カンダミサコさんと毎年革をひとつ決めて、その素材に合ったステーショナリーを一年限定で作ってもらうという企画を4年ほど続けています。
今まではカンダミサコさんらしく、どちらかというとアパレルの世界寄りのお洒落な革で企画してきましたが、今年は質感豊かなエキゾティックレザーの「シャーク」で、様々なものを作ってもらっています。
久しぶりに、当店オリジナルのペンレスト兼用万年筆ケースの新作を、シャーク革で作ってもらいました。
ペンレスト兼用万年筆ケースは3本差しのペンケースで、持ち運び時のペンの保護と使用中の使いやすさを兼ね備えた、実用性に特化したペンケースです。
このペンケースは開店当初に作った、当店の万年筆に対する考え方を表現したものですが、それは今も変わらず一番使いやすいペンケースだと思っています。
当店の万年筆に対する考え方は、どんな高価な万年筆も書く道具であり、書くことを楽しむためのものであるということです。
持ち運ぶときはフタを被せて、逆さまになってもペンが脱落しないようになっています。内革には柔らかいヌバック革を使用していますので、しっかり保護してくれます。クロム鞣しの革なので銀製の万年筆に直接触れても黒ずむことはありません。
机上などで使用している時は、フタを万年筆の下に差し入れて枕のようにすると取り出しやすくなり、3本を素早く使い分けたい時に便利です。
フタを折り返す構造のため、硬い革ではこのペンケースを作ることができません。シャークはしなやかで折り目もつきませんので、このペンケースに最適な素材だと言えます。
このペンレスト兼用万年筆ケースは、中にペンを入れると革がその形状になりますので、抜いてもふんわりその形のままになります。そのためペンが入っていなくても2本の溝のあるペントレイとして使うことができて、それがこのペンケースの名前の由来になっています。
またすぐ使うペンを硬い机に直接大切なペンを置かず、このペンケースの上に仮置きすることができます。
ペンレスト万年筆ケースは、継ぎ目のない1枚の革からできているため、大判の革が必要です。
出回っているシャークの革だと、1枚の革からこのペンケースを1つしか作ることができず歩留まりが悪くなってしまいます。余ったところで1本差しペンシースや革のペン置きを作って無駄なく使っています。
模様のある革を使って、色ではなくその質感で変化を出したいと考えたら、シャークのように独特のシボの入った革は理想的です。なるべくなら、均一な型押しの革を使って安く作るよりも、ひとつひとつの表情は違うけれど自然なシボのある革を使いたい。
私はペンケースからペンを取り出した後、そのフタを元通りに戻すことが苦にならない人間だけど、当店のスタッフKはいちいちフタをするのは面倒だと豪語するズボラなところがあります。そんなスタッフKの発案で生まれた当店のロングセラーのペンケースです。