職人さんや作家さんを急かしてはいけない。
早く納めてもらうことよりも良いものを作ってもらうことが一番大事だから、それは重々心得ています。
しかし、約束の期日よりも遅くなってお客様にご迷惑をお掛けすることは店として避けなくてはいけません。
今回の企画は、軸を作る綴り屋の鈴木さんだけでなく塗師さんも絡んでいて、塗りの仕事がかなり立て込んでいると聞いていましたので、年内に出来上がってホッとしています。
今年7月から8月にかけて予約を受け付けて、受注製作としていましたオリジナル万年筆朧月(おぼろづき)が完成し、ご注文下さったお客様にお渡し始めています。
綴り屋鈴木さんがエボナイトを削り出して、有名革メーカーの仕事もしているjaCHRO(ジャックロ)レザーの岩原裕右氏が漆塗りを施してくれています。
当店限定色の山吹色の下地に柔らかい感じのするうるみ色を表面にグラデーション加工で塗った特別な色の万年筆です。
ペン先は当店オリジナルの14金ペン先です。
上海の協力工場で製作されたペン先、ペン芯、ソケットなどを当店で調整、加工、組み立てています。朧月の場合、受注時にオーダーして下さった仕様に加工、調整して軸にセットしてお渡ししています。
鳳凰の図柄は当店で発案、図案化した完全なオリジナルです。鳳凰は日本的で高貴なイメージのモチーフでもあるし、私たちの大陸の文化への憧れも込めたものです。綴り屋さんの軸とよく合っていて、これ以外に考えられなかったと思っています。
受注製作のシリーズは今回だけでなく、今後も継続していく予定です。
実は朧月と一緒にもうひとつのオリジナル仕様の万年筆も製作してもらっていました。
漆黒の森溜塗テクスチャー万年筆のオリジナル仕様、オリジナル色です。
当店オリジナル仕様は、溜塗の味が出るテクスチャー部分をキャップのみにして、ボディ部分は滑らかな形状にしてもらっています。
オリジナル色の、山吹色の下地にうるみ色の上塗りはまろやかな上質なこのモノに合った色だと思っています。
これにもオリジナルのペン先をつけて販売しています。
オリジナルペン先はFでも結構太めになりますので、ご要望に応じて様々な研ぎ出しの対応をしています。
とても良いもので、私たちも大いに気に入っていますが職人さん方の多忙により定番的に作り続けることはできず、不定期に発売することになります。