1本差しと3本差しのル・ボナーのペンケースが入荷しました。
厚いブッテーロ革を2枚重ねにして貼り合わせて、型で絞って丈夫なシェル構造にするル・ボナー絞りのペンケースは、大切なペンを守りながら、いつも持ち歩くためのペンケースです。
ペンを鞄に入れて持ち歩かず、机上で使用するだけであれば、ここまで丈夫なペンケースは必要ないかも知れません。
ペンケースはたくさんの種類が世の中に出回っているけれど、この絞りペンケースほど、ペンを収めて鞄の中に放り込んで安心感のあるものはあまりない。
本当に大切なペンが出来た時には、ぜひこのペンケースをお使いいただきたいと思います。
このペンケースに使われているブッテーロ革は、40年以上鞄職人としてたくさんの革を見てきたル・ボナー松本さんが最良の革として行き着いた革のうちのひとつです。
ブッテーロ革の特長は、その柔らかく滑らかな手触りとエージングの良さにあります。
自然素材のタンニンでなめされた革は、香りも良く、上質な自然な風合いを持っています。
加工しすぎず、自然な風合いが残されているので、革の表面は時間をかけて艶を帯びていく余地が残されています。
ブッテーロ革は油分を多く含む革なので、手で触ったりするうちに油分は表面に出て膜を作るように艶が出て、表情に奥行きが出ます。
そのように使い込むことで少しずつ艶が出るけれど、ご自分でブラシをかけたり布で磨いて艶を出すこともできます。
革製品の大敵は埃で、ブラシを掛けたり、布で磨いたりすることはその埃を払うことにもなりますので、革製品を長く愛用するためにも有効なことです。
メンテナンスで私のおすすめは、ブラシ掛けです。
ブラシを掛けると、革の余分なものを落としたようなクリアでキラキラした表面になり、とても美しい艶が出ます。
ある方は布で軽く撫でるというやり方をしていて、これは時間がかかると思いますが、とてもきめの細かい鏡面のような艶を出す磨きの方法です。
店に並んでいる時が一番美しいものもあるけれど、長く使っていくうちに美しくなってくれる革製品は、また違う楽しみがあると思います。
それには素材の良さ、縫製の良さが絶対的な条件になりますが、ル・ボナーの絞りのペンケースはそれを備えています。
ペンケースの機能としては、モンブラン149、キングプロフィットなどの大きいサイズの万年筆は3本差しの両サイドに入れることができます。
1本差しの場合も、少しきつめですが入ります。
それ以上の大きさのペン、例えばカスタム漆は入りませんが、ほとんどのペンで使うことができます。
この店を始める前からル・ボナーの松本さんが応援してくれてとても助かったことは何度もお話しているけれど、きっと松本さんがいなければ10周年を迎えることはできなかった。
松本さんも鞄職人を始めた時に助けてくれた人たちがいて、その人たちのおかげで40年も鞄職人としてやってくることができたそうです。
お世話になった恩人たちへの恩返しは、次の世代の新たに自分の道を歩もうとしている人を応援することだと思って、当店のことを応援してくれた。
私も自分の仕事を続けさせていただいている恩を返すなら、次の世代の人を応援することなのだと思っています。
自分にどんなことができるか分からないけれど、松本さんがしてくれたように頑張って欲しいと思った人を応援したいと思っています。