万年筆という海外で作られているものを扱い、それらをいつも使っていて言うのも何ですが、なるべく日本製のものを使いたいと思います。
日本で作られた、人の手で作られたことが感じられる品を手に入れて使いたい。
デザインもマーケティングも生産効率も非の打ちどころなく計算された大量生産された製品はすごいと思うけれど、自分の好みではないし、当店で扱うべきものでないと思って今まで避けてきました。
同じ万年筆という工業製品であっても、人の手による仕事がその製品の中に存在していると思えるものを扱いたい。
それはあくまでも私の直感で、ただの好みなのかもしれないけれど。
倉敷にある「林源十郎商店」が好きで、たまに訪れたいと思うのは、その店が日本の手仕事によるモノにこだわっているからで、それらのものが醸し出す雰囲気にホッとさせられ、私の迷いのようなものを吹き飛ばしてくれるからかもしれません。
東京の手芸用品メーカーKAWAGUCHIさんが企画するcohana(コハナ)の商品を扱うようになりました。
商品企画をKAWAGUCHIさんで行い、日本中の伝統的な地域産業や工芸に携わる会社、職人さんに製作を依頼したものばかりです。
どの商品にもそれぞれ醸し出す空気感のようなものがあって、人の手による仕事が感じられます。万年筆とは直接関りはないかもしれないけれど、当店で扱いたいと思いました。
こういった商品を言い表す時、温かみとか、ぬくもりという言葉はなるべく使いたくない。
その言葉は言い表すのに良い言葉だとは思いますが、古くからあまりにも多くの人が使ってきたし、分かりきった事柄に感じられる。
それらの品々を私は「完成と未完成の間」にあるものだと思っています。
パッケージに入って店に並んでいる時が一番美しい完成された工業製品ではなく、使い込まれて使用感が出た時が一番美しい。
新品の状態では未完成で、使い込むことで完成するものだと思っています。
使っているうちに美しくなってくれるもの。
それは新品の時の傷一つない美しさだけではなく、経年変化の美しさを増していくものだと思います。
そんな使い込んで美しくなってくれるCohanaの商品は、私が好む万年筆と離れたものではないと思っています。
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