ラミーについて

いろんな機会に恵まれて、ラミーについて考えています。

ラミーは1930年に創業して、パーカーのドイツでの販売代理店をしていたそうです。

ヨーロッパのほとんどのメーカーのカートリッジインクの差し口が共通のヨーロッパ規格を採用しているのに、ラミーがパーカー規格なのはこの時の関係によるのなのかもしれません。

アウロラもイタリアのパーカー販売代理店をしていました。

アウロラのカートリッジインクの差し口もパーカー規格で、ラミーとアウロラ、パーカーのカートリッジの差し口が同じ口径なのは偶然とは考えにくく、やはり輸入代理店をしていたことと関係あるのかもしれません。

ちなみにラミーのカートリッジインクには尻尾のような部分があって、インクが減ってカーリッジのインクがなくなってもこの尻尾部分のインクは残ります。

そして書けなくなった時にペンを軽く振ってあげるとカートリッジ尻尾内のインクがカートリッジ内に補充されて、また書くことができるサブタンクのようになっています。

ラミーは1952年に初めてのオリジナル万年筆を発売しました。

蚤の市など中古市場でその一部をたまに目にすることができますが、文字フォントなどにユニバーサルなものが使われていて、先進的な部分も垣間見られますが、まだはっきりとラミーの方向性が確立されているようには見えません。

ラミーが今のラミーのデザインの考え方にたどり着いたのはさらに時代を下らなくてはならず、1966年でした。

ラミー2000を工業デザイナーゲルト・ミュラーとともに開発した時でした。

ラミー2000は2000年になっても通用するデザインの万年筆を作りたいという願いを込めて作られた万年筆でしたが、2024年の今でも古さを感じさせない、現代の万年筆の定番とも言える存在になっています。

ラミー2000で独自の万年筆作りの法則を見出したラミーは、その後も機能はデザインと完璧に調和し、機能に関係しない装飾を放棄するという考えに基づいたペン作りを続けています。

今年ラミーを日本の三菱鉛筆が買収したという話に業界は沸きましたが、ドイツに行った時も何人かの人にそのことを言われました。皆さん比較的好意的に受け止めているようでした。

私はとてもロマンのあることだと思っていて、ラミーが三菱鉛筆の力を得て、どのように変化していくか楽しみにしています。

たしかに近年のラミーは苦しんでいたように見えました。

新たに発売されるのは定番品の色違いの限定品ばかりで、それらもマンネリ化していてすごく欲しいと思うようなものは少なくなっていました。

シャープで先鋭的なデザインは当時は新しく見えたけれど、定番として存在するだけで、テコ入れされず古臭く見え始めている。

サファリは安価な万年筆の中の名品で、たまに使うとやはり良いと思うけれど、以前はサファリの独壇場だったこの分野も、カヴェコなど魅力的なライバルが次々と誕生して、サファリはなす術もなくシェアを奪われていたように見えました。

こうして見ると、近年のラミーは相当に苦しんでいたように思えます。三菱鉛筆はそのテコ入れが大変だと思うけれど、ラミーの良さを生かした、世界を驚かせ楽しませてくれるモノを発売してくれると思っています。

新生ラミーが本格的に動き出すのは来年1月からです。

ラミーのモノ作り哲学の言葉とそれを実践したペン作りが好きで、とても面白いと思っていますので、当店もラミーに力を入れていきたいと思っています。

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