっとした拍子に垣間見えてしまうもの。
それをわざとらしく演出する言葉遣いや服装、態度をとるということではなく、上手く言えないけれど、その人が醸し出している雰囲気のようなものです。

私は天邪鬼だったけれど、不良性とは程遠い人生を歩んできました。
自分にないものを取り繕っても仕方ないので無理はしないけれど、そういう憧れを抱かせる不良性を持ち合わせたかっこいい大人たちを何人も見てきて、その人たちの仕事には近付きたいとは思います。
その人たちは皆、見た目の取っ付きにくさとは裏腹に優しく、自分の仕事に情熱を持って取り組んでいる大いに語る人たちでした。
何かで怒らせたらものすごく怖いのだろうなと、恐れを抱かせる抑止力のようなものも持っている。

万年筆とは、そういう不良性からは程遠いものだと一般的には思われているけれど、実はそれほど離れているものではなく、そこに近づけてくれたり、その人の生き方、目指すものを投影してくれる数少ないモノのひとつだと思っています。
モンテグラッパエキストラ1930のような万年筆は、不良性を持った大人に似合うのではないかと思いました。

クラシカルなセルロイドのボディに不釣り合いなほど大きなペン先。デザインはそれほど奇をてらったものではないけれど、個性と力強さと色気を感じさせる、明らかに普通の万年筆とは違うただならぬ雰囲気を持っている。
そして、888本の限定で発売されたエキストラ1930の限定版オットーは、クラシカルなエキストラに華やかさを少し加えたもので、こんなにカッコいい万年筆は久しぶりに見たと思いました。

モンテグラッパ。不良性を持ち合わせた大人にこれほど似合うものは他にないと思いますし、自分にない不良性を加味してくれるものでもあると思っています。


⇒エキストラ1930cbid=2557105⇒エキストラ1930csid=3″ target=”_blank”>⇒エキストラ1930

カートリッジインクに遊び心~カンダミサコ小長持ち~

カートリッジインクに遊び心~カンダミサコ小長持ち~
カートリッジインクに遊び心~カンダミサコ小長持ち~

海外の万年筆では私は経験がないですが、国産の万年筆はカートリッジインクを差して使う方が書き味が良いのではないかと思うことがあります。
パイロットシルバーンやキャップレスはカートリッジインクでは爽快な書き味を持っているけれど、他社インクではその感動が薄まりますし、コンバーターのインク吸入量が少ないので、頻繁にインクを吸入することになります。

パイロットの極軟ペン先フォルカンも純正インクの粘り強さがあってこそ、その柔らかさを生かせるものだと思います。
プラチナも流れが良く書き味が良くなる黒インク、にじみのないブルーブラックと色によって性格の異なるインクが用意してあって、用途に合わせてインクを使い分けることができますので、色にこだわらなければカートリッジインクの使用の方が便利です。

セーラーは万年筆のインクの中で最も黒い黒インク、くすみのある渋いブルーブラック、発色の良い強め青と魅力的な色をカートリッジインクで用意しています。
これらを考えるとわざわざ国産万年筆でコンバーターを使ってボトルインクを吸入しなくてもいいのではないかと思うこともありますが、そういうわけにはいかないのでしょう。
私が受けている感覚が正しいとすれば、カートリッジインクで万年筆の調子が良くなるのは、それだけ国産メーカーは厳密に自社インクに合わせた万年筆作りをしているということなのだと思います。

考えてみるとカートリッジインクの万年筆へのはまり方も海外のもの、特に大多数を占めるヨーロッパタイプのカートリッジを使う万年筆の場合、浅く、軽くて頼りないような気がします。
それに対して国産メーカーのものはどれも適度な力を込めて差す必要があって、しっかりと差り、抜けてしまう心配のいらないものばかりです。
この辺りも国産メーカーは緻密にカートリッジに合わせた万年筆作りをしていると思わせてくれるところです。

使っている万年筆が国産のもの、海外のもの問わずカートリッジ派という様々な色から好きな色を選ぶ楽しみを放棄している少数派閥の人がいて、私もその一人だと思うけれど、好きなインクの色を選ぶよりも書きやすさや外出時のインク交換の手軽さを優先した人たちに実用一辺倒のカートリッジインクを趣をもって使うことができるものをご紹介いたします。

カンダミサコの小長持ちです。
小さな長いものを運ぶための革小物で、カートリッジインクでなくても、クリップや印鑑なども入れることができます。
素材は使い込んでいくと艶の出るブッテーロ革で、こういう小さなものに上質な素材を使うところがカンダさんらしいと思います。
鞄や大型のステーショナリーとは別に、こういうアイデアの面白いものを本気で作るところは工房楔の永田氏にも感じられる遊び心だと思っています。

⇒カンダミサコ 小長持ちカートリッジケース

特別調整万年筆アウロラスタブ調整

特別調整万年筆アウロラスタブ調整
特別調整万年筆アウロラスタブ調整

昨年6月から始めたペリカンM400細字研ぎ出しは、M400を手帳に使いたいけれど太くて使えないという現状を解決することになり、当店の万年筆としては異例のヒットとなりました。

皆様がいかに太すぎるペン先の万年筆に不満をお持ちで、細くしたいと思っているかということが分かり、大変勉強になりました。
そしてそれぞれのペンの特長を見極め、需要があるのに存在しないもの作り出す、当店のペン先調整、特別調整の考え方に賛同いただけたということにも大きな意義がありました。

そのペン先の特長に合致していて、もっとその万年筆を生かすことができて、使い勝手を良くなる特別調整を施した万年筆として、アウロラオプティマスタブ調整もご提案いたします。
スタブとはペン先を平らなヘラ状に研ぎ出し、縦線を太く、横線が細く書けるようにしたペン先です。

このペン先を生かすように握って、縦横差のある線で文字を書くと特長のある文字を書くことができて、書いていてとても楽しい万年筆になります。
アウロラはペリカンほどインク出が多くなく、程良いインク出が特長でもありますが、スタブペン先だと細くあってほしい横線にキレが出て、縦横差が出しやすくきれいな線を書くことができます。

実は私は、スタブペン先は日本の文字、特に縦書きには向かないと思い込んでいました。
縦が太く、横が細い線アルファベッドに向いていると思っていたのです。
しかし、通っている書道教室の先生が硬筆習字に使う万年筆を私に依頼してくれて、調整について話を詰めていくうちに、縦線が太く、横線が細いスタブ調整に行き当たりました。

漢字は縦線よりも横線の方が多いものが多く、漢字を潰さずにスッキリと書くために横線の細さが必要でした。
アウロラの<F>のペン先、国産では<中細>くらいの万年筆をスタブ調整してみると、金ペンらしい柔らかい書き味でいながら、付けペンのヘラペンのようにキレのある文字を書くことができますので、これは万年筆のひとつの理想的な形なのかもしれないと思っています。

今回スタブ調整のベースとして、アウロラオプティマをピックアップしましたが、同じペン先のアウロラ88も同様のペン先調整をすることができますし、他にスタブ調整に適したものがあればご提案していきたいと思います。

⇒AURORA 新企画”スタブ研ぎ”特別調整万年筆 オプティマ

~書道の先生に作った万年筆~ パイロットカスタム743のスタブ仕様

~書道の先生に作った万年筆~ パイロットカスタム743のスタブ仕様
~書道の先生に作った万年筆~ パイロットカスタム743のスタブ仕様

月3回、定休日に書道教室に通っています。
教室は板宿にある積水書道会で、妻と通える書道教室を探していた時に、インターネット上に情報が少ないこの業界において、ホームページを開設していた数少ない教室のうちのひとつでした。
自作されたというホームページから、窪田三奎先生の人柄も伝わってきたし、時流を読んでホームページで情報を発信しているという姿勢も、他の書道の先生と違っていて、この先生から習いたいと二人の意見が合い、通うようになって半年が経ちました。

最初、自分の仕事については話していなかったけれど、先生と話しているうちに、自分が万年筆を仕事にしていることを言わなければならなくなりました。
教室では毛筆を習っているけれど、宿題でペン習字の宿題が出て、次回添削してもらうということをしていて、万年筆での硬筆習字の話になることも多い。

今まで満足して使える万年筆に出会ったことがないと先生が言われるので、試筆できるものを数本用意して、その中から好みに合うものを選んでもらいました。
様々なものを試していただいた中で、先生はパイロットカスタム743<中細>を選ばれました。
フォルカンや細字軟などの柔らかめが選ばれると思っていたので少し意外でしたが、ペン先調整に関しても私には意外なお申し付けがありました。
カスタム743<中細>の縦線の太さは先生のご使用に合うようですが、横線を細くして欲しいと言われました。
縦線が太く、横線が細いスタブ形状のペン先はアルファベットや横書きの文字に向いていて、縦書きの日本字や行書などには向かないと思っていましたので、先生の指示に少し驚きました。
でも今練習している毛筆の楷書も縦線が太く、横線が細くなっていることが多いし、漢字には「壽」のように横線がやたらと多い文字が結構あって、それらの文字をすっきりと書きたいということでした。

パイロットカスタム743<中細>のペン先をスタブにしたものが、窪田三奎先生の愛用の万年筆になり、先生の硬筆書道で必ず使われるようになりました。
硬筆書道においてのカスタム743の良さは、ボディのバランス、持ち応えの他に、柔らかい書き味と、滑りの良さ、そして筆圧を加えたり、抜いたりして文字に強弱がつけられる粘り強さにあるようです。

筆圧を込めて文字を強くすることを先生はペン先を割る、と言いますが、本当にペン先が割れるまで筆圧を掛けてはいけませんが、ペン先を割ってもそれに応えてくれる柔らかさと限界の高さに貢献する粘り強さがこのペン先にあって、これだけのペン先を備えた万年筆は少ない、と私も思います。

窪田先生からのお墨付きをいただいて、カスタム743を真剣に書く人のためにもっと勧めたいと思うようになりました。

⇒パイロット カスタム743

書かなければいけない時に~ペリカンM400サイズの万年筆~

書かなければいけない時に~ペリカンM400サイズの万年筆~
書かなければいけない時に~ペリカンM400サイズの万年筆~

本を読みながら頭を切り換えて、すぐに自分の課題について考えることができたら素晴らしいけれど、実際は考えようと思わないと考えることができず、インプットとアウトプットを同時進行させることは私にはなかなか難しいことに思えます。

最近本を読むことよりも何か考えていることの方がはるかに多く、今はそういう時期なのだと思っているけれど、年々その時間が長くなっている。
若い頃は、貪欲に本を読んで自分に色々なものが蓄積できる貴重な時間だったと懐かしく思えます。
自分の中に何もなくても、出し過ぎて空っぽになったとしても、アウトプットし続けないといけない時は必ずやってくる。それまでは何でも詰め込んでその時に備えるべきだという事を、今までの経験で思います。
47歳で、自分の店がひとつのターニングポイントを迎えている私は、家でも、通勤中でも考えないとけないことがいくつもあって、少々手に余るけれど考え続けるしかありません。

考えるということは、書くということが必ずではないけれど伴います。
一巡り考えたり、考えに詰まったりした時にノートに書いてまとめるとまたそこから進展することがあるし、思考を蓄積するためにも、考えたことは書かないといけないと思っています。

最近はノート、メモ帳に大和出版印刷のiiro(イーロ)を使っていてそこに書きだしたものをシステム手帳に清書します。
そんな時に使う万年筆は、大きめのものではなく、ペリカンM400サイズの万年筆で、小さな万年筆で文字の形を気にせずに書きだすのにとても向いていると思っています。
逆に手紙などはある程度大きな万年筆の方が使いやすく、自分なりのきれいな文字が書きやすい。
頭の中にあるものをバーッと書く、あるいはポツポツと書くには手の力で書く小さめの万年筆の方がいいということなのかもしれません。
ノートに書いたものを清書する手帳用の万年筆もあまり大型のものよりもM400サイズの万年筆の方が使いやすいのではないか、多くの人がM400を手帳用に使いたいのではないかと思って、M400の<EF>をさらに細く削り出して、国産細字程度にした「M400細字研ぎ出し」は、先日の蔦屋書店のイベントでも多くのお客様からの反響があり、発売当初から感じていた手応えが裏付けられました。

ノート用の少し太めの<M>か<B>の字幅のM400、手帳用の細字研ぎ出しのM400。この2本が今まで経験して蓄積したものをアウトプットしていかなければならない世代の実務を支えるものになると思っています。
当店にはちょうどM400サイズの万年筆2本収めることができるペンケース、WRITING LAB.オリジナルペンケースピノキオというものがあり、今回のM400サイズの万年筆を2本使うのにぜひ一緒にお使いいただきたいと思っています。

素材はキメが細かく、手触りの良い栃木のサマーオイルを使用しています。使い込んだり、ブラシ掛けなどのお手入れによりかなり艶の出てくるとても良い革です。
2本の小ぶりな万年筆を、コートやジャケットのポケットに入るくらいコンパクトに持ち運ぶことができますので、仕事と関係のない本を読む時間がくるまで、このセットを相棒に、生みの苦しみを乗り越えていただけたらと思っております。

イベントのやり方~カンダミサコ革製品いろいろ~

イベントのやり方~カンダミサコ革製品いろいろ~
イベントのやり方~カンダミサコ革製品いろいろ~

当店に関わってくれている人にはイベントの達人が何人かいます。
工房楔の永田さんは全国の催しを回って自作の商品を販売をしていますし、年2回当店でもイベントをしてくれています。
永田さんの仕事振りを間近で見ていて、告知力や商品構成、接客力などにも秀でた達人だと思っています。
達人だからこそ毎年繰り返しあるイベントにいつもたくさんのお客様を動員することができている。

最近はあまりしていませんが、カンダミサコさんもイベントの達人です。
どんなスペースでも、とても居心地の良い「カンダミサコ」の空間にしてしまう。
来場されるお客様はカンダミサコの世界観を楽しみながら買物をすることができ、空間作りに大いなる才能を感じています。
イベントの達人たちの仕事振りをそのまま真似しても仕方ないけれど、それらはいつも考えの底にあって、知らない間に勉強させてもらっていたのだと思います。
代官山蔦屋書店でのイベントのスペース作りの際、私には迷いがありませんでしたが、知らない間に仲間たちから教えられていたことが表れたのだと思います。

そのイベントには、カンダミサコさんの革製品を大量に持って行きました。
物量の多さもまたイベント成功の秘訣だと永田さんやカンダさんから教えられていました。
しかしいくら何でも多すぎたのかもしれず、完売することはできませんでした。
まだホームページに掲載出来ておらず、近日掲載予定になりますが、今回のイベント限定で製作してくれたのが、1本差しペンシースのチェルケス革とバッファロー革です。
チェルケスはいつまでも美しく使うことができるしっかりした革で、ペンシースをひとつ上のグレードにしてくれるように感じる革です。
バッファローはペンシース唯一のエージングする革で、使い込むと艶を帯びてきます。
ホームページに掲載できているものは、アイボリーのシュランケンカーフエッグシェルに、ピンクのステッチを施したものは、以前ペリカンM600ピンクに合わせて製作したものでしたが、完売後もお問い合わせをいただいていたこともあり、もう一度作ってもらうことにしました。
ファーバーカステルクラシックコレクションスネークウッドと一緒に持ってもらいたいものとして作っていただいた、専用2本差しペンシースもあり、これは従来のイメージとは異なる印象で面白いと思う。

大和出版印刷の新書サイズノートiiro(イーロ)用のカバー、パイロットやヨーロッパサイズロングカートリッジやUSB、印鑑などを入れることができる小長持ちも全色製作しました。
iiroカバーあたりから当店とカンダミサコさんとの間での仕事の仕方、商品の企画の仕方が定まってきました。

カンダミサコさんは、職人である以前に自身のクリエイティビティにこだわり、それを作品に込める人なので、全て当店で決めてしまってお願いするよりも、iiroのノート1冊お渡しして、これをカバーするものが欲しいですとお願いする方が良いものが出来上がる。
ファーバーカステルクラシックスネークウッド用2本差しペンシースはスネークウッドの写真をカンダさんに見せて、これの万年筆とボールペンを入れるケースを揃いのイメージで作って欲しいとお願いしただけでした。
これらの革製品には当店とカンダミサコさんとの協力関係がよく表れていて、カンダミサコの特長も表現されている。

当店が3か月間、そのことだけを考えて取り組んできたイベントのための商品をホームページでも販売いたします。
まだ掲載できていない商品もありますが、順次、ご紹介していきたいと思います。

⇒カンダミサコ革製品TOPgid=2125745″ target=”_blank”>⇒カンダミサコ革製品TOP

代官山蔦屋書店「2016ステーショナリーサロン」1月23日(土)24日(日)での当店のテーマ

代官山蔦屋書店「2016ステーショナリーサロン」1月23日(土)24日(日)での当店のテーマ
代官山蔦屋書店「2016ステーショナリーサロン」1月23日(土)24日(日)での当店のテーマ

さすがに1週間前になりましたので、今は初の出店になる代官山蔦屋書店でのイベント「2016ステーショナリーサロン」のことで頭をいっぱいにしたい、そのことだけを考えたいと思っています。
店という場所では、最初に打ち上げたコンセプトを崩さずにいかに日々の営業を積み重ねて良くしていくかという、じっくりと取り組む仕事ができます。
しかし、2日間のイベントは一発勝負で、いかにパッと見で当店のことを理解してもらうかが重要ということになります。そして実験的な試みと言いながらも仕事である以上、利益を出さなくてはなりません。
今回のイベント出店の成否で、当店の今後の方針が変わってしまう可能性もあって、やりたいと思ったことができるように、何としても成功させたいと思っています。
と言いながら、日々の業務に追われてイベントの準備に集中できずにいます。
それでも前にお願いしていた商品は次々に出来上がってきていて、有難いことだと思います。

私自身が今一番するべきことは、一生懸命に手を動かして、特別に調整した万年筆を1本でも多く用意することです。
ペリカンM400EFの細字研ぎ出しペン先、アウロラを滑らかに書けるようにした丸研ぎの他にも、それぞれのペン先と向き合い一番良い調整をして、滑らかな書き味の万年筆を用意する。それが当店らしい万年筆を提供することであり、最もやるべきことだと思っています。

他には「神戸の職人紹介」として、当店とつながりのある神戸の職人さんたちの作品を紹介したいと思っています。
職人として生きていくのはとても難しく、それだけで生活している人は非常に稀ですが、当店の仲間たちはそれをやってのけている人たちです。
神戸からあまり出ることがなく、その作品を東京でご覧いただく機会が少なかったので、彼らの作品を東京で紹介したいと思いました。

基本的には普段当店で販売しているものを持って行きますが、カンダミサコさんは今回のイベント限定の1本差しペンシースを3種類製作してくれています。

チェルケス革のワインとグリーン、シュランケンカーフエッグシェルにピンクステッチの3種類ですが、イベントに来られたからには今回のイベントでしか手に入らないものも買っていただきたいと思いました。
もちろん当店だけでなく、他にも出店されている魅力的なお店がたくさんあって、きっと楽しんでいただける週末になると思います。

会場でお会いできるのを楽しみにしています。

*来週22日(金)の店主のペン語りは、イベント参加の移動日のためお休みさせていただきます。お店・インターネット業務も22日(金)~24日(日)まで臨時休業となりますので、よろしくお願い申し上げます。

生き方を表す万年筆

生き方を表す万年筆
生き方を表す万年筆

私たちはなぜ万年筆に惹かれて、様々なものに興味を持って欲しくなってしまうのか。
それはその万年筆によって自分の仕事が良くなるような気がするからだと、今までは結論づけていました。
あの万年筆を使うともっと良い文章が書けるかもしれない。書く文字も変わるかもしれない。仕事の役に立つ、自分への投資だ、と多少無理してでもインスピレーションを刺激した万年筆を手に入れようとしていました。

きっと誰もがそうだと思うけれど、自分の仕事をもっと良くする役に立って、それが自分の手に負えるくらいの金額で何とかなるものだったら、ぜひその万年筆を手に入れたい。万年筆はそう思わせてくれるものであります。

でも例えば旅行したり、休日にどこかに出掛けるということも何か気付きやひらめきにつながるかもしれないと、仕事を良くするために行っているようなところもあります。すると結局、全ては仕事を良くするためということに向いているのかもしれないので、万年筆に限った話ではないのかもしれないけれど。

でも万年筆が仕事を良くする役に立つという考えは、万年筆を使うようになってかなり経った今でも思っているので、勘違いではないと思う。けれどそれだけではなく、もう少し心の中の深いところでも惹かれているのだと思います。

万年筆全般ということではなく、その個別のものに惹かれるのは、その万年筆が自分の生き方を表してくれるように思えることも理由だと思います。
何か特定の万年筆が自分の表現したい世界観を表現してくれていたり、自分の信念を表現してくれていることもあり、そんなものに出会ってしまったら手に入れないわけにはいかない。
万年筆で生き方を表現するほどでもなくても、書くこと全てを万年筆で執り行いたいということは、どちらかと言うとかなりの少数派だと思います。そしてきっとそういう人でなければ、万年筆を使いたいと思わないのかもしれません。

それは能力の優劣とか、感性の鋭鈍とか関係なく、ただそういう体質だから、そういう好みだからということで、それは生き方だと言い表すことができる。
そういう人はきっと生まれ持った素質によってそうなっているのだと思いますし、そういう人がいる限り万年筆はなくならないと思っています。
なくならないからと安心することはできなくて、万年筆のマーケットが小さくなったり、世の中での露出が少なくなっていって、もっと目立たないものになってしまったら、万年筆に出会うべき人も出会えなくなってしまいますので、万年筆業界を華やかにする努力を我々はするべきだと思う。

世界中の人に万年筆を使ってもらうことはできないかもしれないけれど、万年筆を使う生き方の資質を持っている全員が万年筆に出会えるように、私たち万年筆の業界の人間は努力するべきだと思っています。

今週は具体的な商品ではなく、何か漠然とした内容になってしまっていますが、こういうなぜ私たちは万年筆を使うのかという、考えても仕方ないことを考えるのも私は好きで、よく考えます。

もっと多くの人に伝えたい~ペンレスト兼用万年筆ケース~

もっと多くの人に伝えたい~ペンレスト兼用万年筆ケース~
もっと多くの人に伝えたい~ペンレスト兼用万年筆ケース~

在庫が少なくなってきたのと、一部品切れしていた色がありましたオリジナルペンレスト兼用万年筆ケースが出来上がりました。
これもカンダミサコさんによるもので、最近カンダミサコさんの革製品のご案内が続いていますが、カンダさんがいかにピッチを上げて革製品を作っているかがよく分かります。

1月23日(土)24日(日)の代官山蔦屋書店でのイベントに備えてお願いしたもののうちのひとつで、その中でもこのペンレスト兼用万年筆ケースは違う地域のお客様にもぜひ見てもらいたいと思っていました。
ペンケースには様々な形のものがあって、中身の保護を重視するとたいそうになって使いにくくなるし、手軽さに偏ると中身の保護がおろそかになってしまいます。
中身の保護と使いやすさのバランスがとれていながら、モノとして魅力のあるもの、そしてオリジナリティのあるものとして、当店のオリジナルペンレスト兼用万年筆ケースはずっと作り続けていきたいものです。

持ち運ぶ時はフタを閉めて、ペンが脱落しないように傷がつかないようにすることができて、机の上に置いて使う時はフタをペンの枕のように後ろに回して開けたままにできるのでペンを素早く抜き差しすることができます。

使っているペンを仮置きするならペンケースの上にそのまま置くとペントレイのようにも使うことができます。
実際に万年筆を使う人のアクションを考えて、シンプルな形で、良い素材を使って作った、これぞ当店のオリジナルペンケースだと自信を持っています。

3本ペンレスト兼用万年筆ケースは2種類の革があります。
もともとシュランケンカーフを使うことが前提でこのペンケースを作りましたので、シュランケンカーフ仕様のものはしなやかで使いやすい。

ダグラス革を使ったコンチネンタルはそのエージングに魅力のある仕様です。ブラシで磨くように手入れしていただくと美しい艶が出て、これもまた革製品の楽しみのひとつです。

当店のオリジナル商品のため、遠くにお住まいの方になかなか手に取って見ていただくことができませんでしたが、1月23日(土)24日(日)の代官山蔦屋書店でのイベントに持って行きますので、ぜひ直接ご覧いただきたいと思います。

前にも申し上げたことがあるかもしれませんが、このオリジナルペンケースを世界中の人に使っていただきたいと思っていますので、イベントがそのきっかけになるといいなと密かに思っています。
今回が今年最後のペン語りになります。1年間お付き合い下さいまして、誠にありがとうございました。次回は1月8日(金)に更新いたします。

[お知らせ]
1月5日(火)に工房楔のお年玉企画をホームページにアップいたします。お楽しみに。