ラマシオンの時間を演出する時計

10月5日、6日は、狂言師安東伸元先生のお通夜、告別式でした。奥さまと一緒に当店で万年筆を買いに来て下さってからもう10数年、人生の師としてお世話になって来ました。

お通夜では奥様、お嬢様のご好意で、かなり早い時間から会場の大阪市北区の光明寺で、先生の謡が流れる中、先生の傍で皆さんと先生の思い出を語り合いながら時間を過ごしました。

前日までの気温が嘘のように涼しく、開け放たれた窓から気持ちいい風が入ってきました。お通夜が始まる前に黄色い陽の光が本堂の中に差し込んできました。

お通夜も葬儀も安東先生が生前に演出を決められていて、最期の場面まで舞台人として演じきった偉大な狂言師の最終幕を私たちは観たのでした。

私の腕にはラマシオンの時計があって、こういう時に意味もなく自分の時計を見たくなります。そしてこの場面と自分の時計の文字盤の景色を重ね合わせて、いつまでも大切な記憶としてこの時計で時間を確認するたびに思い出すのだと思います。

時計作家ラマシオンの吉村さんは寡作の人で、全てのパーツを削り出して作っているボルトアクションボールペンも本業の時計も、なかなか数多くは入荷しません。ボールペンはパーツひとつひとつをハンドメイドで作っているし、時計も全て1点もので、仕方がないけれどお店としては少し物足りない。

待望のラマシオンの時計が久々に入荷しました。

私は時計に凝る方ではないけれど、ラマシオンの時計を3年ほど前から着けています。

ラマシオン吉村さんの時計は吉村さんがグラフィックデザイナーだったということもあるのか、文字盤がデザイン的で1枚の絵を、風景画を腕につけているような感覚になります。

時間を確認するたびにその景色を見る。日常の中の普通の時間にも趣を与えてくれるような、自分の1秒1秒の時間を人生の1コマにしてくれるような感覚をこの時計に感じます。

私の時計は機械式で、1週間に1度1分くらいを修正する程度です。丸1日着けていなくても動くパワーリザーブを持っていますので、充分実用的なムーブメントだと思います。

ムーブメントはシチズンミヨタのもので、これは万年筆のシュミットのペン先と同じくらい時計の世界ではメジャーなものです。信頼性が高く、そう簡単に壊れるものではないし、もちろん修理も可能です。

クォーツ式はセイコーのものを使っているので、時間修正の必要もありません。

でもこれらの時計の価値はそのデザインにあり、派手すぎず、それを着けている人だけが密かに手に入れることができる文字盤の景色だと思います。

自分の人生の時間を自分で演出して生きていたいと、安東先生の生き方を垣間見て思うようになりました。ラマシオンの時計はそんな時間の小道具になるのではないかと思います。

*ラマシオン吉村さんの時計の製作風景動画

 オリジナル腕時計をハンドメイド。神戸の万年筆専門店” pen and message ”の腕時計です。 – YouTube

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