オールデンのコードバンの靴を1足だけ持っています。
希少なコードバン革は年々値上がりしてかなり高価な革になっていますので、本当に分不相応なものに思います。だから雨が怖くて、兵庫県南部の降水確率が0%の日しか履くことができません。
しかし、その光沢や履き皺など、こんなに美しい靴があるのかと自分の足元を見て嬉しくなるくらいのものではあります。
クロコやリザードなどの強烈な個性のある革も良いけれど、私はこのコードバンが革の最高峰ひとつなのではないかと思っています。
その靴はオールデンの最もオーソドックスな型の990というモデルで、これだけ存在感のある革はシンプルな990の形とのバランスが一番良いと思っています。
この革でステーショナリーを作りたいといつも思っていて、今までにも手帳カバーを作ったことがありました。
当店に、いつか使おうとストックしていたオールデンの靴と同じホーウィン社の上質なコードバンが数枚ありました。
10周年の今年がそのタイミングだと思い、システム手帳とペンシース、ミニペンシースを作ってほしいとカンダミサコさんに託していました。
カンダミサコさんのシステム手帳もペンシースも、余計な装飾のないとてもシンプルなものなので、コードバンの革がとても合うと思っていました。
今回当店からお渡ししたコードバンと、実はカンダさんも秘蔵していたコードバン(マーシュ)があって、それらに形が与えられました。
コードバンのムラのある光沢は、シンプルなカンダミサコさんのシステム手帳に景色を与え、すごいものができたと思いました。
ペンシースもカンダミサコのロゴが美しくクッキリと入り、ステッチがある短辺の反対側の長辺の張り具合や光沢は、このペンシースの形だから現れるピッタリの素材だと思いました。ミニペンシースは、その名の通りミニペン用ですが、ペリカンM101Nのシリーズや1931のシリーズも入れることができます。(マーシュだけ革の関係で長さが2mm短くなっています)
今年、なぜ自分が躍起になって新しいものを作っているかというと、やはり当店の10周年を様々な良いもので彩りたいと思っているからだと思います。
なるべくいつも通りでいたいけれど、今年は特別な年なのだという感覚が強くて、とうとう秘蔵していたコードバンを使うことにしました。
限定商品になるけれど、特別なコードバンを堪能できるものができたと思っています。
限定商品コードバンシステム手帳・1本差しペンシースはこちらから
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システム手帳リフィル「筆文葉」のある私の生活
当店オリジナルのシステム手帳リフィル「筆文葉(ふでもよう)」に、新製品としてスケルトンリフィルを追加しました。これも金治智子さんの知恵が詰まったものです。
筆文葉シリーズは少しずつ拡大していて、今後どのように成長していくか私も楽しみにしています。
万年筆で手帳を書くことは、楽しみや趣味にもなることで、システム手帳はより手帳を楽しくしてくれるものだとこのコラムで以前に申し上げたことがあります。
そしてこの筆文葉も、私自身楽しみながら使えると思っていました。
しかし、自分の人生を振り返ったり今後についてイメージした時、優雅にゆっくりと時間を過ごすことはあまりなくて、きっと常にあくせくと試行錯誤しながら仕事をしているような気がする。
そういう生き方しか知らないし特に変えたいとも思わないので、それはきっと自分自身が望んでいる生き方なのだろうと思います。
筆文葉リフィルは、金治智子さんによる筆文葉の使いこなしを解説するブログ「筆文葉のある生活」のように、生活を心豊かにしてくれる可能性があるものなのに、自分の使い方はあまりにも地味だ。
自分自身を省みる暇もなく、不器用に仕事に追われている。
少ない予定を整理するダイアリーと札幌、福岡のイベントまでの仕事の工程表も兼ねているカレンダーリフィルは、3つ折りで見開き1年になりますが、ある程度書き込んで見開き1年の有難味が分かってきました。
日々の仕事を忘れずにするための、自分の仕事においてもっとも重要なToDoは、3mm横罫ノートとしても使うことができる、「横罫9mm(3mm補助罫)」に細かく書いています。
仕入れ金額や売上などの追い続けるデータは3mm方眼にやっぱり細かく書いている。
カンダミサコさんのシステム手帳は携帯しやすいようリング径が小さくしてあります。その意図を邪魔しないよう軽量化するためにも、なるべく小さく書いて紙1枚の情報量を多くするようにしています。
わざわざ細い字が書ける万年筆を用意して、読み返せるギリギリの小さな文字を書いています。
意外と仕事で大活躍してくれるのが水玉罫です。横罫や方眼罫に読みやすくレイアウトしながら書くには素質や努力が要りますが、水玉罫はその円の中に書き込むだけできれいにレイアウトできて見栄えが良い。それぞれの内容が独立しながらも、線などで結びつけることができることも使い勝手がとてもいい。
大きなToDo、仕事の順番を決める時などにも活用できます。
札幌、福岡のイベントが来月末からとなり、準備に忙しくなってきました。準備のための情報を整理するのに筆文葉がかなり役立っていて、これがなかったらどうしていただろう、と思います。
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INK Notebook~インクノート~
ローラーアンドクライナーのスカビオサという名前のインクにハマっています。
スカビオサという言葉の響きと少しもの悲しげで、諦めたような、覚悟を決めているような色の印象が好ましく、気に入って使い始めましたのですが、最初はお客様が使われているのを見て気になったからでした。
万年筆を使いだして長くなるけれど、それまであまり気にならなかったインクがいろいろ気になりだして、今頃インクの色への興味、探究心が出てきたのかもしれません。
インクの色が気になりだしたのは、当店オリジナルで作ったインクノートを書き始めたからだと思います。
使っているインクをインクノートに書いて整理していると、もっと他のインクも使ってみたくなるという効果があって、手帳は全て同じ色で統一したいと思っていたはずなのに、スカビオサの他にもKWZ(カヴゼット)インクにも手を出しています。
インクノートは、当店の特長のひとつでもあり、色の世界観を和歌などで表現している「色見本帳」を書いているスタッフKが長年温めていた企画で、インクのデータ以外にもシールを貼って所有インクを一覧できるチャート表もある、マニアックなものになっています。
持っているインクを人に見せることもできる遊び心もあるけれど、持っているインクを一目で把握できて、インクの二重買いを防げて、使い方次第ではどの万年筆にどのインクを入れたかも分かる、万年筆を使っている人の助けとなるものだと言えます。
中紙はインクの色を正確に残すことができるバガス紙をこだわって選んでいます。
手応えのある書き味が楽しめる紙で、インクの収まりも早く、このノートに適したものになっています。
当店オリジナルダイアリーと同じ正方形サイズになっていますので、ダイアリー用の革カバーも使うことができるし、ダイアリーや他のノートとともにインクノートを挟むことができて、使い方にも様々な広がりがあります。
1冊で36色のインクについて書くことができますが、もしかしたらそれでは足りない人もいて、色ごとに分冊して、複数のインクノートを使い分けて使う人もいるかもしれないと、皆様がこのノートをどのように使われるかを楽しみにしています。
Liscio-1(リスシオ・ワン)紙~装丁文庫ノートへの思い入れ~
万年筆の書き味は紙質に大きく左右されます。
紙の表面のプレスを強めに平滑に硬くすれば、ペンの滑りが良くにじみの少ない紙になります。
プレスを弱めにして、紙の表面を柔らかくしておけば、書き味はフカフカとした柔らかい紙になります。
大和出版印刷さんの第2世代の万年筆用紙グラフィーロは、紙の表面をローラーや填料でくぼみを埋めて平滑にして、にじみ、裏抜けのなさを追究した紙だと言えます。
グラフィーロは、紙に対して、私たちが嫌だと思う要件をひとつずつつぶして完璧な紙を目指した体育会系的な思考で作られた紙だと思っていて、私は大和出版印刷さんらしい発展の仕方をしたと思っています。
そのやや硬質な書き味から、私はグラフィーロを「辛口の書き味の紙」と分類しています。
第1世代の紙リスシオ・ワンは、初めて大和出版印刷さんが製作したステーショナリーである最初の上製本ノートの用紙として採用した最高の書き味の紙、バガス紙に代わる紙として、万年筆での書き味を追究して開発されました。
書き味という快楽を追究したところに、帰宅部系の私は最高の紙のあり方だと共感していました。リスシオ・ワンはまさに甘口の書き味の紙だと言えます。
リスシオ・ワンは、それを製作した機械が老朽化で廃棄となったため、二度とつくれなくなりました。そこで大和出版印刷さんは再び紙開発をして、グラフィーロを作り上げました。
現在は、大和出版印刷(神戸派計画)の紙製品はリスシオ・ワンからグラフィーロに移行しています。
だけどリスシオ・ワンの商品がこのままなくなってしまうのは、非常にもったいないと思っていました。
当店が装丁文庫ノートをリスシオ・ワンで製作したのも、今のように大和出版印刷さんがステーショナリーの世界で知られる前に取り組んでいた紙の良さも、伝えたいと思ったからでした。
私は1日1ページの日記帳として使われる想定でこのノートを企画しましたが、もちろん他にも使い道はいくらでもあります。皆様がどのようにこのノートを使われるか、楽しみにしています。
大和出版印刷さんが万年筆で気持ち良く書くことのできる紙を作りたいという、情熱だけを持って開発したリスシオ・ワンの紙から私はロマンを感じていて、私たちの仕事のあるべき姿だといつも心に持ち続けていました。
それが10年後このような小さくてコロンとしたかわいらしいノートとして生れ出ました。
リスシオ・ワン紙を使用した他のノートも、この装丁文庫ノートも、万年筆で書くことによって書き味という快楽を味わえるものです。
リスシオ・ワン紙自体は新たに作られることはありませんが、すでに商品となっている他の製品もまだ大和出版印刷さんに在庫があります。この甘口の紙の書き味も味わっていただけたらと思います。