
万年筆の書き味は紙質に大きく左右されます。
紙の表面のプレスを強めに平滑に硬くすれば、ペンの滑りが良くにじみの少ない紙になります。
プレスを弱めにして、紙の表面を柔らかくしておけば、書き味はフカフカとした柔らかい紙になります。
大和出版印刷さんの第2世代の万年筆用紙グラフィーロは、紙の表面をローラーや填料でくぼみを埋めて平滑にして、にじみ、裏抜けのなさを追究した紙だと言えます。
グラフィーロは、紙に対して、私たちが嫌だと思う要件をひとつずつつぶして完璧な紙を目指した体育会系的な思考で作られた紙だと思っていて、私は大和出版印刷さんらしい発展の仕方をしたと思っています。
そのやや硬質な書き味から、私はグラフィーロを「辛口の書き味の紙」と分類しています。
第1世代の紙リスシオ・ワンは、初めて大和出版印刷さんが製作したステーショナリーである最初の上製本ノートの用紙として採用した最高の書き味の紙、バガス紙に代わる紙として、万年筆での書き味を追究して開発されました。
書き味という快楽を追究したところに、帰宅部系の私は最高の紙のあり方だと共感していました。リスシオ・ワンはまさに甘口の書き味の紙だと言えます。
リスシオ・ワンは、それを製作した機械が老朽化で廃棄となったため、二度とつくれなくなりました。そこで大和出版印刷さんは再び紙開発をして、グラフィーロを作り上げました。
現在は、大和出版印刷(神戸派計画)の紙製品はリスシオ・ワンからグラフィーロに移行しています。
だけどリスシオ・ワンの商品がこのままなくなってしまうのは、非常にもったいないと思っていました。
当店が装丁文庫ノートをリスシオ・ワンで製作したのも、今のように大和出版印刷さんがステーショナリーの世界で知られる前に取り組んでいた紙の良さも、伝えたいと思ったからでした。
私は1日1ページの日記帳として使われる想定でこのノートを企画しましたが、もちろん他にも使い道はいくらでもあります。皆様がどのようにこのノートを使われるか、楽しみにしています。
大和出版印刷さんが万年筆で気持ち良く書くことのできる紙を作りたいという、情熱だけを持って開発したリスシオ・ワンの紙から私はロマンを感じていて、私たちの仕事のあるべき姿だといつも心に持ち続けていました。
それが10年後このような小さくてコロンとしたかわいらしいノートとして生れ出ました。
リスシオ・ワン紙を使用した他のノートも、この装丁文庫ノートも、万年筆で書くことによって書き味という快楽を味わえるものです。
リスシオ・ワン紙自体は新たに作られることはありませんが、すでに商品となっている他の製品もまだ大和出版印刷さんに在庫があります。この甘口の紙の書き味も味わっていただけたらと思います。
携帯用のペン先調整機を手に入れる

6月に札幌、7月に福岡のイベントを控えて少しずつ準備をしています。
外でのイベントは昨年始めからイメージし続けていましたが、10月頃から急にバタバタと物事が決まり始めました。
昨年1月の代官山蔦屋書店でのイベントでは調整機を運ぶために車で東京に行きましたので、車なしで外に持って出ることのできるペン先調整機が必要でした。
大先輩に甘える形になってしまったけれど、11月に名古屋のペンランドカフェの高木雅且会長を訪ねて、食品加工機械を製作されている尾崎さんを紹介していただきました。
今使っているペン先調整機は9年使っていて、改良点や追加したい機能のイメージがはっきりしていました。そして尾崎さんが製作されたペンランドカフェさんの調整機をベースにできたので、訪問したその日のうちに全ての仕様を決定することができました。
打ち合わせから半年の間、メールで何度もやり取りして、尾崎さんにはゴム砥石の製作や図面起こしもしていただきました。
そしてついに新しい調整機を持って、高木会長が運転する車にペンランドカフェの荻敏英店長と尾崎さんが来て下さいました。
わざわざ持ってきて下さって恐縮しましたが、尾崎さんから直接説明を受けることができたし、荻さんとペン先の調整について話すことができました。
そして本業だった会社の経営を息子さんに引き継いでおとなしくしている、とご自分ではおっしゃっている高木会長のお元気な様子も分かりましたので、皆さんにお会いできて本当によかったと、今も興奮が冷めずにいます。
新しい調整機は、試行錯誤を共にした調整機で得たノウハウを全て反映させた、完璧なものになっています。
モーターやベルト、ベアリングなどの作動音は驚くほど静かになっているし、砥石の回転数も無段階で変更することができる上に、回転方向も切り替えることができる。
他にも色々変更点があり、これで細字研ぎ出し加工もやりやすくなりました。
ペン先調整においては、ペンポイントをいかに温存したまま書きやすくするかを念頭に置いているけれど、同時に美しく仕上げたいと思っています。
美しいペンポイントへの憧れはかなり以前から持っていて、趣味の文具箱のペンポイントを超高倍率で撮影した写真などいつまでも見ていられます。
ペンポイントの研ぎを追究したいという想いは昨年あたりからさらに強くなっていて、きっと自分はこれからもこれで身を立てていくのだろうと確信しました。
ペンポイントの研ぎについてだけはいくらでも話すことができるし、その道具についてでも同様で、新しい機械ができたことでまた話すことが増えた。
新しい機械は出張調整用の機械で、今までの初号機も並行して使っていくけれど、自分の手を馴らすためにしばらくは集中して使っていきたいと思っています。
札幌のイベントも福岡のイベントも、いつあるか分からないイベントをアテにするのをやめて、自分たちで実行しようと思って企画しましたが、結局多くの方の助けをいただいて実現することになりました。自分たちだけでは本当に何もできなくて、ご協力いただいている方々に改めて感謝しています。
イベント日程はそれぞれ下記の通りです。お近くの方もそうでない方も、ぜひお立ち寄りください。
対面調整をしての販売がメインとなりますので、ご希望の万年筆がある場合などは先にお知らせいただけましたらご用意してお持ち致します。インターネット販売で直接お会いしたことのない方にも、ご挨拶できればと思っています。
〇札幌イベント 6月24日(土)・25日(日) 10時~19時
ギャルリー ノワール/ブラン
札幌市中央区南2条西6-5-3 住友狸小路プラザハウス2F
〇福岡イベント 「Pen and 楔」 *工房楔との共同開催
7月8日(土)・9日(日)11時~18時(最終日は16時迄)
ギャラリートミナガ 福岡県福岡市中央区大名2-10-1シャンボール大名A-103
〇調整応援 7月1日(土)・2日(日) 10時~17時 *調整応援として滞在しています。
Ka-Ku(カーク)奈良店(奈良大和西大寺のならファミリー内)
1本差しのル・ボナー絞りのペンケース

万年筆をたくさん持ち歩くのもいいけれど、今日使うと朝選んだ万年筆を1本だけ持ち出すためのペンケース。
革の色によって印象は変わり、ドイツ製の黒軸の万年筆はレッドやブラックのレッドステッチなどの鮮烈な印象の色を、イタリアの万年筆にはトープやキャメルにグリーンステッチなどの薄めの色が合う、と独断と偏見で思っていますがそう外れていないのではないだろうか。
チョコやワインは当店のコンチネンタルのシリーズと相性が良い。
このペンケースに使われているブッテーロ革は、使い方やお手入れ次第でかなり違いが出てきますので、私がお勧めしたいのは「革用ブラシをかけること」です。
少しくらいの傷ならブラシ掛けで消えてくれるし、粒が立ったようなキラキラした輝きを持ってくれます。
もっと優しく、乾いた布で優しく撫でるという手入れもあります。
すぐに効果は出ないかもしれないけれど、気付いた時にハンカチなどで軽く撫でるように磨く。そうした時のエージングの美しさはもとの状態の数倍にもなると思います。
もう今回入荷分は色数が少なくなってしまいましたが、また入荷しますのでぜひお手に入れていただきたいと思います。
絞りのペンケースは、ブッテーロ革を2枚重ねて熱を加えながら絞ることで革を形作る技法で、革が硬いシェル構造になりますので、一般的な革を縫製するペンケースよりも、丈夫で中身を守るペンケースになります。
当店は開店間もなくからこのペンケースを扱ってきましたが、絞り加工を施していた職人さんが高齢で引退されたため、作れなくなってしまいました。
それからル・ボナーの松本さんが粘り強く、様々な実験、試作を重ねて量産にこぎつけることができました。
今回1本差しのみ入荷しましたが、3本差しも入荷してくる予定です。
1本差しはキングプロフィットなどオーバーサイズのペンまで入り、3本差しにはペリカン146などのレギュラーサイズのペンまではいりますが、ペリカンM1000も入れることができます。
開業したばかりの頃の当店は商品数も少なく、特長もありませんでした。
そんな中でル・ボナーの松本さんが出来上がったばかりの絞りのペンケースを販売させてくれました。
他所では売っていない、素材が良く、縫製などのクオリティも高いこのペンケースはとてもよく売れました。
そういう商品があるというのは、開店したばかりの店には大変有難く思いました。
松本さんは当店で売るためにこのペンケースを開発してくれたのではないかと思ったくらい感謝していて、そのペンケースをまた販売することができることに、感慨深いものがあります。
装丁文庫ノート

毎日ではないけれど、ぼんやりとした考えがまとまってひとつの完成された論理になったり、その日あった忘れたくないことなどは書きとめておきたいと思います。
書きたい気持ちだけを優先して、そういうものをそのときたまたま使っているノートに書いてしまうと散逸してしまうので、できれば決まったものに書いておきたい。
今までそうしてこなかった後悔が私にはあります。
自分の考えや心の中にある大切なことは、大きなノートに堂々と書く感じではなく、夜一人の時間に小さめのノートにひっそりと書く方がいい。
そういう使用のためのノートを作りたいと何年も思っていました。
大和出版印刷の上製本ノートは、大和出版印刷が紙製品のブランド「神戸派計画」を始めるきっかけとなったものです。
万年筆を愛用していて、それに見合ったノートを作りたいと10年ほど前に大和出版印刷の武部社長が号令をかけて作ったノートで、この上製本ノートでのノウハウが、この装丁文庫ノートに生かされています。
どのページも平らに開きながらも丈夫な製本は、上製本ノートと同じ製本会社が手掛けていて、それはこのノートにおいて最もこだわった部分でもあります。
万年筆で書いた時に気持ち良く、書き味を楽しみながら書くことができる用紙にもこだわりました。
その紙を作った機械が老朽化のため廃棄処分となってしまい、同じ紙が作れなくなってしまったLiscio-1紙。現在製品として仕上がっているものしか存在せず、幻の紙になりつつあります。
今回大和さん秘蔵のLiscio-1紙を、このノートの用紙に使用することができました。
完全ににじまないとか、どのインクでも絶対に裏抜けしないというものではないけれど、この紙ほど書き味の良い紙を他に知りません。
ペン先を紙に当てるとシュワッと、まるで紙がインクで溶けたのかと思うような気持ち良い書き味が特長です。
Liscio-1紙を大和出版印刷さんのはからいで幸運にもこのノートに使用することができましたが、第2版を製作する時にはこの紙を使用できるかどうかは分かりません。
その時はこのノートの性質にあったなるべく書き味の良い紙を選びたいと思っています。
日付入りの日記帳ではなく、いつでも書きたい時に書けるノートの体裁をとっていますが、ページ数は368ページで1日1ページの日記帳として使うこともできます。
とっておきの紙を使用した、装丁文庫ノートの初版を10周年の今年に発売できることをとても嬉しく思っています。
皆様の万年筆で書く暮しの中にこのノートが浸透すれば何よりです。
ペリカンM101Nブライトレッド発売

ペリカンの1930年代のモデルのデザインを使用し、現代の素材、機構を備えたM101Nシリーズ新作ブライトレッドが発売になりました。
M101Nは2011年のトータスシェルブラウン、2012年のリザード、2014年のトータスシェルレッドに続く4作目になります。
ブライトレッドも1930年代後半に製造されたモデルの100Nがベースになっています。
クラシカルな過去のデザインと現代の仕様を融合させたこのM101Nのシリーズを、私はひとつの理想的な万年筆として見ています。
現代的でシャープなデザインのものもいいけれど、戦前の万年筆のデザインに温かみや威厳のようなものを感じることができると思います。
それならビンテージの万年筆が理想かと言われると、それは見ていてとても楽しいものではあるけれど、実際に使うとなるとインク漏れが気になったり、修理ができなくてずっと使い続けることができなかったりという、使うことにおいての制約がありますので使い辛い。
それは違うと言う人もいるかもしれませんが、私にとってビンテージの万年筆は実用の道具として考えにくいものなのです。
私が最も楽しいと思っていて、多くの人に伝えたいと思っていること、万年筆で書くということを楽しませてくれるものになりにくいというと反感を買うだろうか。
ペリカンは2000年頃から自社のビンテージの万年筆を限定品として少しずつ復刻させていて、それらはどれもとても人気がありました。
個人的に1931ホワイトゴールドに憧れて、発売5年後に新品で手に入れる機会を得られた時はとても嬉しかった。
書き味が当時と違って硬いという人もいますが、昔の柔らかいペン先よりも硬いペン先の方が実用としては使いやすいと、筆圧が低い私でも思っています。
この硬いペン先も、使い込んだ時にとても滑らかな良い書き味に化けたことに驚きましたが、これが限定品としての仕掛けだったのだと納得しました。
万年筆の書く以外の楽しみは、ペンケースなど収納するものに凝ることだと思っています。
潔く1本差しにその万年筆だけを入れるというのも、この世界ではかっこいいことだけど、コンパクトなM101Nのような万年筆だと2本差し以上のペンケースに何かとコーディネートして収納したい。
当店オリジナルのWRITING LAB.ペンケースピノキオは、M400やM700トレドなどがピッタリと収まるペンケースですが、M101Nもそれらと変わらないサイズなので、ピノキオにきれいに収めることができます。
ちなみにピノキオにM101Nを収める場合、クリップは内部の丸い仕切りの外に挟んだ方がスムーズに入れることができます。
ピノキオは2本の万年筆をコンパクトに収めるという目的で作ったもので、ジャケットのポケットなどにそのまま入れて持ち歩くことができるもので、そういった使い方にM101Nも合っていると思います。
いつも持ち歩いて、どんどん使うことができるクラシカルなデザインの新しい万年筆がM101Nです。
銘木ロマン~工房楔のイベントが終わって~

半年に1回、季節の変わり目に開催している工房楔のイベントが終わりました。
前回、前々回と開店前にお店の前に行列ができるということが続いていましたが、今回はそういったことはなく、今までのイベントに戻ったような感じでした。
毎回店の中が身動きがとれないくらいお客様でいっぱいだったら店は嬉しいけれど、お客様は窮屈で自由に見ることが出来ないかも知れない。そう考えると、ちょうどいい感じになっていたと思います。
今回のイベントの趣向は「バラエティに富んだ素材」だったのではないかと思います。
工房楔の永田さんが定番的に扱っている素材、花梨、キューバマホガニー、ホンジュラスローズウッド、ウォルナット、キングウッド、ブラックウッド、チューリップウッドなどは、木目や杢の模様の面白み、しっかりとした性質、質感など、どれも完璧なもので、使うものとしてとても良いものですが、世の中には本当にたくさんの木があります。
たまには違ったものも見てみたいと、イベントにいつも来て下さるお客様は思っておられたと思っています。
中でも、ある人間国宝の方が所蔵していたという神代けやきはやはり注目されていました。
1000年以上も火山灰の中に埋もれていたからこそ、風化せずにしっかりとした状態で残っていることに歴史と自然のロマン、そして名を残した亡き木工家から若い木工家に受け継がれた男のロマンを感じます。
永田さんが長く仕込んでいた黒柿も、やっと作品として姿を現しました。
隙間なく孔雀杢が現れた良材で、今回の目玉だったと思います。
パロサントは珍しい鮮やかな緑色の木。水に沈む木として有名なリグナムバイタとよく似た木ですが、パロサントの方が粘りがあり、割れなどの心配は少ないそうです。
紫外線に当たると緑味が増していく素材で、ネットリとした質感が魅力のなかなか良いものだと思っています。
ボークオークは数千年以上沼などのドロの中に埋もれていた木で、ファーバーカステルがペンオブザイヤー2012でこのボークオークを胴軸に使用していることからも分かるように、ヨーロッパでは昔からボークオークの独特の質感を生かして工芸品に使用されてきました。
今回ボークオークを使って、「こしらえ」を作ってもらいました。
「こしらえ」は当店のオリジナル企画で、工房楔の永田さんが木の部分の製作はもちろん、金具などのパーツもデザインしている、パイロットカスタム742・カスタムヘリテイジ912の首軸から先を装着することができる万年筆銘木軸です。
エボナイトや真鍮パーツには、金色のペン先のカスタム742、ステンレス金具には銀色のペン先のカスタムヘリテイジ912の相性が良いと思っています。
こしらえの他にも今回、2mm芯ホルダーのノック式が新発売になりました。
前回の秋のイベントで新しく発売しました、0.5ミリペンシルで見せた安定感のあるフォルムを、ノック式2ミリ芯ホルダーにも応用していて、握り心地も良いものが出来上がっています。
文具好きの方にお勧めすると喜んでもらえるノック消しゴムや三菱ジェットストリーム4&1用グリップなども、多く当店に在庫しています。
イタリアの掟~アウロラ88と限定品~

イタリア人は古くからあるものを生かしながら、そこに新しいものを融合させ価値のあるものにすることが得意な人たちなのだと、ペンだけでなく様々なものを見ていて思います。
伝統に新しい技術やデザインを盛り込んで生まれたものに共通する思想のようなものは、どこにでもあるものではない、それぞれのメーカーらしさを持った独自のものになっています。
イタリアには大きくなり過ぎることを戒める掟のようなものがあるのではないかと思えるほど、どのメーカーも自分の領分をわきまえているように私には思えて、大きくなって陳腐化することを避けているように見えます。
それが仕事を長く続けることに繋がると私も思うし、アメリカ式に仕事をどんどん拡大していくことが楽しことだと思えない。
イタリアは今リーマンショック以降の不景気から立ち直れずにいて、企業の倒産などあまり良い話は聞きませんが、自分たちのするべきことを守っている工房は、苦しいかもしれないけれど粘り強く残ってくれるはずだと思っています。
アウロラは工業都市トリノにある世界的な万年筆メーカーですが、外資や大資本の傘下に入らず、マイペースを守り、スローなペン作りをいまだに行っている会社だと言えます。
スローなペン作りとは、手間のかかる工程を守っているということになります。
アウロラがこだわるエボナイト製のペン芯は、1本ずつ削り出さなければ作れませんし、ペン先は多くのメーカーがしているように専門の業者に外注すれば手間が省けます。
それでも今も自社生産にこだわっていて、独特の書き味の秘密にもなっています。
「アウロラ88」は1952年には100万本売り上げたという大ヒットしたモデルの復刻です。
数字の8をモチーフにしたというボディデザインはそのままで、内部機構など書くための部分に現代の技術を取り入れ、実用性を向上させています。
1950年代のペンの復刻で、90年代の限定万年筆隆盛期の雰囲気を色濃く残している希少なモデルで、この88をベースにした限定モデルをアウロラは昨年末から続けて発売しています。
シガロは金キャップの88クラシックの世界観をさらに追究したような、90年代を古き良き時代としてリスペクトしたようなペンで、90年代に万年筆の世界に足を踏み入れた私には特別な存在の万年筆です。
88ソーレは、88をまた違った印象に味付けしたペンで、もしかしたら多くの人はこのソーレにイタリアらしさを見るのかもしれません。
大胆なオレンジ色のボディはソーレ(太陽)のイメージで、イタリアの陽光を表現しています。
4月には、88をベースにした限定モデルの「88NEBULOSA・ネブローザ」が発売になります。
星雲と名付けられた紫色マーブルのその万年筆は、まさに宇宙の色が表現されている、大変美しい万年筆に仕上げられています。
ネブローザはEF、F、M、Bとあり、ご予約承ります。(pen@p-n-m.net)
アウロラには100年近い歴史がありますが、その歴史的な財産を生かしながら現代風にアレンジしたペンを自分たちのペースを守りながら作り続けています。
⇒限定品 88 SIGARO(シガロ)
⇒限定品 88 Sole(88ソーレ)
カンダミサコ2本差しペンシース~シンプル、軽やかなペンケース~

久々にカンダさんが2本差しペンシースを作りました。
最近当店の革製品におけるカンダさんへの依存度が高く、本当に忙しい思いをさせてしまって申し訳なく思っていますが、それをカンダさんはどう思っているだろう。
私の持論として、2本差しは1本差しや3本差しに比べて売れにくい傾向があると思っていますが、カンダさんの2本差しペンシースは例外です。
万年筆用のケースは、構えた感じのものや重厚なイメージのものが多いけれど、カンダさんの2本差しはそんな万年筆らしいところが全くない。
軽やかに、あっさりとしているところが良いところだと思っています。特にこれからの季節、重厚なものよりも軽やかなものの方を使いたいと思う。人の好みは夏と冬とでは全く変わってしまうものだと思います。
とてもシンプルな作りですが、わずかなカーブや色の組み合わせなどでカンダミサコらしさもちゃんと表現されています。
この2本差しペンシースは、1本差しのペンシースなどの他のものと同じようにカンダさんしか作ることができないものだと思っています。
今までのシステム手帳とは違うものを作りたいということで、カンダさんが製作してくれているバイブルサイズシステム手帳と共通する趣きのようなものがあって、揃いで持ちたいと思わせてくれます。
私はこのカンダミサコ2本差しペンシースに、手帳用万年筆と手帳にしか使っていないペンテルマルチ8を入れて使っています。
標準的な太さのペンなら適度にホールドしてくれて使いやすい。
それは素材であるシュランケンカーフの、中身に応じて伸縮し、しっかりした張りを残しながらその形状を維持してくれる特性もあって、素材と形がピッタリとハマったものだと思っています。
2本のペンをスマートに収納してくれて、スマートに使うことができる2本差しペンシース。
夏ペンケースと言う言葉がピッタリな、温かくなる季節の好みの変化に応えてくれるペンケースです。
書類の分類~筆文葉Vファイル発売~

若い頃、2回目のご来店でお客様のお顔と名前を完璧に覚えていました。
誰よりも、お客様のことを覚えている自信がありました。
でも40歳を過ぎた頃から、その記憶力も怪しくなってきたと認めざるを得なくなりました。
お会いしたことがあるのに、名前が出てこない。万年筆を買っていただいた時に顧客カードを作っても、そこに履歴を書けない事が続いた時でした。
どうすればいいか考えたところ、そのお客様のお住まいかはなぜかいつも覚えているので、顧客カードを50音順ではなく、東日本、近畿、神戸市1、神戸市2、兵庫県、西日本の6冊に分け、それぞれの県のインデックスをふってみました。
それでお名前を思い出せなくても、どちらにお住まいかはいつも思い出せているので、目的のカードに高い確率でたどり着けるようになりました。
絶対的な記憶力は30代には劣るけれど、何かキーワードがあれば記憶を呼び起こせるコツがあることが分かり、自分の記憶力の低下を補ってくれる分類法で、今の自分の実情に合ったものだと思っています。
当店のオリジナルシステム手帳リフィルのブランド筆文葉からVファイルを発売しました。
Vファイルというのは、インデックスの山がついた2つ折りの厚紙によるもので、ファイルボックスと組み合わせて使う、書類を分類するためのものです。
いちいちリングに留めないで、放り込むだけで収納できるし、作業などするときにそのファイルだけを持ち出すこともできます。
携帯する必要がなくなったシステム手帳リフィルを収納する場所としてVファイルを作りました。
筆文葉のブログ(fudemoyou.wordpress.com) で金治智子さんが大きさの違う紙片なども収納できると提案していますが、サイズにとらわれない、特に小さな紙の収納にも威力を発揮する書類収納用品です。
しっかりした質感のある紙を使用していて、コレクトのB6サイズ情報カード用ボックス(https://www.p-n-m.net/contents/products/OG0239.html)との併用を提案しています。
このボックスには、Vファイルとともに、システム手帳本体も収納することができます。
システム手帳を活用するにあたり、ページの分類の仕方は、その使い勝手を左右する、使い手のセンスが現れるところですし、考えていてとても楽しいところだと思います。
大切な情報を書き込んだリフィルを保管しながら、活用するための分類にぜひお使いいただきたいものだと思っています。
⇒筆文葉リフィル「Vファイル」
⇒筆文葉リフィル(Pen and message.オリジナル商品TOP)
ラジオ局にて

昼間のラジオ局はたくさんの人が出入りして活気に溢れていました。
でも深夜とか早朝の放送では、もしかしたらアナウンサー1人、ディレクター1人で静かに放送されているのかもしれない。
そんな雰囲気もいいなあと、港を一望できる眺めのいいスタジオのコントロール室で、心に余裕のない中余計なことを考えながら、スタジオの中に招き入れられるのを待っていました。
そんな時、オリジナルシステム手帳リフィル筆文葉の水玉リフィルに書いた自分の文字が、できることはしたと、お守りのように緊張を紛らわせてくれました。
ラジオ番組の15分という短い時間だったけれど、自分の出番の進行表には質問される事が色々書いてありました。
それをひとつずつ水玉リフィルの一番上の段に書いて、目立つように周りを緑色の色鉛筆で縁取りしておき、下の水玉罫に答える内容を書く。
細かく箇条書きにしてもきっとそれを読み上げる余裕などないし、そのまま読み上げるてもおかしな感じになことは予想できました。
水玉罫ひとつずつに簡潔に書いておいた方が、素人なりにもその場の雰囲気に合わせて言い換えられると思いました。
質問されることは分かっていてもその場の空気感は分からないし、話の流れのようなものもあって、やはり用意した言葉をそのまま言うのはおかしかったと思います。
その場で微妙な言い回しを変えて答えるには、水玉リフィルは大いに役に立って、これがひとつの使い方なのだと思いました。
(ラジオに出る予定の方には水玉リフィルをぜひお勧めします。)
万年筆の魅力について聞かれた時に、あまり上手く言えなかったけれど、書き味が良いので、書くことが楽しくなるということを一番に挙げました。
そんな時に思い描いている万年筆は、万年筆を使い始めたばかりの時によく使っていた国産の万年筆で、安定供給がされていないのでホームページになかなか載せることができないけれど、セーラーのプロフィット21のようなベーシックでありながら、実用的に完璧な万年筆です。
あまり書くことをしていなかった20代の残念な私でも当時手帳は書いていて、プロフィット21で書くと手帳書きが楽しかった。
手帳書きが楽しいので、仕事にも前向きになれて、大げさに言うと毎日が明るくなりました。
もっと書きたいと思って言葉探しに本を読むようになったし、物事をよく考えるようになり、色々なことに興味を持つようになった。
当店のホームページに掲げている「万年筆は人の生き方を変える力がある」という言葉は私自身の経験から得たものでした。
プロフィット21は何の変哲もないプラスチックのボディで、他の国産万年筆と同じようなデザインの万年筆ですが、書き味がこのペンならではのものがありました。
万年筆を使い始めたばかりの人を悩ませるのは、この万年筆に存在するツボです。
プロフィット21は筆記角度50度から60度の間、ペン先の向きを紙に正対させて書かないと気持ちよく書けません。
そのように書くと気持ちよくヌルヌルと書けるけれど、そこから外れるとガリガリしたり、インクが出にくかったりします。
それはペンポイントの仕上げ方によるもので、平面を強めにした、五角形にペンポイントが研がれているからです。
使う人を正しい書き方に誘導してくれるようなところがこの万年筆にはあって、私はこれはセーラーからのメッセージだと思っています。
色々な書き方の人に対応できるようにペンを作ることもメーカーの技術力だと思うし、万年筆を使う人を増やすことにつながるのかもしれないけれど、正しい書き方を伝えることもまたとても大切なことだと思います。
ラジオの放送で、万年筆の魅力について考えて、自分が万年筆を使い始めたばかりのことを思い出し、セーラープロフィット21のメッセージを思い出しました。