雰囲気のあるペンということ

雰囲気のあるペンということ
雰囲気のあるペンということ

お客様がおられず一人で店にいる時、仕事の合間の息抜きに新しく使いたいノートやインクのことを考えたりすることがあります。

今使っているインクは実用的なことを考えてブルーブラックばかりですが、日頃あまり使わない色のインクを使い慣れた万年筆に入れたりすると、万年筆が違うものになったような気がして、万年筆ならではの楽しみだと思います。

ある人が、私がブルーブラックしか使わないのを見て、ドイツでビールを飲まないのと同じくらい、楽しいことに背を向けていると言いましたが、本当におっしゃる通りだと思います。
でも自分がノートや手帳に書いた文字が、全部同じ太さ、同じ色でないと気が済まない、ガチガチの生真面目な性格のために、ブルーブラックから他の色に変えて使うことを拒否し続けているのが、様々なカラーインクに私があまり手を出さない理由です。

40を過ぎてから、少しずつ「金色」に対する抵抗がなくなってきて、ペリカンM450というキャップと尻軸が金色(スターリングシルバーに金張り)の万年筆を手にしました。
30代までの自分なら絶対に使うことがなかったタイプの万年筆でしたが、なぜか急に気になり始めましたし、古典的なモデルの復刻という古典回帰なところも気に入って使っています。

特別なペン先の使用感もさることながら、置いている姿もコンパクトで、でも存在感があって、本当に良いペンだと思います。

このM450のように、素材の良さからくる雰囲気のあるペンがだんだん減ってきている気がしています。それは今の時代の物作りが、趣きとか雰囲気を求めない、あるいはあまり大切にしない時代になっているのかもしれないと嘆いたりしています。

金と言えばアウロラ88クラシックは、金張りのキャップに黒いボディという、今では異色とも言えるペンですが、このアウロラ88クラシックからは最近のペンにはない男らしさのようなものを感じます。

日頃から男らしく、タフでありたいと実は思っている私にとって、とても魅力的な万年筆のうちの1本で、男性のお客様にはよくお勧めしています。
これらの金の万年筆にエルバンのビルマの琥珀という金をイメージさせる色を入れたら、とても粋なのではないかと思って、M450にビルマの琥珀を入れてみました。

金の万年筆に金のカラーインク。悪くないかもしれません。


⇒ビルマの琥珀