アウロラ88テッラ~太陽系を巡る旅の終わり~

少し前から、今まで使っていたブルーブラックのインクから違う色に変えたいと思い、暇さえあればインク色見本帳を見ていました。その中で目に留まったローラー&クライナーのスカビオサとパイロット色彩雫の紫式部を選んで使っています。

スカビオサは、その名前の響きが好きなのと、褪せたような紫色が今の気分に合っている気がしました。酸化鉄が含まれている古典インクで、書いたものの保存性も高い。

古典インクは万年筆に入れるとたいていインク出が少し渋くなって、ヌルヌルとした書き味ではなくなりますが、私はあまり気にしません。

それよりもインク出が渋くなったことで、インクの濃淡が今まで以上に出るので気に入って使っています。

紫式部はパイロットなので、インクがよく出るようになるだろうと思っていましたが、意外にもインク出は控えめで、紙に適度に沈みます。私にとっては初めての、ピンクにブルーを混ぜたような爽やかなパープルです。

こうしてインクを探しているうちにいろんな色を見ましたが、万年筆のインクはやはりブルー系が多く、好む人も多いようです。

その趣向に合わせてか、ブルー軸の万年筆も多く作られているような気がします。そして今までここまで青い万年筆はなかった、と思ったのが「アウロラ88テッラ(地球)」です。

惑星シリーズとして太陽系の惑星を巡っていたアウロラの長い旅も、地球に帰ってきたというストーリー。

地球が太陽系の中でも極端に青い、異色の星であると言われているように、この88テッラも他の万年筆と見比べるとかなり趣を異とするものに見えます。

88シリーズでは初めてですが、首軸とボディが同じマーブル模様のブルーのアウロロイドが使われています。

万年筆の金属パーツといえば、ゴールドかシルバーでしたが、88テッラはペン先も含めて濃い青に仕上げられています。これはアウロラの万年筆ではおそらく初めてのことだと思いますが、これがかなりこの万年筆を精悍な印象に仕立てています。

アウロラは太陽系の惑星というテーマで、それらの星の美しさを万年筆というキャンバスで表現してきましたが、テッラは今までの万年筆とは違う、太陽系における地球のような存在の万年筆に仕立てられています。

コロナ禍で、意気消沈しているメーカーが多い中、アウロラは今までと変わらずに、むしろ今まで以上に活発に活動しています。万年筆の世界を面白くしようと努力している。コロナ禍であっても、私たちができる社会貢献は、やはり自分の仕事を全うすることだとアウロラを見て改めて思いました。

⇒AURORA テッラ(地球)万年筆