台湾のデザインステーショナリーブランドのANTOU(アントウ)が入荷しました。
このブランドは台中市の隣の彰化を拠点として、ステーショナリーのみならずテーブルウェアなども扱っています。
デザインステーショナリーというと、他を寄せ付けない完成された世界観を有するものをイメージしますが、このANTOUは、使う人が組み合わせたり、工夫することで完成するところを狙っているように思えて、ユーザーの創造力を刺激します。
書き味や使い勝手は素晴らしいけれど、デザインや装飾で使う気になれない国産のペンはたくさんあると思います。
ANTOUの「マルチアダプタブルペン」は、芯のサイズ・形の制約を受けず、油性ボールペン、ゲルインクボールペンなどほとんどのボールペン芯を使用することがでる、まさに夢のペンだと言うと、言いすぎでしょうか。
たまたまたその替芯を使うことができたという部分はありますが、様々なメーカーの替芯を使えるようにしたいという発想。当たり前ですが、文具メーカー、筆記具メーカーでは絶対に実現しない商品です。
私たちのような文具が好きな人間ならいつもそんな風に思うけれど、台湾でも同じように思う人がいて、それを形にしてしまうとは。
ANTOUのペンはアルミ素材を厚めに削りだして、サテンフィニッシュを施して、少しザラザラした粗い触感を残して仕上げられています。キャップはマグネット式で、開け閉めも素早くできて、ストレスがありません。
リフィルを交換する時は、キャップを閉めて、キャップごと回転させて口金を外します。芯を口金で掴んで固定しますので、長さ、形に制限されず、多くのものに対応できる仕組みです。
販売時、ゼブラのゲルインクボールペンの芯がセットされていますが、自分が最も愛用したいリフィルを装着することで、このペンは完成します。
そして、そうやって完成したこのペンは他のモノでは代わりが利かないものになります。
光沢を持たせて仕上げられている波型のトレイや小物入れは組み合わせて使うことができますし、この上に木や革の素材のものがあってもおかしくない。むしろそういう異素材のものがある方がしっくりくるような気がします。
私が目盛り好きで、目盛りはデザインモチーフとして最高だと思っているからかもしれませんが、ペントレイを兼ねた定規も面白い存在で、デスク周りの雰囲気を変えてくれるものだと思います。
ANTOUは、アートディレクターイェン・チェン氏と金属製品の加工で高い評価を得ているダイキャスメタル社との共同プロジェクトです。そしてANTOUとは彰化郊外の小さな工場が点在する地域の名前でもあります。
ダイキャスメタル社はいち早く欧米との仕事を始めて、評価されてきた30年以上の経験を持ちますが、本拠地であるアントウを活性化するために他の工場とノウハウを共有して、地域の技術向上に取り組んでいます。
ANTOUが世界的な仕事を請け負う地域になればという願いがこのプロジェクトには込められていて、このペンに込められているのは文房具好きの夢だけではないのだとお伝えしたいと思いました。