先日(10/23)いつかは149」というタイトルで、お客様のNさんと交わした、自分たちがそれぞれの目標を達成したらモンブラン149を買おうという約束について書きました。
モンブラン149がそういうことに相応しい万年筆だと思っていたからしていた約束だけど、結構反響があって、色々な人が色々な話をしてくれました。
お客様のSさんは、同感だけど今すぐに買いなさいと言ってくれた。
仕事についていろんなことを教えてくれる小児科医のOさんは学生の時に、それに見合った人間になるために、自分を高めてくれるものとして149を使い始めた。
Hさんは高校の時に、私も知っている近くの文具店で手に入れた149を学校でも使って、先生に驚かれた。
約束を交わしたNさんは、10月23日の文章を読まないだろうと思っていたけれど、何かに誘われるように普段は見ない当店のホームページを見てそれを読んだそうで、すぐに店に来てくれました。不思議なこともあると思いました。
あの時Nさんは校長になったら149を買うと言っていた。今は教頭先生をしていて、校長になるための勉強を149でしようと考え直して、買いに来てくれたのでした。
Nさんはいつもキャップを尻軸につけて、ペンのかなり後ろを持って書きます。
かなり大きい149はその書き方に向いています。学生の時はラグビーの選手で、教師になってからも監督を長くしていたNさんの手に、149はよく合っていました。
約束した時、私は何を成したら149を買うかを言わなかったことをNさんは覚えていました。
私はこの店を立派な万年筆店にしたいと今も思っていて、それを象徴するものとして、149を「今」手に入れようと思いました。
Nさんのようにペンの後ろを持って書かないけれど、私ならキャップをつけずに書いてちょうどいいくらいなのではないかと思いました。
最近太めの万年筆の書き味の良さ、インクの濃淡の味わいを伝えたいと思っているので、<M>を選びました。私の用途に149の<B>はさすがに太すぎる。
濃淡が出て、でも日常の用途にも使うことができる、この万年筆に合うインクとして選んだのが、二人とも当店のオリジナルインク冬枯れだったのも面白かった。
私はウォール・エバーシャープデコバンドのフレキシブルニブを愛用していますが、このペンだけとても大きくて、私の持っているペンの中では異色の存在でした。
そんなデコバンドの相方となるペンを探していたので、149をデコバンドとセットで使いたいと思いました。
普通の万年筆と比べると柔らかいペン先のデコバンドと、対照的な硬めのペン先の149で、それぞれ足りないものを補い合って、極端な話デコバンドと149さえあれば、自分の全ての用途はこの2本で済むと思いました。気分によっていろんな万年筆を使いたいという気持ちはそれでは済まないので、結局いろんなペンを持ち替えながら使うことになるとは思うけれど。
2020年は、日本にとって輝かしい年になるはずでしたが、変な年になってしまった。
波乱に富むであろう新しい時代2020年代のはじまりに相応しい象徴的な年だったのだと思うけれど、この149を持って、2020年代を乗り切りたいと思いました。