靴はそう簡単に壊れませんが、履くほどに底が減ってくるので靴底の貼り替えに出す必要があります。でもそうやってたまにプロの手に預けることによって、底以外の部分のメンテナンスをお願いしたり、アドバイスを受けることができます。
せっかく手に入れた靴なので、少しでも長く、できれば一生履いていきたいと思っています。
万年筆は使っていても目立って減る部分は少ないけれど、壊れたら直して長く使うものだと思っています。モノである限り壊れないものはないので、私も何度もメーカー修理に出したことがあります。
直すことのできないものは長く愛用することができないし、修理の対応でその店やメーカーの質を測ることができます。
私の持論ですが、しっかりした店ほど修理が多いと思っています。
自分が大切に使っているものを預ける店ですので、お客様の信用があるということですし、万年筆が売れていないのに修理ばかりが多かったとしても、修理のお客様にしっかり対応していれば、いずれ万年筆も売れるようになると思っています。
お客様から修理して欲しいと打診されて、他所の店を案内したり、メーカーに直接送るように指示する、修理から逃げるような店がネットショップの中にはあるようです。
でも万年筆は直しながら長く使うもので、修理を介しながらお客様との関係も長く続けていくということを理解していないのだと思います。
ぜひ、修理を気持ち良く受けてくれる店と関係を築いていただきたいと思います。
メーカーでも修理などのアフターサービスが良いところと悪いところがあって、数少ない悪いところは言いにくいけれど、国産3社はどこも良く修理代も安い。
海外のメーカーでは、ペリカン、アウロラ、パーカー、ウォーターマンの修理の対応が特にいいと思っています。
限定品などは本国修理になりますので何か月もかかることがありますが、どのメーカーも保証書に国内の販売店の捺印があるものであれば優待してくれるので、修理に出した時の満足感は高い。
アウロラはボディと首軸が断裂するというショッキングな修理(落下などの理由がない場合)でも保証書があれば無料で修理してくれますので、最初の価格は高いと思っても後々安心して使うことができる。
万年筆メーカーは経験的にアフターサービスの大切さを知っているのかもしれません。
木製品も、自然な手触りを残したものはひび割れが起こることがあります。
工房楔の木製品もひびが入ることがありますが、これも埋めながら使うものだと私は思っています。
工房楔の永田さんはすごく上手にひびを埋めてくれるので、どこにあったか分からなくなります。補修も木工家の腕のひとつなのだと知りました。
世の中には、修理の要らないものはなくて、良いものほどきちんと修理ができるように作られている。
万年筆も直しながら長く使うものなので、もし壊れたりしても安心して修理に出して欲しいと思っています。