じゃばらんだ2026年予約開始

休みの日は、病院や歯医者、レストランなどお店の予約が色々詰まっています。

そういったことを仕事とは別に管理しておきたいと思って、M6システム手帳にじゃばらんだを挟んで管理しています。

M6システム手帳には今読みたい本、いってみたいお店のリストや車の修理記録、病院で処方された薬の記録などがあり、書かなければいけないことがいっぱいで、パンパンになっています。

じゃばらんだは、レイアウトとしては片面1ヶ月ということになり、半年ずつ裏表で1枚の紙に印刷されています。

システム手帳の限られたリング径を占めるのは1年分がたった1枚分だということは私にとって大きなメリットです。

8年前の東京ペンショーに参加した時に、ステーショナリーメーカーのあたぼうさんも出店していて、その頃はまだ手折りで作っておられたじゃばらんだを一目見て、当店でも扱いたいと思いました。

1年が蛇腹式の1枚の紙になっていて、罫線のレイアウトはオーソドックスなマンスリーダイアリーの形をしています。

他のダイアリーリフィルとは一線を画する新しくも斬新なモノだと思いました。

紙質ももちろんあたぼうさんはよく心得ておられて、淡クリームキンマリという万年筆での書き味の良い紙を選ばれています。淡クリームキンマリはインクの相性によっては少し字が太くなってしまうことがありますが、インクを選べば快適にお使いいただけます。私が試した中では、パイロットのインクは少しだけ太めになり、ペリカンのロイヤルブルー、ブルーブラック、ブラックではスッキリと書くことができました。

じゃばらんだの発売は9月1日からとなっていますので、今は予約を承っています。

今年は当店でしゃばらんだのお買い上げ特典として「M5カレンダーリフィル」を1枚プレゼントしています。(*M5以外のじゃばらんだにお付けできるのもM5サイズのカレンダーリフィルになりますのでご了承下さい)ぜひ楽しみにお待ち下さい。

数は多めに確保していますが、じゃばらんだを毎年使われておられる方、使ってみようと考えておられる方は、ぜひ早めにお申し付け下さい。

⇨じゃばらんだ

キャップレスデシモ20周年記念万年筆の予約受付中(~8/28まで)

パイロットキャップレスデシモ発売20周年と海外進出100年を記念して、キャップレスデシモの限定品が11月4日に発売されます。

⇒8月28日まで予約受付中

キャップレスデシモはキャップレスシリーズの中でも唯一細めにデザインされた軸で、アルミ素材で作られていますので軽量化もされています。

キャップレスが重く感じる、太く感じるという方もおられましたので、デシモの細めの軸が握りやすいとおっしゃる方は多いかもしれません。

現時点でのご予約はEFが多めで、このキャップレスデシモを手帳に使う方が多いということを表しているのだと思います。

来年のダイアリーについて考える時期でもありますので、ダイアリーにも使いやすい万年筆が発表されるのは良いタイミングでもあります。

パイロットは10月に再度の値上げを予定しています。パイロットという良心的な会社が再三値上げを行わないといけないくらい様々な費用が高騰しています。もちろんそれはパイロットだけではなくどの会社でも同様です。

当店もオリジナル万年筆を製作してもらっているのでよく分かるけれど、金の高騰は異常だと思えるくらいで、万年筆はその煽りをまともにくらっている分野の一つだと思っています。

キャップレスデシモ20周年記念という注目されている限定品があるというのは明るい話題なのかもしれません。

当店の今後の予定は、8月中には2026年の正方形オリジナルダイアリーが入荷しますし、システム手帳のじゃばら式のダイアリーリフィル「じゃばらんだ」の予約受付も開始します。

私は手帳の使い方について考えるといくらでも考えていられるし、そうすることが楽しいと思える方なので、今頃から来年のダイアリーをどのようにするか考えてしまいます。

1年が始まって書き始めてしまうと、特に仕事の手帳は途中で変えるのが難しいので、できれば今のうちに考えておきたい。

9/20(土)21(日)、当店としては初めて名古屋で出張販売を開催いたします。

場所は、地下鉄栄駅西すぐの「SLOW ART CENTER NAGOYA」です。

神戸から新幹線で1時間くらいなので今まで出張販売をするという発想にならなかったのですが、先日プライベートで出掛けて、時間が足りないと思うくらい楽しい休日を過ごしました。実際訪れてみて、にぎやかで活気のある街だという印象が強く心に残っています。

ここ最近、オリジナル万年筆コンチネンタルクラシックインスピレーション1985やセーラーさんに別注したKOP smoke、九星堂など、自信を持ってお勧めできる万年筆が豊富ですし、出張販売の時には2026年のダイアリーも入荷しています。

昨年末は体調を崩して考えられませんでしたが、体調が戻っている今はそれらを持って外に出て行きたいという、いつもの癖が出てきました。

スケジュールに余裕があった9月しかないと思って、今まで私たちにとって空白地帯だった名古屋に行くことにしました。

名古屋には既知のお客様がたくさんおられるし、実は次は名古屋しかないと思っていました。

良すぎるくらいとても便利な良いロケーションの場所を会場として使用することができますので、ぜひ名古屋のポップアップショップ「Pen and message.外遊露店 in 名古屋」にご来場下さい。

[Pen and message.外遊露店in名古屋]⇒
日時:2025年9月20日(土)10~18時 
        21日(日)10~15時
場所:SLOW ART CENTER NAGOYA
   愛知県名古屋市中区錦3-16-5 2F

*ペン先調整、新規ご購入などのお席のご予約は8月22日(木)から開始いたします。

  特別仕様の「コンチネンタルクラシックインスピレーション 1985」

当店のオリジナル万年筆を作ってくれている上海の工場の代表とは1年中何かやり取りしています。彼は日本にもよく来ているので、その度に来店してくれています。

先日は夕方の来店だったので、夕食に行こうということになりました。

前回一緒に食事をした時は、彼の友人4人とある有名な焼き肉屋さんに行きましたが、その店は彼が予約してくれました。中国に行った時も、観光客は絶対来ない知る人ぞ知るワンタンの名店に連れて行ってくれました。かなりの食通だということは別の方から聞いていましたので、お店選びは難しいと思いました。

私は有名なとんかつ屋さんにお連れしようと思っていましたが、急なことで予約が取れませんでした。結局、私が一番信頼して通っている中華料理店に行きましたが、中国人を中華料理屋さんに連れて行くという、シュールなことになってしまいました。

でもお店の人が直接中国語で料理の説明なども詳しくしてくれましたので、とても喜んでもらうことができました。

ベースのモデルがない当店完全オリジナル仕様の「オリジナル万年筆コンチネンタルクラシックインスピレーション1985」は、レギュラーサイズとオーバーサイズの中間の少し大きめのボディで、握りやすさ、筆記バランスがとても良いと、試筆された方によく褒めていただきます。

私も毎日使っていて、自然に持てる良いペンだと思います。

もともとアメリカンクラシックなペンを目指して作り始めましたが、直感で良いと思って選んだ琥珀柄のアクリルレジンの軸、何度もやり直して生まれたペン先の鳳凰のデザインなど、出来上がってみたらオリエンタルな雰囲気の万年筆になっていて、自分たちの精神がそのように導いたのだと思いました。

コンチネンタルクラシックインスピレーション1985は、ゴールドプレートのスチールペン先と14金ペン先を作ってもらっていて、当店で調整して仕上げています。

ペン先もオリジナル仕様で、金ペン先の半分近くは未研磨の状態での入荷ですので、様々な研ぎを施すことができるなど、かなり自由が利きます。

先日は若いニブ作家のTAKUさんに2層、3層のペン先を作ってもらって、コンチネンタルクラシックインスピレーション1985にセットした状態で販売しました。

それぞれ各1点だけの入荷でしたのですぐに売れてしまいましたが、近々またご用意できるように製作依頼しています。

ペン先の上にペン先を1枚重ねた2層、あるいは2枚重ねた3層のTAKUさんの作るペン先はとても美しい。非常に丁寧な仕事をしてくれていますので安心してお客様にお勧めすることができます。

その美しい仕上がりは、いつまでもルーペで見ていられます。

書き味も良く、極太字から細字まで書くことができて、最も表現力のある筆記具である筆のようだと思っています。

こういうペン先の万年筆で、中国の千字文などの書のお稽古ができたら楽しいだろうなと想像しています。

TAKUさんのことはSNSで知って、そのお仕事振りは拝見していました。

当店もオリジナルペン先を持つようになって、TAKUさんにお仕事を依頼できるようになりましたので、いずれお会いしたいと思っていました。そんなとき、5月末のNANIWA PEN SHOWでお会いすることができて、依頼することができました。

最近若いニブ作家さん、調整士さんが多くおられて、1つのムーブメントのようになっていると実感しています。そういう方々と繋がりを持ちながら、時代に合った万年筆を販売できるようにしたいと思っています。

若い人はテクニックもあり、美しい仕事をするすごい人が多いですが、SNSの使い方も上手で勉強になります。先日はTAKUさんのインスタグラムの共同投稿というものを教えてもらいました。オジさんはそんなことも知らなかったのです。

TAKUさんのペン先を搭載したオリジナル万年筆は、定番として継続して販売していきたいと思っています。

⇒(予約販売)TAKU製作2層ニブ搭載 Pen and message.オリジナル万年筆コンチネンタルクラシックインスピレーション1985

⇒(予約販売)TAKU製作3層ニブ搭載 Pen and message.オリジナル万年筆コンチネンタルクラシックインスピレーション1985

時勢を読む〜九星堂カカリ、コスミ

若い時や店を始めた時は、時勢や世の中の動きがある程度読めていると思っていました。だから自分の考え得る範囲内で世の中が求めるモノを提供することができていると思っていました。きっとそういう勢いというか自負がないと店など始めないかもしれません。

それも今から考えると自分の能力ではなく、同じ時代に生きていて読もうとした人なら誰にでも読めたのかも知れません。

でもある時、自分が世間からズレているのではないかと思うようになりました。もしかしたら同年代の人たちは、私と同じような想いをしているのかもしれません。

今は、自分が良いと思って作っているものは今の流行とは違うから、広く支持されないだろうと思いながら作っています。

流行しているものを追いかけなくてはと思ったときもあったけれど、それで自分の思いと違うものを作り続けても楽しくない。古い価値観の自分が良いと思うモノを作っていけたらと今では思っています。

時間や物事は移り変わって行くものなので、自分が時勢とズレていくのは仕方ないことだと思っています。

今の万年筆の世界にも若くて元気な人たちがおられて、その人たちは当時の自分たちより情報もあるし、より的確に時勢が読めていて、自分が生み出すモノと世の中が求めているものが合っているのだろうなと思います。

当店ではそういう人たちともつながりがあって、それはとても恵まれたことだと思います。私が好むオールドスタイルなものだけでなく、今の感覚に合ったものも揃えられるからです。

九星堂の周さんも時勢が読めている一人だろうと思います。

インクがたくさん入る独特の吸入機構は、ピストン吸入式とインク止め式を足して、さらに独自のアイデアを組み合わせて、メカ部分に場所を取りすぎるというピストン吸入式の欠点を解消した独創的な吸入機構です。

機能的だけではなく、インクを入れるのが楽しくて仕方なくなる、操作する楽しみのある機構で、よく考えられていると思います。

インク止め式のように尻軸を緩めて書きますが、ある程度ペン芯にインクがあるのなら尻軸を緩めなくてもしばらく書くことができます。

デザインはとてもシンプルであり、先鋭的で現代的なものになっています。

こういうデザインの感覚は私の時代にはなかったものだけど、今では自然に受け容れられるものだと思います。

重量は軸だけで30gと、適度に重量感があります。14金のペン先の弾力とバランスも取れていてペン先の柔らかさが感じられ、とても気持ち良く書くことができます。

丸軸のカカリ、九角形のキャップのコスミ、九星堂の名前とともにどちらも囲碁を由来とするネーミングで、囲碁的な思考がこの吸入方式を生み出したのかもしれません。

今回から金属パーツがチタンではなく、木目金(もくめがね)のものも扱い始めました。

真鍮、銅、キュプロニケルの異なる金属が完全に混じり合うことなく模様を織りなす金属の模様が木目のように見えます。

九星堂の万年筆を私も愛用していて、書き味が良く書くことが心地良いので、よく使う万年筆の1本となっていて、ついついこのペンに手が伸びてしまいます。

九星堂のペンは、その独特な機構により少しだけインクを入れることもできまインクを吸入するのもとても楽しい作業です。

私はパイロットのインクを入れて、尻軸を緩めたり、閉じたりしてインク量を調整しながら書いていて、そういう細かいこともできて自分の好みに合わせることができるところも今の時代に合っていると思っています。

⇒九星堂

メモ帳として使う~オーガニックオイルドレザーの刑事(デカ)手帳

神戸にずっと住んでいると、若い頃と比べて本当に夏が暑くなったと思いますが、きっと日本各地の人が同じことを感じていると思います。

でも、もともと暑かった九州地方、近年最高気温を記録する埼玉県や岐阜県の人から見ると神戸はまだまだ涼しいと言われそうです。

たった30年、40年でこんなにも気候が急激に変動するものなのか。こういうものは数万年単位でゆっくりと変わっていくもののはずですが、それだけ地球内の自然環境が激動しているようです。

暑くなって上着を着ない期間が長くなって、1年の半分以上はシャツ1枚で過ごすようになるのではないかと思っています。

普段から、シャツはなるべく胸ポケットがついたものを選びます。胸ポケットがあることで、ペンを差しておくことができるからです。

でもペンと一緒にメモ帳があればもっと便利なのにと思って、刑事手帳を作りました。

胸ポケットに何か入れるということを、若い人たちはあまりしないのかもしれませんが、昭和の人たちがタバコをそこに入れていたように、刑事手帳なら手帳とペンを入れておくことができます。

小さくて薄い刑事手帳は、季節によって変化する服装にも対応しているステーショナリーです。なるべく薄くなるようにペンホルダーやベルトは付けず、手に持ったまま書きやすいように硬めの表紙にしています。

胸ポケットに入れておくのは薄いメモ帳でもいいけれど、バインダー式のシステム手帳の方が用紙の自由度が高く、一週間の終わりなど、区切りをつけて入れ替えることができます。そしてなるべくかさ張らないようリング径を細くしました。

当店オリジナルのM5リフィルは、よく切れる刃物で紙を切る時のような手応えがありながら滑らかな書き味とインクの収まりの良い名紙、Liscio-1紙に4mm方眼罫を印刷した、シンプルですがこだわり抜いたリフィルです。

紙面が小さいので書く文字は自然と小さくなりますので、4mmという方眼の大きさは絶妙で、使いやすいと思います。

この刑事手帳の今回のロットは、当店のオリジナル革製品の多くを作って下さっているレンマさんが、兵庫県内のタンナーさんに依頼して特別に作っていただいているオーガニックオイルドレザーを使用しています。

その名の通り、タンニンなめしでオイル分を多く含ませることを意識してなめされた革です。使い込んでいくと自然の艶がゆっくりと出てくるとのことです。

美しい艶が出た状態を私もまだ見ていなくて、早々に手に入れて使い始めているレザーペンケースや正方形ダイアリーカバーを使いながら育てている最中です。

手触りはブッテーロより柔らかく、タンニンなめしの革らしいとても良い香りがします。乾いた布や革用ブラシでたまに磨いていただくと、より早く育ってくれると思います。それは急激に変わるものではなく、静かにゆっくりと時間をかけて育てていく楽しみのある革で、そういうところも当店のお客様に合っていると思います。

オーガニックオイルドレザーは刑事手帳の他に1本用ペンシースのレザーケースL、バイブルシステム手帳正方形ダイアリーカバーで作っていただいています。

話をメモ帳に戻すとメモ帳はいつも身に付けておいて、必ずそこに書くようにしたい。いろんなところに書くとメモがどこにいったか分からなくなってしまいます。

メモはどこかに転記したり、パソコンに入力したりすると思いますが、自分が書いたメモも決まった手帳を探す方が見つけやすい。仕事の中では、過去に書いたものを見返すことは意外と多いと思います。

⇒刑事(デカ)手帳オーガニックオイルドレザー

綴り屋万年筆とオリジナルペン先

先週、590&Co.さんのイベントスペースで綴り屋作品即売会を開催しました。

昨年まで、万年筆をお買い上げいただきましたお客様には、当店まで移動していただいてペン先調整をしていました。

でもいくら近いとはいえ不便だし、この暑さは大変だと思い、590&Co.さんに私も同席して万年筆のペン先調整をさせていただきました。

私が調整テーブルを構えていることで会場が狭くなってしまったので、どちらがお客様にとってよかったのか分からないけれど、私は小ぢんまりとしてそれぞれの話が聞こえる、一体感のあるいいイベントだったと思いました。

考えてみると日常的に出入りしているのに、590&Co.さんで調整などの仕事をしたことがありませんでした。でも初めての試みとは思えないくらい自然に、もともとの居場所のようにいることができました。

アーチザンショートなどのスモールサイズの万年筆以外の、アーチザンや静謐(せいひつ)、漆黒の森などは当店オリジナル14金ペン先をセットして販売しています。

オリジナル14金ペン先で今ご要望が多いのは「上弦の三角研ぎ」です。

これは今までの「三角研ぎ」の角を落として、筆記面も滑らかな弧を描くように仕上げたペン先です。

三角研ぎは筆記角度によって線の太さの差が大きく、メリハリが出てとても実用性の高いものですが、上弦の三角研ぎは角度やペン先の向きを気にせずに滑らかな書き味が得られるという特長があります。

その形状通りの滑らかな書き味が得られるペンポイントの研ぎだということが、お客様の感想をお聞きして改めて確認できました。

今回は、イベントに合わせて新たに14金ペン先が入荷しましたので、未研磨のイリジュウムの玉がついた、ペンポイントが大きなペン先もご用意できました。

真ん丸の大きな玉がついていますので、どんなふうにでもできますし、使っているペンに大きなイリジュウムがついているのを見るのも嬉しいものです。

初期状態の真ん丸のイリジュウムのまま(実際は引っかかりが出ないように面取りのようなことはしています)しばらく使ってから、三角研ぎや研ぎ出しなどの何らかの研ぎを依頼されてもいいと思います。当店でお買い上げいただきました万年筆で、1万円以上の新品の万年筆は1年間再調整無料の調整保証書をおつけしていますので、何らかの研ぎをお申し付けいただいても1年以内でしたら料金はかかりません。

そして綴り屋さんのイベント後に仕入れたものが少しあります。

アーチザンコレクションと静謐です。静謐は綴り屋さんを代表する存在のペンで、完成度の高さを感じます。

アーチザンコレクションブライヤーは、ブライヤーの皮の部分を残した仕様で、よく考えつかれたと思います。野生味がありながら、静謐のような造り込みも感じられる、とても独創的な万年筆です。

イベントにはまだ決まった形というものが見つかっていないけれど、お客様に楽しんでいただけるものにしたいと思っています。

⇒綴り屋万年筆TOP

オリジナルペン先の研ぎについて

ペン先の研ぎ〜オリジナル三角研ぎ、上弦の三角研ぎ〜

7/12(土)、13(日)、590&Co.さんイベントスペースで綴り屋作品即売会を開催いたします。今回の即売会のために製作された新作も並びます。

私も会場に常駐し、綴り屋万年筆をお買い上げの方のペン先調整を承れるようにいたします。ぜひご来店下さい。

綴り屋万年筆の静謐(せいひつ)、漆黒の森、アーチザンコレクション(ロング)に、今回のイベントから当店オリジナルの14金ペン先をつけています。これは万年筆コンチネンタルクラシックインスピレーション1985のゴールドニブと同じものです。

オリジナルのペン先は最初かなり大きめのペンポイントがついていますので、それを研ぎ出して万年筆につけています。ペンポイントの大きさ、長さに余裕がありますので、「上弦の三角研ぎ」ができるようになりました。

この研ぎをご説明するためには「三角研ぎ」から説明しなくてはいけません。

万年筆のペンポイントの研ぎによって、文字の形や雰囲気は変わってくると思っています。主観になりますが、ペリカンの万年筆で書いた文字が温かく見えるのは、ペリカンのペンポイントの形状が丸く研がれていてインク出が多めだからで、それがペリカンの特長とも言えます。

パイロットも丸い研ぎですが、字幅によるメリハリがちゃんとあって、細めの字幅ではインク出も抑制されています。

プラチナは中字以上だと丸みのある四角い研ぎになっていて、それが紙への接地面積を稼いでいてまろやかな書き味を得られるようになっています。書く文字にもその感じは表れます。

メーカーそれぞれペンポイントの研ぎの形があって、それが書き味を違える要因のひとつにもなっていますし、縦書き向きか横書きに合っているかなどの使用感も左右するものだと思います。

その研ぎへの執着によってできたのが当店の三角研ぎです。

三角研ぎは大きさが限られたペンポイントで最大限太い、細いの差が出せることを追究した研ぎの形です。

寝かせて書くと筆記面が紙にピタリと接地するので太く、立てて書くと三角形の頂点で書くので細く書ける。

そしてその研ぎの形から書ける文字にキレが出て、ペン先を親指側にひねって書くなど書き方によっては筆ペンで書いたような文字を書くことができます。

オリジナルのペン先ではペンポイントが大きいため、それほど極端に筆記面を作らなくても太い線が書けるので、筆記面をなだらかな孤を描くような放物線としました。

それにより太さの変化がなだらかで、使用感がマイルドになりました。

三角研ぎでは面を合わせて書くとヌルヌルとした滑らかな書き味が得られましたが、上弦の三角研ぎでは面を気にせずとも滑らかな書き味が得られるようです。

オリジナルペン先ほど大きなペンポイントを持たないペン先にも上弦の三角研ぎは可能です。太い線はあまり書くことができませんが、キレのある文字は書けます。

ルーペでみた景色は、三角研ぎは鋭角的でとても斬新な形状になります。上弦の三角研ぎは古典的な長刀研ぎに近い形状になります。

三角研ぎも上弦の三角研ぎも日本の職人さんたちが古くからやっていたペン先の研ぎ方とそれほど違わず、漢字や平仮名を美しく書けるようにしたいと思うとこれらの形に近付いていくのかもしれません。

ペンポイントの研ぎをルーペで見ることは若い頃から好きでやっていましたが、それは今でも変わらず、毎日様々なペン先を見ています。

~変わらない存在~             ル・ボナーデブペンケースプエブロも販売開始

7月12日(土)13日(日)綴り屋さんの作品即売会を、590&Co.さんのイベントスペースで開催いたします。両日15時以降はご予約なしでもご入場可能です。

⇒ご来場ご予約承っております。

イベントスペースには当店の調整士もおりますので、綴り屋万年筆をお買い上げのお客様には、その場でペン先調整をさせていただきます。

綴り屋さんの作品即売会の会場である590&Co.さんのオーダーによるプエブロ革と、以前は当店のオーダーで製作していただいたこともある、エレファントのデブペンケースが出来上がりました。

エレファントはその独特の革目や質感を楽しめる大変丈夫な革です。かなり使い込むとフカフカの表面がツルツルに変化していきます。

プエブロは、同じタンナーバタラッシィカルロ社によるミネルヴァリスシオやミネルヴァボックスと同じようにエージングに特長のある革で、しばらく使ううちにいい艶が出てきます。ご自分でブラシや布で磨いていただくと、より早く艶が出てきます。

それは今回当店のオーダーによって作っていただいたデブペンケース、デンマークソフトカーフと対照的です。

デンマークソフトカーフは静かにゆっくりとエージングする革で、何年か使っていただくと上品な味のある良い風合いに育ちます。

どういったタイプの革を選ぶかは別として、デブペンケースは文房具類を収めて持ち運ぶものとしての大容量さという実用性と良質な革を職人の技で仕立てるというプレミアム感を両立したものとして、ペンケースのスタンダード的存在です。

私は普段持ち歩く鞄は中身がギュウギュウなので、少しでも荷物を減らしたいと思っています。万年筆も専用のペンケースではなく、他の筆記具や文房具と一緒にデブペンケースにガサッと入れています。

しかし、そのまま入れると他のものと当たって傷がついてしまいますので、149ならオリジナルレザーケースMに、M1000やオリジナルコンチネンタルならレザーケースLにと、オーバーサイズのペンを入れてからデブペンケースに入れるようにしています。

そういう持ち運び方なので、オーバーサイズの万年筆の方が軸が肉厚で丈夫なので、持っていても安心感があります。

先週発売開始しましたセーラー万年筆さんに別注して製作していただいたKOPsmoke もオーバーサイズなので、同様に安心して持ち運ぶことができます。

先月、590&Co.さん、フランベルグさんとの別会場での共同出張販売で東京に行ってきました。

出張販売の時は調整機をカートに載せて引いていて、リュックに自分の荷物を詰め込んでいますので、余分なものを持ち運ぶ余裕がありません。

やはりデブペンケースに文房具とオーバーサイズの万年筆を入れて持ち運ぶことになります。

話は変わりますが、代官山の出張の時、新幹線で品川まで行き、山手線で恵比寿まで行っていました。

ギュウギュウの山手線に大きなリュックを背負ってカートを引いて乗り込むのはとても気が引けましたが乗らないと仕方ない。恵比寿についてからも長い坂道を歩いて登り続けて、やっと会場のギャラリーに着きます。

お客様から新横浜から東横線につながる線ができたので、その方が楽かもしれませんよと教えていただき、その通りに今回は来てみました。

時間はほぼ同じですが、電車の込み具合がマシなのと、歩く距離が断然短いし、平らな道なので全く疲れませんでした。

首都圏は行くたびに街が変化し続けていることを感じます。神戸の街はほとんど変わらないけれど、帰るとホッとします。どちらが良いのか分からないけれど、きっと繁栄を続けるには、時代に適応して変化しなければいけないということなのかもしれません。

店のあり方、仕事の仕方、モノについても変わらないものを探し続けて今までやってきました。それが本物だと思ったからですが、今まで見たものではどんなことでも通用する期限はどうしてもあるということでした。

デブペンケースは変わらずにずっと作り続けられていても、変わらずに売れ続けている稀有な存在のモノだと思います。

⇒デブペンケースプエブロ、デンマークソフトカーフ

KOP万年筆smoke


別注モデルへの想い KOP smoke(スモーク)

セーラー万年筆さんにお願いして製作していただきました、当店オリジナル仕様のKOP(King Of Pen)万年筆smoke(スモーク)を本日より発売いたします。

大きなペン先とオーソドックスなデザインで、KOP万年筆そのままでも良いペンだとともちろん思っていましたが、KOPやキングプロフィットの内部パーツのメタリックな感じがとても良いと思っていて、それをうっすらと見せられたら素敵だと思いました。

完全に透明も美しいけれど、このうっすらと見せる感じが、素材にセルロイドを使っていた戦前の万年筆の吸入機構が透けて見えていたのに似ていて、私がそうですがメカ好きな人の心をくすぐるのではないかと思いました。

大型のペン先は21金で、柔らかさを持ちながらもインク出は抑えられていて、使いやすい万年筆だと思っています。

このクラスにはモンブラン149やペリカンM1000という万年筆もありますが、書き味ではこのKOP smokeも味わい深さを持っていて、書くことが楽しくなると思います。

当店でペンスタンドやブロッターなどを作っていただいてる家具職人さんのブランドがsmoke furnitureで、同じ名前になっていますが、彼が作る木製品と同じようにマニアックなこだわりが感じられる、面白い存在の万年筆だと思っています。

⇒Pen and message.別注モデル KOP smoke

オーバーサイズへの誘い

Pen and message. 特別注文KOP smoke

私は手が大きい方ではありませんが、オーバーサイズのモンブンラン149とペリカンM1000は愛用の万年筆です。

私の場合もう一回り小さなレギュラーサイズの万年筆の方が合っているのでは、とよく言われますし、その方が選択肢もたくさんあります。

でも私はあまり美しさを気にして文字を書く方ではないので、レギュラーサイズの万年筆ならではの繊細なコントロールのしやすさはあまり必要ではなく、楽にペンを握ることができるオーバーサイズの方が合っているのかもしれないと思うこともあります。

小ぶりな手でオーバーサイズの万年筆を握ると手に余ると思われるかもしれませんが、私はそんなふうに感じたことはないし、オーバーサイズの万年筆を握った時の喜び、嬉しい気持ちは何年経っても変わらなくて、書くぞと思った時にはオーバーサイズの万年筆に手が伸びてしまいます。

他の万年筆よりも大きく太いオーバーサイズのインク吸入量は、意外にもレギュラーサイズの万年筆と変わりません。むしろそのサイズ感の印象から、あっという間にインクが無くなった気がするのはレギュラーサイズ以上です。

オーバーサイズでも内部インクタンクのサイズは同じということになり、無駄に大きいのかと思われるかもしれませんが、その分軸が肉厚だということになります。それは丈夫さにつながると思っていて、旅に持ち出して鞄の中に放り込んでおいても、安心して歩き回れると思っています。

だから私はオーバーサイズの万年筆は旅に携える万年筆でもあると思っています。

私が若い頃、オーバーサイズの万年筆はモンブラン149と発売されたばかりのペリカンM1000くらいでした。

モンブラン149はタフでハードなペン先で、プロの書き手がハードに使っても耐えてくれる強さを持っています。対してペリカンM1000は極端に柔らかいペン先を持っていて、その書き味を楽しむ趣味の万年筆、というふうに性格がはっきりと分かれていました。

今はそれぞれが少しずつ変化して、その違いは以前ほど大きくはありませんが、それでもペン先の硬さの違いはかなりあります。

モンブラン149、ペリカンM1000よりもかなり手頃な価格で手に入れることができるオーバーサイズ万年筆に、台湾のメーカーの「ペンラックス」があります。

軸色と柄のバリエーションがかなり多いので好みの軸が見つけられるし、インク吸入機構もしっかりとしているうえペン先にはドイツ製のステンレスのものが使われています。

149やM1000の他のオーバーサイズのバリエーションのひとつとして選ぶ価値はあると思いますし、ペンケースも華やかになります。

そんなオーバーサイズ万年筆市場に日本で最初に参入したのはセーラーのキングプロフィットです。キングプロフィットが登場したばかりの時、モンブラン149に似ていると皮肉られることもありましたが、その書き味は柔らかく、インク吸入機構もカートリッジ・コンバーター両用式で、吸入式しかなかった今までのオーバーサイズ万年筆とは一線を画していました。

今ではキングプロフィットは完全に定着していて、万年筆の定番のひとつになっています。

当店でキングプロフィットの両切りタイプKOP(KING OF PEN)の別注仕様をセーラー万年筆さんに作っていただきました。

1930年代~50年代のセルロイド製のオーバーサイズ万年筆のような雰囲気にしたいと思い、軸を半透明のグレーにしました。重厚な雰囲気のモデルに、少し軽やかさがあると思います。

セーラーKOPの別注モデルは6/27(金)11時からWEBショップと代官山出張販売で同時に発売開始いたします。

他のお店では買えないオーバーサイズ万年筆をお探しの方は、是非お求めください。

モンブラン149⇒

ペリカンM1000⇒

ペンラックス⇒

セーラーKOP当店別注モデル⇒