季節の設え ペリカン特別生産品・クラシックM200 コニャック

季節の設え  ペリカン特別生産品・クラシックM200 コニャック
季節の設え ペリカン特別生産品・クラシックM200 コニャック

冬にあれほど生地の厚さや革靴にこだわっていたのに、夏には薄くて軽いものを好んでしまいます。
季節は、人の好みや感覚を全く別のものに変えてしまう気がします。

お茶のお稽古の時、先生が花入れに季節の花を生け、時候に合ったお菓子を用意してくれます。また、それぞれの季節ならではのお道具があって、それを使いこなすためのお点前がある。
そうやって冷房などなかった時の古の茶人はお客様に少しでも涼を感じてもらいたいと、工夫を凝らしたのだと思います。

そういった茶道具の季節の設えを万年筆に取り入れることができたらと常々思っています。
前述したように私たちは夏と冬とでは全く好みが変わっているので、今の季節には無意識に少しでも軽く薄い夏らしいものを選ぶのかもしれない。
万年筆メーカー各社が夏前にスケルトンモデルの万年筆を発売するのもそういったところからで、確かに暑い季節にキャップが金でボディが黒い重厚な万年筆は、手に取りにくいような気もします。

今年は万年筆の新製品の中で見るべきものが少なく、寂しく思っていましたが、ペリカンM200クラシックコニャックだけには期待していました。
色が薄く、軽いM400サイズのボディはなかなか渋い琥珀色とも言える色です。
夏らしいものと言うと、鮮やかな色のものが多いけれど、これは大人の夏の持ち物として相応しいのではないかと思います。

ペリカンの、比較的安価なこのタイプにつけられるスチールペン先は評判が良く、書き味の良さに加えて柔軟性のような粘りを持っています。
ペリカンの特長でもあるピストン吸入機構が透けて見えるのもスケルトンボディの良いところで、使っていて面白いし、機構や入ってくるインクが見えるということも何となく安心感につながるものです。
重厚で、ボディの重みで書けるようなものを冬に好む方も、夏にはこのようなシャツのポケットに差しても軽くかさ張らない、見た目も涼やかな軽快な1本に惹かれるのではないかと思います。

ドイツのメーカーがこのような絶妙な中間の色の万年筆を作ることに感心したというと失礼なのかもしれないけれど、大人のための夏の万年筆という趣のある、ペリカンM200クラシックコニャックでした。

ペンレスト兼用万年筆ケース新色発売と新ブランド“ドレープ”

ペンレスト兼用万年筆ケース新色発売と新ブランド“ドレープ”
ペンレスト兼用万年筆ケース新色発売と新ブランド“ドレープ”

3本のペンをかさばらずに収納し、使用中や机の上に置いている時はサッと取り出せて、持ち運ぶ時にはフタをかぶせればペンの落下を防いでくれる。
万年筆やペンを使う人の実状にあった、これ以上に使いやすい形はないと思えるペンケースが当店のオリジナルペンレスト兼用万年筆ケースです。
他にない形と機能の、当店のこのペンケースはもう3年カンダミサコさんに作り続けてもらっています。

一時、色ものもありましたが、最近はブラックばかりになっていました。
そこで当店の新ブランド発足とともにライムグリーンとライトレッドの外装で、それぞれ2種類の内装色のものを作りました。

シュランケンカーフのブラックも渋くて好きですが、この革の持ち味はその発色の良さにありますし、重厚でなく、かさばらないこのペンケースに女性の愛用者の方も多く、カラー展開を望まれていることも薄々気付いていました。

ここ最近当店は女性のお客様の来店が目立って多くなり、カンダミサコさんの商品や、ル・ボナーさんのデブペンケース、オリジナルインクなどをお買い求めいただいていましたが、女性に向けた商品をもっと充実させたいと思っていました。
今まで私の独断による男っぽいオリジナル商品ばかり作り続けてきて、それも当店らしさになっていると思っていますが、新たな展開も試みたいと思った次第です。
インターネットでお買い物いただいているお客様にはお馴染みの当店の女性スタッフ久保は、実はこの業界に23年いるベテランで、ステーショナリーと生活してきたと言っても過言ではありません。
万年筆に関しては私の倍、いや3倍の本数を所有していて、その内容は人が羨むものは必ず押さえているという、自分の世界に凝り固まっている私と違ってグローバルな視野を持っている。
女性目線での商品作りを目指して、新ブランド“ドレープ”を立ち上げることになりました。
ドレープは新しく始めるブログを中心に情報を発信して、その中でオリジナル商品、ドレープ的商品を女性の目線で紹介したいと考えています。
今回のペンレスト兼用万年筆ケースのライムグリーンとライトレッドは“ドレープ”の第1弾のオリジナル商品ということになります。

先日発売しましたオリジナルシステム手帳「コンチネンタル」は男性よりの今までの当店の流れの中にあるもので、コンチネンタルシリーズとして拡大していきたいし、ドレープももうひとつの当店の流れとして大きなものとして育てていきたいと思っています。
コンチネンタルとドレープという柱を2本立てることによって、試行錯誤していたものがよりすっきりとしたと思っています。

より多くの万年筆を使う人に当店と関わっていただきたいと考えた新ブランド“ドレープ”の立ち上げで、ドレープが当店をより楽しい存在にしてくれると思っています。

⇒Pen and message.オリジナルペンレスト兼用万年筆ケース(レッド・ライムグリーン)

WRITING LAB.オリジナル2本差しペンケース“ピノキオ”

WRITING LAB.オリジナル2本差しペンケース“ピノキオ”
WRITING LAB.オリジナル2本差しペンケース“ピノキオ”

余計なことを考えずにまず作りたいと思うもの、自分たちが使いたいと思ったものをどんどん作ってみる。
コンセプトとかターゲットとかさんざん考えてきた私たちが行き着いたやり方がWRITING LAB.の今の在り方で、今後の展開もあるかもしれませんが、今はひたすら商品をリリーズし続けたいと思っています。

商品を作る時の決め手は、それが好きかどうか、自分たちが嫌だと思うものは直感的に売れると思ってもやらないということは、WRITING LAB.を始めた時から変わっておらず、そんな我がままを通してきました。
市場の動向とか、顧客の要望(影響は受けているけれど)などを顧みて商品開発をするべきなのかもしれませんが、まず作りたいものを作るという、とても贅沢なことをしてきました。
今回は上着のポケットなどにも収まるペリカンM400が2本入るスリムなペンケース作りました。

M400やM700トレドやM101シリーズ、1931などのシリーズが入るジャストサイズのペンケースです。
何用という用途を限定したものをWRITING LAB.は好みます。
色々なサイズが入る、汎用性の高いものの方がもしかしたら売れるかもしれませんが、それにしか使えないというジャストサイズのものの方が使っていて楽しいと思っています。

フラップを閉じた状態ではシンプルな1本差しに見えなくもない大きさと薄さですが、中にペンを包み込む仕切りがあって、ペン同士が当たらないようにしています。
フラップの留め具のシンプルなギボシが人を食ったようなデザインで、ピノキオという名前はそんなところからつけています。
WRITING LAB.では今年のインクとして、ホーウィン社のコードバンのバーガンディカラーNo.8をイメージしたオールドバーガンディを発売していて、コードバン、それもホーウィン社のコードバンにこだわって使っていきたいと思っています。

ホーウィンのコードバンは、高級素材であるコードバンの中でも特別な素材で、力強い粘りの強さのような質感が感じられる、耐久性のある素材です。
使い込み、磨かれることにより、強烈な光沢を持ちます。
No.8はこげ茶とも赤とも言えない、場所によってムラがある複雑な色合いの素材ですが、好きな人はどんな革よりも強く惹かれるものだと思っています。

製作は今回もベラゴの牛尾さんが担当してくれています。
もちろんWRITING LAB.で話し合いに時間をかけて、図面を引き、紙で作ってみたりして牛尾さんにお願いしましたが、サイズ感、プロポーション、カットなど、牛尾さんのセンスが利いているものに仕上がっていて、その才能や丁寧な仕事、腕の良さに大いに助けられています。
派手なデザインや色ではない、とてもシンプルに見えるものだけど、作りも素材にもこだわっている、とても良いものができたと思っています。


⇒WRITING LAB.オリジナルインク オールドバーガンディ

1本を集中的に使う

1本を集中的に使う
1本を集中的に使う

私の個人ブログ一期一会「突然変わるペン先」(クリックで移動します)でも書きましたが、1本の万年筆をなるべく集中的に使った方が馴染みが早く、ある日突然訪れる劇的に書きやすくなる瞬間を感じられると思いますので、集中的に万年筆を使うことについて考えてみたいと思います。
万年筆を手に入れる時、ある程度の用途をイメージして選ぶと思いますが、馴染ませる時は用途を無視して、メモ書きでも手紙でも何にでも使って欲しいと思います。
立ったまま書くメモと、手紙を書く時では筆記角度が違いますが、それも気にせずに使う。
そうするとその万年筆は何にでも快適に使うことができる、より手に合った万年筆になってくれることをお約束します。

そうやって1本の万年筆を集中的に使おうと思った時、例えば3本差しのペンケースに万年筆を3本入れて持ち運ぶよりも、潔く1本差しのペンケースにその万年筆を1本だけ入れて持ち歩いた方がいい。
胸ポケットに差して使う方がすぐに取り出して使うことができ、尚良いですが、大きめの万年筆ではそういうわけにはいきませんので、ペンケースに入れて持ち運ぶことになります。
当店でも扱っている1本差しのペンケースは何種類かあって、それぞれ微妙に用途が違っています。

カンダミサコさんのペンシースは、万年筆を入れてそれだけで持ち運ぶというよりも、ペンシースをもっと大きなペンケースに他のステーショナリーと一緒に入れるようなイメージで、万年筆を使う人の実状に合っている、気の利いた小物です。
そもそものアイデアは万年筆用ではなく、もっと手軽なペンシルやボールペンなどを革のケースに入れたら気分が良いだろうと思って作られたそうですが、万年筆を使う人たちもその良さを認めて広まりました。
カンダミサコペンシースには、ペリカンM800くらいまでの太さのペンを入れることができます。

ル・ボナーさんの1本差しペンケースは、丈夫なブッテーロ革を2枚重ねして、型を入れて成形する独特の技法を使った構造で、当店では1本差しペンケースの定番的な存在になっています。
ブッテーロ革は磨いたり、使い込むことで艶を増す、革のエージングを楽しみやすい素材で、革の扱いを覚えるのにこのペンケースほどお誂え向きのものはないと思います。オマスパラゴンのような巨大なペンも収めることができます。

頑丈さ、そして日本製とは思えないイタリア的な趣を持った、シガーケース型ペンケースSOLOは、フィレンツェ伝統の型絞り技法で作られています。
木型に革を巻きつけて固めていく製法で、神戸の革工房イル・クアドリフォリオの久内夕夏さんが作っています。
革製であるとは思えない精度の高さで、モノとしての面白みもあります。
SOLOには、ル・ボナー1本差しペンケースよりも少し細めの内径で、ペリカンM1000までなら入れることができます。
万年筆を1本だけ持ち運ぶことをより楽しく演出し、中身を保護するというペンケースとしての実用性を備えたものをご紹介しました。

*来週は新作の2本差しのペンケースをご紹介いたします。

⇒カンダミサコ 1本差しペンシース
⇒ル・ボナー 1本差しペンケース
⇒WRITING LAB. イル・クアドリフォリオ製1本差しペンケースSOLO

司法試験の万年筆

司法試験の万年筆
司法試験の万年筆

試験が終ったばかりで何ですが、司法試験の受験生の方の使用頻度で1年ほど使われると、必ず自分の書き癖に合ってきて手離せないものになりますので、司法試験のための万年筆のお話をさせていただきます。

司法試験という数時間書きっ放しの過酷な状況に耐え得る万年筆を考えることは、どの万年筆が実用的に優れているかを考えることにも繋がりますので、試験を受けることが絶対にないような私たちにも無関係ではないのかもしれません。

何度も同じことを言っているので飽きてしまうかもしれませんが、司法試験を受験される方にまず候補に入れていただきたいのは国産の2万円クラスのものです。

それぞれのメーカーで書き味などに違いはあるけれど、書き味の良いペン先、適度な太さと良いバランスのボディから長時間の筆記に向いているセーラープロフィット21、パイロットカスタムヘリテイジ912などの万年筆がこれにあたります。
字幅はF(細字)かMF(中細)辺りが7mm罫の答案用紙に合っていると思います。
これらの国産2万円クラスの万年筆は機能的には完璧だと思っていて、日本の万年筆メーカーの良心が感じられます。

さらに上を言うとペリカンM800というものがあります。
値段は5万円もしますので、何か贅沢品のような、見栄えやステイタスで持つもののように思われるかもしれませんが、書くということを突き詰めた、性能を追究した万年筆だと思っています。

太く、重くさえ感じるボディは長時間書くことにおいて最も楽に使うことができるバランスですし、とても硬いペン先はやはり何も気にせず書けて、書くことに集中できる。
ペリカンのペン芯の性能は多くの人が認めるところで、インクによる出方の違いが少なく、いつも潤沢にインクをペン先に送ってくれますので、早いスピードで書いてもついてきてくれます。
字幅はEF(極細)を選択すると司法試験の答案用紙にも使うことができます。

ただ、上記の万年筆は正しい書き方においての話になります。
私は万年筆はただの書く道具なので、使われる方の書きたいように使えばいいと基本的には思っているし、1から10まで決めてしまうようなことは好きではないけれど、万年筆の道理のようなものがありますので、お伝えしようと思っています。

万年筆は紙にペン先を置くだけでインクが出てくれるので、書くのに力が要りません。
力が要らないので、長時間書いても手が疲れが少ないということになります。
力を抜いて書くのにペリカンM800の重さ30gというのは一番適度な重さですし、ボディの直径13mmというのが一番力を抜きやすい。
そういう書き方をすると一番バランスの良い万年筆というのが、上記の万年筆ということになります。

キャップを外して強い筆圧で書く場合、万年筆の黄金バランスはそれほど関係なくなりますので、この正しい持ち方、書き方ができるかで選ぶものが変わってきます。
ボールペンでペンの下の方、非常に紙に近いところを握って書いた方が書きやすいという人がおられますが、そういった紙の近くを持ちたい人はペン先の大きな万年筆は持ちにくく感じることがありますので、ペン先が小さめな万年筆をお勧めします。

パイロットカスタムヘリテイジ91、セーラープロフィットスタンダード21などの国産の1万円クラス、ペリカンM400、M600辺りが良いように思います。
司法試験の受験生の方の中には、乾きの早いインクを好まれる方もいて、その場合顔料系インク(普通のインクは染料系インク)を使うことになります。
乾きが早いということはペン先でも乾くのが早いということになりますので、扱いには注意が必要です。
顔料系インク「極黒」をカートリッジで発売しているのがセーラーで、それを使えるメリットがあるのはセーラーのプロフィット21、プロフィット21スタンダードになります。

万年筆を司法試験やその勉強で使うメリットは、手が疲れにくく、早く書けるというのが一番の理由ですが、書き味が良いので書くのが楽しくなるということもあります。
いずれの万年筆を選ばれても、それぞれの方に合わせた調整をしてお渡ししますので、それで少しでも勉強が楽しくなればと思っています。

⇒パイロット カスタムヘリテイジ912
⇒セーラー プロフィット21
⇒ペリカン M800

胸ポケットに万年筆

胸ポケットに万年筆
胸ポケットに万年筆

靴や時計は、良いものを身につけていると一目でそのこだわりが見る人に伝わるものだと思いますが、万年筆には気付かない人が多いかもしれません。
それは少し寂しいことではあるけれど、でもさりげなく自分の主張を込めた万年筆を胸ポケットに差すことは、書くことを大切にしている私たちにとって最もお洒落なことだと思っています。
また、たまにそれに気付いてくれる同志の人に出会うこともあるかもしれませんので、ぜひ胸ポケットに万年筆1本差して欲しいと思っています。

毎月1回第3木曜日に「コラージュで手帳を彩る」という教室をしています。
その時のために切り抜きを用意しておいたのですが、その中にアインシュタインが椅子に座ってパイプを燻らせている写真がありました。
どの年代に撮られたものかは分かりませんが、上着の胸ポケットには30年代後半から40年代のペリカンが差さっていました。
それはとても自然で、日常の道具としてそこに存在しているようで、アインシュタインはきっと良いアイデアが浮かぶと、ポケットに入っているレシートとか、その辺りにある紙切れに、そのペリカンで乱暴に書きとめたのではないかと思わせてくれる写真でした。

さりげなく、とてもサマになっているアインシュタインのポケットに差したペンはただの筆記具ではなくて、あまりにも雄弁にその人の生き方を表しているようなものに思えました。
自分もこんなふうにペンを使いたい。
たとえ書くものが宇宙の構造を読み解く数式ではなくて、ブログの下書きだったとしても。
アインシュタイが胸ポケットにさしていた万年筆と形が近いM101を紹介する手もありますが、他にも 胸ポケットに差してサマになる万年筆というのがあると私は思っていて、それは本当に私の独断と偏見になってしまいますがお付き合い下さい。

クリップの形とボディの長さ、そして雰囲気などから胸ポケットに差して美しい万年筆の筆頭はアウロラオプティマだと思っています。
クリップはエレガントなカーブを描いて細くなり、先端の丸い部分に自然につながっていく大変色気の感じられるものだし、ボディは太目だけどキャップを閉めると長さは短くなります。
上着の胸ポケットにさして、これほど座りのいい万年筆はないと思っています。
クールビズになっていて、シャツで仕事をしてもいい状況でしたら、ミニオプティマでもいいかもしれません。

シャツのポケットの方が底が浅いし、生地が薄く柔らかいので軽い方がいいのでなるべくならミニペンの方が都合がいい。
アウロラオプティマにもミニオプティマにもリザーブタンクがついていますので、外出時のインク切れでも困らないし、そういうところも胸ポケットに差して持ち出すペンに向いているとも言えます。

ペリカンM400は生まれついての胸ポケットに差すペンで、この万年筆は胸ポケットに差して使ってこそその真価が発揮されると思っています。
書くことだけを考えると適度な重量のあるM800の方が書きやすいに決まっていますが、胸ポケットに差して、出先で不安定な状態で書くなどというシチュエーションの場合、M400のサイズが最も使いやすいのです。
クールビズになると、M400のままでも充分対応できますが、M300というミニペンもありますので、半袖のシャツの胸ポケットにM300を差してみてほしいと思います。

当店が提案する胸ポケットに差す万年筆はお洒落のアイテムというデザインだけのものではなく、実用からそのペンを胸ポケットに差すペンとして選んでいる、万年筆を理解している選択だと思っています。

⇒アウロラ(ページトップへ)cbid=2557105⇒アウロラ(ページトップへ)csid=2″ target=”_blank”>⇒アウロラ(ページトップへ)
⇒ペリカン(ページトップへ)cbid=2557105⇒ペリカン(ページトップへ)csid=6″ target=”_blank”>⇒ペリカン(ページトップへ)

SMOKEペンテーブル/ペンカウンター:万年筆の文化の中にあるもの

SMOKEペンテーブル/ペンカウンター:万年筆の文化の中にあるもの
SMOKEペンテーブル/ペンカウンター:万年筆の文化の中にあるもの

趣味の文具箱vol.29の巻頭で紹介していただいて、華々しく世に出ることができた家具工房SMOKE(スモーク)のペンテーブル(5本用)とペンカウンター(3本用)。
こちらは多くの方にご予約をいただき、お渡しまで長くお待たせしてしまいましたが、SMOKEの加藤亘さんの製作が徐々に早くなったこともあって、やっと安定供給することができるようになりました。
ペンテーブル/ペンカウンターは、ペンを美しく飾るためのものと、その姿から感じられる方もおられるかもしれませんが、私は万年筆を楽しみながらも実用の道具を活用するための用と美を兼ね備えたものであると思っています。

当店で6月8日(日)まで開催の「手帳のある風景」の写真展は、どの写真もこだわりと各人の仕事と生活を支える空間が映し出されていて大変面白い。
必要な道具である、手帳と万年筆がある机上の風景を見ていて、この中にペンテーブルやペンカウンターがあっても全く違和感はなく、大切にしている作業をより快適にしてくれる道具入れになってくれる気がします。

それらの写真の中にある万年筆は、ボディの美しさが目立つ万年筆よりも、質実剛健な万年筆、ペリカンのものや国産の万年筆が多く見られます。
きれいなボディのイタリアの万年筆をペンテーブルに飾るような使い方が、当初販売者である私たちWRITING LAB.がイメージした使い方でしたが、もしかしたら日本製の道具然とした黒いボディの万年筆をこれらに立てて、机上に並べて道具とするのが、製作者であるSMOKEの加藤氏がイメージした使われ方なのかもしれません。

このペンスタンドの原型となるものを見たのは、靴・革小物イル・クアドリフォリオの久内さんの工房でした。

シガーケース型ペンケースSOLOのパティーヌ作業が出来上がったものを並べておくためのスタンドとして、加藤氏が久内夕夏さんのために作ったもので、それは家具作りの技術で装飾が施されていましたが、久内さんの工房で道具として存在していました。

国産の黒ボディの万年筆を私は若い頃、もっとデザインをがんばったらいいのにと思っていました。
しかし、それは若さ故の偏った見方だと最近思うようになりました。
国産の黒万年筆は、初見でのインパクトや一時の楽しさよりも、長く使って飽きないということや、使い手がどの年代になって、もっと年老いていっても気後れせず、さりげなく使うことができる普遍性を考え抜いたものではないのかと今では思っています。

新品の状態よりも、使い手が10年、20年と使っていくことを考えているところが、とても万年筆的だと思いますし、それが万年筆の文化だと思います。
万年筆の仕事をしてきて、万年筆はペンそのものだけでなく、その周辺のものであるインクや革製品、紙製品そして木製品をも巻き込んだ万年筆という文化の中心にあるもので、万年筆という文化には、他の製品にない価値や流儀のようなものが存在していると気付きました。
特に華々しく取り上げられることはないけれど、誰もが1本は持っていて、実は一番よく使っている定番の万年筆、パイロットカスタム、セーラープロフィットなどを機能的に、でも少し楽しむ要素を加えて使うことができるものが、スモークのペンテーブル/ペンカウンターだと思います。

⇒SMOKEペンテーブル
⇒SMOKEペンカウンター

WRITING LAB.オールドバーガンディインク

WRITING LAB.オールドバーガンディインク
WRITING LAB.オールドバーガンディインク

WRITING LAB.で今年のインクとして、オールドバーガンディを発売しました。
オールデンの靴の代表的な素材として有名なコードバンの革のバーガンディ(No.8)をモチーフとしたインクです。

No.8は黒っぽい茶色ですが、その中に赤色があるなかなか複雑な色で、コードバンのこの色を好まれる方は多いのだと思います。
新品の状態よりも履き込むほどに味わいを増し、履きシワがこんなに美しい革は他にないのではないかという人もいます。
オールデンの靴は不思議な魅力を持っていると、一度履いたことのある人の多くは思うようで、何人かの方と同じような話をしたことがあります。

ステッチが多少不揃いだったり、ストームウェルトが途中で切れていたりと、細部を見ると適当だったりするけれど、履いてみると柔らかで裸足で歩いているように感じられるソールや足を包み込むようなアッパーのフィット感、そして靴そのものの佇まい。
魅力に溢れた靴で、それはもしかしたら他のものでは代わりがきかないのではないかと思ったりします。

私自身は万年筆のインクの色には実はほとんどこだわりがなくて、それは万年筆を気持ち良く書かせてくれるためのオイルのようなものくらいにしか思っていませんでした。
日常使いの色はブルーブラックばかりで、それはこだわっているように見えるかもしれません。
でもそれは手帳をいろんな色で書きたくないというだけで、ブルーブラックが特別好きというわけでもなく、黒ではつまらないし、でも派手な色は使いたくないということで使っていただけでした。

お客様に手紙を書くことも多いのですが、それもやはり常識的な色と自分で勝手に決めてブルーブラックを使っていました。
しかし、デルタコサックの派手な1KSを使うようになって、ボディの色とインクの色を合わせてみたい衝動にかられました。
コサックの赤色に合わせてインクを使ってみたいと思った時、気に入っているオールデンのコードバンの色、ライティングラボのオールドバーガンディを使いたいと思いました。

オールドバーガンディでお客様に手紙も書くようになりました。
最初、失礼ではないのか?となかなか勇気が要りましたが、お送りしたお客様にはなかなか好評で、良い色なので何のインクか教えて欲しいと問い合わせをいただき、気を良くしています。

年をとると派手な色を好むようになるというわけではないと思いますが、こういう色を使いこなす大人に、何となく憧れていたことを思い出しました。
でも以前の私では、まだまだ若造が粋がっていると思われるのがオチだったと思うので、やはり年をとったということなのかもしれません。

⇒WRITING LAB.オリジナルインク「オールドバーガンディ」

ラミーサファリ2014限定色 ネオンコーラル

ラミーサファリ2014限定色 ネオンコーラル
ラミーサファリ2014限定色 ネオンコーラル

万年筆は書く楽しみを教えてくれるものでもありますが、万年筆の物作りを知ると、それだけではないのだと思います。

例えばパイロットの万年筆はどれもペン先の寄りが強い。
ペン先の寄りというのは、切り割りを中心としたペン先の左右の寄り添い加減のことで、これが離れていると毛細管現象が働きにくく、インクがペンポイントに達しようとする力が弱くなって、書いているうちにインクが途切れたり、書き出しが出なかったりします。
逆に寄りが強すぎてもインクの出が悪く、ペン先が硬く感じられます。
パイロットの万年筆はこの状態のものが多いですが、パイロットインクはサラサラした性質なので、ある程度寄りを強くしてもインクが出てくれるし、多少インクの出に不満を持っていたとしても使い込むと気持ちよくインクが出てくれるようになります。

近年書く人の筆圧がボールペンに慣れているせいか、以前よりも強くなっていて、寄りが弱いとペン先が開いてインクが途切れたり、強い引っかかりを感じたりすることが多い。それを防止するために、パイロットは敢えて寄りを強くしています。

筆圧軽く書く人が他社のインクを使って書く場合は、寄りを弱くするというペン先調整が必要になりますが、こういう人が多い事を想定してペン先をセッティグしていることを知ると、信念のようなものを感じました。
狙い(ビジョン)があって、初めてもの作りをする。信念が貫かれるのだと思いました。

万年筆の物作りには、わりと明確にこういったポリシーのようなものがあって、誰にでも売れればいいというものにせず、信念が貫徹されている。
ラミーサファリにもそれがあって、比較的安い価格の中に、万年筆を使い始めた子供たちでも簡単に扱えるような工夫が色々盛り込まれています。

正しく握ることで、ペン先の書きやすいところが紙に当たるようになっている、持ち方を教えてくれるグリップ。
インク残量やインクの色を確認することができる、ボディに空けられた窓。
キャップを付けずにボディだけを机に置いても転がらないように配慮された、平面のあるボディ。
鞄のストラップにも挟むことができる頑丈なクリップ。
カートリッジは首軸に置いて、ボディを閉めるだけで差さるようになっているなど、その機能の全てが、万年筆の使い方を覚えようとしている子供たちというターゲットに向かっている。

その仕事に美しさを感じるし、茶道の全ての所作、道具などの設えはお客様に美味しいお茶を飲んでもらうことという目的に向かっているという、長く続くものにある筋の通った気持ちよさをサファリにも感じます。

万年筆を初めて使う人に勧める万年筆として、金ペン先の万年筆を勧めたいといつも思うのは、万年筆らしい柔らかい書き味を味わったら、その人は万年筆を好きになってくれてこれからも使い続けてくれるのではないかと思うからです。
しかしサファリも、初めて使った人が万年筆のことを好きになって、これからも万年筆を使うように仕向けてくれるものだと思います。
私たち、ある程度万年筆を使っている者は、自分がそうであったように、万年筆を使うことで人生が良くなる人を増やすことに貢献しないといけないと思うし、そこまで言わなくても、万年筆を使うように勧めることで、その人の毎日の中に書くという張り合いを持ってもらうことができます。

万年筆を使う人を増やすための私は店をやっていて、サファリはその目的のために外すことのできない、当店の貴重な定番商品になっています。
毎年発売される限定色はサファリを勧めやすいものにしてくれています。

*画像は2013年の限定色ネオン(蛍光イエロー)とネオンコーラル(蛍光ピンク)です

革の下敷き完成

革の下敷き完成
革の下敷き完成

当店でのイベントの企画やオリジナル商品の企画があって、WRITING LAB.でもオリジナル商品を企画しているので、それらを綴じノートに記録して時系列に流れていってしまうと、どんな話をした?とか、あの時どうだったか?とかということが多々あって、それぞれを項目ごとに整理して管理する必要性を感じました。
当店で先ごろ受注を始めましたシステム手帳は、内容を項目ごとに分類することができるので、複数ある同時進行していくプロジェクトを把握することができます。
システム手帳を使わずに、これらを管理する手法としては複数のノートや手帳を使い分けるということになります。
小学校で習ったノートの使い方のように、プロジェクトごとにノートを変えられるように、WRITING LAB.で薄型ノートを作っています。
B6ダイアリーの後ろに挟むことができるように表紙を少し狭くして、薄くしています。
ちょっとしたことですが、システム手帳に代わるものを提案できるとしたらこういうものになると思っています。

オリジナルの正方形のダイアリーもあるので、小さな1軒の店で3種類のサイズ、形態のノート/ダイアリーを提案していることになりますが、これは当店の万年筆で書かれるものへのこだわりと探究心の強さの表れだと思っていただければ幸いです。
ライティングラボのB6ノートの世界をさらに充実するために、革製の下敷きを作りました。

B6カバーでも使っているブライドルレザーとナッパCB革を薄く剝いて、背中合わせに貼り合わせています。
B6のダイアリーやノートに挟んで、下敷きに使ってもらうつもりで作りましたが、こういう革のマットはなかなかあると便利だと思っています。
ペンを扱っている私たちがいつも気にしているのは、ペンを直接硬い机の上に置きたくないということです。

自分で使っている万年筆もなるべくなら直接机におきたくない。ペンケースに収めないのであれば、ダイアリーなどの上に置くようにしています。
こういうものを少し仮置きするのにも革のマットがあればとても便利で、出先ではこのようなサイズの下敷きは重宝するのではないでしょうか。

革のマットということで、カンダミサコさんが作っているブッテーロ革のデスクマットも出来上がっていて、当店の万年筆で書くためのものが充実してきました。



⇒カンダミサコ ブッテーロ革デスクマット