NANIWA PEN SHOWは1日開催のイベントでなかなかハードですが、その大変さを上回る価値があると思っています。
早朝に家を出て、8時前に会場に着いたらすぐに準備に取り掛かり、9時45分には準備完了して10時にはお客様をお迎えする。18時に閉場後、19時の終礼までに片付けて荷造りをする。
1日の中にこれだけの作業があるイベントは他になく、瞬発力と持久力が必要です。
今年のNANIWA PEN SHOWで私たちは小さな挑戦をしました。
イベントにはよく持って行ったモノをかなり減らして、オリジナルインクとノートを少しだけにしました。そして自分たちが本業だとしている万年筆の調整と、万年筆の販売を中心にしました。
ペン先調整機は2台持ち込んで、私と森脇が同時に調整できるようにして万全の体制を整えました。これでペン先調整の依頼がなかったり、万年筆が売れなかったら、私たちは大阪まで来て1日ただ座っているだけになってしまいます。
実際、事前に予約フォームを準備しましたが、予約は1件も入っていませんでした。
当日までそんな恐怖との戦いでしたが、せっかく万年筆店である当店を知ってもらえるいい機会なので、ペン先調整を前面に出してイベントに臨む方がいいと思っての決断でした。
そんな状況でしたが、イベントが終わって、挑戦して本当によかったと思いました。
調整も常にお客様がおられたし、書き方に合わせて調整した万年筆も喜んで買っていただけました。
そして何よりも当店のテーブルを囲んで楽しそうにして下さるお客様が何人もおられて、そんな空間を作ることができたことが最大の収穫でした。
ドイツに行って仕入れたペンはありましたが、普段から当店にあるものとペン先調整というスキルだけでイベントに参加して、お客様に喜んでもらうことができました。
イベントではパイロットキャップレスと三角研ぎの引き合いが目立ちました。
手帳を書くことを楽しんでいる方が多く、書いては仕舞うことが連続してしやすいキャップレスが手帳にちょうど良かったのだと思います。
パイロットは60年程も前に、万年筆に絶対必要なものだと思われていたキャップを無くして、片手で書き出せる万年筆を作るという挑戦をしました。そのおかげで、キャップ無しでもぺン先が乾かない、小さなペン先からは考えられないほど書き味の良いキャップレス万年筆があるのだと思います。
挑戦の度合いは違いますが、この数年間続けていたイベントの形を根本的に変えて、もう一度自分たちの本質に立ち戻ってイベントに臨めたことは大きな進歩でした。
NANIWA PEN SHOWに来て下さったお客様方にはとても感謝していますし、こういう機会を毎年作って下さっている主催者の方々にも感謝しています。