コンケラーやクレイン以外にも、コットン100%の上質な紙は多くのメーカーで作られており、たくさんの種類があります。
それぞれのメーカーで製法などが違うため、紙質にはかなりの個性が表れています。
しかしそれらの紙の多くは、プリンターの打ち出しなど印字での美しさは追求されていますが、万年筆で書いたときの書き味が良いものはあまり知りません。
それは書いた後のインク映え、紙の風合いの良さと引き換えに我慢しないといけないものだと思っていました。
しかし、それはイタリア フェデリゴーニ社のコットンペーパーを使ったアルボレスペーパーステーショナリーの紙質には当てはまりませんでした。
アルボレスの紙は、書き味の上質な滑らかさもあって、万年筆での書き味といった手で感じるフィーリングも上質です。
紙の質感と書き味を両立させるのは意外と難しく、紙の表面が平滑である方が書き味は良いですが、せっかくの紙の風合いが死んでしまいます。
他社のコットンペーパーのように質感を出すためにプレスを浅くすると、にじみが多く、ペン先が引っかかりやすくなり、書き味が悪くなるというジレンマがあります。
アルボレスの紙は、見事にそれを両立していて、コットン100%ということを忘れてしまいます。
A4サイズということで、手書きの手紙のような用途よりも、プリンターでの打ち出しをして、最後にサインをするという使い方が多いかもしれませんが、そのサインも気持ちよくすることができます。
また、イタリアの美的感覚はこういったペーパーステーショナリーにも表れるのかと感心するのが、少し厚手のパール加工の封筒です。
私はお客様への手紙などは、店の事務的な封筒を使うことが多いですが、(それはそれで店のロゴや名前が入っている思い入れのあるものなので、なるべく使いたいと思って使っています)こういったものも使ってみたいと思いました。
表面に光沢があり、インクをはじく性質の紙のために、宛名書きなどはラベルを使わなくてはいけませんが、このような、受け取った人が自分は大切に扱われていると感じられる封筒は本当に特別な用途に使うのではないでしょうか。
自分が関わっている何かの催しの招待状やチケット、あるいは映画や美術館の入場券、手帳やハンカチなどを贈るのに良いパッケージにもなります。
上質な書き味のA4ペーパーと美しい封筒は、決して安価ではありませんが、アウロラやデルタの万年筆と同じように、贅沢に日常使いすることで、日々の生活に潤いを与えてくれるイタリアの逸品だと思います。