好きなことをして生きていく時代に

最近若い人がステーショナリーに興味を持つようになってきていると感じています。中にはペン先調整や木軸のペン作りなどもする人もいるし、内容もかなり本格的ですごいことだと思います。

先日フィリピンからご家族で来られた若い男性(おそらく10代だと思います)が、プレゼントだと言って自作のインクを下さいました。

パッケージもきちんと印刷されたオリジナルのものになっていて、話を聞いてみると、インスタグラムで告知して直接販売しているとのこと。

今の時代の若い人の特長は、ただ好きなだけでなく、自分が好きなことで生きていきたいと思って、その道を模索していることだと思います。

好きなことで生きていこうと早い段階で決めて、その道を進んで行くことも、海外の店の店主に自作のインクをプレゼントすることも、私たちが若い頃には考えられなかった。

色々な意味で時代が変わったと実感します。

私も好きなことで生きているけれど、それを決断できたのは40歳直前でした。好きなことを仕事にして生きていくという考え方はあまり一般的ではなかったので、店を始める時の周りの反応は決して良いものではなかった。

自分自身ではそれが唯一好きなことだったし、自分の性格として好きなことでしか生きていけないと分かっていたので迷いはなかったけれど、そんな状況の中でル・ボナーの松本さんの存在はすごく励みになりました。

今の時代は、お子さんが好きなことで生きていこうとすることを親御さんも応援するというし、好きなことで生きていくことに抵抗のない時代になっていると思います。

そんな若い人たちは、ステーショナリーを仕事にして生きている私たちの背中をどのように見ているのだろうか。

当然自分の将来を考えた時に私たちの姿に重ねることもあると思います。こうはなりたくないよりも、こうなりたい、という姿を見せていたいと思います。

590&Co.さんのお店に来た若いお客様が、近所の当店にも来て下さることもあって、そういう人たちは木軸のペンだけでなく、万年筆にも興味を持ち始めています。

筆記具を突き詰めればそれも当然のことですね。

すでにサファリやツイスビーは持っている人が多くて、そういう人たちには、がんばってお金を貯めて、2,3万円くらいの国産金ペン先の万年筆を買って下さいと言っています。

それくらいの値段帯になると書き味も違うし、バランスも良くて長く愛用することができるからです。

万年筆の醍醐味は長く使い続けて、そのペンがさらに書きやすくなっていることを実感することだと思っています。自分の経験から、色々なブランドのペンが増えても結局私にとってプロフィット21が一番書きやすく、自分なりにきれいな文字が書ける万年筆のひとつであり続けているからです。

1/26(金)27(土)28(日)品川に590&Co.さんと共同出張販売に行きます。きっと若い人たちも来場されるだろう。そこでもセーラープロフィット21、パイロットカスタム742など、オーソドックスなデザインだけど、飽きずに長く使うことができる書き味を持っている万年筆を若い人に紹介したいと思っています。