最近、格とか品ということをずっと考えています。
ある物は格が高いか低いか、品を備えているかどうかなど、それは言葉では定義しにくいけれど、何となく感覚的には分かる。
そしてそれは後から取り繕っても簡単には上げることのできないもの。数値や性能だけでは測ることのできないもの。
それが様々な物の格だと思います。
最近よく考えているけれど、ずっと以前から格ということは商品選びにおいて気にしてきました。
一番格下だと思うのは、何かを真似たオリジナリティのないものです。
万年筆というのは、もともと高い美意識を持った人が使いたいと思う物だと思うので、そういう人たちには、下品な気持ちから生まれた格の低いものを使って欲しくないという想いをいつも持っています。
ラミーサファリ・アルスターを、初めて万年筆を使うけれどあまり高いものを最初から買うのは怖いという人に勧めます。
ただ値段が安い万年筆は他にもあるけれど、そういったものに格が備わっているものは少なく、サファリにはそれを感じるからです。
万年筆としては安い値段のサファリですが、他の低価格の万年筆が持っている高い万年筆の代用品的な感じがありません。
オリジナリティのあるデザインと学童用というターゲットに合わせた全ての仕様。
製品というのはこういう風に作るのだと、この万年筆は同業者や私たちのような販売員にもメッセージを伝えようとしているような万年筆です。
もっと早くサファリの良さを知っていれば良かったと思いますが、品とか格について感覚的でも理解できるようにならなければ、それに気付かなかったのだと思います。
私たちのように万年筆を使ってきたキャリアがある程度あるような人でもサファリは使う理由がある万年筆だと常々思います。
軽いボディとパッチンの勘合式キャップで、丈夫で何でも挟むことができる大型のクリップも備えている。
コートのポケットなどに入れて出先で書く、万年筆での長時間の筆記に疲れたので気分を変えたい。
リングノートのリングに差し込んで持ち歩いたり、カジュアルで何となくアーティスティックな使い方ができると思っています。
新しく発売されたラミーのブルーインク用消しペン「INK-X」もサファリを快適に使う役に立ちます。
万年筆は消すことができないという常識をINK-Xは覆しました。
ブルーのインクに限りますが、白い方のペンが消しペン、消しペンで消した跡には万年筆のインクが乗らないので、反対側のラミーのブルーと同じブルーのペンで書きなおす。
ノートや手帳をきれに保ちたいと言う人にはとても便利で、INK-Xの存在でラミーを使いたいと思っていただけると思います。
当店でサファリ・アルスターを選んでもらう時、まずボディの色を選んでもらいます。
プラスチックのボディで色数が豊富なサファリか、丈夫なアルミボディのアルスターか。
ボディが決まったらEF(極細)、F(細)、M(中)の字幅を試してもらう。
ノートに書くのに使うという人のほとんどはEFになるけれど、FやMの滑らかな書き味も捨て難い。
サファリを調整して販売していると言うと驚く人もおられますが、力を入れなくても紙にペン先を置いただけでインクが出てくれる万年筆らしさを感じてもらいたいし、万年筆を買う楽しさも味わってもらいたい。
万年筆を使われていな方には少し敷居が高く感じられるものを躊躇わず、まず使ってもらいたい。
そんな思いを持ってサファリをいつも勧めています。