ご来店予約の受付開始&カンダミサコデスクマット

ご来店予約の受付開始&カンダミサコデスクマット
ご来店予約の受付開始&カンダミサコデスクマット

当店のお客様がペンを試し書きしたり、ペン先調整を承る席にカンダミサコさんのデスクマットがあります。
5年間お客様方にお使いいただきましたので、キャメルの色は濃い茶色になり、艶もかなり出て良い風合いにエージング(経年変化)しています。
この美しいエージングは素材であるブッテーロ革の特長で、長く使うほどにその真価を発揮するものだと思っています。

どんなものでも素材が悪ければ、使っていくうちにただ汚くなってしまうけれど、良い素材は使うほどに磨かれ美しくなり、愛着が持てるものへと育ってくれる。
これは万年筆にも言えることで、万年筆の値段の違いは長く使っていく中でどうなっていくかというところが一番の違いだと思っています。

カンダミサコデスクマットは、厚いブッテーロ革を2枚重ねた下にフェルトを貼り合わせていますので、デスクマットで最も心配される「反り」もありません。
サイズはA4サイズの一回り大きなサイズになっていますので、大抵の書類はこの上で書くことができますし、大きすぎて邪魔になることもありません。

それでも机のスペースに合わせて使いたいというご要望も多く、オーダーでも承っています。
ご要望のサイズをお知らせいただきましたら、お見積りさせていただきます。

このカンダミサコデスクマットのある席で、ご来店下さったお客様にゆったりとした気分で過ごしていただくことが、当店らしさだと思っています。

ただいつもではないけれど、週末の15時頃などにお客様が集中してしまい長時間お待たせすることがあり、申し訳なく思っています。
自分がいつも行っている散髪屋さんに先客がいて息子と二人で待っている時に(最近一緒に行くことが多いですが、それは車で行けるという彼の計算で、待っている間息子はずっとジャンプを読んでいます)予約を受けてくれたらいいのにと思うので、当店でお待ち下さっているお客様に対していたたまれない気持ちでいます。

開店してちょっと経った今更言うのも何ですが、当店ではご来店予約を受け付けるようにしました。
ペン先調整でも、ペンのご購入でもご予約下さった方優先で承るようにいたします。
翌月末まででしたらご来店ご予約承りますので、ご来店日時とお名前、ご連絡先をお知らせ下さい。
メールでも電話でも結構です。(メールの場合は当店からお送りする確認メールを必ずご確認下さい)

*ご予約TEL:078-360-1933
*お見積り・ご予約E-mail:penandmessage@goo.jp
*⇒カンダミサコ・デスクマット

シンプルにコンパクトに~WRITING LAB.オリジナルペンケースピノキオ~

シンプルにコンパクトに~WRITING LAB.オリジナルペンケースピノキオ~
シンプルにコンパクトに~WRITING LAB.オリジナルペンケースピノキオ~

オリジナル商品を作る作業は、自分たちが今まで見てきたものの中の良いと思っているものの引き出しがどれくらいあるかが試される場面だと思っています。
たくさんの古いものを知っている人はアイデアも多いし、それが少ないとすぐに行き詰まってしまう。

自分たちの引き出しの中を探して、その時のものに合うアイデアを合致させる。
史料やたまにお客様がお持ちの90年代以前の古い革のペンケースはほとんどがペンにジャストサイズのコンパクトなもので、それらはきっとそのペン専用のペンケースなのだと思います。
汎用のペンケースよりもそれしか入れることのできない専用のものの方が、今見ると贅沢な気がして、使っていて楽しい気がする。
それをWRITING LAB.で企画して、シンプルにコンパクトにと、古いペンケースの考え方を現代に甦らせたものが、2本差しペンケースピノキオです。

ピノキオはペリカンM400系の万年筆にしか使うことができないペンケースです。
M400系と書いたのは、M400サイズの万年筆には多くのバリエーションが存在するからです。
当店では字幅の太いM400を手帳にも使いやすい太さに研ぎ出す「細字研ぎ出し」を始めましたが、こういったものを含めると、M400系のバリエーションはさらに増えていきますので、専用と言いながらピノキオに入れることができる万年筆は多く存在するということになります。

ピノキオに使用している革のバリエーションは、サマーオイルとコードバンです。
サマーオイル革は、牛革の中でも私たちが最も好きな革のひとつで、ネットリとした質感、濃厚な色合いの滑らかな手触りの色気のある革です。
良いものを手に入れるにはやや苦労しますが、なるべく使っていきたいと思っています。
良いものを入手に苦労する点ではコードバンも同じで、コードバンの中でも張りと艶があり、厚みもあるホーウィン社のものにこだわっています。
今まで通りベラゴの牛尾さんに製作していただき、シンプルな形だからこそ、牛尾さんの細かいステッチなど確実な仕事が光っています。

万年筆が今の形になって130年ほど、それを販売するお店はどこも、私たちがやっているようなことをしていて、ずっと繰り返されてきたことを私たちはしているだけだと思うことがあります。

きっと、自分たちがしていることもすぐに万年筆の歴史の中に埋もれてしまうのだと思うと虚しくなりますが、そういうことを繰り返すことが人間の営みなのかも知れない。でもその時輝いていることが大切なことで、活動している限り輝き続けたいと願っています。

⇒WRITING LAB.2本差しペンケース ピノキオ コードバン

アイリス色のペンレスト兼用万年筆ケース

アイリス色のペンレスト兼用万年筆ケース
アイリス色のペンレスト兼用万年筆ケース

4年前に作ったきりでその後作ることのできなかった、アイリス色のオリジナルペンレスト兼用万年筆ケースが完成しました。

素材であるシュランケンカーフには定番色とオーダー色とがあり、オーダー色は革メーカーのペリンガーの社長が来日した時にオーダーしておかないと手に入れることができません。
アイリスはそんなオーダー色のうちのひとつで、やっとカンダミサコさんが手に入れてくれて、万年筆ケースに仕立ててくれました。

ちなみにこのペンケースのカラーバリエーションにあるエッグシェルもオーダー色です。
内装のシープスエード革は、ライムグリーンとターコイズの2色で、大胆な配色かも知れませんが、よく合っていると思います。
シュランケンカーフは伸びの良い素材で、オーバーサイズのような太目の万年筆でも入れることができます。
オマスパラゴンでも入れることができると言うとそのサイズ感が分かっていただけるでしょうか。

このペンレスト兼用万年筆は当店を象徴するペンケースだと思っています。
当店は万年筆で書くことが生活の中心にある、あるいは精神的な柱にある人のライフスタイルを支える店でありたいと思っていますが、このケースはそんな人の実状に合ったもので、取り出しやすさと万年筆の保護を考えた当店の自信作です。

カンダミサコさんの作品でもう1つA7メモカバーも入荷しました。

夏は荷物をなるべく軽く、小さくしたくなりますが、いつもポケットに入れておける手帳カバーがA7メモカバーです。
A7メモカバーもペンレスト兼用万年筆ケースと同じシュランケンカーフを使用しています。
私は服装のアクセントとなる革製品はなるべく揃いになるように同じ革、同じ色で持ちたいと思うので、カンダさんにはなるべく同じ色で革製品を作ってもらっています。
A7メモカバーでもアイリスを作ってもらいました。

いろんなメモ帳を使っていると言われるけれど、私はこのA7メモノートを立って使う時は、方眼罫のものをタテ開きにして使っています。
横開きで使うと右側のページがどうしても書きにくくなる。タテ開きなら手が大きくない私でも立ったまま快適に使うことができます。

カンダミサコさんのノートカバーの特長は、内側のアオリ部分を大きくとって、筆記の補助(下敷き)にしているところです。
それで立ったままなど不安定な状態でも筆記がしやすく、万年筆を使う人の実状に合ったものだと思っています。
とても小さな地味なものだけど、こういう小さなメモ帳はどんな用途に使おうかと、ロマンを感じてしまいます。

〇関連記事
⇒2011.6.10 「ペンレスト兼用万年筆ケース3本用完成」
⇒2013.7.5 「万年筆店の思想が見えるオリジナルのペンケース」

特別調整の万年筆

特別調整の万年筆
特別調整の万年筆

私の仕事はルーペの中に見えるペンポイントの形を頭の中にあるいくつかのもののどれかに近付けるという、言ってしまえばとてもシンプルな仕事です。

しかし形を思い描くことができても、それを目の前の小さな玉に造形できるようになるには何年もかかりましたし、道具も必要でした。
調整をするようになって10数年、それをちゃんと仕事にして8年、頭の中にある理想的な形をはじめから示したものを買っていただけるようにしてもいいのではないかと思いました。
自分は万年筆の販売員だと思っているので、自分の形に研いだペン先を前面に押し出して見せることに、何となく気恥ずかしさのようなものがありました。
私にとってペン先調整はその万年筆を書きやすくするための、なるべくさりげないものだったのです。
しかし、自分ができることで需要がありそうなことを告知した方が、当店にもお客様方にもメリットがあるのではないかと思い、特別調整万年筆を世に送り出すことにしました。

頭の中にある理想的な形のうち、需要が高そうで実用的にも意味がある「細字研ぎ出し」と「太字の丸研ぎ」をペリカンの万年筆にしてみました。
それぞれのペンの適正に合った研ぎだと思っています。

M400は手帳用に相応しい万年筆だと思いますが、ペン先が太く、インク出が多いところが難点で、手帳に使いたいけれど使えないと思っていた人も多かったと思います。
そこで、ペリカンM400<EF>をベースに手帳に使える太さ、国産の細字くらいの太さに研ぎ出しました。
大変実用的で使用頻度の高いペンを示すことができたと思います。

太字はピタリと筆記面を合わせて書くととても書き味が良いけれど、太くなればなるほどペン先の向き、筆記角度などを気にして書かなければ書き出しが出なかったり、インクがかすれたりします。
ペン先の向きや角度をそれほど気にせずに大らかに書くことができるものとして、太字丸研ぎを用意しました。
従来の太字のスイートスポットにピタリと合った時のヌルヌルとした書き味は少ないけれど、紙へのペン先の置き方に神経質にならずに書くことができるものになっていると思います。
それに、大きなペンポイントが丸くなっているのは造形としても美しいと、ルーペを覗きながら思っています。
この太字丸研ぎで筆記角度に合わせてスイートスポットを作るとヌルヌルとした書き味も生まれます。
BBではなく、BでもMでも丸研ぎにすることができます。

もちろん他の万年筆でも特別調整をすることはできますが、ペン先の色が金色もしくは、外側が金色のものが望ましく、銀色のペン先は銀色のメッキが側面だけはがれてしまう可能性があります。

私は同じ万年筆をペン先違いでペンケースに入れることに喜びを感じる方なので、M400やM800のペン先バリエーションが増えると、新たな楽しみも増えると思っています。


⇒新企画”細字研ぎ出し”特別調整万年筆 ペリカンスーベレーンM400

万年筆を真・行・草で考える

万年筆を真・行・草で考える
万年筆を真・行・草で考える

モノや設えの格式を表す「真・行・草」の中で、最も簡素で素材感のままの「草」に一番惹かれます。
真は格調高く、作り込まれた最も正式なモノの姿。行は真よりも少し用に向かって崩した格式と寛ぎのバランスの取れた姿。草は全てが自然のままに、手を加えていないように見えるモノの姿、しかしそのように見せるために最大の努力が払われている。

真・行・草に外出の服装を当てはめてみると、真は最も正式なトラディショナルなスーツスタイル。
行はブレザーにネクタイ。
草はノーネクタイにノーアイロンのシャツということになるのかもしれません。
服装に関しても、似合うかどうかは別として私は草に惹かれるけれど、万年筆を真・行・草に当てはめて考えるのも面白いと思いました。

それとそうすることで皆様の万年筆選びが少しはやりやすくなれば幸いです。
万年筆選びに正解などはなく、ご自分がどれを好きかということだけだと思っていますが、どれを好きになったらいいか分からないという声も聞かれ、たしかにそうだと思いました。

最も格調高く公の場で使っても気後れしないようなものが真の万年筆です。
これはボディが黒の樹脂で、金具が金色あるいは銀色のもので、モンブランが代表的なものですが、どのメーカーにも黒ボディ金金具のものはあって、公の場で使うものとしてある程度意識しているのかもしれません。
漆塗りの万年筆は、真の万年筆の究極で、パイロットカスタム845が最も真の万年筆だと思います。
⇒パイロットカスタム845
行はもう少しカジュアルなもの。ペリカンの縞模様などは程よく遊び心があって、行の代表的なもの。イタリアの万年筆メーカーのカラーレジンを使ってもののほとんどを行に入れたいと思います。

草の万年筆の条件として素材感が最も重要です。天然素材の質感、2本と同じもののない不揃い感などを備えていれば完全に草の万年筆だと私が胸を張って承認したいと思います。
木のボディで天然の素材を生かしたものは間違いなく草の万年筆で、これに金無垢やスターリングシルバーも仲間に加えたい。
真・行・草どれに惹かれるかは非常に感覚的で、好み、センスが分かれるところで、私はどうしても草の万年筆に惹かれてしまう。

ずっと素材感のあるものが好きで、飾り気がなく、手を入れていないように見せるために最大の努力が払われているものに肩入れしてしまいます。
工房楔と当店とのオリジナル企画のこしらえなどは、草の万年筆の最たるものだと誇らしく思っています。(⇒Pen and message.オリジナル銘木万年筆軸こしらえcbid=2557546⇒Pen and message.オリジナル銘木万年筆軸こしらえcsid=1″ target=”_blank”>⇒Pen and message.オリジナル銘木万年筆軸こしらえ)

〇関連記事
⇒2012.12.14 寒さに強い万年筆(カスタム845)コラム
⇒2013.4.12 万年筆銘木軸こしらえ

オマス シグネチャーエディション 「ルドヴィコ・エイナウディ」

オマス シグネチャーエディション 「ルドヴィコ・エイナウディ」
オマス シグネチャーエディション 「ルドヴィコ・エイナウディ」

オマスの代表的なペン、アルテイタリアーナシリーズは12角形のボディが特長的ですが、装飾の少ない骨太な印象のとてもシンプルなデザインだと思っています。
シンプルであるためにそこに面白みを見出しにくく、90年という長い歴史のノスタルジーも現行のオマスのペンからは感じにくいと思います。
でもそれを手に取って使ってみると、ミロードには味わい深いしっとりとした書き味と、自然に手が動くような書くためのバランスがあり、パラゴンにはハードに使っても安心感のある剛性感と弾力があって、手応えのある書き味が最大の特長になっています。
それぞれ長く使いたいと思わせてくれる、万年筆として優れたものであることは間違いありません。

万年筆によっては冬にインクの出が良くなる傾向があるため、少し出が渋くなるインクを使う工夫をしたり、多少の使いこなしを要求されるけれど、それもある程度万年筆を使ってきた人のための万年筆であるということだと思います。

オマスは今年創立90周年を迎えていて活発に限定品を発売しています。
シグネチャーエディションも同様の90周年の企画で、音楽家などのアーティストの作品のイメージをオマスのペンで表現したものになっていて、アルテイタリアーナの名に相応しいものになっています。
シグネチャーエディション第1弾はイタリアの音楽家ルドヴィコ・エイナウディです。

ルドヴィコ・エイナウディのシンプルなのにセンチメンタルな旋律もある音楽とオマスの万年筆のデザインとの共通性が感じられ、元々共感し合えていた上での今回のシグネチャーエディション化だったのではと推測したりします。

実は、私はルドヴィコ・エイナウディの音楽は聞いたことがなく、オマスからのシグネチャーエディションのインフォメーションを見ても、名前も聞いたことがない人だと思っていました。

それからしばらくして、お客様が「このお店に合いそうだと思って」とCDを持ってきて下さいました。どこかで見たことのある字面だと思ってよく見ると、ルドヴィコ・エイナウディのものでした。
驚いて万年筆をご紹介するとその方も偶然に驚かれ、少し前からオマスパラゴンに興味を持たれていましたので、迷うことなくシグネチャーエディションパラゴンを買って帰られました。

音数が少なく、静かな印象の曲調が多く、ジャズなどに慣れた耳には大人しすぎるのかとはじめは思っていましたが、聞くほどに心のすごく深いところ、郷愁の部分に届いてくるような音だと思うようになりました。
シグネチャーエディション「ルドヴィコ・エイナウディ」はその音楽性が反映されていて、マットブラックのボディと、艶消しされた金属パーツの輝きを抑えた組み合わせで、静謐ささえ感じます。

アルテイタリアーナのペンをベースにしながら全く違う印象のものに仕立てている。オマス90周年記念、シグネチャーエディションは限定品らしい限定品だと思います。

サファリ2015年限定色ネオンライム

サファリ2015年限定色ネオンライム
サファリ2015年限定色ネオンライム

テレビ番組で、ボールペンの特集があり、その中でマツコデラックスさんがサファリの毎年発売される年度限定モデルを買っていたことを話していて、この人はこちら側の人だと見直しました。

モンブランの万年筆を使っていると言われても心は動かない。サファリというのがポイントで、毎年限定色が発売されていることを知っているところもポイントでした。
それだけで以前から何となく思っていた、この人は感じの良い人だという認識が確信になりました。
万年筆はそれを使わない人から見るとやや理解不可能なものになっています。
例えばある万年筆の値段を、万年筆を使わない人に聞いたとしても、せいぜい20分の1くらいの値段を言われてしまうのが現実で、それが良いことなのかどうなのか分からない。
でもそれだけ底の深い、マニアックなものになっています。
サファリは万年筆を使わない人と、私たちのような人をつなぐ、架け橋のような存在だと思っています。

サファリは他のどの万年筆でも担うことができない役割を持っています。
はじめて万年筆を使うと言う人にカクノを勧めて買ってもらうことは販売員としてとても簡単で、きっと皆喜んで買ってくれると思います。
しかし私はそういう人にもサファリを使ってもらいたいと思っていて、サファリを使っていることの誇らしさのようなものを感じてもらいたい。
サファリという個性的な万年筆を持つ喜びは、万年筆を持つ喜びの第一歩のような気がします。

また、サファリは万年筆をある程度使っている人でも使う価値と理由のある、このペンならではの魅力を持っています。
4000円という万年筆としては安い値段で販売しなければなりませんので、コストのかかる素材を使うことができませんが、安い素材を使いながらも、万年筆に備わっていて欲しい機能を全て備えていて、デザインはサファリ以外にはない、とてもオリジナリティのあるものだと思います。

サファリを使って万年筆の書き味とその魅力を知った人は、きっともっと良い万年筆を使いたくなると思っています。
ラミーサファリの2015年の限定色ネオンライムが発売になりました。
以前にも同じ傾向の色があったと思ったとしても、それはきっと気のせいで、確かに違う色です。
万年筆の所有欲を教えてくれる第一歩の万年筆として、この年度限定色は話題作り、万年筆を使うきっかけ作りにおいてとても重要で、なるべく続けてもらいたいと思いますし、ラミーにも意地でも続けていくという気迫のようなものを感じます。

マツコデラックスさんは、もっと良いペン、例えばラミー2000などを使いたくなっただろうか?

◎関連記事
⇒2009.2.13 ラミーサファリの価値観
⇒2010.3.12 オンリーワンの存在感・ラミーサファリ

手帳のある風景・写真集完成

手帳のある風景・写真集完成
手帳のある風景・写真集完成

総勢27名の手帳と万年筆のある風景を収めた写真集が出来上がりました。
それぞれのご自宅の書斎や机上の写真をお送りいただいたり、お持ちいただいて当店で撮影した写真を収録しています。

私が万年筆を使うきっかけになったのは、手帳を書くことがより楽しくなったからで、手帳と万年筆との組み合わせにはこだわりがあります。
そのため皆様がどんな手帳を使い、それにどんな万年筆で書かれているかにとても興味がありました。
メーカーやお店のカタログ、WEBページでも手帳と万年筆を組み合わせて撮られた写真はありますが、それらは使われていないもので、実際に使われているものの前では迫力に欠ける。
実際に使われているものでカタログのようなものを作りたいと思っていますが、それに近いものになっていると思っています。

写真集の中には当店で扱っていないものもありますが、有難いことに当店にあるものも多く、例えば正方形のオリジナルダイアリーを使って下さっている方が多かったことに、素直に喜びました。
万年筆で書くということを中心に考えた時、この正方形ダイアリーほどそれに合ったものはないと思っています。
書き味が良く、インクの収まりの良い紙の製作、書きやすい平らに開く製本をしてくれた大和出版印刷さんも、細字の万年筆に合う罫線レイアウトを企画した私たちも万年筆での使用を念頭に入れて作り続けているもので、もっと多くの方にお使いいただきたと思っています。

ダイアリーは少し季節外れになりましたが、フリーデイリーダイアリーや横罫、方眼ノート、薄型の方眼ノートrect(レクト)もこの正方形サイズにはあり、革カバーもまだありますので、使われていない方も今の季節から問題なくお使いいただけますので、ぜひお試しいただきたいと思います。

実は日付入りのウィークリーダイアリー、マンスリーダイアリーと、フリーデイリーダイアリー、横罫、方眼ノートとは使用している紙が違っていて、Liscio-1(リスシオ・ワン)という紙が使われています。
現在、グラフィーロを万年筆用紙として売り出している大和出版印刷さんの前のモデルの紙で、独特の柔らかい書き味のリスシオ紙を好んで使われている人も多くおられます。
ですがこの紙を使ったノートは、大和出版印刷さんの在庫がなくなり次第終了ということになります。

ご自宅の書斎、机上の風景を写真に収めて下さった方の中には、万年筆をたくさん保管することができるコレクターズボックスも写して下さっている方もおられ、私たちの期待通りのものを見せてくれています。
当店でもコレクターズボックスは、工房楔の永田さんが作ったものを扱っていて、現在在庫はありませんが、9月の完成を目指して製作に入っていますので、ご予約を承ります。
手帳の周辺や机上のスペースのためのものを当店ではなるべく集めたいと思っていて、こういった写真集の写真に写っているもの全てが当店で扱っているものばかりになれば、本当のカタログになると思っています。

⇒手帳の風景写真集
⇒工房楔・デスクトレイ予約ページ(工房楔・机上用品)cbid=2557546⇒工房楔・デスクトレイ予約ページ(工房楔・机上用品)csid=5⇒工房楔・デスクトレイ予約ページ(工房楔・机上用品)page=2″ target=”_blank”>⇒工房楔・デスクトレイ予約ページ(工房楔・机上用品)

実用品とコレクション~ペリカンM805デモンストレーター刻印なしモデル発売~

実用品とコレクション~ペリカンM805デモンストレーター刻印なしモデル発売~
実用品とコレクション~ペリカンM805デモンストレーター刻印なしモデル発売~

ペリカンM805デモンストレーター刻印なしモデルが限定発売されました。
万年筆の定番中の定番ペリカンM800の限定品ということで注目されていて、完売は時間の問題だと思っています。

何度も言っていることですが、ペリカンM800はペンの重さを利用して、力を抜いて書くという万年筆の扱いに慣れた人にとって、これ以上書きやすい万年筆はないのではないかと思われるほど完璧なバランスを持った万年筆だと言われています。
重さも、サイズも、力を抜いて書くのにちょうどいいですが、万年筆を使い慣れていないと、そのボディは大きすぎ、重量は重過ぎるように思われ、尻軸にキャップをつけて書くことが難しく感じられます。
この万年筆をキャップをつけて書くことができるようになった時、万年筆の重さを利用して書くことができるようになったと思っていいいのではないかという、水準器のような万年筆だと言えます。

ペン先はとてもハードで頑丈にできていますが、滑らかに書くことができるので硬さを感じさせません。書いていて安心感のようなものがあります。
ペリカンのモデルナンバーは末尾に5がつくとシルバー金具モデルで、M805デモンストレーターはシルバー金具のM800ということになります。
今まで5が付くモデルも、つかないモデルも、バイカラーの共通のペン先を使っていましたが、今年から5末尾モデルにはオールロジウム仕上げの銀色のペン先になりました。
ガラスのような透明のアクリル製ボディとシルバーの金具のM805デモンストレーターは実験用具か、医療器具のように見えます。

透明のボディによってインク残量が確認しやすく、それはさらなる実用性の向上につながっています。
M800は定番品に緑縞、青島、黒軸、M805に青縞、黒軸、発売日が浅く安定供給できていない黒縞などのカラーバリエーションがあり、これらを字幅違いや、入れるインクの色違いで揃えると壮観だろうなと思います。
同じ形のものをいくつも欲しくなって、揃えたくなるのは男性に多い集め方だと私は思っていて、私も同じものがいくつも欲しい方です。
M800の年代違いの書き味の違うものを揃えている方がおられて、その揃え方に大変共感しました。

今回発売されたペリカンM805デモンストレーター刻印なしモデルに対して、刻印ありモデルというものも12月に発売を予定しています。

内部機構が見える透明ボディの表面に、内部パーツ名を刻印したもので、こちらはデモンストレーターの名前通り、吸入メカニズムを説明するための仕様で、標本的な趣きを持ったものになります。
刻印ありはコレクション向き、刻印なしは実用品と言うと、そのつもりではない人に申し訳ないですが、ほぼ同じ万年筆の刻印あるなしで、性格がガラリと変わることが面白いと思っています。

どちらも世界限定900本です。

旅に携える万年筆

旅に携える万年筆
旅に携える万年筆

旅というほどではないけれど、プラチナ萬年筆の工場見学のために東京に1泊2日で出掛けます。(注:これを書いたのは5月11日です)

その時にカメラにどのレンズをつけていくかも大事なことですが、もっと大事なのはどの万年筆を持っていくか、ということに気付きました。
プラチナ萬年筆の工場に行くので、プラチナのペンということになり、ブライヤーとプラチナプラチナを持って行きます。
以前ある国産万年筆メーカーに行った時に、国が違うからいいだろうと思って、アウロラオプティマを胸に差して行ったことがありましたが、「吉宗さんはアウロラを愛用されているのですね。ウチのペンもぜひ愛用して下さい」ととてもソフトに言われたことがあって、「しまった」と思ったことがありました。

それは当然のことで、日本の万年筆メーカーも今や海外のものをお手本にして万年筆を作っているわけではなく、日本の万年筆の良さを前面に押し出して互角に勝負しているわけなので、誇りを持ってやっている人なら気になるところだろうと、反省しました。
この辺りのことは、お客様方の方が気が回って私のような失敗をすることはないのかもしれません。

以前旅行者用の万年筆として、モンブランやオマスなどの吸入式を中心に作っているメーカーがカートリッジ式の万年筆を出したことがあります。
いずれも旅行用のような扱いで、やはり旅にはボトルインクを持ち歩く心配の要らないカートリッジ式が便利だと言えます。
カートリッジで万年筆を使うことは、インクにこだわる人ほど少なく、コンバーターでボトルインクを吸入させて使う人が多いと思いますが、私は国産の万年筆は余程のことがない限りカートリッジインクで使っています。
ただインク交換が面倒臭いというわけではなく、日本の万年筆はメーカー純正インクで使う方が上手くいくと信じているからです。

コンバーターで他社のインクを入れて使うより、カートリッジの純正インクを使う方が快適に書くことができるということを今まで何度か経験してきました。
性能が良く、個体によるバラつきが少ないと言われている日本のメーカーなのに不思議な気がしますが、日本の万年筆メーカー各社がそれだけギリギリの線を狙った、攻めの万年筆作りをしているからだと私は思っています。
万年筆の理想は、インク出は少なめに、でも途切れず書き味良く書くことができることだと思っていますが、これを高い次元でバランスを取ろうとすると、インクが違う性質のものになると崩れてしまいます。
この点、海外のメーカーは余裕を持たせているのか、他社のインクでもストレスなく使うことができたりしますので、純正のものに限らず自由に使うことができると思っています。

でも日本メーカーのカートリッジはだいたい1cc以上は入っていますので、色を選ぶ自由度が少ないということ以外問題はないので、旅に携える万年筆としての資質は十分だと思います。旅に携える万年筆のひとつとして、国産の万年筆も考えてみたいと思います。

以前、ヨーロッパ旅行に行った時、ずっとプラチナブライヤーを使っていました。
プラチナのカートリッジのブルーブラックの、どんな紙でもにじみが少なく、同じように書けるところもが大変便利に思いましたし、飛行機の中でインクが漏れることもありませんでした。
パチンと閉めることができる勘合式のキャップも使いやすい。
そして何よりも、予備のカートリッジが数本あればいいという手軽さは大変有り難く感じました。

コンバーターでのインク棚釣りによるインク途切れなどの相談を受けるのは、国産の万年筆に関してが多いので、少しつまらなく感じるかもしれませんが、純正のカートリッジインクを入れた国産の万年筆を旅に携える万年筆の候補として、お考えいただけたらと思います。

⇒プラチナ萬年筆 ブライヤー
⇒カンダミサコ 小長持ち(カートリッジケース)