今年も工房楔春のイベントを当店で開催いたします。
このイベントを毎回楽しみにして来て下さる方も多く、皆様のお顔を思い浮かべています。
今回の目玉は、こしらえのロングタイプです。
今までのものよりもボディを5mm・キャップを3mmほど長くして、パイロットカスタム743まで使えるようにしました。
スタンダードタイプのこしらえは、工房楔の万年筆ケースコンプロット4ミニに収めることができる長さとプロポーションのバランスなどを考えて、工房楔の永田氏がこだわりを持って導き出したサイズでした。
でも今回はこしらえへの多様な要望を満たすこととバリエーションの拡大を目指して、ボディのロング化と、より大きなペン先に対応したものも作ることにしました。
カスタム743と、従来こしらえに使うことができたカスタム742・カスタムヘリテイジ912とではボディサイズ、首軸サイズ、首軸ネジ径は同じサイズで、ペン先の大きさだけが違っていました。
ですので、カスタム743が入るということは、カスタム742/カスタムヘリテイジ912も入るということになります。
毎回イベントの時に、永田さんはこしらえも新しいものを作って持ってきてくれる。
今回は何の素材があるか、そして新しいサイズ、違うペン先のこしらえの皆様の反応がとても楽しみです。
工房楔のボールペンを愛用して下さっている方々にも朗報があって、三菱ジェットストリームの替芯に、工房楔のボールペンにも入るパーカータイプのものが発売されました。
日本を除く、世界のボールペンの多くが芯にパーカータイプという同一規格のものを使用していて、私たちは慣習的にパーカータイプと言っているけれど、パーカーが最初にその規格のものを使用したからだと思われます。
その規格が世界を席巻していて、簡単に崩せない強固な地盤だと思っています。
パーカータイアのイージーフロー芯もかなり滑らかな書き味ですが、ジェットストリームはさらにサラッとした書き味で、何よりも細く書くことができますので、存在意義は大きい。
いずれにしてもひとつのボールペンで、替芯の選択肢が多いのはとてもいいことだと思います。
万年筆のカートリッジの規格でも同様ですが、日本のボールペンの芯は各社オリジナルで、その規格はガラパゴス化していました。
それは他社と共用されることを避けるための差別化の効果があったかもしれないし、独自性を守ろうとする心意気なのかもしれないけれど、ユーザーにとっては自由度が少なかった。
万年筆でも、私はパイロットのカートリッジがカステルのペンで使うことができたらと考えたりするけれど、筆記具にも、スマートフォンOSのアンドロイドのような、規格共通化の波が来ていて、そこに目を背けては今の時代の激流を泳ぎ切ることはできないと各社考える時代がとうとう来たのかもしれないと思っています。
世界の規格の共通化という大げさな話になってしまったけれど、今年も工房楔春のイベントのご来場お待ちしています。