万年筆は値段が高くなるほどどこか良いところがあって、高いものと安いもので購入を迷った時は、予算に問題がなければ高い方を買うべきだと私は信じています。
その時財布は苦しくなって、お昼ご飯を抜いたりしなければいけない事態になったりする人もいるかもしれないけれど、値段にそれなりの理由があるから万年筆は安心して買うことができるのだと思います。
それは他のどんなものでもそうだと思いますし、商品を提供する側はその辺りをきっちりと守る義務があるのではないかと最近強く思います。
その物の価値に値段が見合っていれば、お客様はその物を買って下さるし、高いと思うとその物は売れる数が少なくなります。
万年筆はペン先の仕上げ以外は人の手を借りずに大量生産品として作ることができて、たくさん作るほど値段が安くなる。
そしてハンドメイドにこだわれば生産数も少なくなり、1つずつの値段が高くなる。
イタリアの万年筆の値段が、ドイツの万年筆に比べて高いのは、もちろん値付けセンスの違いもあると思いますが、作る数が大きく関係していると思っています。
たくさん作ってたくさんの人に使ってもらうことを前提にしているドイツのものと、あまり数は作らず、大胆なデザインを採用するイタリアのものとは狙っているターゲットの人の数が全く違う。
その辺りに気を回すと、イタリアのペンが高いことに腹が立たなくなりませんか?
ラミーは最もドイツらしい物作りを体現しているメーカーのひとつだと思います。
1本ずつの値段をなるべく抑えて、多くの人に機能とデザインの優れた万年筆を使ってもらおうとするラミーの物作りの考え方は、本当に立派だと思います。
あまり予算はないけれど万年筆を使いたいと考えている人には、私は迷わずラミーを勧めて、その考え方も知ってもらいたいと思っています。
ラミーの最も代表的な万年筆は2000だと、誰もが認めるところだと思います。
1966年に、2000年まで通用する万年筆を目指して発売された2000は、ラミーの価格についての考え方もすでに込められていて、14金のペン先で吸入式でありながら破格の24150円という価格を維持している。
もちろんその価格で売るために安く仕上げているところもありますが、万年筆の世界の少しでも良いもの、満足感をより高めたいという考え方が一般的で、価格上昇がついて回ることに逆行する考え方にも好感を持ちます。
艶を消したボディにはラミーのマークはどこにも入っていなくて、ペン先も他の万年筆と比べると極端に小さい。
写真で見るだけではコンパクトに見えるラミー2000ですが、手に取って書いてみると、握り応えのある太目のボディの、本格的な万年筆であることが分かります。
私はラミー2000は、ペリカンM800・モンブラン146・149にも対抗できる万年筆なのではないか、ラミーがその良心に基づいて作った万年筆の中の万年筆が2000なのでは、とさえ思うのです。