大人の手帳リフィル 筆文葉リフィルの紙質

大人の手帳リフィル 筆文葉リフィルの紙質
大人の手帳リフィル 筆文葉リフィルの紙質

カンダミサコバイブルサイズシステム手帳は、8ミリ径という細いリングを採用することで、綴じ手帳と変わらない携帯性と左ページに書く場合でもリングが邪魔になりにくく(右利きの場合)なっています。
リングが細いということは、そういうメリットがありますが、紙をたくさん挟むことができないというデメリットがあり、内容を常に整理することを使い手に要求するものでもあります。

細いリング径のシステム手帳でいかに紙を少なく使うかを考えた時に、なるべく文字を小さくして1ページの情報量を多くするということは、単純ですが効果があります。
私の場合3ミリ罫に文字を入れるというもので、細く書ける万年筆ではみ出さないように書くには相当小さな文字を書かないといけませんが、国産の極細ならそれができる。
小さな文字を書いても、文字がつぶれたりせず、クッキリと楽に読むことができます。
当店と金治智子さん共同企画のオリジナルブランド筆文葉(ふでもよう)に使っている紙は厚めなので、細いリング径のシステム手帳にはより紙の節約を要求するけれど、丈夫でインクの吸収が早く、私たちが考えるシステム手帳用紙として理想的なものでした。

最近の手帳用紙は、表面がツルツルしていて、書き心地もひっかかりがなく、薄くても裏抜けしないというものが多く、それがトレンドになっています。
でもそういうものばりでは面白くない、と考えました。
筆文葉の用紙はにじみや裏抜けはないけれど、書くと心地よい手応えがあって、その紙自体に存在感がある。この紙は書く楽しみを味わっていただけると思っています。
筆文葉リフィルの売れ筋は3ミリ横罫で、9ミリごとに濃い罫線になっていて9ミリ罫としても使うことができるというもので、他にはないことが売れ筋の理由だと思っています。

売れ筋2番手は水玉罫で、これはどのように使うか考えながら、試行錯誤を要しますが、他にないということは3ミリ横罫と共通しています。
横罫などに箇条書きするとつまらなく見えてしまうものが、水玉罫に書き込むことで、ワクワクすることのできる紙面になり、楽しみながら書くことの役に立つと思っています。

もちろんそれぞれの用途で、好きに使ってもらうことが一番良いけれど、それぞれのリフィルの使い方の提案を金治智子さんが新しく開設したブログ「筆文葉のある生活」(https://fedemoyou.wordpress.com)で提案しています。

筆文葉から3つ折りで、左右で1年を見開くことができるカレンダーも発売していて、それは1月から6月は初年度だからついている今年だけのボーナスパックで、本来は7月始まりで、表面に7月から12月、裏面に1月から6月が載っていて、来年以降も同様のものを発売していきます。

要するにカレンダーは発売しているけれど、もう年が始まってしまっていると心配されている方に、そんなことはないですよと申し上げたかったのです。

3つ折りカレンダーは、とてもシンプルでコンパクトな仕様で、なるべく文字数を少なく明確に書くことを要求されますが、同じものが3枚入っているなど、今までのものと明らかに使い方が違うカレンダーレフィルです。
このあたりの使いこなしもブログで提案していきたい。
筆文葉リフィルでの金治智子さんのアイデアはまだまだ尽きることなく、いくらでも出てきて、ブログも充実していく予定です。
当店もシステム手帳をもっと盛んにしたいという情熱に燃えている。
筆文葉。ユニークで、大人が楽しめるシステム手帳リフィルのブランドにしていきたいと思っています。

⇒バイブルサイズシステム手帳(Pen and message.仕様)
⇒筆文葉システム手帳リフィル

文集「雑記から3」原稿募集のご案内

文集「雑記から3」原稿募集のご案内
文集「雑記から3」原稿募集のご案内

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
毎年が特別な年だと思っていますが、今年は当店にとってより特別な年になります。
今年当店は創業10周年となり、ひとつの節目を迎えます。
当店創業の志は、万年筆を使う人を増やすというものでした。
万年筆を使うと、書くことが楽しくなります。書くことが楽しくなり、書きたいと思う生活は前向きな気持ちになれて、仕事や家事が楽しくなることにつながると信じています。
何かを書こうと思うとニュースなどの見方も違ってくるし、本も読もうと思う。
万年筆を使う人を増やすということは、書くことのある生活の効能によって、幸せになれる人を増やすことになり、世の中が良くなることにつながると考えています。自分のやりたいことが世の中のためになると思えることは、恵まれていると思います。

創業3周年の時も、7周年の時も、節目だと思った時には文集を作り、とても良いものができましたので、10周年の今年も文集「雑記から」を作りたいと思いました。
テーマは「記念の万年筆」です。
原稿は1200文字程度にまとめていただき、メール(penandmessage@goo.jp)でお送り下さい。締め切りは3月31日(金)です。
完成は5月頃を予定しています。

文集に表記するお名前は実名でもペンネームでも構いませんが、当店には実名とご住所、お電話番号をお知らせ下さい。
皆様のそれぞれの記念に思う万年筆のお話をぜひお送り下さい。

私は仕事でそれをしていてとても恵まれていると思っているけれど、自分の好きな万年筆について書くことはとても楽しい作業です。
どの万年筆を選んでどんなことをどんな風に書こうかと、移動中の電車の中や、家で風呂に入ったりしながら、ペンを取らずに考えている時間が、私は書くことの中で一番楽しい時間だと思っているけれど、皆さんはどの作業が楽しいと思うだろう。
万年筆を使っている人の多くは書くことが好きだと思っていて、好きな万年筆について書くことを無条件に楽しんでいただけると私は信じています。

当店創業10周年の文集「雑記から3」にぜひ、原稿をお寄せ下さい。

⇒文集「雑記から~はじめての万年筆~」

⇒文集「雑記から2~一番愛用している万年筆~」

ペリカンM405ブラックストライプ~旅に持って出たい万年筆~

ペリカンM405ブラックストライプ~旅に持って出たい万年筆~
ペリカンM405ブラックストライプ~旅に持って出たい万年筆~

ペリカンM400の金具がシルバーになっているM405に、ブラックストライプが発売されました。
金色の金具のM400とはまた違った、シャープでスッキリした印象のM405にブラックストライプはとても合っていると思います。
以前、M400とM405のペン先は共通で、金銀二色のものでしたが今はM405、M805は銀色一色のペン先になっています。

ペリカンの万年筆の中で、M800は硬くタフなペン先と直径13mmという適度な太さ、30gの適度な重さのボディで、最も楽に書くことができる万年筆だということは揺るぎないものだと思います。

ペンの重さに任せて力を抜いて書くことができたらM800ほど楽に書くことができる万年筆はないと思いますが、M400・M405はM800の安価タイプというわけではなくしっかりと存在意義のある万年筆で、それに合った用途、使い方があると思っています。

机に向かって長時間書き続けるような用途はM800に任せるとして、M400はメモ書きや手帳書きなど、そのボディの軽さ、小ささに向いた用途があります。
その使用感はペンの重みで書くM800に対して、手でコントロールして書く感じ。
外出先でメモをとったり、手帳に小さな文字を少し書くような用途にM400は向いているし、持ち運んで使うにも邪魔になりません。

極細でも太いと言われているM400のEF(極細)を、国産細字くらい細い字を書けるようにした「細字研ぎ出し仕様」を当店では販売しているけれど、それはM400の特性をより生かしたものになっていて、やはりそういう需要があったのか、多くの方がこの仕様を注文して下さっている。
金ペン先に全面ロジウム仕上げしたM405に細字研ぎ出し加工をすると、ペン先側面にわずかな金色の露出が見られるけれど、了承して下さればM405 でも細字研ぎ出し加工をしています。

M400とM800の吸入できるインク量は実は同じで、ボディの小さなM400がいかに効率良くインクをそのボディに貯蔵するかを表しています。
コレクションしたり、見て楽しむことが万年筆の楽しみの中心とみなされている現代において、万年筆は大きなものばかりになってきました。

万年筆が書くための道具の中心だった時代、M400のような小さくて軽い万年筆がたくさんありましたが、その役割はボールペンや他の筆記具に代わられてしまい、多くのものは姿を消してしまった。しかし、M400は残っている。
多くの人は外出時に使い勝手の良いM400のような小さな万年筆を使わなくなってしまいましたが、完全に使われなくなったわけではなく、やはり書くなら万年筆で書きたいと考える人のためにM400はまだ存在しているのだと思っています。
ペリカンの万年筆の特長には、それはM400も例外ではないけれど、インクを入れたまま長期間放置してもペン先が乾かないことや、インク漏れがないという基本構造における信頼性の高さがあります。
道具として安心して使える万年筆の筆頭に、ペリカンの万年筆を挙げられると思います。
旅に1本だけ万年筆を持って行くならどれがいいかと聞かれたら、私はM400・M405をお勧めしたいと思います。

⇒ペリカンM405ブラックストライプ

筆文葉3つ折りカレンダー

筆文葉3つ折りカレンダー
筆文葉3つ折りカレンダー

当店と、書きもの愛好家・金治智子さんとのシステム手帳リフィルの共同プロジェクト「筆文葉」で、日付入りのカレンダー/ダイアリーを作りました。

3つ折り形式で左ページ、右ページ2枚を開くと1年が俯瞰できるというものです。
表面に7月から12月、裏面の1月から6月がレイアウトされたものを毎年春過ぎから発売していく予定ですが、初年度は年明けからお使いいただけるように、1月から6月分もお付けしたボーナスパックとして発売します。

左ページの表面は12分割罫の入った無地、裏面が1月から6月のカレンダー、右ページが表面が7月から12月、裏面が1月から6月で、それぞれ3枚ずつ入っています。
7月始まりダイアリーということになり、変わったものに思われるかもしれないけれど、1年の中心である7月で始まるものがあってもおかしくはないと思っています。
左右で1年を見渡せるようにしているため、1日ずつの欄は小さくなってしまいますが、このカレンダー1枚に全てのスケジュールを書くのではなく、用途別に分けて使ってもらいたいという意図があって、同じものが3枚ずつ入っています。
3つ折りタイプの年間計画表は1か月が縦や横一列に並んでいるものが多く、このカレンダーのようにカレンダーレイアウトになって1年が連続しているものは珍しいと思います。
これは、金治さんが自分用に作って、使い続けてきたものを商品化したもので、内容は既に洗練されています。
祝祭日、月の境目など一切入っていない、とてもシンプルなものだけど、線を引いたり、色付けしたりして自分だけのアレンジを楽しめる、自由度の高いものだと思っています。
予定を管理するのにも良いけれど、私の場合1年の計画を立てたりする時に、これを開いてただじっと考えるという使い方をするつもりで、システム手帳が夢を語り合う仲間として、さらに力強くなったと嬉しくなりました。

一緒に仕事していて、金治さんの思考がいつもスッキリと整然としていることを感じます。
この3つ折りカレンダーも、かなりオリジナリティのあるものだけど、スッキリと完成していて、デザインもシンプルに凝っています。

筆文葉リフィルを多くの人に知ってもらい、使い方の参考にしていただきたい。そして、記事から垣間見られる金治さんのことも多くの人に知ってもらいたいとと思いますが、筆文葉のブログを金治智子さんが開設してくれることになりました。

それぞれのシーンに合わせて用途を提案しています。

⇒「筆文葉のある生活」ブログ
は12月22日(木)公開予定です。

⇒筆文葉・3つ折りダイアリー

オリジナルダイアリーの説明書

オリジナルダイアリーの説明書
オリジナルダイアリーの説明書

正方形オリジナルダイアリーは書く場所を決めすぎていない、自由度の高いダイアリーです。そして結局そういうものが一番使いやすいと思っています。
何年か使われている方はすでに使い方を確立されていて、それは製作者としてとても嬉しいことです。
しかし初めて使おうと思われている方、使い方を悩まれている方のために、それぞれのページの意図のようなものをご説明したいと思います。

[筆記具について]
オリジナルダイアリーに使用している紙は、大和出版印刷さんが万年筆での書き心地を追究したグラフィーロ紙を使用しています。
グラフィーロはどんなカリカリした書き味の万年筆でもヌルヌルと気持ちよく書くことができる紙なので、極細や細字の万年筆が最適だと思っています。
書き味を追究したためにインクの乾きがやや遅い傾向にありますので、オリジナルダイアリーには専用の吸取紙が付属しています。書いた後すぐページを閉じる時は、これを挟んでページを閉じて下さい。

[ウィークリーダイアリー]
・見開き365日のページ
ここは集計用紙のフォーマットになっています。毎日の売り上げや体重など、管理しておきたい各月の数字を集計するのに便利なページです。
・月別計画表
それぞれの月の企画など、月別のイベントやテーマなどを書いて、一年の計画を立てるページです。月が横並びになっていますので、月をまたぐ計画も書き込みやすくなっています。
・見開き2か月カレンダー
ブロック式のオーソドックスなカレンダーです。見慣れたフォーマットで予定などが一目で確認できます。メモ欄も可能な限り設け、自由に書き込める場所も確保しています。
・本文見開き1週間ページ
1週間均等にスペースを設け、様々なライフスタイルの方に対応しています。
六曜、経過日数/残り日数表示、週番号、月の満ち欠け、前後含め3か月分ミニカレンダーなど、たくさんの情報量がありますが、スッキリとまとまっています。
1日を3分割にして、午前午後夜の予定を書いてもいいし、家族やメンバーの予定をかき分けてもいいし、スケジュールとToDoをかき分けてもいいようにしています。
私のダイアリーの用途はほとんどがToDoなので、その日のToDoはそれぞれの日に書いて、1週間のToDoを右側の大きなメモ欄に書いていきます。
・5mm方眼ノート
フリーに使えるページで、こういう余白があることも使いやすさにつながります。

[マンスリーダイアリー]
ウィークリーダイアリーもオリジナルフォーマットですが、このマンスリーダイアリーは画期的なフォーマットで、正方形サイズだからできた形でもあります。
見開き365日ページ、月別計画表の使い方はウィークリーと同じです。

・本文見開き1か月カレンダー
週番号/残り週、前後月のミニカレンダーを装備しています。
それぞれの日のスペースは無理なく大きめに取っていますが、フリーに書き込めるスペースを大きくとることで、その月のテーマや日付の決まっていない予定も書き込めるようになっています。
日付の決まっていない予定は、週が決まればそれぞれの週の最初にあるウィークリープランの項目に書けばいいし、日が決まればそれぞれの日に書き込めばいい。曖昧にしか決まっていない予定も書き込めることを大切にしたカレンダーです。
メモ、ドキュメント欄は、その月のまとめや、集計した数値などを書き込め、その月について後から見返す時に便利なようにしています。

それぞれダイアリーだけでも使うことができますが、革カバーも発売しています。これもこのダイアリーを使う楽しさを上げてくれるものです。

毎年製作しているオリジナルダイアリー、当然思い入れが強く、多くの人に使っていただきたいと思っています。
本当に使いやすく、万年筆で書くことが楽しいものだと思います。

オリジナル正方形ダイアリー:ウイークリー
オリジナル正方形ダイアリー:マンスリー

万年筆を普段のものに ~新色追加ペンレスト兼用万年筆ケース~

万年筆を普段のものに ~新色追加ペンレスト兼用万年筆ケース~
万年筆を普段のものに ~新色追加ペンレスト兼用万年筆ケース~

ペンケースについて、パリッとし過ぎたものよりも少しルーズな感じがあって、緩いものの方が応用が利いて使いやすいのではないかと思うことがあります。
用途や目的によるかもしれないけれど、少し遊びのあるものの方が長く使っていられるのかもしれません。
当店オリジナルペンレスト兼用万年筆ケースはカチッとし過ぎていないので、様々なペンに対応して、多くの人に日常的に使っていただけるものだと思っています。
ペリカンM1000、キングプロフィットなどオーバーサイズから細軸のものまで収納できるし、持ち運ぶときはフタ部を閉じると傷を防止するとともに、ペンの脱落を防いでくれる。
フタ部を収納しているペンの枕のように後ろに回すと、開いたままにすることができて、ペンを素早く取り出すことができる。
ペンケースを開いたままにできるのは、仕事などでペンを取り換えながら使う時に大変便利で、机の上に置いておくときはこの状態がいいのかもしれません。

ペンをこのケースに入れた状態だとペンケースの表面が波型になりますので、そこへ更にペンを置くことができ、ペントレイ(ペンレスト)としても使うことができます。
このペンケースがペンレスト兼用と名乗っているのもそういう理由からです。

このペンレスト兼用万年筆ケースに新色を2色追加しました。
トープはとても上品は色。抑えた感じの色はシーンを選ばず使うことができる。このペンケースを作ってくれているカンダミサコさんの鞄でも定番の色です。
チラッと見える内側はピンク(サーモン)色のスエードで、上品な外側にぴったりだと思います。

シュランケンカーフの新色ルビンでも作りました。
ルビンは本当に不思議な色です。
その色だけ見ていると個性が強いようにも感じられますが、実はたくさんの色と合わせやすい柔軟性のある色だと思っています。
レトロにも見えるし、甘くも見えるルビンは、サーモンピンクとライムグリーンのスエードの内側2色を用意しています。

ペンレスト兼用万年筆ケースには、シュランケンカーフを使用しています。(コンチネンタル除く)
シュランケンカーフは上質な仔牛皮を薬品で人工的に縮れさせて、丈夫さと伸縮性を持たせた質感と実用性の両立した名革で、このペンケースはそのシュランケンカーフを使用することで使い易く作ることができる。
日常的に使うペンケースは3本差しくらいがちょうどいい。万年筆2本とボールペンやシャープペンシルなどの他のペンを入れておくようなイメージですが、多くのペンケースが3本差しなのも、3本差しが道具として一番使いやすいからなのだと思っています。

万年筆を毎日使う普段のものにするための当店からの提案が、このペンケース。
ペンレスト兼用万年筆ケースです。

⇒ペンレスト兼用万年筆ケース

当店のペン先調整について

当店のペン先調整について
当店のペン先調整について

当店はペン先調整をする万年筆店で、書きやすいと思える万年筆を販売しています。
一口にペン先調整と言っても、色々なやり方、考え方があると思いますが、当店の場合は、なるべく手を入れないようにしたいという考え方を基本としています。
使用中の万年筆が書きにくいということで、調整してほしいというご依頼(持込調整)は有り難いことにとても多く、お送りいただいて調整する場合1週間ほどお待ちいただくことになってしまっています。
持込調整の場合、ご不満な点がはっきりしていますので、そのご不満点を解消できるようにしますが、「何か書きにくい」という曖昧な、感覚的なご不満にも対応したいと思っていて、感覚的な言葉でのやり取りでの調整は、ペン先を通してお客様と感覚の擦り合わせをするようで、なかなか楽しい作業です。

持込調整で、ご来店もしくはお送りいただく場合は、インクを入れたままにしていただきたいと思います。
その方がインク出のチェックもできるし、そのインクに合った、より精度の高いセッティングに近付けることができると思っています。

新品のものに関しては、入荷してきた万年筆がはじめから書きやすければ何も手を加えず、ルーペでチェックしたら、そのまま店に並べています。
チェック項目は、左右のペン先の食い違い、寄り、ペン先ペン芯の離れです。
何でもかんでも調整しているわけではなく、調整は使われる方の考え方や要望に合わせてすることだと思っているので、新品のもののペン先を削って並べておくことはなく、お客様が決まってからその方のご意向に添ったものに仕上げています。

ペン先調整において、ペンポイントを削る量はなるべく少ない方がいいと思っていますので、最小限の削りで、使っていくうちに最大の効果が出るように調整することがペン先調整をする者の腕だと思っています。
何も希望を言われずに調整する場合は、少し筆記面に当たりをつけてお渡ししていますが、それで充分快適に使うことができる万年筆になります。

それで充分だと思う人もおられるし、もっとやってもらって結構という方もおられて本当にそれぞれで、ご要望があれば何研ぎにでも仕上げるようにしています。でも基本的には削り過ぎないように心掛けています。

ペン先調整をしている万年筆店という言葉は、宣伝文句にもなるけれど、一方では何か先入観を持たれる言葉なのではないかと思うことがあります。
「ペン先調整=削りまくる」と思われるのは心外で、無闇矢鱈に何でも削り取ってしまう人間だと思われたくない。
ペン先調整以外でも言えることだけど、そこにあるものをなるべく大切に生かす人間でありたいといつも思っている。
どこまで調整したら気持ちよく書きことができるか、その万年筆が適切な状態になるかを察知して、やり過ぎないことはペン先調整をする者の必須のスキルであると思います。
特に資格がないこの業界では、今までそれが充分でなかったから先入観を持たれることになってしまったと、私たちペン先調整をする人間は反省して、理性的な仕事をしなければいけないと思っています。

ル・ボナー製オリジナルダイアリーカバー完成しました

ル・ボナー製オリジナルダイアリーカバー完成しました
ル・ボナー製オリジナルダイアリーカバー完成しました

オリジナルダイアリーはそれだけでどこに出しても恥ずかしくないものだと思っているけれど、ル・ボナーさんの作るシンプルな革カバーと組み合わせることで完成すると思っています。
ル・ボナーの松本さんは私達の革の伝道者で、毎年発売するこのオリジナルダイアリーカバーを作る際には色々な革を教えてくれます。

今年は4種類の革で製作してくれました。
フランスアノネイ社のソフトカーフは、キメの細かいとても柔らかい革。初めは
マットな質感ですが、使い込むと艶が出てくれます。最近いろんな革をカーフと言うようになって、カーフと聞いてもイメージがしにくくなっていますが、この革こそが正真正銘のカーフだと極上の手触りから思います。
ソフトカーフではシングルとダブルを製作しています。

ネイビーの1色のみ、シングルのみの発売ですが、デンマーク産カーフを日本で鞣した革は滑らかな手触りが特長です。キラキラした銀面が美しい革です。
松本さんはこの新しい革をル・ボナーが理想とする革に近く、これから使っていきたいと言われ、勧めてくれました。
ブッテーロパープルは使い込むと艶が出てくる革で、定番的な存在になってきていますが、美しいエージングが約束された信頼の革です。
パープルは色気さえ感じる色合いだと思います。使い込んだり、手入れするうちに更に美しく変わってくれると思います。

女性目線での万年筆の使いこなしを提案する当店オリジナルブランドDRAPE(ドレープ)のカバーはベルトとペンホルダーがついたフル装備。
傷や汚れがつきにくい、扱いやすくスマートな印象のノブレッサーカーフの黒と赤で製作していただきました。
DRAPEのカバーも内側はブッテーロのチョコ。シャキッとしていて、仕事の相棒といった趣きです。
今年久し振りの製作になったダブルは、マンスリーとウィークリーというように、薄いものと厚いものを組み合わせると最大で4冊のノートを挟むことができます。
ダイアリーが2冊にまたがる今頃の季節や、フリーデイリーノートの切り替わり時などに、シングルからダブルのカバーに入れ替えて使うと、とても便利です。

普段は、システム手帳と正方形ダイアリーを併用しています。
荷物が多くなるのでどちらかひとつにまとめたいと何度も思いましたが、それぞれの良さがあって役割を分けた併用がしっくりくるようです。
正方形ダイアリーとシステム手帳どちらにも同じことを書いていることが多いけれど、一番大切なことは書き込んだ情報が引っ張り出せて、仕事や家事に活用できることだと思いますので、項目別分類のシステム手帳と時系列のダイアリー両方に情報があると安心します。

同じことを書いていると言ったけれど、役割はそれぞれあって、正方形ダイアリーではマンスリーとデイリーを使ってスケジュールとToDo、メモという、実務的な使用で、私にはとても合っている仕様だと思っています。
世の中には本当にたくさんのダイアリーがあるけれど、オリジナル正方形ダイアリーとカバーの組み合わせは機能、趣き、質感の要素が揃ったものだと使いながら思います。
カバーでは40年以上の経験を持つ尊敬するル・ボナーの松本さん、中身のダイアリーでは万年筆との相性、クオリティを追究する大和出版印刷さんの協力を得ているので、良いものができないはずはない。

オリジナルダイアリーの中身もカバーも世界中の人に使っていただきたい優れたものだとお勧めします。

ラミー2000の50年

ラミー2000の50年
ラミー2000の50年

大好きな話なので何度も書いていますが、ラミー2000は1966年に2000年まで通用するデザインの万年筆を作りたいとラミー社が社運を賭けて発売したペンです。
それは2000年をはるかに超えた現代でさえ全く古さを感じさせず、いまだに斬新ささえ感じさせてくれるロングセラーのペンになっています。
当時パーカーの代理店からペンのメーカーに転向して数年経っていたラミーは、大手メーカーの影響を受けたペン作りに限界を感じていたのではないかと思います。
大手メーカーを真似るまでいかなくても、トレンドのようなものがあって、どうしてもそれに流されてしまう。
何か変わらないものを手に入れたい。
世の中は、時代はすごいスピードで進んで行くけれど、その中でも変わらないものがあるはずだと思い、たどり着いたものがバウハウスの流れを汲むデザインだったのではないかと私は思っています。

ただの姿形だけのデザインなら、すぐに廃れて古くなってしまうけれど、機能がデザインを作るというバウハウスのデザインにはドイツ人の誇り、美意識が込められている。
そういった精神的なものは時代が流れても変わらないのではないか、ラミーはきっとそう思ったに違いない。
ラミーと肩を並べるつもりはないけれど、その心情は私にも理解できると思っています。
当店も時代が変わっていくことを認めながらも、変わらないものをずっと探している。
それは必ずあるはずで、ラミーはそれを見つけることができたし、それを見つけることができた会社が続いていくことができるのだと思います。

ラミー2000を開発した話は万年筆界の宝物だと思っています。
ラミー2000が今年50周年を迎えて、5000本限定モデルを発売しています。
量産されているラミー2000が展示会などのショーモデルとして作られたらこうなるのではないかと思うほど、定番品のラミー2000と似て非なるものになっている。
独特の温かみのある色合いに仕上げられたステンレスを削り出して、マット加工を施した、かなり重量感のあるものになっていて、ペン自体の重みで書くことができるようになっています。
私たちはラミー2000の素晴らしい話を聞いて、自分の仕事もそうありたいと思う。

ラミー2000を手に入れることは、それを自分の仕事のお守りにして、自分の仕事において変わらないものを見つけることなのではないかと思っています。

コンチネンタルデスクマット新発売~野趣溢れる革の艶~

コンチネンタルデスクマット新発売~野趣溢れる革の艶~
コンチネンタルデスクマット新発売~野趣溢れる革の艶~

万年筆やカメラなど、大切にしているものはなるべく直接机の上に置きたくない。人のモノなら尚更ですが、自分のものでも革や布を敷いてその上に置きたいと思います。
革のデスクマットは、その上に紙1枚だけ置いて万年筆で書くと、柔らかくとても気持ち良く書くことができるけれど、書くためだけのものではなく、その上で大切なものを扱う時の敷物の役割もしています。
コンチネンタルのシリーズで新たにデスクマットをカンダミサコさんに作ってもらいました。
元々カンダミサコブランドでブッテーロのデスクマットがありますが、それと全く同じサイズです。
ブッテーロのデスクマットとコンチネンタルデスクマットの違いは、ステッチにあります。
ブッテーロデスクマットは銀面、床、フェルトをボンドで貼り付けていますが、コンチネンタルデスクマットは銀面と床をステッチで縫い合わせています。
コンチネンタルに使用している革の特性の問題で縫い合わせていますが、細かく丁寧に施されたステッチはとても良いアクセントになっていて、味わい深いものができたと思っています。

コンチネンタルのシリーズには、ダグラスという牛のショルダー革を独特の技法でなめしたものを使用しています。
新品の時、あまり艶のない、細かな筋などがそのまま残った野趣溢れる革で、この革の表情から感覚的にコンチネンタルという名前を勝手につけたけれど、なかなか言い表したネーミングだと自画自賛している。

ダグラスの革は新品の時あまり艶がありませんが、革用ブラシで磨いてあげると、驚くほど艶が出て妖しいほどの光沢を持ちます。
私自身この革のそういう所を気に入っていて、男性を中心に賛同して下さる方が多い。
気に入った革があると同じ革でいろいろなものを揃えたいと思うし、統一した方が服装やインテリアのアクセントになる。
ベラゴさんが大変な手間をかけて作ってくれていたシステム手帳(現在は廃番)から始まり、3本差しのペンレスト兼用万年筆ケース、A7メモカバーと、コンチネンタルのシリーズは少しずつアイテムを増やしてきました。

きれいと汚いの間と言うと、言葉が悪いのかも知れないけれど、色々考えても他に言い様がない。敢えて言い換えると野趣溢れるということになるのだと思いますが、工房楔さんの木製品に例えるとチークこぶ杢などは同じような味わいを持っていると思っています。

個人的にこういう素材がとても好きで、今後もいろんなものを作っていきたいと思っています。