神戸ペンショー

明日(11/23)明後日(11/24)の神戸ペンショーに当店も参加いたします。
地元神戸で開催される、ナガサワ文具センターさんとy.y.penclubさんが主催するペンショーなので立ち合いたかったけれど、昨年はペンショーの会場から近くにある当店に来られる方が多かったので、今回私は店番をすることになりました。
今回のペンショーでも、お客様に好まれそうなものをご用意して持っていきます。

江田明裕さんのガラスペンは、アクセサリー作家でもある江田さんのセンスのよる軸が魅力ですが、実は書き味にもこだわりがあります。
顕微鏡で確認しながら、ペン先をパイロットの字幅に沿った太さに仕上げられていて、従来のガラスペンというイメージを覆す書き味になっています。

台湾の万年筆メーカーPenlux(ペンラックス)は日本初登場で、当店が先行販売となります。
シンプルなデザインですが、万年筆好きの心を惹く仕様になっています。作り込みが感じられるオリジナルの吸入機構、書き味の良いペン先が特長で、本格的な万年筆です。

紙製品はオリジナルダイアリーとシステム手帳を中心にお持ちします。
正方形のオリジナルダイアリーは、カンダミサコさんが革カバーを作って下さり、何とかペンショーに間に合わせてくれました。

システム手帳リフィルバイブルサイズ筆文葉、M5サイズそら文葉を作っている智文堂のかなじともこさんは、ペンショー中当店ブースにおられ、自作品の販売を担当してくれます。イベント限定の商品も製作予定で、今頃は最後の追い込みで頑張っていると思います。
万年筆に関しては、当店スタッフ森脇 直樹がペン先調整を担当します。お持ち込みの万年筆の調整も承りますし、隣のブースの台湾の万年筆メーカーツイスビーのものも森脇がより書きやすく調整いたします。

友人である590&Co.(コクエンアンドコー)さんを神戸ペンショーに引っ張り出しました。モトコーにあるお店ができたばかりなので、より多くの人に知ってもらって知名度を上げてもらえるのではないかと、お節介ながらお誘いしました。
とてもセンスが良くて、素晴らしいお店作りをされているので、それはペンショーでも発揮されるのではないかと期待しています。
こういう華やかなイベントは苦手ですが、当店なりに神戸ペンショーを盛り上げたいと思っています。 関連記事

ブッテーロ革のペン置き

当店のことを、私が良いと思ったもののみを扱う万年筆・ステーショナリーのセレクトショップだと思われているかもしれないけれど、私は自分の狭い了見や偏った好みだけで、モノの良し悪しを決めてはいけないと思っています。
自分が良いと思わなくても売れるものはたくさんあるし、自分が見出せなかった良さを他の人が見出してくれることもよくあるからです。
こういうことを今までたくさん経験してきたので、商品について、特に取り扱いをするかどうかを自分の価値観だけで決めてはいけないと肝に銘じています。
あまりにも自分のポリシーから外れるものは別ですが。

最近私がその良さを見抜けなかった商品が、カンダミサコさんの「ブッテーロ革のペン置き」でした。
ブッテーロの革を2枚重ねにし、折り曲げて固定したとてもシンプルな仕様のものです。
あまりにもシンプルで、今までの職人仕事に対する固定観念がある私にはその良さが分からなかった。 でも販売し始めて、その良さに気付きました。

よくあるようなペントレーではなく、このくらいシンプルなものの方が今の人の感性に合っているのかもしれません。定位置を作って机の上に置いておいて使うのではなく、何か書き物をする時に取り出して使う、あるいは出先で使うような用途がこのペントレーには合っています。
本当に何が売れるか分からないと言うとカンダさんに怒られるかもしれない。

万年筆の固定観念に捉われていないし、今もフレッシュな感性を保ち続けているカンダミサコさんですが、安い革で作れば値段も安くできて売れやすくなるけれど、良いものにこだわっていて、革の質を落とすことはありません。
デザインやモノのあり方は変わっていくものなのかもしれないけれど、それは変わらないことだと思う。

安い革とそうでない革の違いについて述べるのはなかなか難しいですが、手触り、色味など、基本的な質感の高さが違います。
このペントレーもブッテーロの革を使用していて、その滑らかな手触り、使っていくうちに出てくる艶などの変化が楽しめるのはこの革ならではのものだと思います。
ブッテーロは植物由来のタンニンなめしをされた、自然な質感のある油分を多く含んだ革です。
ブラシや布で磨いたり、手で触れることで油分が表面に艶を作りますし、小さな傷なら磨くことで目立たなくすることができます。
そんな上質な革との付き合い方は変わらずに教えてくれるものでもあります。

⇒カンダミサコ「ブッテーロ革ペン置き」

ペリカンM600バイオレットホワイト~ペリカンの庶民性~

ペリカンM600バイオレットホワイト~ペリカンの庶民性~
ペリカンM600バイオレットホワイト~ペリカンの庶民性~

発売延期になっていたペリカンM600バイオレットホワイトが入荷しました。
ペリカンはこのM600ホワイトで、伝統的な形と縞模様をベースに、今まで万年筆になかった明るい色で仕上げるという手法を取り入れ、鉱脈を掘り当てたと思っています。
次は何色が出るだろうと多くの人がこのシリーズに期待しているし、こういう万年筆のあり方もいいなと思わせてくれます。

私は今のペリカンの気取ったところのない、使う人のための万年筆というあり方が好きで、それをペリカンの庶民性という言葉で表現できると思っています。
万年筆は貴族のためのものという趣のものが多く、私たちはその趣向とか世界観など、手の届かない世界に憧れて、それらの万年筆を手にすることによって少し近づいたような気分になります。
でも実際に私たちは貴族のような生活をしていないし、自分たちが働かなければ暮らしていけない。
そんな私たちが背伸びすることなく使うことができる万年筆で、ペリカンは私たちのための万年筆だと思えます。

今の万年筆の業界が衰退せずに多くの人の興味を引いていられるのは、万年筆を愛用しているお客様方がSNSなどで情報を発信していたり、私たち販売店が微力ながら活動したりしているからですが、ペリカンの存在も大きいのではないかと思っています。
当店もペリカンによって助けられました。
ペン先調整をする万年筆店として12年前に開店しました。
理想的な機能性を持つ万年筆として、ペリカンM800を当時からお勧めしてきましたが、少し手を掛けて調整すると、ペリカンはさらに書き味が良くなる万年筆で、当店にはまさにお誂え向きの万年筆でした。
今回発売されたM600バイオレットホワイトも、ペリカンらしい書き味の良い、使うための万年筆に仕上げることができます。

ペリカンM600バイオレットホワイト発売に合わせて、カンダミサコペンシースの人気色エッグシェルにバイオレットステッチを施したものを作りました。
M600バイオレットホワイトと合わせてお使いいただくと、より楽しくお使いいただけると思います。

20色キャップレス発売とミツロウダイアリーカバー

20色キャップレス発売とミツロウダイアリーカバー
20色キャップレス発売とミツロウダイアリーカバー

春のパイロットの展示会で発表されたキャップレスデシモ限定20カラーズの第1弾の5色が入荷しました。
今回の10月、来年2月、7月、12月の4回に分けて20色を発売するという壮大な計画です。
定番の艶のある仕上げのボディもいいですが、このシリーズはブラシ加工が施されたメタリックなボディで、現代的で洗練された印象です。

私は暗めの色が渋くて売れると思っていたけれど、今のところ明るめの色が売れています。
キャップレスデシモはアルミ製のボディで軽く、細身になっているので女性の方には非常に使いやすいと言われます。
意外な感じがするけれど、神戸の書道会の先生方の間でキャップレスデシモがもてはやされたことがありました。文字の形を気にしながら1画ずつ書くのに軽いボディと、小さいけれど柔らかいペン先が貢献しているのだと思います。
キャップレスデシモがペン先がノック式で出てくる便利な万年筆というだけでなく、美しい文字を書くのに役立つ万年筆でもあるということを証明した出来事でした。

キャップレスデシモもそうですし、ペリカンM400もその代表的な存在ですが、当店は女性のお客様に使っていただけるステーショナリーをなるべく揃えたいと思っています。
当店が提案する素材や作りの良いものを理解して下さり、発信する情報に鋭く反応してくれる大人の女性たちにも、当店は支えられているとよく思います。
もう10年も作り続けている大和出版印刷さん、分度器ドットコムさんとの共同企画である正方形のオリジナルダイアリーも、そういった女性の方にもお使いいただきたいと思い、写真作品のポストカードやカレンダーで作られているSkyWindさんにミツロウ引きのダイアリーカバーを作っていただきました。

オリジナルダイアリーは、システム手帳よりもウィークリーもマンスリーも1日のスペースが大きく、大きめの文字で書くことができますので、小さな文字が読み辛くなった世代にも使いやすい。
私も忙しい日が続いた後など、特に小さな文字は読みにくく思うようになってきましたのでよく分かります。
特にマンスリーダイアリーは一見してすぐ分かるカレンダーのレイアウトで、仕事別に分けて持っても良いと思うほど薄くて携帯しやすい。
ウィークリーダイアリーはマンスリーとウィークリー、全てを備えた完璧な1冊です。
それぞれ個性が違うけれど、用途に合わせてお使いいただきたいと思います。

ミツロウ引きの紙は使っていくうちに使い込んだ風合いが出てきます。紙なので年月を得るごとに徐々に劣化しますが、それが味に思えるし愛着も湧いてくる。
ダイアリーの厚みにピッタリ合わせられるので、薄いものは薄いまま持つ事ができます。

そして新たに正方形の下敷きも作りました。
スムーズで適度な柔らかさの革を敷いて万年筆で書くとすごく書き味がよくなるし、ペンが適度に止まって文字も美しくなります。文字を書く前に下敷きを挟んで書く、心の余裕も欲しいところです。
オリジナル正方形のダイアリー、軽くて細いキャップレスデシモとともに使っていただきたいと思っています。

⇒パイロットキャップレスデシモ20カラーズ
⇒SkyWind ミツロウ正方形ダイアリーカバー
⇒正方形ダイアリー用革下敷き
⇒正方形ダイアリーcbid=2557112⇒正方形ダイアリーcsid=1″ target=”_blank”>⇒正方形ダイアリー

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手を掛けられたステーショナリー

手を掛けられたステーショナリー
手を掛けられたステーショナリー

仕事で台湾に行っていました。
歩き回る旅でしたので荷物は最小限にしたいと思って、確実に機能してくれるものだけを持って行きました。
遊びの要素はなるべく排して、仕事で使うものだけを厳選。
万年筆は飛行機に乗ってもインク漏れしないと信頼しているペリカンを1本だけを持って、メインで使うのはシャープペンシルでした。
芯を何本か入れておいたら、そう簡単になくならないし、事故もない。ハイユニの芯ならヌルヌル気持ち良く書くことができます。
手帳はカンダミサコさんのバイブルサイズに、予め調べておいたことや、出張中のスケジュール、ToDoを書いておいて、原稿も書けるように十分な用紙も補充しました。
いろんなお店を見たりして刺激を受けて、いつもよりたくさんのことを書くだろうと思っていました。
結局、飛行機の中でも、夜部屋に戻ってからも何か書いていて、やはりバイブルサイズくらいのスペースがないといけなかったので、システム手帳としては薄めのカンダさんのバイブルサイズのシステム手帳がちょうどよかった。

台北の文具店は、誠品書店という別格を除くと2つのタイプがありました。
1つは比較的規模が大きい古いタイプの文具店でした。店の中央にレジカウンターがあって、事務用品から万年筆までの文房具一通りを揃えているけれど、陳列は荒っぽく、置いている品物にこだわりは感じられない。その代わり値段は安い。
もうひとつは文具雑貨店とも言える店。店の奥にレジがあり、文具店というよりも文具のある生活を提案しているようなライフスタイルショップでした。個人経営だと思われる小さなお店であることが多かった。

行こうと思って調べておいた良さそうなお店では日本製のステーショナリーがその店の雰囲気を作る役に立っていたし、どのお店でも日本製のステーショナリーに対するリスペクトを感じました。
良さそうなお店の多くは10年以内に作られたようなところがほとんどで、旧来の台湾の文具店とは違った新しい感覚で作られたものでした。その新しい感覚の中心に、日本のライフやツバメノートなどの古くからあるステーショナリーが選ばれているというのは不思議な感じがしなくもなかったけれど、台湾も大量生産、大量消費ではなく、ひとつひとつの値段は高くても、人の手が感じられる良いものを少しずつ使うという考え方も新しいタイプのお店のメッセージだと思いました。

それは当店も同じで、メーカーがその技術力で仕上げた工業製品である万年筆に、ペン先調整という一手間かけることでその万年筆をより書き味の良いものにしている。
今回台湾行きで持って行ったカンダミサコさんのシステム手帳も工房楔のシャープペンシルも、手のかかる良い素材を、手を掛けてよいものに仕上げて長く愛用できるものにする。ただ機能を満たせば良いのではなく、そういうものは値段は少し高くなるけれど、使っていて心地良い、長く愛用できるものだということを伝えたくて店をしている。

そんなことを改めて思い出した台湾への出張でした。

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メーカーを支える中堅万年筆~WATERMANエキスパート~

メーカーを支える中堅万年筆~WATERMANエキスパート~
メーカーを支える中堅万年筆~WATERMANエキスパート~

万年筆メーカーの最上位モデル、フラッグシップモデルは良いに決まっているけれど、一番ポピュラーなモデル、中間クラスの万年筆が本当はそのメーカーを支えているのではないかと思います。
そのメーカーについて語る時に挙げられることは少ないかもしれないけれど、その万年筆を使っている人をよく目にして、印象に残っているのがきっとそういう万年筆なのだと思います。
長く静かに作り続けられてきたそういう万年筆に、ウォーターマンエキスパートがあります。

エキスパートはスチールペン先の普及版の万年筆として、日本で27年も販売されてきたロングセラーモデルです。
ステンレススチールのペン先だということと、ずっと存在し続けていて、何となくあって当たり前の存在になっていましたので、私もこの万年筆について語ることはありませんでした。
しかし、しっかりとしたレギュラーサイズのボディ、曲線を取り入れた程良くエレガントなデザインなどから、ウォーターマンの普及版にして代表的な万年筆だと思っていました。
1883年、世界で最初に現在の万年筆のインクが出る原理となる毛細管現象を取り入れた、ウォーターマンのフラッグシップのペンがどれもあまりピンとこなかったのは、実はこのエキスパートが代表作だったからなのかもしれません。

そのウォーターマンエキスパートに金ペン先モデルエキスパートエッセンシャルが発売され、私はすごいことだと歓迎しているけれど、万年筆の業界の中では静かな話題なのかもしれない。
今までスチールペン先で売れていた万年筆を金ペン先にグレードアップして発売するという行為が、現代の万年筆業界の動きに逆行するもので、興味深く思いました。
最近は万年筆の低価格化、金の高騰などの理由からスチールペン先の万年筆が増えています。
しかし、万年筆の書き味の醍醐味は金でないと得られないと思うので、できれば万年筆のペン先は金であって欲しい。だから昨今の業界の動きをつまらなく思っていました。
ウォーターマンエキスパートの金ペン先モデル発売は、そんな杞憂を少し晴らしてくれる、私にとって明るい出来事です。

エキスパートの金ペン先は少し硬めのものですが、金属でドッシリとしたボディとの相性が良く、硬質なスチールペン先とは違う豊かな書き味を持っています。
ウォーターマンを代表する万年筆だと思っているエキスパートの待望の金ペン先モデル。価格も抑えめで、この万年筆で初めて金ペン先を使う人も増えると思いますし、ウォーターマンをこのペンで初めて使う人も増えると思います。


・WATERMANのページが現在ないため、「手紙用品」に入っています

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手帳の風景を作るもの

手帳の風景を作るもの
手帳の風景を作るもの

先日参加しました東京インターナショナルペンショーでは、各出展者はこの催しに来られるお客様に好まれるものにフォーカスした品揃えで、それぞれのお店や会社、クリエーターの世界観を提案されていました。
万年筆店はオリジナルインクとオリジナル万年筆を前面に出しているところが多く、当店のようにペン先調整、万年筆、革製品、木製品、紙製品など色々な商材があるところはありませんでした。
せっかく東京まで行くのだからと何でも売りたい、という気持ちがはやったこともあるし、提案したいことがいくつもあったから、多様な品揃えになってしまった。
ペンショーで当店ができることで、求められていると実感したのは、ペン先調整でした。
店頭ですぐにペン先調整をしているお店が少ないこともありますが、それだけ万年筆の書き味に対して要望のある人が多いのだと感じました。
ペンショー前夜の親睦会で聞いた話では、海外ではペン先調整をするお店はほとんどないということを聞きました。
日本ならではの需要ではなく、ペン先調整に対する需要が海外にもあるのだと知ることができたのは収穫でした。

ペン先調整を施した万年筆の販売の他に、ペンショーのお客様に見せたいと思っていたのが、システム手帳の中身をカスタマイズすることでした。
特にM5サイズのシステム手帳は小さく、ポケットに入る遊び要素の強いシステム手帳だと思っています。
広く売られているアシュフォードのM5リフィルの他に、かなじともこさんがデザインしている「そら文葉」と、当店オリジナルの「Liscio-1紙方眼リフィル」「カンダミサコM5用ペンホルダー」は、手帳を自分仕様にカスタマイズしたいと思っている人に選ばれていたと思います。

私だけかも知れませんが、手帳の表紙を開いた時にすぐ何かを書いた紙が見えるのは何となく白ける気がします。
中表紙のようなものがあって欲しいと思って作ったものが、羊皮紙という紙で作った「デバイダー」でしたが、こういうものが手帳の中の世界を演出するのだと思います。
ちなみにデバイダーは付箋やインデックスなど耳を付けるとインデックスにもなります。

東京インターナショナルペンショーに間に合うようカンダミサコさんが作ってくれた、ブッテーロの1枚革で作ったペンホルダーも自慢の1品でした。
良い革を使ったかっこいいペンホルダーなので、多くの人に使っていただきたいと思っています。
試作を重ねて少しずつ完成形に近付けていったカンダミサコさんのクリエイティビティーが発揮された、シンプルだけどオリジナリティのあるペンホルダーで、ペリカンM400くらいの太さまでなら、スムーズに出し入れできます。
また、M5手帳にペンを合せて持つ場合、長さ12cmくらいまでのペンが合うと思っています。当店は、ペリカンM400を細字研ぎ出し加工を施したものを販売していて、M5手帳と大変相性の良い組み合わせです。
このペンホルダーは、ペンと手帳を結び付け、手帳の世界を作ってくれるもので、東京でも多くの人に見てもらいたいと思っていました。
おかげさまで多くの方に実際ごらんいただき、今回持って行った商品の中ではよく売れていたと思います。
やっとホームページにも更新しましたので、ぜひご覧下さい。

⇒カンダミサコ「M5手帳用 ペンホルダー」

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革表紙のメモ~携帯用の試筆紙としても~

革表紙のメモ~携帯用の試筆紙としても~
革表紙のメモ~携帯用の試筆紙としても~

良い革を切り放しただけのものを表紙にしたメモ帳、「サマーオイルメモノート」というものを以前作っていて、それをリニューアルしました。
メモ帳の台となる革はその厚みと手触りの良さから、以前と変わらずにサマーオイル革を厚いまま使っていますが、表革をより用途に合った革に変更しています。
美しい艶が出て色変化も激しい。エージングが劇的な革のひとつ、ミネルバボックスを使用しています。
ミネルバボックスは程よく柔らかく色気のある革。タンニンなめしの良い香りがして、この革がイタリアで作られた革だということがわかる気がします。
メモ帳としてこれで充分だと今までは思っていたけれど、次にメモを作るならどうしても中紙に切り取り線を入れて、書き終わった紙を楽に切り取れるようにしたいと思っていました。
切り取り線は村井製本所さんが誇るマイクロカットミシンの技術によって、切り取るのが快感に思えるほどスムーズに切り取れるし、切った紙もギザギザしていません。
200枚の紙は天のりで束ねています。
メモ用の紙は沢山の枚数が束ねてあるほど安心感があっていいですが、携帯するには薄い方が良くて、好きな厚さに割って革の表紙に挟んでおけるようにしました。

これは手元に置いて何でも書けるメモ帳ですが、携帯用の試筆紙としても提案したい。
お店で万年筆を買うときだけでなく、万年筆を趣味としている人の中には、人の万年筆を試し書きさせてもらう機会のある人も多いと思います。
そういう時にもきっと役立つものではないかと思っています。
ちょっと試し書きするのに、いつも使っているダイアリーに書くのも嫌だし、人前に出すものなので、ちょっとこだわりのあるものを出したい。
手渡されたペンを硬いテーブルの上にそのまま置かず、この革表紙の上に一旦置くようにしたい。そういう相手への心遣いも、革表紙のメモは表現できます。

そして試し書きする時に何を書いていいのか分からず、名前や住所を書いてしまうことが多いという人も少なからずおられると思います。
そういう時に参考にしてもらいたいと思い、当店で月1回ペン習字教室を開催して下さっている堀谷龍玄先生に小説の一節を楷書で書いてもらいました。
替紙に1枚ずつお付けしています。
4種類のお手本があって、それぞれの部分は完全に私の好みで選んでいます。
メモ帳という仰々しくすると使いにくくなるものでも、使い込むと馴染んでくる上質な革の素材であってほしい。そういう声が多くて再び作り始めたシンプルな革表紙のメモ。
こういうものが一番使いやすいと私も思っています。

*カンダミサコ「革表紙のメモ」

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M5リフィル 「そら文葉」発売

M5リフィル 「そら文葉」発売
M5リフィル 「そら文葉」発売

システム手帳リフィル筆文葉のデザイナーかなじともこさんが当店から独立して、智文堂という屋号で活動されています。
商品の製作の他、ご自身でオフ会を開催されたり、当店でイベントをしていただいたり、外部イベントに一緒に参加していただいています。

6月に発売されました趣味の文具箱vol.50にも紹介されたり、インスタグラムで発信している記事も多くの人に見てもらえるようになって、かなじさんの知名度が上がってきているのを私も実感しています。
かなじさんが手帳リフィルのデザインを仕事にするきっかけになれたことを、とても誇りに思っています。私たちもかなじさんに負けないように、ともに高め合えるよう活動したいと思います。
そういう刺激を与えてくれる、その人に見られて恥ずかしくない仕事をしていたいと思える相手が齢とともに増えていく。
何歳になっても楽しみながら、ともにあがき続けていきたい。

話を戻すと、かなじともこさんがM5システム手帳リフィル「そら文葉(そらもよう)」を発売しました。
先日当店で開催しました「智文堂PopUpStore」でお披露目しましたが、お客様方の反応は非常によかったと思います。
女性のお客様が多く、その中の一人であるシステム手帳の作り手のカンダミサコさんは、自分用に作ったシステム手帳を使うのをそら文葉の発売まで待って、買いに来てくれました。

バイブルサイズリフィル筆文葉もそうですが、M5リフィルそら文葉は、このリフィルの使いこなしを使い手に考えさせるところがあります。
何も考えずに使わせてくれず、使い手に工夫を要求するというイメージ。
それは書き味から快感が得られて、いつまでも書いていたいと思わせてくれる、当店オリジナルの「Liscio-1リフィル」の対極にあるものだと思えて面白い。
自分の手帳の用途、実情にどの罫線が合っているか、そしてどのようにレイアウトして使うか。正解は自分にしか分からないけれど、かなじさんから出されたクイズに答えるような感覚になります。
パズルを解くように、古い常識に捉われている硬い頭を柔らかくして使いこなす。それを考える作業が実は一番楽しくて、手帳を使いこなす楽しみの大きな部分を占めていることをかなじさんは伝えたいのだと思います。

私も自分なりにそら文葉の使いこなしを考えている途中ですが、フレックスダイアリーはミニ5穴システム手帳を1日1ページとして使っている私にとっては、とても使いやすいと思ったリフィルのひとつです。
フレックスダイアリーと4つ折りカレンダーを組み合わせると、半年のスケジュールと1日1ページやウィークリーと合わせて見ることができる。
この小さな紙面に無限の可能性が、楽しめる要素があるようにさえ思えます。

そら文葉の用紙は筆文葉とは違っていて、少し薄めの紙になっています。挟める枚数に制約の多いミニ5穴システム手帳で使いやすいようになっていますが、書き味はかなり良いと言えます。
どこにでもある普通のものでなく、それに惹かれる人は少ないけれど、その良さが分かった人にはより楽しんでもらえる。
少ない人数をターゲットにしているからこそできるモノ作り。この店でしか手に入らないものをなるべく作ったり、売ったりしていきたいと、私たちは思っています。

*智文堂「そら文葉」
*智文堂「4つ折りカレンダー」

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