私の個人ブログ一期一会「突然変わるペン先」(クリックで移動します)でも書きましたが、1本の万年筆をなるべく集中的に使った方が馴染みが早く、ある日突然訪れる劇的に書きやすくなる瞬間を感じられると思いますので、集中的に万年筆を使うことについて考えてみたいと思います。
万年筆を手に入れる時、ある程度の用途をイメージして選ぶと思いますが、馴染ませる時は用途を無視して、メモ書きでも手紙でも何にでも使って欲しいと思います。
立ったまま書くメモと、手紙を書く時では筆記角度が違いますが、それも気にせずに使う。
そうするとその万年筆は何にでも快適に使うことができる、より手に合った万年筆になってくれることをお約束します。
そうやって1本の万年筆を集中的に使おうと思った時、例えば3本差しのペンケースに万年筆を3本入れて持ち運ぶよりも、潔く1本差しのペンケースにその万年筆を1本だけ入れて持ち歩いた方がいい。
胸ポケットに差して使う方がすぐに取り出して使うことができ、尚良いですが、大きめの万年筆ではそういうわけにはいきませんので、ペンケースに入れて持ち運ぶことになります。
当店でも扱っている1本差しのペンケースは何種類かあって、それぞれ微妙に用途が違っています。
カンダミサコさんのペンシースは、万年筆を入れてそれだけで持ち運ぶというよりも、ペンシースをもっと大きなペンケースに他のステーショナリーと一緒に入れるようなイメージで、万年筆を使う人の実状に合っている、気の利いた小物です。
そもそものアイデアは万年筆用ではなく、もっと手軽なペンシルやボールペンなどを革のケースに入れたら気分が良いだろうと思って作られたそうですが、万年筆を使う人たちもその良さを認めて広まりました。
カンダミサコペンシースには、ペリカンM800くらいまでの太さのペンを入れることができます。
ル・ボナーさんの1本差しペンケースは、丈夫なブッテーロ革を2枚重ねして、型を入れて成形する独特の技法を使った構造で、当店では1本差しペンケースの定番的な存在になっています。
ブッテーロ革は磨いたり、使い込むことで艶を増す、革のエージングを楽しみやすい素材で、革の扱いを覚えるのにこのペンケースほどお誂え向きのものはないと思います。オマスパラゴンのような巨大なペンも収めることができます。
頑丈さ、そして日本製とは思えないイタリア的な趣を持った、シガーケース型ペンケースSOLOは、フィレンツェ伝統の型絞り技法で作られています。
木型に革を巻きつけて固めていく製法で、神戸の革工房イル・クアドリフォリオの久内夕夏さんが作っています。
革製であるとは思えない精度の高さで、モノとしての面白みもあります。
SOLOには、ル・ボナー1本差しペンケースよりも少し細めの内径で、ペリカンM1000までなら入れることができます。
万年筆を1本だけ持ち運ぶことをより楽しく演出し、中身を保護するというペンケースとしての実用性を備えたものをご紹介しました。
*来週は新作の2本差しのペンケースをご紹介いたします。
⇒カンダミサコ 1本差しペンシース
⇒ル・ボナー 1本差しペンケース
⇒WRITING LAB. イル・クアドリフォリオ製1本差しペンケースSOLO