父が教師、母が専業主婦の平凡な家庭のお坊ちゃん育ちなので、怒れる反抗期もなく、普通の人生を生きてきました。
語れるような、若い頃の無茶をしたような話もなく、それが何となく負い目のように感じていたけれど、そんな気持ちも長い間忘れていた。
きっと自分らしさに折り合いがついて、普通の大人しい人間である自分が恥ずかしくなくなったのだと思います。
それでもある種の不良っぽさに憧れることはあって、そういうかっこいい人を見ると自分はそうはなれないけれど、そうありたかったと思うこともあります。
不良と言っても学生時代に学年に何人かいたような不良と、大人のそれとは違う。
子供の頃の不良はつるんで徒党を組まないと生きていけない弱い人たちだったけれど、不良っぽい大人は自分を周りに合わせることを嫌う、一人で生きていける人で、そんな姿勢から他者を無言で黙らせる存在感のある人だと思います。
バゲラさんの革製品は、そんな私にはない不良っぽさをなぜが感じさせるもので、かっこいいなといつも思っています。
高田さんご夫妻が納品のために当店を訪れてくれて、その作品を見せてくれるたびに、こういうものが似合う人間になりたかったと、自分の不良への憧れを思い出させます。
今回Pineconeも納品してくれて、あのモノのあり方、ただ持って出掛けたいと思わせるところが不良っぽいけれど、他に高田さんが提案してくれた革巻のボールペンもあり、これも不良っぽいカッコイイものです。
キャップを外すのがナイフの鞘を外すような所作にも思えるキャップ式のボールペンで、これで書き始める時相手は一瞬身構えるのではないだろうか。
中身のボールペンはBICで、この選択もバゲラさんらしいものだと思いました。
文房具に知識があって、いろんなものを知っている文具オタクの自分たちなら絶対にBICは選ばない。
でも高田さんは日本のメーカーの軽くスルスル書けるボールペンを選ばず、レトロスタンダードなペンとも思えるBICを選んだ。
高田さんは他に良いものがあるかもしれませんねと言っていたけれど、こだわっていないようで考え抜いてBICを選んだのだと思いました。
その理由について上手く論理的に説明できないけれど、BICを入れるのが一番不良っぽくて、バゲラさんらしい選択だったと私にも理解できます。
自分に一番欠けている不良っぽさはきっと自分たちの仕事においてあってもいい性質だと分かっている。
でも自分はそのカケラも持ち合わせていない。
こういうものを使うことで、自分にも少しは不良性が備わって、いい仕事ができるかもしれないと思わせてくれる、バゲラの革巻ボールペンです。
革巻ボールペンケース 机上用品 – Pen and message. (p-n-m.net)