日本は、良いもの、価値あるものを様々な分野で作っているクラフトマンシップの国だったということを、最近つくづく思うようになりました。
長年経済の低迷が続いて、気が付いたら急成長している他のアジアの国々に置いて行かれてしまっている。
日本がリッチな国だというのは過去の話で、今日本国民の多くは慎ましく暮らしていかざるを得ない状態になっています。
職人が良いものを作っても国内でそれを買える人が少なく、良いものの多くは海外の人に買われて、国外に流出しています。
でもそれでいいのかもしれません。昔から日本人は自分たちの技術を磨き、世界に誇れるものを作ってきた歴史があり、その時から海外に流出してきたとも言えます。
日本人にはそれを生み出す力がある。また作ればいいだけなのだ。
日本はそうやって個人の力によって文化と言えるものを輸出して、海外から尊敬されてきたのだと思います。
日本の万年筆もそんな存在だと思っています。
セーラーキングプロフィットの最もベーシックなモデルキングプロフィットSTはモンブラン149に似ていると言われることがあります。
たしかにバランス型のオーソドックスな塊感のあるデザインは万年筆の王道のスタイルでそれも否めない。しかし、この万年筆にはブランドを誇示するような分かりやすいマークは入っておらず、最も主張するのはその豊潤な書き味です。
適度に柔らかくしなるこの書き味を実現するためにペン先はこの大きさになり、このペン先を収めるために軸はこの大きさになった、と思わせる書き味の良さを追求した万年筆がキングプロフィットだと思っていて、当店のお勧めしたい日本の万年筆のひとつとなっています。
キングプロフィットエボナイト銀というカタログに存在しないペンを特別注文で作ってもらいました。
磨き抜かれてギラギラと輝くエボナイト軸に銀の金具はより締まった印象を与え、ペン先も銀一色で鋭さを感じさせます。
金具を銀色に変えるとこんなに雰囲気が変わるのだと、このキングプロフィットエボナイトには驚かされました。
キングプロフィットエボナイトは、キャップリングがないデザインとなっています。余分なものを削ぎ落したことで、デザインにおいてもオリジナリティが出ていると思いました。
キングプロフィットをはじめとするオーバーサイズの万年筆のために、実用的でシンプルなペンケースも作りました。
「オリジナルレザーケースL サドルプルアップレザー」です。
従来のオリジナルレザーケースは、万年筆よりも細めが多いボールペン用のS、ペリカンM800やモンブラン146などのレギュラーサイズ万年筆用のMというラインナップで、LはMより一回り大きいものになっています。
サドルプルアップは、キングプロフィットエボナイトのような芳醇な光沢を持つ、張りのある丈夫な革です。
すっぽり収まっているけれど、取り出す時にはスッと素早く取り出すことができるこのケースは、実用本位なキングプロフィットによく合っていると思います。