万年筆の用途について手帳に使うことが多いと言う方が多いと思います。
多くの仕事はパソコンでの入力で済むことがほとんどになっていて、手書きで書類を書くということは限られた仕事でのみ行われるものになっています。
それを寂しく思ったり、皆手書きをしようと声高に叫んでも時代の流れを止めることはできない。
その時代の流れに合った万年筆の在り方があって、それが数少ない手書きの機会である手帳への筆記だと思います。
私は太字で原稿を書いたり縦書きの便箋に手紙を書いたりすることがよくあるけれど、手帳に書いていることが時間的には一番長いし、頻度も高い。
そうした背景があって、ペリカンM400の極細を国産細字くらいまで細く書けるようにした細字研ぎ出しの万年筆の販売を始めました。
ペリカンの万年筆は極細と言ってもインク出が多くて太い。私の経験ではドイツのペンは世界で一番太いと思っていて、イタリアがそれより細く、日本はさらに細い。
ペリカンなどドイツのペンは極細でも手帳に使うことはできません。(ラミーは使えるかもしれないけれど)
ペン先を細く研ぎ出した場合、ノーマルの極細よりも先端(ペンポイント)が尖りますので、抵抗が増します。
しかし細く研ぎ出した小さな点が紙に当たるペンポイントだからこそ、太いペン先のものよりも当たりが出やすく、使われる方の書き方に馴染むのも早いので、すぐに柔らかい書き味になってくれると思います。
そして当たりが出て柔らかい書き味になってくれるとその書き味は永続してくれます。
最初から手帳に国産細字の万年筆を使えばいいのではないかという言い方もあるけれど、手帳に書くということが趣味だと言う人もいて、私もその一人だけど、だからこそデザインも気に入った万年筆で好きな手帳を書くことを楽しみたい。
そのために当店では太くて手帳に使いにくいペリカンなどの万年筆の細字研ぎ出しを用意しているし、他のペンでも相談して下されば承っています。
持ち込みの万年筆にも細字研ぎ出し加工をさせていただいています。
私が万年筆を使い出した頃よりも細字を希望されるお客様が増えたと体感しているのに、あの頃よりもEFは太くなっていると思っているのは私だけだろうか?
万年筆をお客様方の需要に近付ける、軌道修正のような役割も店は担っていると思っています。