細く書く

「三菱ジェットストリームエッジ」というボール径0.28ミリの油性ボールペンが発売されて、そのデザインの良さもあって、とても興味がありましたのでいくつかの店舗を回って手に入れました。

同じ三菱でも、水性染料インクの0.28ミリは書き味がガリガリと感じられましたが、このエッジは同じ太さなのにヌルヌルと気持ちよく、大変細い線を書くことができます。インクが粘度を抑えた油性ということもあるのかもしれませんが、品切れするお店が続出するほど売れているのも分かる気がしました。

ボールペンや線引きペンの方が細く書くことに関して有利に思われがちですが、私は万年筆の細く書く機能も侮れないものがあると思っています。

国産の極細(EF)などはジェットストリームエッジに見劣りしない細い線を書くことができます。

油性ボールペンのインクは、すぐに紙に浸透しないので、書いてしばらくして手が触れると筆跡がこすれることがあります。でも万年筆のインクの場合は比較的早く紙に浸透してくれますので、しばらくしてこすっても筆跡が流れることはない。これは私の個人的な経験なのかもしれないけれど、そういった万年筆が有利な点もあります。

細く書くことができる万年筆、国産のFやEFのペンについて考えてみました。

例えばパイロットカスタム74とプラチナセンチュリーを比較すると、そのフィーリングや書いた線の感じが違います。

2つのメーカーの金ペン先を比較すると、パイロットはペン先が柔らかめで、プラチナは硬めということになります。

少しマニアックなペン先調整の話になりますが、パイロットは標準の状態で、ある程度ペン先の寄りを強くして調整してあります。そのため軽い筆圧で書くととても細い線を書くことができますが、筆圧がかかると線が太くなります。

プラチナは多少個体差がありますが、適度に寄せてインク出をある程度抑える調整が施されています。

柔らかいペン先は筆圧のわずかな加減で線の太さが変わりますので、柔らかいパイロットの方がシビアな筆圧のコントロールが要求されます。そうなると硬めのプラチナの方が筆圧の影響を受けにくいので、安定して細い線を同じ濃さで書くことができる。細く書くということに関してはプラチナの方が扱いやすいと思っています。

そしてプラチナにはEFよりもさらに細いUEFなるペン先があり、こうなるとその細さにおいて他のメーカーを凌駕します。

細く書く、それもとても細く書くということに関して、以前からプラチナにある程度そのイメージを持っていますが、それは今も変わらず伝統的に受け継がれていることを今回改めて思い出しました。

いろんな好みや用途がありますが、三菱ジェットストリームエッジのような細い線を例えば手帳に書くという用途に関して言うと、プラチナセンチュリーが使いやすく、お勧めできるものだと思っています。

⇒プラチナ萬年筆 センチュリー