何か仕事をする時に、その目的を見誤ると上手くいかないということを経験してきました。
商品を企画する時は、お客様の喜ぶ顔をイメージできないと失敗します。
このペンはその仕様やデザインなど目に見えるところよりも、こんなふうにお客様に楽しんでもらいたいというイメージから生まれたのではないかとさえ思えます。それほど優れた企画だと思うし、ペンの業界に風穴を空けた痛快な存在だと思っています。
個人的な話になりますが、今年の、特に前半は休みの日でもあまりどこかに出掛けることをしていませんでした。
半日も家にいるとウズウズして、出掛けずにはおれない私でも、比較的家にいることができたのはANTOU(アントウ)のペンという遊び道具があったからだと思います。
ANTOUというのは、台湾中部 台中近郊にある金属加工業の中小の工場の集まる地区の地名です。
その地元の名前をブランド名にしたシリーズの代表的なペンが、様々な替芯を使うことができるマルチアダプタブルペンです。
私は地名が好きで、その地名が名前になっていることにも想像力が掻き立てられ、その製品を冷静に見ることができなくなってしまいます。地元の路線バスの行き先表示の地名をみているだけでも全然飽きないのは、少々度を越してているのかもしれないけれど。
話をANTOUに戻すと、マルチアダプタブルペンは替芯を先端でつかんでいるため、芯の長さや形に捉われずに使うことができます。その機構には他にも良いことがあって、芯のガタつきがありません。
ボールペンに純正でない芯を入れると、芯の先端部とボールペンの口径に部分に少し遊びが出来て、書く度にカタカタ細かく揺れて気になることがあります。
これが起こらないということは、書くことに集中したいと思う人にとってかなり重要なことです。
このボールペンを手に入れてから、何の芯を入れて使うか、文房具店の筆記具売り場でいろんなペンを見るのが楽しくて仕方ありませんでした。その度にペンを買っては替芯を取り外して、ANTOUに入れて楽しみました。
国が違っても、楽しいと思うことは変わらないのだとこのペンで知りました。
これで何か書かなくても、そうやって自分にとってのベストな替芯を決めるのが楽しく、ペンの楽しみは書くだけではないと教えてくれた。
アントウを使っている人同士でこのペンの話をすると、様々な替芯の情報交換ができて、それも楽しい。
そんなANTOUボールペンCミニに新色が追加されました。
青藍・唐紅・橙の日本の伝統色の3色展開で、日本や台湾のものなら、こういった漢字の色名であってほしいと思います。
ミニは長さが短くなりますので、その分使うことができる替芯に制約がありますが、少し短くなって、そのプロポーションがかわいらしくなりました。
このミニ専用の「シャープペンシル機構」も一緒に発売されました。
ボールペンの替芯と同じようにペンシル機構を先で掴む方法です。
ペンシル機構の発売で、ANTOUがボールペン以外にもさらに幅広い用途で使うことができるようになりました。
ANTOUのペンの存在により、全てのボールペンが、このペンの素材に見える。多くの人に使ってみていただきたい、いい商品だと思っています。