刑事(デカ)手帳とLiscio-1・M5リフィル

久しぶりにM5サイズのオリジナルシステム手帳を作りました。

今まではどちらかと言うと遊び心のあるものを作っていましたが、今回は徹底的に道具として使うM5手帳にしたいと思いました。

リフィルよりも少し大きいだけのコンパクトさで、ベストやシャツの小さなポケットに入るものにしました。

革は万年筆レザーケースLで既に使っているゴート茶利革です。しっかりとした質感の革で、水分や傷に強く、道具として使うのにとても良い革です。

表紙は硬く180度平らに開くようになっていますので、立ったままのメモ書きもやりやすいと思います。

人の話を聞きながらメモをとる時、大きなノートを広げて書くのはなかなか憚られるものですが、手の平に収まるこのサイズの手帳ならサッと出してさりげなく書くということがとてもやりやすいと思っています。

それら全てを表現する言葉として刑事(デカ)手帳という名前がピッタリだと思いました。

当店は兵庫県警察本部のすぐ近くにあるので当然警察関係のお客様もおられ、中にはM5手帳を長年愛用している方もおられました。そんなイメージから出来上がった手帳でした。

M5手帳というと趣味性が高く、便利な機能が付いているものが発売されるようになりましたが、そのサイズを生かして道具に特化したものを作りたかった。

オリジナルのM5用リフィルは以前から販売しています。シンプルな方眼罫のリフィルですが、4mmという方眼のサイズ、罫線の濃さなどとても使いやすいレイアウトのものだと自信を持っています。

このリフィルにはディバイダ―を2枚付属していますので、それを手帳の最初と最後に綴じていただくとより書きやすくなります。

用紙は万年筆での極上の書き味を持った、Liscio-1(リスシオワン)紙を使っています。この紙は数年前に廃番となっていますが、オリジナルリフィルは大量に作りましたので、当分は安心してお使いいただけると思います。

オリジナルではディバイダ―も販売していますが、見出しはなく少しだけ厚手の紙を使って、めくる時に指に掛かるように企画しています。刑事手帳は本体がリフィルに近いサイズなので、仕切りたい場合などにちょうど良いと思います。

先日の10店舗が集まった仙台でのイベント「文具事変in仙台」で一緒に出店していた、革工房ブランドのLemma(レンマ)さんが縫製してくれています。

Lemmaさんは、美しくしっかりとした仕事をして下さるので、自信を持ってお勧めできます。シンプルで上質な革を使った実用的な手帳、実は意外と少ないのかもしれません。

⇒オリジナル 刑事(デカ)手帳 ゴート茶利革/M5システム手帳

オリジナルM5リフィル4mm方眼罫リフィル(Liscio-1仕様)

⇒オリジナルM5リフィルデバイダー

~イタリア限定万年筆黄金時代のモノ作りを再び~マイオーラ~

イタリアデルタ社は1982年に創業して、1990年代中頃から2000年代はじめまでのイタリア限定万年筆ブームをビスコンティ、スティピュラとともに牽引しました。

映画「クローズドノート」では主人公がデルタのドルチェビータ万年筆を使っていたということもあって、ドルチェビータは大ヒットしました。

そんなデルタ社も2018年に社内の紛争などが原因で操業できなくなってしまいました。

当時のデルタの社長ニノ・マリノ氏は何とかデルタを復活させたいと奔走し、2022年に再開した会社がマイオーラでした。

当時は権利の関係で、社長のニノ・マリノ氏でさえもデルタという社名を使うことができませんでした。そこで再スタート成功の願いを込めて、新たにマイオーラという名前をつけました。

マイオーラでデルタ再興を願ったニノ・マリノ氏でしたが、立ち上げ後も資金不足で苦しんでいました。しかし近年出資者が現れて,マイオーラの他に、よりデルタに近いブランド名D-Nも立ち上げています。

今回ご紹介しますマイオーラの筆記具は、デルタの元社長ニノ・マリノ氏がもう一度最もイタリアらしい万年筆メーカーだったデルタを復活させたいと夢を持って取り組んだ最初のシリーズでした。

デルタ復活を願って作った最初のペンだけあり、イタリアらしさに溢れたものだと思います。中でもコスティエラは日本限定で、ボールペンは55本、万年筆は20本のみの生産数となっています。

今ではもう手に入らなくなった美しい色柄の軸。クリップ、キャップリングなど金具の作り込み。妥協なくできることは全てやったと言わんばかりのモノ作りの情熱が感じられるイタリアらしいと思えるペンに、遅ればせながら出会うことができました。

あまりにきれいなペンで、その美しいペンを当店のお客様に今更ながらご紹介したいと思い、今手に入れることができるものだけでもと仕入れました。

万年筆はカートリッジ・コンバーター両用式、ボールペンはG2規格(パーカータイプ)芯のオーソドックスな仕様です。

この美しい軸の万年筆かポールペンをバゲラクラスの手帳のペンホルダーに挟んで使いたい。そう思うモノはなかなかないと思います。それほどモノの力を持ったペンだと思います。

⇒マイオーラTOP

綴り屋万年筆とペン先の研ぎの時代

綴り屋さんのアーチザンコレクションと静謐が久々に入荷しました。そして今回は、昨年受注製作した朧月万年筆の予備パーツを使って2本だけですが朧月も入荷しました。

今回入荷した朧月には色が濃いものと薄いものがあります。
濃いものは8月に受注製作を承ってお作りしました色と同じで、薄い方はその時よりも薄い色になります。

今回から、静謐・アーチザンコレクションの尻軸の形が変更されていて、キャップポストをした時の安定感が増しています。少しずつこういう改良が常に加えられて、進化しています。

綴り屋さんのペンはデザインも雰囲気ももちろん素晴らしいですが、作り手の鈴木さんのより良いものを作るという意気込みと修理の対応の早さが私たち売り手にとっては頼もしく、安心して販売することができています。

オリジナルのペン先があって、それを調整して販売している当店にとって、綴り屋さんの存在は本当に有難い。当店の東洋風の鳳凰のペン先と、綴り屋さんの軸の雰囲気の相性は良く、図柄もサイズ感も合っていると思っています。

もともと綴り屋さんの軸に付けたいと思ってオリジナルのペン先を開発したという経緯がありましたので、それも当然かもしれません。

ペン先調整だけでなく、オリジナルの研ぎを追究するためにもオリジナルペン先は必要でした。

古い万年筆のペン先を見たり、お客様の要望をお聞きしているうちにするようになったのが三角研ぎです。

三角研ぎ(M)

書く文字への効果は、寝かせ気味にして書くと太く、立て気味にすると細く書けて、漢字など日本の文字を美しく表現できるというものです。

研ぎをする場合、私は書き味の次にその造形の美しさにもこだわりますが、三角研ぎは名前の通り三角の形とメリハリのある線を描くことができるという、実用性と造形の美しさを両立した研ぎだと思っています。

これはどの字幅にも出来る研ぎで、太字だと万年筆でありながら筆ペンのような文字を書くことができ、細字でも線のキレの良さを感じられると思います。

そして最近始めた研ぎで、上弦の三角研ぎというものがあります。

筆記角度を変えた時の変化は三角研ぎよりも少しマイルドで、線の変化も緩やかになります。そのため自然に使いやすく、様々な角度、ペン先の向きで書き味良く使っていただけると思います。書き味と造形の美しさを高い次元で両立するように研いでいます。

古くからあるペン先の研ぎ方で長刀研ぎというものがあります。この長刀研ぎに脚光を当てて、研ぎを前面に出したのがセーラー万年筆の伝説の職人長原宣義先生でした。

長原先生への憧れもあるけれど、私達調整士は研ぎについて考えると、いつか長刀研ぎというものと向き合うことになります。それぞれの調整士が長刀研ぎを自分たちなりに使いやすく表現したものがあって、当店ではそれがこの上弦の三角研ぎなのだと思います。

私は若い頃から万年筆のペン先をルーペで見るのが好きで、本当に色々なペン先を見てきました。

たくさんのペン先を見るうち、いくつものパターンの理想的なペンポイントの形が自分の中ではっきりしてきました。ペン先調整はそれを再現することだと思っています。

研ぎを表現したり、調整で理想的な形、書き味を再現するためにペン先調整をすることは好きでしています。気が付いたら自分が惹かれていた研ぎの微妙な違いを示しながら研ぐことも珍しいことではなくなっていました。

私と同じ仕事をする若い人たちが出てきて、ペン先調整も特別変わったことではなくなってきています。ここまで時代が進むとは思っていませんでしたが、こういう万年筆の面白さのあり方、示し方は自分も求めていたことで、同業の人たちとお互い切磋琢磨していきたいと思っています。

⇒綴り屋TOP

⇒オリジナルペン先研ぎ、筆記見本

ペンラックスフェア 4/1~5/6

PENLUX グランデ ウェーブスカイブルー

作家呉明益氏の「自転車泥棒」という小説が好きで、その世界観に浸りたくて何度も読みました。台湾文学の名作として有名な小説なので、ご存知の方も多いかもしれません。

台湾の小説家は他に好きな人がいます。文学に限らず台湾は独特で繊細な文化を生み出す場所だと思っています。

蓮見恭子先生が当店を取材して書かれた、神戸の万年筆店が舞台の小説「メディコ・ペンナ」が中国語に翻訳されて台湾でも出版されました。やはり本がよく読まれる国なのだと思います。誠品書店という有名な書店もあり、台湾に行った時は私も長居しました。

そんなお国柄なので、万年筆やペンのメーカーがいくつもあります。

当店でも、インキ止め機構を持つ遊び心のある万年筆を作るオーパス88と、ヨーロッパメーカーのOEMを長く請け負って技術力があるツイスビー、メーカーの枠を超えて様々な芯を使用することができるマルチアジャスタブルボールペンのアントウと、オーバーサイズの万年筆を手頃な価格で作っているペンラックスを扱っています。

4/1(火)~5/6(火)まで当店でペンラックスフェアを開催していますので、ペンラックスの充実したラインナップの万年筆をご覧いただけます。

そして期間中ペンラックスのペンをお買い上げの方には、水筒やペンケースが入る縦長の「PENLUXオリジナルバッグ」をプレゼント致します。

ペンラックスの特長は、モンブラン149などと同じ吸入機構を備えたオーバーサイズの万年筆を、美しくカラフルな軸色に繊細な装飾を施して、より魅力的な万年筆に仕上げているところです。

金ペン先もありますが多くはステンレスペン先で、手頃な価格にしていい万年筆をより多くの人に使ってもらいたいという、台湾メーカーらしい志を感じます。

ステンレスのペン先は、大きく柔らかささえ感じるものなので、滑らかに書けるように調整できますし、ステンレスペン先にもフレックス仕様があり、ステンレスペン先でありながらしなりを持つものもあります。

ペンラックスの吸入メカニズムは金属パーツで作られたしっかりしたもので、耐久性の高さもあり、長くお使いいただけるものになっています。

4/25(金)26(土)に開催される「文具事変in仙台」というイベントに、当店も参加します。

590&Co.さんが中心となって、交流のあるお店を集めた今までなかったタイプの文具イベントで、お客様方に楽しんでいただけるものにしたいと思っています。「文具事変in仙台」にもお持ちして、仙台にご来場のお客様にも調整済みのペンラックスを使っていただけるようにいたします。

⇒PENLUX TOP

万年筆趣味

人生の先輩方が、シニアリーグで野球をしているとか楽器を習っていると聞くと羨ましくなって、自分も老後に時間がでがきたら趣味に打ち込めるように、今から趣味を持ちたいと何年かおきに思います。

前回そう思った時、きっと自分は生涯仕事をしているのでそんな時間は一生来ないだろうという結論になり、何もしませんでした。

でも今回は少し成長していて、趣味を持つなら、団体行動が苦手な自分には一人でできる趣味の方がいいという結論に達しました。

たしかに自分は大勢での飲み会や打ち上げなどの席が苦手なので、趣味の集まりだとしても気が重くなってしまうことは予測できます。

590&Co.の谷本さんとは出張の時など一緒に食事をしますが、二人ともお酒を飲まないので気を遣いません。

話を戻すと、万年筆も野球や楽器と同じように趣味のものだと思っています。

たくさんの万年筆を眺めて楽しむ人もいれば、書くことを楽しみとしている人もいます。

当店のお客様は一匹狼的な、一人で行動することを好まれる方が多い印象を持っています。だから万年筆に惹かれているのかもしれませんが。

そうやって趣味について考えている時に、システム手帳を持ち歩いて、そこに細々と書き込むことを楽しみとしている人を続けてお見かけしました。

その人たちはそれを趣味にしているとはもしかしたら思っていないかもしれないけれど、自分が本で読んだことや、旅先について調べたこと、興味を持って調べたことを手帳にまとめて書いていて、そうすることを楽しんでおられました。

それを見ていて、手帳を書くということも趣味になり得るものだと思いました。

お二人ともバイブルサイズのシステム手帳を愛用されていました。たしかにある程度まとまったものを書くのであれば、バイブルサイズになるかもしれません。

バイブルサイズより小さくなると、持ち運びや外出先での書き込みにはいいけれど、私の場合は書ききれなくなることがあります。紙面が小さければ何枚にも渡って書けばいいのかもしれませんが、バイブルサイズに自分でも読めるかどうかギリギリの文字で書くくらいの方が、個人的にはページのまとまりもよくて迫力が出る気がします。

そんな風に書けるペンとなると、国産万年筆の細字以下の細さということになります。細かい文字で書くのならボールペンで書いても良さそうに思いますが、趣味で手帳を書くならぜひ万年筆をお勧めします。

万年筆のインクには不思議な力があって、書いて数年たったものには書いたばかりの時には見られなかった、紙の表面にとどまっていたインクが紙とひとつになったかのような馴染み感が生まれていて、まるで印刷したかのような風合いになっています。

全てのインクがそうなるのか分かりませんが、少なくとも私が手帳に使っているパイロットのブルーで正方形ダイアリーに書いたものはそんな風に見えます。

手帳に細かい文字などを書く場合、やはり硬めのペン先の万年筆が合っているように思います。それは筆圧の影響を受けずに揃った文字が書きやすいからです。

プラチナセンチュリー、パイロットカスタム742、743のPO(ポスティング)などは金ペン先の中でも硬めで、書き込む手帳にとても良いと思います。

またスチールペン先も硬めになりますので、スチールペン先も細めなら合っていると思います。

そうやって色々調べて書いたことをシステム手帳に書き残しておいて、何になるのかとよく言われるけれど、自分がいろいろ調べてまとめたページがあるということが嬉しい。

自分で見つけた研究テーマについていろいろ調べて考察する。そしてそれを手帳にまとめて書いておく。自分の考えの幅も広がるし、書くことも楽しい。

それが趣味というものだと思います。

オリジナルバイブルサイズシステム手帳オーガニックオイルドレザー×クロコベルト

パイロットキャップレス

パイロットカスタム742

パイロットカスタム743

プラチナセンチュリー3776

ペンを寝かせて置くもの、立てて置くもの

抵抗力が落ちていたのか、金属アレルギーが顔にも出てしまい、皆様にご心配をおかけしています。少しずつマシにはなっています。本当にありがとうございます。

調整士の方は、ペンを削った金属粉だけでなくインクも金属アレルギーの原因になるそうなので、気を付けた方がいいと思います。

店でお客様をお迎えして万年筆を選んでいただく時に使いたいと思いウォルナット革張りペントレイを作りました。

ペンが10本くらい並べられて、当店の試筆紙をちょうど納めることができるサイズで、シンプルで良いもの。

ウォールナットは家具職人であるSMOKEの加藤さんもよく使う素材で、派手な木目のある木ではありませんが、落ち着いた質感のある、こういうものを作るのに適した素材だと思います。

店の備品として試筆の際に使っていたトレイでしたが、お客様の需要もあるのではないかと、数年前から販売しています。

大切なペンを硬い机の上に直接置くのではなく、革張りのトレイの上に置く安心感は大いにあると思いますし、帰宅した時にポケットの中にあるものや時計を置くためのオーバーナイターとしても使うことができます。

前回のロットまで、内張りの革にブッテーロを使っていましたが、今回からベルマットという革に変更しました。

ブッテーロも使ううちに艶が出てくるとても良い革ですが、何かを置くためのトレイの革としてはもっとソフトで傷に強い革にした方がいいのかもしれないと思いました。

ベルマット革は革張りをしてくれているフリーススピリッツさんが革作りから関わっているフリースピリッツオリジナルの革で、派手さはないけれど、柔らかくて質感の良いていい革だと思います。

複数のペンを用途によって使い分けて書くようなときは、ペンを立てて置いておく方が道具として使いやすいと思います。

私はペン先を調整する時にいくつかの道具を使い分けていますが、それらの道具は穴の空いた木塊に立てて置いて使っています。

道具として立てて置くようになって、仕事の効率は格段によくなったと思います。

ペンを机上に立てて置くアイテムとしてペンテーブルとペンカウンターがあります。

ペントレーと同じSMOKEの加藤さんが作っていますが、どちらも家具職人である加藤さんが生み出した造形で、神戸家具の雰囲気のある完成されたものだと思っています。

大きく告知しなくても静かに売れ続ける商品があって、それは本当に商品力の高いものだと思いますが、ペンテーブルとペンカウンターもそういうもののひとつです。

ペンを寝かせて置くもの、立てて置くものもペンを楽しむためにあっていいものだと思います。

SMOKEウォルナット革張りペントレイ

SMOKE5本ペンスタンド「ペンテーブル」

SMOKE3本ペンスタンド「ペンカウンター」

Pen and message.システム手帳とiiroリフィル

休みの日専用のM6サイズのシステム手帳に、行った場所や行動などを時系列に箇条書きしています。ただの行動記録ですが、後から必要になることもあって、書いておくと意外に便利です。

元々休日をもっと楽しく、主動的なものにしようと思ってやり始めたことでしたが、気付くともう20年近く続けています。

最初の頃は綴じ手帳に書いていたけれど、車の整備記録、病院の記録、読みたい本のリストなど決まって書くことが増えていったので、ページが増やせて、それほどかさばらないM6システム手帳を使うようになりました。

私にとってはM6サイズがプライベートでは使いやすいけれど、バイブルサイズやM5サイズがいい人も当然おられると思います。

実は今、M5サイズのシステム手帳を開発していて、うまく行けば5月頃には出来上がるかもしれません。

当店のオリジナルシステム手帳のM6サイズは、サドルプルアップレザーとシュランケンカーフの2種類を販売中です。

これはオーソドックスなシステム手帳らしい美しいフォルムを持ったものを目指して作り始めたシリーズです。

サドルプルアップレザーはネットリとした風合いの濃厚な質感の革で、使い込むと良い艶が出てきます。

繋ぎ目のない表紙はサドルプルアップの手触りを楽しむことができて、いつまでも触っていたいと思わせてくれます。

シュランケンカーフは大人っぽい配色を意識して、長く愛用してもらえるものを目指しました。この革は柔らかく優しい手ざわりの最高級革で、いつまでもきれいなままで使うことができます。

オリジナルのバイブルサイズはベースをシンプルな革で、ベルトだけクロコ革にして少し華やかさを加えました。15mmリングの少しだけスリムな手帳ですが、ウィークリーダイアリーも1年分入ります。

企画時は正方形ダイアリーとの使い分けを想定して、原稿やアイデアなど書き溜めたものを持ち歩くネタ帳のような使い方をイメージしていました。

実際の私のネタ帳はとても薄くて、アイデアを出さないといけない時はやはり頭を振り絞りますし、定期的に決まって書いている原稿も、依頼が来てから考え始めます。

だから本当はこんなネタ帳をアイデアいっぱいにして持っておけたらと思います。

静かに艶が出てゆっくり変化するオリジナルのオーガニックオイルドレザーは、硬すぎず、柔らかすぎないちょうどいい手触りですし、欠品することが多いシュランケンカーフの在庫も今はあります。

大和出版印刷さんがDICカラーデザイン社さんと協力して50色のカラーバリエーションを持つノートiiro(イーロ)を販売されていますが、そのiiroのシステム手帳リフィル版が新たに発売されました。

片面にテーマカラーのドット方眼が印刷されていて、反対面は無地ですが表のドット方眼が透けて見えます。

紙はクセがなく、万年筆でも滑らかに書ける金菱を使用しています。それぞれの色にストーリーがあって、その色のある風景が目に浮かぶようです。

自分仕様の手帳を考えた時、選択肢はバインダー金具を装備したシステム手帳ということになります。

システム手帳はどう使っていいか分からないという人もおられますが、最初は好きな罫線や色のリフィルを挟んで、普通のノートのように使い始めるといいと思います。

⇒Pen and message. オリジナルシステム手帳バイブル(TOPへ)

⇒Pen and message. オリジナルシステム手帳M6サイズ(TOPへ)

⇒iiro システム手帳リフィル・バイブルサイズ

⇒iiro システム手帳リフィル・M6サイズ

⇒iiro システム手帳リフィル・M5サイズ

オリジナル万年筆のペン先コンチネンタル クラシックインスピレーション1985

オリジナル万年筆「コンチネンタルクラシックインスピレーション1985」(以下コンチネンタル1985)は、軸とペン先ユニットは別々に入荷します。

14金のペン先ユニットはペン先、ペン芯などもバラバラの状態で、ペン先は当店の基準に合うように研ぎ直し、ペン先とペン芯が密着するように調整しています。

一日中ペン先調整をしている日もありますが、調整したペンに喜びのお言葉をいただくと嬉しくて励みになります。私が当店を始めたきっかけはこういう生活がしたかったからなので、とても幸せなことだと思っています。

最近金属アレルギーになってしまい、メガネをかけてマスクをして調整するようになりましたが、それくらい何とも思いません。

オリジナル14金ペン先は、イリジウムの大きさが4種類入ってきて、その形をそのまま生かしたり、極端に細くして国産のF程度に研ぎ出しています。

FはパイロットのFのように細く丸いペンポイントに仕上げて、どの角度で書いても細く書けるようにしています。

イリジュウムの下の絞り込みが寝かせて書いても細く書けるポイントですが、海外の研ぎはたいていコレがありません。

海外のものは標準としたもので、立てないと細く書くことができませんが、書き味は良くなります。

三角研ぎは書いていて文字に変化が出るのでとても面白く、書くことを楽しむためのペン先だと思っています。普通の研ぎと筆記感、筆跡が違うと思っているので、F以上の字幅に三角研ぎも設定しました。

特に親指側(右利きの人は左側)にペン先をひねって書くと細い筆ペンのような文字を書くことができます。

ペン先の鳳凰の図案は、日本的なモチーフにしたかったのと、個人的に万年筆で最も大切なパーツであるペン先には神が宿るということをずっと信じているので、それもモチーフで表現したかった。

神が宿ると言っても特定の神様のことを言っているわけではなく、書き味の良いペン先には、日本人的な感覚の神様がいると思えるくらい他の万年筆とは違った書き味を持っているということを象徴的に表したいと思いました。

軸はレジンを扱うメーカーで廃番になっていたものを、この万年筆のために再生産してもらい製品化することができました。

今回の万年筆を吸入式にすることもできましたが、吸入式にすると軸が太くなりキャップの尻軸への入りも悪くなるので、コンバーター式にしました。

更に軸が透明の方が内部のインクを確認することができるため実用性が高いと思いました。琥珀模様の軸は透明でありながら質感の高さも併せ持ったものだと思います。

たくさんの字幅、ペンポイントの仕上げの違いがありますが、さらにスタブ加工や極細への研ぎ出しなど、オーダーも承ることもできますので(ご購入時のオーダー調整は無料です)、何かございましたらぜひお申し付け下さい。

オリジナル万年筆 コンチネンタルクラシックインスピレーション1985

レザーケースとLemma(レンマ)さん

先日、大阪本町で「&plus(アンドプラス)」という5社共同開催の出張販売をしました。

&(アンド)というイベント名で590&Co.さんと共同開催の出張販売をしていますが、5社共同開催というのは初めてでした。

それぞれが自店の顧客に来てもらって、いずれ相乗効果になっていければと思っています。

大阪や周辺地域のお客様にも来ていただけましたし、各出展者さんたちと有意義な話もできましたので、収穫の多いイベントでもありました。

今回出店して下さったお店の中の一つLemma(レンマ)さんは当店のオリジナルの革製品のほとんどを作って下さっている工房兼ショップです。

ショップ名はフリースピリッツですがイベントではLemmaのブランド名で参加されるそうです。

イベントでブースに立っておられた職人さん、藤原さんと鈴木さんはとても人当たりの良い方々で、お客様も直接職人さんとお話できて楽しそうにされていたので、本当に良かったと思います。お二人は腕も良くて誠実な仕事をして下さるので、レンマさんが作るものは安心してお客様にお勧めできます。

3年ほど前にクラフトフェアなどに行って、オリジナル商品を作ってくれる職人さんを探したことがありました。

色々なモノを見たけれどあまりピンとくる人が見つからず途方に暮れていました。

そんな休みの日、妻と乙仲通りをぶらぶらウィンドーショッピングをしていたら、以前少し交流があった雑貨屋さんのあった場所に、新しい革のお店ができていました。覗いてみると、以前から当店にも来られたことのある社長のお店だと分かりました。

すぐに連絡を取って、工房にお邪魔していろいろお話しさせていただいて、今に至ります。

色々探し回ったけれど、結局すごく近くで探している人は見つかりました。無理に見つけようとしても難しいけれど、お互いのタイミングが合えば自然と出会うことができるのだということを物語るような出来事でした。

Lemmaさんにお願いしているもので、シンプルだけど当店の品揃えの中で大切な存在のものが1本差しのレザーケースです。

万年筆店として必要な1本差しのペンケースについて考えると、このレザーケースのナイフの鞘のような形状に行き着きました。この形状だと革のホールドする力で自然にペンの脱落を防いでくれるし、しかも取り出しやすい。

レザーケースにはS、M、Lという3種類のサイズがあります。

Sはボールペンやシャープペンシルなど、細めのペンをしっかりとホールドしてくれ、ペリカンM400などの小振りな万年筆も収納できます。

Mサイズはレギュラーサイズ用に作りました。ペリカンM800、プロフィット21などが収納できます。

レザーケースLはペリカンM1000、モンブラン149が入ります。当店オリジナル万年筆コンチネンタルクラシックインスピレーション1985もLサイズにピッタリ入ります。

レンマさんとは4/25(金)26(土)に仙台青葉の風テラスで開催される「文具事変in仙台」というイベントでもご一緒します。

「文具事変」は当店とLemmaさんの他に、590&Co.さん、土橋正さん、樂さん、Tagステーショナリーさん、ラダイトさん、Things n Thanksさん、Castinさん、北晋商事さんが参加されます。

そして10月には590&CO.さん、Lemmaさんと三社合同の&plusを予定しています。

レザーケースLオーガニックオイルドレザー
レザーケースLゴート茶利革
レザーケースMサドルプルアップ
レザーケースMドーフィンレザー
レザーケースSドーフィンレザー

~価値観の転換~スチールペン先のパイロットキャップレス

香水が少なくなってきたので新しいものを買おうと思ってお店に行ったら、以前よりかなり値上がりしていたので買うのを止めてしまいました。

その香水は私にとっての定番でしたが、特に強い思い入れがあったわけではなく、イギリスの好きなブランドのものというだけで使っていたので、別の好みの香りを探そうと思いました。今の値段は私にとっては香水の値段を超えているように感じました。

新しいものをいくつかお店を回って決めましたが、国産の良いものが買えたと思います。今まで使っていたものよりも、自分の価値観を反映してちゃんと選ぶことができた。

今回の香水の件は私にとって価値観の転換という静かな革命で、これからも色々なもので価値観の転換をすることになると思います。

私と同じように色々なものにおいて価値観を転換しようとしておられる方は多いように感じています。

これだけ色々な価格が上がっていたら、モノと価格のバランスが取れていると思わせるものに需要が流れていくのは仕方がありません。供給側の一方的な都合による値上げに対する、顧客の寛大な心は限界をとっくに超えている。

このままでは既存の供給網は自滅の道を辿るしかないのではないか。

為替のせいだとか、金の高騰を理由に値上げをする万年筆にも価値観の転換が当然起こっていると思います。

より値段と質のバランスが取れているものをご案内するのも当店の役割だと思っていますので、これから機会があるごとにそういうものを見つけて扱うようにして、ご紹介していくつもりです。

パイロットキャップレスは当店でも人気のある万年筆です。

手帳用の万年筆というと一番に挙げられる万年筆かもしれませんが、そのキャップレスもかなり値段が上がってしまいました。

しかし、その中でもあまり価格の変わらないものがあります。

ペン先が金でない、特殊合金製のペン先のキャップレスです。

今まで金ペン先のキャップレスしか目を向けてきませんでしたが、最近になってお客様からのオーダーで取り寄せたり、お持ち込みのペン先調整の依頼で手にする機会があって、スチールペン先のキャップレスもペン先調整してお渡しすると、とても書きやすいと喜んでいただけることが分かりました。

金ペン先特有の柔らかさやしなりはスチールペン先にはありませんが、筆圧の影響をあまり受けず、安定して滑らかに書ける良さもスチールペン先にはありますので、より多くのお客様にスチールペン先のキャップレスもお勧めしたいと思いました。

精神的な支柱になるような万年筆や、ステイタス、シンボルになるような万年筆は別として、仕事で書いたり、書くことを楽しむための万年筆はペン先は金でなくてもいいという価値観の転換をしてもいいのかもしれないと思うようになりました。

⇒パイロット キャップレス(ペン先:特殊合金)