文具店で働いていた若い頃、いつもネタ帳を持って歩いていて、休憩時間に一人になれる場所を探しては何か書いていました。
ショッピングセンターのたばこが煙る休憩室やベンチなどで、紙コップのコーヒーを飲みながら万年筆を走らせていました。
書いていたものはホームページのコラムの原稿がほとんどでしたが、今のように書くための時間が確保できる恵まれた環境でなかったにも関わらず、5年以上それに穴を空けずに済んだのは、暇さえあれば何か書きとめていたネタ帳の存在があったからでした。
今のように頭で考えてから机に向かって書くのではなく、何も決まっていなくても無駄にダラダラと書いていたのでロスも多かったけれど、書くことが楽しかったので続けられたと思います。
当時持ち歩いていたのは、モレスキンのラージサイズのノートで、当時はモールスキンと呼んでいました。
今のように選択肢が多くなかったので、私の使い方をするにはモールスキンしかありませんでした。
当時も紙質はあまり上質とは言えず、愛用していたペリカンM800とパイロットブルーブラックのインクの組み合わせでは、盛大に裏抜けしていましたが、気にせずに使っていました。
当時、神戸派計画(大和出版印刷)のstyleノートがあれば、ネタ帳の候補になっていたと思います。
表紙は硬くて不安定な場所でも書くことができるし、製本はこだわって作られていて、丈夫な上に全ページ平らに開きます。
そして何よりも紙が上質で、にじみや裏抜けが少なく、書き味が気持ちいい。
rect style(方眼罫)は当店が試筆紙に使っている紙と同じものを使用していて、インク映えも書き味も自然な紙です。
万年筆の滑りがよくて、細字のかなりカリカリした書き味のペンでも滑らかに書くことができるグラフィーロ紙を使用したgraphilo styleは、にじみも裏抜けも殆どなく、気分よく書くことができます。
ノートと自分との相性が良くて、使い続けそうだと思うと、革のカバーをかけたいと思うのが人情だと思います。
それで性能は変わらないけれど、気分が良いし、このノートをずっと使い続けるという決意表明でもあります
Styleノートにも、ル・ボナーの松本さんが製作に関わった、ノブレッサーカーフを使用した専用の革カバーも最近発売されていて、常に何か書き留めておきたいと思う私のような人のネタ帳に、ぜひセットでお使いいただきたいと思っています。