今まで製作者のカンダミサコさんに直接連絡をとって譲ってもらわなければいけなかった1本差しペンシースを当店で扱うようになりました。
カンダさんのペンシースは、持っておられるお客様から見せていただいてその存在は知っていました。また皆さんの表情から、そういったものを求めている方がたくさんおられることも分かりましたので、機会があれば扱ってみたいという気持ちは持っていました。
10月の青木の中華バー天清へ行った時、ル・ボナーの松本さんからカンダミサコさんのペンシースを取り扱わないかとお話があり、分度器ドットコムの谷本さんと一緒に、お願いすることにしました。
後日松本さんがカンダさんを店に連れて来てくれて、対面が叶いました。
ル・ボナーさんで見たその作品である鞄のイメージとは少し違う、とても可愛らしい小柄な女性で、松本さんといると親子のようでした。
おっとりとして見えるカンダさんでしたが、一人の職人としてやってこられただけあって、はっきりと意見を言うところは言うしっかりとした芯のある方で、とても好感を持ちました。
カンダさんが作ることのできる、なるべくたくさんの色数を揃えたいと思いましたので、多くの色を少しずつ作っていただくようにお願いしました。
そして先日完成し、納品されました。
店に並べてみると、お客様方の反応は上々で、たくさんの色の中からご自分が持っておられるペンとのコーディネートを皆さん楽しんでおられます。
カンダさんのペンシースを見た、遊びに来ていた古い付き合いの企画会社の社長は、この手があったのかと驚いていました。
確かに私たち万年筆の仕事に携わっている人間は、ペンを収めるものはこんな形でないといけないなどの先入観や思い込みがあって、自由な発想ができずにいたのかもしれません。
カンダさんのペンシースはとてもシンプルな形で、革を一枚丸めて縫ったような構造です。
そして中にクリップを通すスペースがあって、そこにクリップを通すとペンシースからペンが脱落することなく完全に守ってくれます。
ペリカンのM800くらいのサイズまで収納することができますので、大半のペンは収めることができるのではないでしょうか。
私たちは万年筆だけでなく、本当にたくさんの細々した文房具を持ち歩いています。
万年筆だけでは仕事にならないので、例えばル・ボナーのデブペンケースに細かいもの、ハンコやUSB、付箋、ボールペン、シャープペンシル、カートリッジインクなどと一緒に万年筆を持ち歩くためにカンダさんのペンシースのようなものがとても役に立つと思っています。
実際の使用を想定し、必要最低限の仕様で選ぶ楽しみもあるカンダミサコさんのペンシース、とても面白いと思います。