福岡でのイベント「Pen and 楔 2017」を終えて

福岡でのイベント「Pen and  楔 2017」を終えて
福岡でのイベント「Pen and 楔 2017」を終えて

福岡県南部の記録的な豪雨の翌週で、どういう状況かよく分からないまま迎えた福岡のイベントでした。訪れた三日間は雨は降っていませんでしたが、すごい湿度で神戸とは全く違い、もちろん6月末に訪れた北海道とはあまりにも違う蒸し暑さでした。
重い調整機のカートを引いて地下鉄から地上に上がった時には、すっかり汗だくになっていました。
会場のほぼ隣にあるホテルに早めのチェックインをして、ちょうど永田さんとも行き会って、15時過ぎからギャラリートミナガさんで準備を始めました。

永田さんはさすがにイベント慣れしていて、自前のテーブルまで用意して完璧な売り場作り。今回のイベントで永田さんから学ぶことは非常に多いだろうと2月の下見の時に思っていましたが、それは正しかった。
永田さんの仕事振りを見て、出張販売のノウハウや自分ができていない様々なことがよく分かりました。
準備はいくらしても終わりがありませんでしたが、翌日の朝からも時間をいただけるとのことで、18時に切り上げました。
ギャラリーの女性オーナーの富永社長が誘ってくださり、とても美味しい魚料理をご馳走になりました。
富永社長は今まで出会ったことのないタイプの方で、生粋のお嬢さまでした。
私と永田さんはご飯をおかわりしながらも、完全な接客モード。
どこか緊張感のある雰囲気で始まった夕食でしたが、徐々に打ち解けることができて、富永社長との距離が少し縮まったような気がしました。
イベントが終わった時には富永社長が「あなたたちはクセのない本当に良い人たちなのね」と言って下さいました。
2日間お客様と接する私たちを見ていてそのように思われたようで、素直に嬉しかった。

福岡でのイベントの雰囲気は、当店で年2回開催している工房楔のイベントに近いものでしたが、札幌のイベントとはかなり違っていました。
気候、地形も含めてそれは違う国のようだったと思っています。
札幌のイベントでは初めてお会いするお客様が多かったのに対し、福岡では知り合いのお客様が多く、札幌と福岡の距離の違いを実感しました。

どちらのイベントでも、ペン先調整・字幅変更などの調整が一番求められていたと思いますが、札幌のお客様は当店が提供する商品やオリジナル商品に興味を持って下さっていて、どんなものがあるのか見に来て下さったように思いました。
それに対して、福岡では商品も見に来て下さっていましたが、私がどんな人間なのかを見に来られた方が多かったように思います。
イベントごとに新しいものを用意して、それをお客様に見せ続けている工房楔の永田さんのように、私も毎年開催すると決めたイベントに毎回来ていただけるよう、準備をしなければならないと思います。

そして、札幌・福岡のイベントに来て下さったお客様に次のイベントまでの一年、気に掛けていただけるように、興味を持ってもらえる情報を発信し続けなければならない。
イベントで多くの出会いがあってとても良かったけれど、新たな苦しみと戦いも始まったように思います。

福岡では、来年も7月14日(土)15日(日)、「Pen and 楔 福岡展」を開催することを決めて、ギャラリートミナガさんに予約をして帰ってきました。

*最後になりましたが、先日の九州地方北部の集中豪雨により被災された皆様には、謹んでお悔みとお見舞いを申し上げます。

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KA-KU奈良店でのペン先調整応援

KA-KU奈良店でのペン先調整応援
KA-KU奈良店でのペン先調整応援

万年筆の仕事が、ペン先調整が自分がやるべき仕事で、これからもこの仕事をして生きていくとのだと思っています。
だからこの仕事で世の中の役に立ちたいと思っていました。
自分の店だけでなく、他所のお店でも万年筆を使う人を増やすために役立つ仕事が出来たら、という私の想いをKA-KUさんが理解してくださり、顧客サービスを目的としたペン先調整会を奈良店さんで初めてすることができました。

KA-KU奈良店でお買い上げいただいた万年筆は無料で、他店で買われた万年筆は3500円で調整するという、当店と同じ条件での調整会でした。
KA-KUの店頭でも、来店された方に調整会があることをお声掛けして下さっていましたが、調整に来て下さったお客様方に伺うと、チラシを見たという方がほとんどでした。
KA-KU奈良店は、大和西大寺にある近鉄百貨店の筆記具売場という役割で、今回の催しを近鉄百貨店さんが新聞に折り込みするチラシに掲載してくれていました。
調整会に来て下さったお客様の多くは、1本の万年筆を長く使っておられる方で、書きにくいなど何らかの事情があって使わなくなっていた引き出しの奥の万年筆を、また使いたいと思っておられるところに、チラシの記事を見てご来店下さったのでした。

当店のお客様でわざわざ私の顔を見に来て下さった方もおられ、当店の今までと違う試みとして見守られていることも分かりました。
この調整会でもとても楽しく仕事することができましたし、万年筆を使う人を増やすことに役立つ活動だと思いましたので、機会があればぜひまた行きたいと思っています。

奈良市内も西大寺辺りは、平地の中に家々が密集していなくて、ゆったりとした風景。ショッピングセンターのすぐ隣は、広大で四方の門以外何もない。でもそれがかえって往時の都の風景を想像させる平城京跡で、すばらしいロケーションです。
当店にも来ていただきたいですが、KA-KU奈良店さんにもぜひ行っていただきたいと思います。

この記事は7月7日(金)に書いていて、明日7月8日(土)9日(日)は福岡ギャラリートミナガさんで、工房楔との共同イベント「Pen and 楔」を開催しています。
どうぞ、ご来場下さい。

*工房楔共同イベント「Pen and 楔」
7/8(土)9(日)11:00~18:00(最終日16:00)
ギャラリートミナガ
福岡市中央区大名2丁目10-1

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2017.4.28「携帯用のペン先調整機を手に入れる」
2016.11.25「当店のペン先調整について」

札幌での出張販売を終えて、そして福岡へ ~出張販売への想い~

札幌での出張販売を終えて、そして福岡へ ~出張販売への想い~
札幌での出張販売を終えて、そして福岡へ ~出張販売への想い~

*第1回目の札幌のイベントを記念する形あるものが何もないと寂しく思っていたら、イベント会場に提供して下さったギャルリー ノワール/ブランのオーナー、北晋商事の金さんがギャルリー ノワール/ブランマグカップをくれた。記念のモノができて嬉しかった。

すごく贅沢で恵まれたことだと思いますが、私は自分がやりたいと思う方法でしか仕事をしていません。それは当店や私たちのことを想ってアドバイスしてくれたことでも同様です。
積極的な分かりやすい宣伝もしていないし、取引先の人が売れていると教えてくれても、自分が気に入らなければ、他店で売れているのであれば当店が売らなくても他店で売ればいいと考える天邪鬼振りで、私のことを歯がゆく思っている人もいると思います。

そんな商売のやり方なので、当店はいまだに10年前と同じ場所で、同じようなやり方をしているのだと自分で分かっています。
きっと人数は多くないと思いますが、そんな当店のやり方に賛同して下さったり、応援してあげたいと思って下さっている方々が当店を支えて下さっていて、本当に有難いと思っているし、そんなお客様方を尊敬しています。

自分が好む仕事の仕方しかしないけれど、店を潰すわけにはいかない。
それにどうせ仕事をするなら昨年よりも良い結果が残せるように考えた方が楽しいに決まっているので、顧客を増やしたいと思っても姿勢は変えたくない。
当店の姿勢を理解して下さる方は、その方のもともとの考え方によるところが大きく、少数派なのではと最近思うようになりました。
そう考えた時に、自分が他所に出て行って、当店のやり方に賛同して下さる方、あるいは近い考えの方を見つけたいと思いました。

以前から色々な町に行って、出張販売のようなことをしたいと思っていました。
自分のやりたいことと、店の成長のために必要だと思えることが合致しましたので、出張販売をすることにしました。
なるべく色々な場所でできればいいけれど、まずは札幌と福岡からスタートしました。
北海道も九州もそれぞれの地域の中で生活が成り立つ、ひとつの国のように感じていて、それぞれの国の首都のようなところに行きたいと思いました。
北海道にも九州にも、当店のWEBショップを利用して下さっているお客様が多くおられますので、お名前など文字の情報しか分からないお客様ともお会いして親交を深めたい。
仕事なので採算をとらなくてはならないと、札幌には少し気負って出掛けて行きましたが、それぞれの土地に出て行って一言でも直接お客様と会話をすることが一番の目的ではないかと今は思っています。

札幌での出張販売でそのように思えるようになったのは、人数は多くないけれど、北海道各地から来て下さったお客様と温かく楽しい時間を過ごすことができたからでした。
次は、7月8日(土)9日(日)の工房楔との共同開催イベント 「Pen and 楔 福岡展2017」です。
体裁としては、オリジナル商品の販売や万年筆の調整販売、ペン先調整をしますが、当店のやり方に賛同して下さる方を探しに行くという姿勢は同じです。
イベントの2日間でまだ予約に余裕がありますので、ご都合の良い時間をお知らせいただければと思います。
イベントに来て下さるお客様と、親交を深めることができたらと思っています。

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⇒2016.11.25「当店のペン先調整について」

仕事の中心を成すバイブルサイズとVファイル

仕事の中心を成すバイブルサイズとVファイル
仕事の中心を成すバイブルサイズとVファイル

出張販売という例年になかった仕事を作って準備をしてきました。
初めてのことなので、時間を割かなくてもいいことを考え続けたりして、100%と思える準備は結局できなかった。
きっと持っていく商品も多すぎるのだと思います。
こういった試行錯誤は一度で十分で、次からはもっと要領良く準備したい。
最初の反省点を生かすためには、様々な記録を残しておく必要があります。

スケジュールやToDoなど、システム手帳に出張販売の項目を作ってそこに書き込み、チェックを入れながら使っていて、仕事の内容はともかくそれで上手く手帳としては機能していたと思います。
作業の予定、行動などは3つ折りカレンダーが最も得意とする使い方だと思うし、何度も繰り返し見て、必要があれば書き込んで、何色もの色鉛筆でチェックを入れるチェックリストは水玉罫が使いやすかった。
今回の出張販売イベントの準備において、手帳に関しては大いに満足しています。

これらの記録は来年見ても分かるように保管しておく必要があります。
システム手帳のリフィルだけならバインダーに綴じておけばいいけれど、商品リストはA4サイズで、DMも残しておきたい。
サイズのバラバラな紙片を保存しておくにはそのまま放り込むVファイルが使いやすいと思います。
昔はシステム手帳リフィルの保管ならバインダー形式だと思っていましたが、資料の中には様々な大きさの紙があって、それらが散逸することにいつも頭を悩ませていました。
金治智子さんの提案するVファイル形式のファイリングは、一見システム手帳のメリットを生かしていない書類の保管方法に思うかもしれないけれど、私たちの仕事や暮らしを全てバイブルサイズに統一するにはやはり無理がある。
Vファイルはそれを補ってくれて、筆文葉リフィルをより活用できるようにするためのもの、という事を今回改めて実感しました。

出張販売イベントのような、当店のことをご存知ない方に当店を紹介することは自分の店を冷静に見つめ直すいい機会でした。当店の特長を告知しながらイベントの準備をして、日々の業務をこなすのに、筆文葉のシステム手帳リフィルは大いに助けになったと思います。
それらを保管して次回役立てるためには、Vファイルとの組み合わせがいい。
Vファイルはバイブルサイズに近い、少しだけ大きめのB6サイズになっています。そしてVファイルを収納する箱として、コレクトの情報カードボックスを提案しています。
バイブルサイズジャストの箱は意外と市販されていませんが、B6サイズの箱であれば探せば見つけられるかもしれません。
Vファイルは、バイブルサイズという紙のサイズとしては少し特殊なものと紙の規格寸法のアダプターのような役割もしてくれています。

これで様々な記録を散逸させる心配がないと思っているけれど、同じように思って下さる方も多いと思います。

⇒筆文葉リフィル「Vファイル」
⇒コレクトカードボックス

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⇒2017.3.10書類の分類~筆文葉Vファイル発売~

直しながら長く使うために

直しながら長く使うために
直しながら長く使うために

靴はそう簡単に壊れませんが、履くほどに底が減ってくるので靴底の貼り替えに出す必要があります。でもそうやってたまにプロの手に預けることによって、底以外の部分のメンテナンスをお願いしたり、アドバイスを受けることができます。
せっかく手に入れた靴なので、少しでも長く、できれば一生履いていきたいと思っています。

万年筆は使っていても目立って減る部分は少ないけれど、壊れたら直して長く使うものだと思っています。モノである限り壊れないものはないので、私も何度もメーカー修理に出したことがあります。
直すことのできないものは長く愛用することができないし、修理の対応でその店やメーカーの質を測ることができます。
私の持論ですが、しっかりした店ほど修理が多いと思っています。
自分が大切に使っているものを預ける店ですので、お客様の信用があるということですし、万年筆が売れていないのに修理ばかりが多かったとしても、修理のお客様にしっかり対応していれば、いずれ万年筆も売れるようになると思っています。

お客様から修理して欲しいと打診されて、他所の店を案内したり、メーカーに直接送るように指示する、修理から逃げるような店がネットショップの中にはあるようです。
でも万年筆は直しながら長く使うもので、修理を介しながらお客様との関係も長く続けていくということを理解していないのだと思います。
ぜひ、修理を気持ち良く受けてくれる店と関係を築いていただきたいと思います。

メーカーでも修理などのアフターサービスが良いところと悪いところがあって、数少ない悪いところは言いにくいけれど、国産3社はどこも良く修理代も安い。
海外のメーカーでは、ペリカン、アウロラ、パーカー、ウォーターマンの修理の対応が特にいいと思っています。
限定品などは本国修理になりますので何か月もかかることがありますが、どのメーカーも保証書に国内の販売店の捺印があるものであれば優待してくれるので、修理に出した時の満足感は高い。

アウロラはボディと首軸が断裂するというショッキングな修理(落下などの理由がない場合)でも保証書があれば無料で修理してくれますので、最初の価格は高いと思っても後々安心して使うことができる。
万年筆メーカーは経験的にアフターサービスの大切さを知っているのかもしれません。
木製品も、自然な手触りを残したものはひび割れが起こることがあります。
工房楔の木製品もひびが入ることがありますが、これも埋めながら使うものだと私は思っています。
工房楔の永田さんはすごく上手にひびを埋めてくれるので、どこにあったか分からなくなります。補修も木工家の腕のひとつなのだと知りました。
世の中には、修理の要らないものはなくて、良いものほどきちんと修理ができるように作られている。
万年筆も直しながら長く使うものなので、もし壊れたりしても安心して修理に出して欲しいと思っています。

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復興の歴史~ペリカンM800ルネッサンスブラウン発売

復興の歴史~ペリカンM800ルネッサンスブラウン発売
復興の歴史~ペリカンM800ルネッサンスブラウン発売

私が今している仕事はきっと過去にも誰かがしていたことで、その人が万年筆の歴史の中に埋もれていったように、私のしていることも同じく跡形もなく消えてしまうのだと思います。でもそれでいいと思う。
万年筆の歴史は「革新」と「過去の復興」の繰り返しだからです。
ペリカンもそんな万年筆の歴史を何度も繰り返してきたメーカーのひとつで、クラシックなモデルと革新を標榜したモデルをバランス良く発売してきました。
でも革新を目指したモデルは長く続かず、ペリカンほどのメーカーであっても革新しようとしたことは万年筆の歴史の中に埋もれてしまった。
M800ルネッサンスブラウンは、ルネサンス絵画のような色合いをボディカラーで表現していて、昔のセルロイド製のクラシックな万年筆のように仕上がっています。
しかし、ペリカンはセルロイドではなく、現代の素材アクリルレジンを素材として使用しています。
万年筆の素材は、今ではアクリルレジンから削り出したものが主流になっていて、セルロイドやエボナイトは使われなくなってきています。
製作の時間も手間もかかるセルロイドのボディこそ価値のあるものだとして、高額なセルロイドの万年筆も存在しますが、余程注意して時間も手間もかけて作らないとセルロイドは時間の経過とともに変形していく。
変形してしまった古いセルロイドの万年筆を今まで嫌というほど見てきたので、やはりアクリルレジンのボディの方が使っていて安心だと私は思っています。

M800ルネッサンスブラウンは昔の万年筆に使われていたセルロイドのような色柄で、ルネサンス期の絵画のような色彩を表現した限定品です。
ルネサンスを古典古代文化の復興と解釈するなら、古い時代の万年筆の復興を目指したモデルなのではないかという見方をしても面白い。

イタリアのメーカーが黄金期の万年筆の復興を目指したモノ作りをし続けているのと同じように、ペリカンもまた革新とのバランスを大切にしながらも現代の技術を駆使するという、少し違ったやり方で黄金期の万年筆の復興を目指しているような気がします。
M800は硬いペン先とバランスの良いボディを持つ筆記性能に優れた万年筆の中の万年筆ですが、1980年代発売でその歴史はあまり古くない。
当時、アウロラアスティルから始まった細い軸のスマートな万年筆が流行していました。しかし、筆記性能が高く、大きなペン先を持つ1930年代の万年筆らしい万年筆のスタイルを持つM800はその流行に一石を投じたのではないかと思っています。

それ以後万年筆のトレンドは大きなペン先と堂々とした大型のボディになっていると考えるとM800が万年筆の業界に与えた影響は計り知れず、それが今も続いている。
1930年代の万年筆の復活を世に問うたM800が、クラシックな色柄のボディで今また黄金時代の万年筆の復活を掲げているのがM800ルネッサンスブラウンなのだと思います。

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⇒2016.5.13「細字研ぎ出し万年筆」

長いペンを持ち運ぶ ~長寸万年筆ケースのご案内~

長いペンを持ち運ぶ ~長寸万年筆ケースのご案内~
長いペンを持ち運ぶ ~長寸万年筆ケースのご案内~

スチールペン先で、それほど高いものではないけれど、デスクペンと言われる万年筆が日本の各メーカーのカタログに載っています。
スチールペン先のせいか、書き味はそれほどでもないけれど妙にバランスが良くて書きやすい。
ペン習字などでよく使われているのも分かります。

デスクペンについて考えた時、いつも加藤製作所の加藤さんのことを思い出します。
もう13、4年前の話になりますが、大西製作所の前身である加藤製作所の加藤さんが万年筆の尻軸に交換して使うことのできるデスクペンパーツを試作していて、「こういうふうにするとなぜか書きやすいんや」と、デスクペンの書きやすさについて話しておられました。
その後加藤製作所のデスクペンは試作の域を出ず、あまり多く世に出ることはなかったけれど、80歳を超えていた加藤さんが誰も作っていないようなものを作ろうとして、休日に新しいアイデアを試していたことに、当時若かった私は刺激を受けていました。
今では中屋万年筆のシガーロング、プラチナ出雲や、当店でもまだ在庫があるけれどセーラー100周年記念島桑などの長いペンはとても書きやすいバランスを持っている。
ボールペンでもデスクペンタイプのものは妙に書きやすい。ゼブラにバンカースという定番ボールペンがあったけれど、今もあるのだろうか?

そんな書きやすい長いペンの欠点は、ちょうど入るペンケースがないということです。
長いペンは使いやすいので、ペンケースなど何かに入れて持ち歩きたいと思うけれど、普通に販売しているペンケースはいくら長くても15cmくらいまでで、それ以上のペンは「長すぎるペン」として、どのペンケースにも入らない。
当店で6年ほど前にオリジナル長寸万年筆ケースというものがありました。
それは主に中屋万年筆のシガーロングの万年筆を収納するためのものとして発売しました。
当時、和の趣のある黒桟革で作っていましたが、コンチネンタルのシリーズ仕様のダグラス革で復活させました。
使いこむと艶が出て、ペンの出し入れで折り曲がった時のシワ感も景色になる。
エイジングを楽しめるダグラス革は、当時の和の趣きのそれとは全く違う魅力があります。普通のペンケースとは出し入れの方法が少し違っていますが、慣れると一瞬で出せるし一瞬でしまえます。
数年ぶりですが、長いペンを収められるペンケース復活のご要望は多くありましたので、それに応えたいと思いました。

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⇒2011.5.13「オリジナル長寸用万年筆ケース完成」

カンダミサコのコードバン

カンダミサコのコードバン
カンダミサコのコードバン

オールデンのコードバンの靴を1足だけ持っています。
希少なコードバン革は年々値上がりしてかなり高価な革になっていますので、本当に分不相応なものに思います。だから雨が怖くて、兵庫県南部の降水確率が0%の日しか履くことができません。
しかし、その光沢や履き皺など、こんなに美しい靴があるのかと自分の足元を見て嬉しくなるくらいのものではあります。
クロコやリザードなどの強烈な個性のある革も良いけれど、私はこのコードバンが革の最高峰ひとつなのではないかと思っています。
その靴はオールデンの最もオーソドックスな型の990というモデルで、これだけ存在感のある革はシンプルな990の形とのバランスが一番良いと思っています。

この革でステーショナリーを作りたいといつも思っていて、今までにも手帳カバーを作ったことがありました。
当店に、いつか使おうとストックしていたオールデンの靴と同じホーウィン社の上質なコードバンが数枚ありました。
10周年の今年がそのタイミングだと思い、システム手帳とペンシース、ミニペンシースを作ってほしいとカンダミサコさんに託していました。
カンダミサコさんのシステム手帳もペンシースも、余計な装飾のないとてもシンプルなものなので、コードバンの革がとても合うと思っていました。
今回当店からお渡ししたコードバンと、実はカンダさんも秘蔵していたコードバン(マーシュ)があって、それらに形が与えられました。
コードバンのムラのある光沢は、シンプルなカンダミサコさんのシステム手帳に景色を与え、すごいものができたと思いました。
ペンシースもカンダミサコのロゴが美しくクッキリと入り、ステッチがある短辺の反対側の長辺の張り具合や光沢は、このペンシースの形だから現れるピッタリの素材だと思いました。ミニペンシースは、その名の通りミニペン用ですが、ペリカンM101Nのシリーズや1931のシリーズも入れることができます。(マーシュだけ革の関係で長さが2mm短くなっています)

今年、なぜ自分が躍起になって新しいものを作っているかというと、やはり当店の10周年を様々な良いもので彩りたいと思っているからだと思います。
なるべくいつも通りでいたいけれど、今年は特別な年なのだという感覚が強くて、とうとう秘蔵していたコードバンを使うことにしました。
限定商品になるけれど、特別なコードバンを堪能できるものができたと思っています。

限定商品コードバンシステム手帳・1本差しペンシースはこちらから
⇒Pen and message.オリジナル商品一覧gid=2127777″ target=”_blank”>⇒Pen and message.オリジナル商品一覧gid=2127777″ target=”_blank”>⇒Pen and message.オリジナル商品一覧gid=2127777″ target=”_blank”>⇒Pen and message.オリジナル商品一覧

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⇒2016.9.30「カンダミサコバイブルサイズシステム手帳」
⇒2009.12.4「カンダミサコさんのペンシース」

システム手帳リフィル「筆文葉」のある私の生活

システム手帳リフィル「筆文葉」のある私の生活
システム手帳リフィル「筆文葉」のある私の生活

当店オリジナルのシステム手帳リフィル「筆文葉(ふでもよう)」に、新製品としてスケルトンリフィルを追加しました。これも金治智子さんの知恵が詰まったものです。
筆文葉シリーズは少しずつ拡大していて、今後どのように成長していくか私も楽しみにしています。

万年筆で手帳を書くことは、楽しみや趣味にもなることで、システム手帳はより手帳を楽しくしてくれるものだとこのコラムで以前に申し上げたことがあります。
そしてこの筆文葉も、私自身楽しみながら使えると思っていました。
しかし、自分の人生を振り返ったり今後についてイメージした時、優雅にゆっくりと時間を過ごすことはあまりなくて、きっと常にあくせくと試行錯誤しながら仕事をしているような気がする。
そういう生き方しか知らないし特に変えたいとも思わないので、それはきっと自分自身が望んでいる生き方なのだろうと思います。

筆文葉リフィルは、金治智子さんによる筆文葉の使いこなしを解説するブログ「筆文葉のある生活」のように、生活を心豊かにしてくれる可能性があるものなのに、自分の使い方はあまりにも地味だ。
自分自身を省みる暇もなく、不器用に仕事に追われている。

少ない予定を整理するダイアリーと札幌、福岡のイベントまでの仕事の工程表も兼ねているカレンダーリフィルは、3つ折りで見開き1年になりますが、ある程度書き込んで見開き1年の有難味が分かってきました。
日々の仕事を忘れずにするための、自分の仕事においてもっとも重要なToDoは、3mm横罫ノートとしても使うことができる、「横罫9mm(3mm補助罫)」に細かく書いています。
仕入れ金額や売上などの追い続けるデータは3mm方眼にやっぱり細かく書いている。
カンダミサコさんのシステム手帳は携帯しやすいようリング径が小さくしてあります。その意図を邪魔しないよう軽量化するためにも、なるべく小さく書いて紙1枚の情報量を多くするようにしています。
わざわざ細い字が書ける万年筆を用意して、読み返せるギリギリの小さな文字を書いています。

意外と仕事で大活躍してくれるのが水玉罫です。横罫や方眼罫に読みやすくレイアウトしながら書くには素質や努力が要りますが、水玉罫はその円の中に書き込むだけできれいにレイアウトできて見栄えが良い。それぞれの内容が独立しながらも、線などで結びつけることができることも使い勝手がとてもいい。
大きなToDo、仕事の順番を決める時などにも活用できます。

札幌、福岡のイベントが来月末からとなり、準備に忙しくなってきました。準備のための情報を整理するのに筆文葉がかなり役立っていて、これがなかったらどうしていただろう、と思います。

⇒Pen and message.オリジナル商品一覧gid=2127777″ target=”_blank”>⇒Pen and message.オリジナル商品一覧gid=2127777″ target=”_blank”>⇒Pen and message.オリジナル商品一覧gid=2127777″ target=”_blank”>⇒Pen and message.オリジナル商品一覧

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⇒2016.9.30「カンダミサコバイブルサイズシステム手帳」
⇒2014.4.11「手帳のための万年筆3種」

INK Notebook~インクノート~

INK Notebook~インクノート~
INK Notebook~インクノート~

ローラーアンドクライナーのスカビオサという名前のインクにハマっています。
スカビオサという言葉の響きと少しもの悲しげで、諦めたような、覚悟を決めているような色の印象が好ましく、気に入って使い始めましたのですが、最初はお客様が使われているのを見て気になったからでした。

万年筆を使いだして長くなるけれど、それまであまり気にならなかったインクがいろいろ気になりだして、今頃インクの色への興味、探究心が出てきたのかもしれません。
インクの色が気になりだしたのは、当店オリジナルで作ったインクノートを書き始めたからだと思います。
使っているインクをインクノートに書いて整理していると、もっと他のインクも使ってみたくなるという効果があって、手帳は全て同じ色で統一したいと思っていたはずなのに、スカビオサの他にもKWZ(カヴゼット)インクにも手を出しています。
インクノートは、当店の特長のひとつでもあり、色の世界観を和歌などで表現している「色見本帳」を書いているスタッフKが長年温めていた企画で、インクのデータ以外にもシールを貼って所有インクを一覧できるチャート表もある、マニアックなものになっています。
持っているインクを人に見せることもできる遊び心もあるけれど、持っているインクを一目で把握できて、インクの二重買いを防げて、使い方次第ではどの万年筆にどのインクを入れたかも分かる、万年筆を使っている人の助けとなるものだと言えます。
中紙はインクの色を正確に残すことができるバガス紙をこだわって選んでいます。
手応えのある書き味が楽しめる紙で、インクの収まりも早く、このノートに適したものになっています。
当店オリジナルダイアリーと同じ正方形サイズになっていますので、ダイアリー用の革カバーも使うことができるし、ダイアリーや他のノートとともにインクノートを挟むことができて、使い方にも様々な広がりがあります。

1冊で36色のインクについて書くことができますが、もしかしたらそれでは足りない人もいて、色ごとに分冊して、複数のインクノートを使い分けて使う人もいるかもしれないと、皆様がこのノートをどのように使われるかを楽しみにしています。

⇒Ink Notebook(インクノート)購入ページ

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