モノを生み出すクリエーターの人は、私たち販売側の人間とは違った思考でそのモノについて長い時間を費やして考え、試行錯誤してその魂の結晶とも言えるモノを生み出しています。
身近なところではカンダミサコさんにそんなクリエーターとしての姿勢を見ることができますし、他のクリエーターの方々の作品と言えるものも扱っています。
アルベルロイの机上用品は、万年筆・ステーショナリー専門誌「趣味の文具箱」の取材をアルベルロイの大西宣彰さんが受けた際、編集部の方から当店のことを紹介されて、そのご縁で取り扱いが始まりました。
アルベルロイの机上用品の完成度は、自然の素材を生かした手仕事の商品とは方向性の違うもので、その隙のない仕上がりの商品も完璧を追究する職人仕事だと思いました。
アルベルロイは、プロダクトデザイナー/空間デザイナーである大西宣彰氏が「極小の家具」というコンセプトでデザインしたステーショナリーです。そのモノがひとつあるだけでその空間の雰囲気を作る、そんな机上用品を目指しています。
余分なものを削ぎ落し、とことんこだわってデザイン・仕上げをしたメイドインジャパンの「机上家具」と、大切な万年筆や手帳を組み合わせることで、緊張感のある空間になる。
ひとつのもので雰囲気を作ることができるものを挙げると、服装では靴や鞄、机上では万年筆だと思っていますが、アルベルロイのオブジェのようなブックエンドやシンプルなペーパーウェイト&ペントレーもそういう存在になるのかもしれません。
アルベルロイの机上用品は、当店で扱っているどちらかと言うと柔らかい印象のステーショナリーとも相性が良いものだと思い、導入させていただきました。
そしてもう一つ、お酒を扱っていないのに「佐野酒店」という変わったブランド名のステーショナリーも扱い始めました。
佐野酒店は、レーザーワークによる木製品を作るブランドで、クリエーターの佐井健太さんが一人でデザインから製作まで行っています。
佐井さんはその頭の中に、懐かしい気持ちにさせるデザインの引き出しを多く持っていて、話していると様々なアイデアが出てきて、何から始めていいのか分からないくらいでした。そんな中、まずオリジナルラベルの木箱入りインク瓶から始めようということになりました。
お客様ご希望の名前や言葉をボトルと木箱にお入れする、オリジナルラベルの木箱入りインクボトルは、古いインク瓶を昔よくあったお酒の木箱のような形の箱にお入れするもので、佐井さんの世界観を表現したものです。
当店のスタッフの名前もさりげなくお酒の名前になって刻印されて、佐井さんのユーモアも込められています。
佐井さんがたまたま仕事で近くに来られた際に当店に立ち寄られて、何気ない話をしているうちに、佐井さんの仕事を知りました。
今まで当店になかった世界観のものですが、私たちの世代なら記憶の片隅にこういう世界があって、懐かしいと思う気持ちがあるのではないか、そして当店のお客様ならこういうものを面白いと思ってくれるのではないかと思いました。
今回ご紹介しましたクリエーターのお二人に共通するのは、どちらも不可侵の世界観を持っていて、それらを大切にしながら販売していきたいと思えるところです。
店というのは本当に有難い場所で、長く営業しているとこういう出会いがやってきてくれる。そしてその縁が仕事になっていくということを改めて感じました。