カンダミサコさんが当店の出張販売を応援してくれています。
8月30日(木)から9月1日(土)の代官山での出張販売と、9月29日(土)・30日(日)の東京インターナショナルペンショウのために2種類のペンケースを作ってくれました。
東京の出張販売のために作ってくれたもので、イベント後にはホームページでも販売いたします。
色数の多いシュランケンカーフを使った定番のペンシースに対して、今回作ってくれたのは張りのある光沢の美しい革、クリスペルカーフのペンシースです。
長さは定番のペンシースと同じですが、口径を大きくして、太いオーバーサイズの万年筆も収納できるサイズにしています。
革を円筒形に丸めて縫うペンシースの構造により、クリスペルカーフの張りがとても美しく表現されていて、この革がいかに上質なものかよく分かります。
定番のペンシースとはまた違ってどこかフォーマルな印象があるので、スーツなどパリッとした服装にも合うと思います。
もうひとつはリザードの1本差しペンケースです。
ペンケースは大柄で大層なものが多いので、できるだけスリムでシンプルに収めるペンケースがあってもいいのではないかと思っていました。
先月カンダミサコさんが、新しい試みとしてリザード革のシステム手帳を作りました。
シンプルなカンダさんのデザインに、アクの強いリザード革はスパイスが利いたようですごくカッコ良かった。
今回のペンケースもとてもシンプルな構造のスッキリとした姿なので、リザード革がぴったりで面白いものができたと思っています。
身近な人やスタッフは、私が大喜びで出張販売に臨んでいると思っているかもしれない。
それもなくはないけれど、出張販売前はいつも重いプレッシャーを感じています。
出張販売は当店が続いて行くための方策で、それがたまたま自分が楽しみながらできて、以前からやってみたいと思っていたことだった。
出張販売で忙しく体力的にも厳しい思いをしてもすぐ忘れるところがあるので、自分は今の仕事に向いているとも思います。
でもきっとそれ以上に、楽しい思い出が残っているのだと思います。
今回の東京出張販売、東京インターナショナルペンショウともに多くの人に出会えるのを楽しみにしています。
*本日31日は18時以降、明日1日も14時~16時、17時以降はまだご予約いただけます。調整やご購入の相談など、ぜひお申し付け下さい。(電話:078-360-1933)
エバーシャープアワー開催・9月20日(木)16時~18時
昨年、ウォール・エバーシャープ社にペンを扱いたいと打診した時から、社長がこの9月にプライベートな理由で来日することは聞いていました。
まだまだ先だと思っていたけれど、その日が本当にやって来ようとしています。
ウォール・エバーシャープ社長シドニー・サパースタイン氏が当店に来て、ウォール・エバーシャープのペンを使っている人や、これからウォール・エバーシャープのペンを使いたいと思っている人の質問に答える、「ウォール・エバーシャープアワー」を行うことになりました。
今までやったことのない企画ですが、面白い試みだと思っています。
エバーシャープアワーは、16時~18時ですが、もちろん店は通常通り営業しております。
昨年できたウォール・エバーシャープとの縁で、当店は日本で唯一ウォール・エバーシャープのペンを扱う店になっています。
エバーシャープだけを扱っているわけではないし、エバーシャープ1色に当店を染めるつもりもないけれど、日本で当店しか扱っていないというのは、オリジナル万年筆と同じくらいの魅力のあることだと思っています。
万年筆を使っていて楽しいと思えたり、その万年筆を使うことが楽しみに思えたりするものをお客様に示し続けていかなくてはいけないと思っていて、その代表のようなペン、ウォール・エバーシャープデコバンドが品揃えに加わったことで、当店とお客様の繋がりがより深くなったと思います。
先日、ウォール・エバーシャープデコバンドがたくさん入荷しました。
ウォール・エバーシャープの販売を始めて8か月ほど経ちましたが、まだまだ慣れず、毎回新鮮な気持ちで、わくわくしながら開梱作業をしました。
お客様方のお好みはそれぞれで、売れ筋はまだまだ見えてこないけれど、なるべく適切な輸入をしたいと思っています。
どこででも手に入るもの、普通の定番の万年筆では面白いと思わなくなった人にも、使い応えのある行くところまで行った万年筆を使いたいと思っている人にも、デコバンドは勧められるものだと思います。
吸入の仕方やオーバーサイズの存在感がイメージとして強いデコバンドですが、大きなペン先とエボナイトの2段ペン芯から生み出される書き味の良さも、このペンを使っていて楽しいと思ってもらえる要素になるはずです。
ウォール・エバーシャープアワーもこの万年筆を手に入れた楽しみのひとつだと思って、遊びにきていただきたいと思っています。
最近の万年筆の傾向は、手に入れやすい価格を抑えたものか、ステイタスになるような豪華なものという両極端になり始めている。
デコバンドはそんな流れの中で異色な存在なのかもしれないけれど、こういう万年筆を支持していきたいと思っています。
*9月20日(木)は18時閉店とさせていただきます。ご迷惑をお掛けしますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。
*WAHL-EVERSHARP(ウォール・エバーシャープ)TOPへcbid=2557105*WAHL-EVERSHARP(ウォール・エバーシャープ)TOPへcsid=1″ target=”_blank”>*WAHL-EVERSHARP(ウォール・エバーシャープ)TOPへ
手を動かして仕事する人のためのペン〜クレオスクリベントリネアルト〜
ヨーロッパの高級ステーショナリーの顧客として、貴族は重要な存在なのだと思います。貴族たちの存在がステーショナリーの発展を支え、文化を担ってきたのだと考えると当然でもありますが。
そんな人たちにとって万年筆は実用品として完璧であるだけでなく、宝飾品、ステイタスとしての役割もあるのではないかと思います。
でもそれは私たちにとっての万年筆とは少しずつ違う。上手く言えないけれど、パリッとし過ぎていると思うことがあります。
私たちが、万年筆にステイタスを求めなくなっていることも貴族的な万年筆から距離を置くようになっている理由かもしれません。自分が使っている万年筆のブランド名などは、万年筆に詳しくない人が見てもわからない方がいいとさえ思います。
ヨーロッパで作られている万年筆の多くはもともと貴族たちのためのもので、なんとなく反発心のようなものを覚えていました。
私たちには国から与えられた身分もないし、自分の体を動かして稼ぐしかない。
自分たちのような一般の人間に向けて作られた物に目を向けたいと、最近は思うようになりました。
ウォール・エバーシャープはアメリカという貴族的ではない国で生まれたメーカーです。自分の才覚で電算機会社を興したウォール氏が作った万年筆メーカーだということも、当店で扱いたいと思った理由のひとつだし、同じ理由でクレオスクリベントにも肩入れしています。
クレオスクリベントは終戦後作られた会社ですが、すぐに国がある共産主義になってしまい、政府に接収されて国営企業になったという不幸な歴史があります。でも、だからこそ1950年代の万年筆大不況時代を乗り越えることができたという面もあります。
東ドイツ崩壊後、国営企業でなくなってからも高い技術力で多くの会社のOEMを手がけて、世界に埋もれることなく生き続けている。
クレオスクリベントには、自分たちの道で生きている私たち中小企業の夢を感じています。
OEMばかりやっていて、自身のブランドは非常に寡作なクレオスクリベントの新作をご紹介します。
総スターリングシルバーボディの「リネアアルト」です。
ずっしりと重みがあり、どこか武骨なデザインですが、この独特のデザインもクレオスクリベントの持ち味だと私は思っています。
その大きさからは想像できない柔らかい書き味の上質なペン先が付いていて、書くことを楽しむことができます。
書くこと、万年筆を触っていることを趣味とする私たちが、遠いドイツの片田舎に想いを馳せながら、使ってサマになる趣味の道具のひとつだと、クレオスクリベントについて思います。
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製本文庫ノート〜旅日記をつける〜
普段から日記をつけようと思ってみたこともありましたが続いたことはなく、日記を続けることは諦めています。
しかし、旅行に出た時は毎晩、その日を振り返って何か書いています。
万年筆を使うようになってから旅に出ると必ず書いていて、旅は書きたい気持ちをかき立ててくれるものだと思っています。
今まではノートやルーズリーフ、システム手帳など、その時よく使っていたものに書いていました。それぞれどこかにはあると思いますが散逸してしまっていますので集める努力をしないといけない。でもいつかやっておきたい。
そう思って旅日記を決まったものに書きたいと思いました。
旅行の時だけそのノートを持って行く。年2回くらいしか登場機会はないけれど、用途別のノートというのはそういうものだ。
どういうところに行ったとか、どうしたというのは別の小さな手帳に箇条書きに書いていて、それは休みの日の行動記録として時々役に立つことがあるし、行動を記録することで漫然と休日を過ごしてしまうことが防げているのではないかと思っています。
感情を挟まない箇条書きというのは後から本当に読みやすい。
でも本当に書きたいのは自分がどう感じたかとか、何を考えたかということで、それを家族がテレビを観ている時に万年筆で書くことを旅の夜の楽しみとしてきた。
そういう用途に製本文庫ノートがいいと思っています。
今では作ることのできなくなってしまった紙、リスシオワンは最高の書き味を誇る、まさに幻の紙で、オーソドックスな製本の技術で綴じられている製本は何年もの使用に耐えてくれるはずだし、クロス貼りの表紙も丈夫です。
文庫サイズなので荷物にも入れやすく、かさ張らない大きさです。
旅ノートにこれ以上のものはないと思っています。
私が旅に出る目的はいつも、日常とは違うものを見て自分の仕事や生活など様々なことについて考えることで、見たものが自分にどんな刺激を与えるか楽しみにしています。
今夏の家族旅行は、横浜に泊まって東京を中心にあちこち歩き回わってきました。
お店ばかりを見て、観光には行かないけれど、いろんなお店を見ることは趣味でもあり、仕事にもつながることなので、あちこち見ては色々なことを考えました。
6年振りに訪れた東京は、前回訪れた時とはまた違って見えました。
インバウンドという言葉がまだ一般的ではなかった6年前とは違って、銀座は海外からのお客様を迎える態勢が整っているように思いました。
東京オリンピックが、インバウンドの最期の大波なのか、それともこれからずっと続いて行くきっかけになる最初の大波なのか分からないけれど、街はオリンピックを目指して急ピッチで化粧直しをしているように見えました。
ほとんどのお店のターゲットは完全に海外からの観光客で、私たちからすると落ち着かないように思いましたが、それが東京の役割なのかもしれません。
8月末から代官山で出張販売をすることもあって、最近東京に目が向いていました。東京に行きさえすれば何とかなるのではないかと勘違いしていたような気もします。
しかし、いくら東京で商売をしても感覚が古ければ滅びてしまうし、多くのお店がひしめき合っている東京だからこその厳しさがあると思い直しました。
華やかで大きな街東京から神戸空港に降り立った時、その人の少なさと街の規模にホッとしましたが、時間の流れに取り残されているようにも思いました。