革小物の手入れはなかなか疎かにしがちですが、してみると楽しいものだといつも思っています。
わりとすぐにきれいな艶を取り戻してくれるということも楽しい理由かもしれません。
特にブッテーロ革は、手入れをしているのとしていないのとではその様相は大きく違い、手入れをすることで非常に美しく仕上げることができます。
ル・ボナーの松本さんから教わりましたが、油分を多く含んでいるブッテーロ革にはオイルを加える必要はなく、ブラシ掛けか革用の布で磨く。あるいは傷が激しく目立ってきたら濡らした布を堅く絞って水拭きするというのが適したお手入れの仕方です。
私が最近気に入っているのは革用のブラシを掛けることで、ブラッシングすることで光を帯びたキラキラした粒が立ったような表面になりとてもきれいです。
ブラシ掛けでも布で磨いても傷が消える、あるいは目立たなくなるのもブッテーロの特長です。
ブッテーロの革質はコシがあって、張りが出るので厚く使えば丈夫な革製品を作ることができるというところもあり、その良さを生かしたもののひとつにル・ボナーの3本差しと1本差しのペンケースがあります。
万年筆が好きになったからこのペンケースを作ることができたのか、このペンケースを作りたいから万年筆に傾倒していったのか分らないけれど、万年筆好きの鞄職人として有名なル・ボナーの松本さんが鞄作りでも持ち続けているこだわりで作ったペンケースです。
全部分厚めのブッテーロ革を背中合わせに2枚重ねに貼り合せていますので、かなり硬く中のペンを保護してくれる頑丈な構造になっています。
フラップ部も最初は硬めで、馴染むのに少し時間がかかるけれど、それは頑丈さの表れだと私は好感を持っています。
ペンケースには様々なものがあって、ギュウギュウとたくさんの荷物がひしめく鞄の中に安心して放り込めるのはこのペンケースだけだと思っていて、持ち運び用のペンケースとして頑丈さと手入れのしやすさを持った安心して使うことができるものです。
3本差しならペリカンM800やモンブラン146などのレギュラーサイズのものまで、1本差しにはドルチェビータピストンフィリング、モンブラン149、ペリカンM1000などのオーバーサイズのものまで収納することができます。
このペンケースが発売されて5年が経ち、それは当店が開店した年月と重なります。
開店したばかりで、オリジナル商品や特徴に乏しかった当店において、このペンケースは六甲アイランドのル・ボナーさんか当店にしか置いていない言わばオリジナル商品で、このペンケースを目指して当店に来られたお客様も少なくありませんでした。
ル・ボナーさんにとってこのペンケースはなくても困らないものだったけれど、当店にとってはこれがない状態は考えられないものだった。
開発にお金や労力もかなりかかっているし、希少な絞り技法を有する職人さんも探さなければいけなかったはずだけど、松本さんはそんなことを何も言わずただ嬉しそうにこのペンケースを紹介してくれて、全色1つずつ貸してくれました。
当店はこのペンケースと共に歩んで来たところがあり、個人的にもとても思い入れのあるもので、それらのことを私は忘れてはいけないといつも思っています。
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