5月にル・ボナーの松本さん、590&Co.の谷本さんとドイツに行きます。
14年前にも同じメンバーでドイツ、チェコ、イタリア旅行をしましたが、その時にも立ち寄ったニュルンベルグに1週間滞在して、蚤の市、ペンショー、ショップ巡りをしてきます。
カヴェコ社を訪問して社長に会うということも日程に入っています。ニュルンベルグ近郊はカヴェコ以外にもファーバーカステル、ステッドラー、スタビロなどのステーショナリーメーカーがあり、ステーショナリーの街と言ってもいいところです。
神戸も文具店が多いと、他所から来られたお客様によく言われます。たしかに元町には当店と590&Co.さん、神戸と三ノ宮にはナガサワ文具センターさんが3店舗あります。どの店もこだわりのある店で、そういう店が近くに5つもあるのは珍しいことかもしれません。
私の願いは、神戸に様々な文具店はもちろん、文具メーカーも誘致して、神戸をステーショナリーで活性化できたらというものです。
5月のドイツ行きを目指して、谷本さんは忙しい合間にコツコツとドイツ語を勉強しているし、松本さんはいかに旅を楽しくするかを色々調べてくれています。私は何をしているのだろう・・・。
そんな話をしていると、バゲラの高田さんにドイツに行くまでにドイツ語の単語を少なくとも300個は覚えた方がいい、と言われてしまった。
話が少し逸れましたが、カヴェコを訪問することもあり、カヴェコの品揃えを増やしました。
私の世代の万年筆愛好家は金ペンへのこだわりが強く、万年筆は金ペンであって欲しいとどうしても思ってしまう。それは書き味のこだわりで、メーカーごとの書き味の違いや、使い込んで馴染んできた万年筆の書き味を味わうことを万年筆の醍醐味だと思っているからかもしれません。
でも若い人はそれほど金ペンにはこだわっていなくて、もっと自由に楽しく万年筆を選んでいます。
スチールペン先でも楽しめる万年筆の筆頭がカヴェコであることは分かっていましたが、私自身の金ペンへのこだわりが強くて、取り扱いに長らく躊躇していました。
でも今回のカヴェコ訪問を機に、改めて当店なりのカヴェコの楽しみ方を考えてみたいと思いました。
1883年にハイデルベルグで創業し、1950年代最盛期を迎えたカヴェコでしたが、1976年に会社がなくなってしまいます。
1994年にニュルンベルグのグッドバレット社がカヴェコを復活させて、万年筆とボールペンを革ケースにセットした「カヴェコスポーツ」が登場しました。
その時のことをよく覚えています。
若かった私は今より頑なに万年筆は金ペンでないといけないと思っていて、ある日突然入荷した今までの万年筆と全く違うカヴェコを申し訳ないけれどおもちゃみたいだと思いました。
カヴェコスポーツのようなただ持っているだけで外で何を書こうかと思わせる存在の万年筆への理解がなかったし、当時万年筆はまだ実用重視なところがあって、趣味のものだという認識は少なかった。
でも本当に時代は変わって、万年筆の価値はいかに楽しいかというものになっています。
高価な限定品と方向性は違っても、スチールペン先の安価なカヴェコもそれと同じくらい楽しみを感じさせてくれる万年筆だということを、認識する必要があります。
ちょうどアートスポーツというアクリルレジン削り出しの少しゴージャスなカヴェコが発売されましたので、それを機会に以前から気になっていた「オリジナル」と「スペシャル」をラインナップしてみました。