今年も無事に年を越せそうで、本当に有難いことだと言うと、そんなに苦しいの?と心配して下さる方がおられますが、私は年を越せるのが当たり前だとは思っていなくて、仕事を続けさせてもらっていることを常に感謝しています。
大袈裟に言うと、生きているのが当たり前と思える現代人ではなく、生きていることが有難いと思える戦国武将のようなものかと粋がっています。
無事年を越す前に訪れる大仕事が年賀状書きです。
当店もお客様やお世話になったメーカーの方々に年賀状を書きますが、いつもデザイン・製作・宛名書きを久保が、一言コメントを私が書くのですが、枚数が多いのでなかなかの大仕事になります。
宛名は比較的太い文字が書ける万年筆で書いた方がどっしりとして、かっこいいけれど、コメントは細字の万年筆の方が都合が良いので、年賀状書きには太字と細字の万年筆を使い分ける人がほとんどではないかと思います。
どの万年筆の太字を使い、どの万年筆の細字を使うかいろいろ考えてから年賀状書きに向かう人が多いのかもしれませんが、インクなどの備えも非常に大切な問題です。
官製の年賀はがきには再生紙とインクジェット用の2種類があって、表面(宛名を書く面)はどちらも問題ありませんがインクジェット紙の裏面に、万年筆で書こうとすると、酷くにじんでしまいます。
インクジェット紙には、ボールペンを使わないといけないところですが、たくさんの枚数をボールペンで書くのは疲れますし、楽しくありません。
どうしても万年筆を使いたい場合、顔料系インクを使うと、万年筆でにじまずにインクジェット紙に書くことができます。
顔料系インクは紙につくと表面に留まって固まってくれますので、にじまない紙の影響を受けないインクです。
プラチナのカーボンインク、セーラーの極黒が代表的で、それぞれのメーカーでカラーバリエーションがあります。
セーラーには青墨というブルーの顔料インクがあるし、プラチナはブルー、セピア、ピンクがあります。
セーラー極黒、青墨、プラチナカーボンブラック、顔料ブルーには、それぞれカートリッジインクもあって、顔料インクの吸入でペン先の刻印にインクが付着するのが、気になる方は顔料インクをカートリッジで使われることをお勧めします。
また雪国など、水分が年賀状に付きやすいと思われる地方への年賀状の宛名にも顔料インクで書いておく方が安心です。
他には表面がツルッとした紙もまた、万年筆のインクが乗りにくく、万年筆を使うことを諦めそうになりますが、その場合パイロットのスタンダードなインク、ブラック、ブルーブラック、ブルーは光沢のある紙にも乗りやすいのでお勧めです。
あと年賀状書きにあればとても便利なのが吸取紙です。
年賀はがきはインクの吸い込みが遅いので、すぐに重ねたり、ひっくり返すことができません。吸取紙を一度当てておくと、重ねても安心です。
WRITING LAB.オリジナルの吸い取り紙をそのままの大きさで使っていいし、はがきの大きさにカットして使ってもいい。
ある程度装備を揃えて始めると、年賀状書きは大変ですが、心をこめて楽しく書きやすいのではないかと思います。