カンダミサコミニペンシース

カンダミサコミニペンシース
カンダミサコミニペンシース

どんな業界にも才能のある人というのは当然いて、そういう人は地道にその地位に登っていくのではなく(ご本人はもちろん努力されていますが)、ある日突然脚光を浴びて、有名になっていくものだということを、たびたび目にしてきました。
私の身近にいる人では、カンダミサコさんがそれに当てはまると思っています。彼女をサポートする旦那さんの企画力、マネージメント力も相当に才能が感じられて、強力な力になっています。
カンダさんをル・ボナーの松本さんから紹介していただいて、ペンシースを扱い始めてから4年くらいしか経っていませんが、今では大丸百貨店でのイベントに年数回定期的に声が掛かり、出ればお客様が集まるほどの知名度を持った人になりました。
一緒に仕事をしている人がそうやって成功して、有名になっていくのを見るのはとても嬉しいし、関わりのある人が成功していくことは当店としても非常に大きなメリットがあると、少し厭らしい考えだけど、思ったりします。

カンダさんと仕事を始めた最初がペンを1本だけ収納するペンシースで、これは今もたくさん売れる、当店に来ていただく理由にもなるものです。
筒型のとてもシンプルな構造で、パリッとしたものが多い万年筆関連のものの中で、そういった肩の力が抜けた印象を受けるところもカンダさんの作る革製品の一貫した特長になっています。

ペンシースは、この表現が万人に通用するものかどうか分らないけれど、最も標準的なプロポーションを持つ万年筆であるペリカンM800が無理なくピッタリと収まるサイズになっています。
レギュラーサイズの万年筆は収めることができて、汎用性があって、とても使い易い。
でもカンダさんのペンシースを使う人はもっと可愛らしいペン、例えばペリカンM300のようなミニペンにも合わせたいのではないかと思い、当店オリジナル仕様としてミニサイズのペンシースを作っていただきました。

ペリカンM300シリーズ、アウロラミニオプティマシリーズ、デルタドルチェビータミニ、パイロットレガンス89Sなどを収めることができます。

ペリカンの限定品M101リザードも上下1mmずつほど出てしまいますが、これは収まっていると言って差し支えないだろうと思っています。
普通サイズのペンシース同様に傷に強く、とても使いやすく発色のきれいな革、シュランケンカーフを使用しています。
当店とカンダさんとの企画、A7サイズの小さなメモカバー、A5サイズノートカバーなどと色を合わせていて、揃いで持てるようにしています。
ミニペンは机上で使うよりも、外に持ち出して使うべきものだと思っていますので、そんな使い方に役立つのが、カンダミサコミニペンシースだと思います。

文房具での遊び

文房具での遊び
文房具での遊び

ラミーサファリの2013年限定色ネオンが発売されました。

私は知りませんでしたが、蛍光色が今のトレンドカラーとのことです。
私の感覚では蛍光色というと、昭和バブルの頃を思い出させるものですが、あれから25年ほど経つわけなので、流行色も一巡りしてもおかしくないのかもしれません。
当時活発に活動していた遊びサークルの子たちはよく蛍光色の服を着ていました。
レコードと本とドライブの日々を送っていた自分よりも彼らは時代の波に乗っているように見えていて、蛍光色の服、日に焼けた肌、太い眉、長い髪、何か胸がキュンと痛くなります。

文房具は好きな仕事をもっと楽しくしてくれるものだと思っていて、文房具が好きな人は自分の仕事が好きな、とても幸せな人だと思います。
仕事の中に遊びの要素を付け足してくれるものが、好きなものを選んで使う文房具で、それは会社から支給されるものでは得られないことをもたらしてくれます。
ゴールデンウィーク中も自分の仕事の中に、新たに何らかの文房具を導入しようとあれこれ考えておられた方も多いのではないでしょうか。
それは確かに仕事だけど、その頭の働きは新しい遊びを考えるものに似ています。

私もいつもスケジュール、ToDo管理のリスシオダイアリーを柱に、一番大切に思っているノートのシステムについて考えています。
どうすればもっと自分の仕事が良くなるか、どうすればもっと荷物が少なくなるか、そして何よりもどうすればもっと楽しいか。
スケジュール管理は綴じ手帳が向いているし、複数の企画を同時に進行させて管理するには、システム手帳やテーマごとの薄いノートが向いている。
そんなことはいつまでも考えることができるのです。

万年筆も、特にサファリも立派な文房具で仕事に使うことができる、遊び道具だと言うと賛同してくれる人も多いと思います。
サファリの良いところは、すでに語り尽くされて、私も語り尽くしているけれど、考え抜かれた実用性を持ちながら、オリジナリティに溢れているところだと思っています。

そして、何本も持っていたいと思えるところ。
中に入れたインクの色によって、ボディの色を選ぶような、カラーペンのような使い方ができるところもサファリらしいところです。
蛍光イエローのサファリと聞いて、すでにピンと来て、実践している人もいるかもしれませんが、サファリネオンを蛍光マーカーに使うことができるのではないかと、お客様から提案していただきました。

これは自己責任でやってもらいたいと思いますが、サファリネオンにコンバーターを付けて、ペリカンの蛍光イエローのインク ハイライターインクを入れるというものです。
ハイライターインクは万年筆のインクにしては強い発色を持っていて素晴らしいですが、どうしても万年筆に色が付着しやすく、残ってしまいます。
ハイライターインクには、ハイライターインク専用に何か用意しなければいけない。
サファリネオンはまさにピッタリの万年筆です。
吸入式のペリカンにハイライターインクを使うのは少し抵抗がありますが、サファリなら惜しげもなく使うことができる。何なら定規をペン先に当てて線を引いても構わない。
金ペンの万年筆でこれをやると、定規と接触したところだけ擦り減って、悲惨なことになってしまいます。
本を読んで自分の仕事をもっと良くしようとするのと同じように、文房具や万年筆にお金を使うのも自分への投資に違いない。

文房具や万年筆は仕事の中に遊びの頭を持ち込ませてくれるもので、それはもしかしてとても貴重なものなのかもしれないと思います。



*あくまでも自己責任でお願いします。

ペリカンM300の粋

ペリカンM300の粋
ペリカンM300の粋

上着を着ている時は内ポケットがあって、そこに手帳とペンを入れています。
ペンケースも持ち歩いていますが、すぐにメモを取りたいと思う瞬間は突然やってくるので、いつも手近なところにペンと手帳があって欲しいのです。

上着を着なかったり、収納スペースを増やすためにもシャツには胸ポケットがあって欲しいし、ポケットは口の部分が補強された丈夫なものであって欲しい。
今年はまだ涼しいけれど、暖かくなって上着のいらない季節になるとよくベストを着ます。
ベストの良いところは暑い季節に上着を着ずして、何となくちゃんとして見える、お客様に対して失礼のない格好に見えるところです。
マイルス・デイビスの影響か何か忘れましたが、ブルックスブラザーズで服をオーダーすることが長年の夢で、ジャケットまでは作るお金がなかったので、以前ベストをオーダーして今も着ています。
とても気に入っていて、1年中着ていたいと思うほどです。

気に入っているベストですが、わずかな問題があります。それはポケットです。
ベストにもたいてい胸と両腹にポケットがついていますが、それはとても浅いものです。
普通のペンでも、例えばペリカンM400くらいのものでも底が当たってしまうので、多くの万年筆はベストのポケットに差すことができません。
万年筆の両端を平らにした万年筆をベスト型と言うのは、浅いベストのポケットにも入るということでそう呼ばれていましたが、ベスト型で少なくとも私のベストの胸ポケットに差すことができるのはペリカンのM300くらいで、これは昨年も使ったネタですが、ベストとM300の組み合わせをぜひ試していただきたいと思います。

M300はペリカンの万年筆の中で最も遊び心を感じさせてくれる万年筆で、これだけ小さなものなのに、他の普通サイズの万年筆、特にM800とほぼ同じプロポーションを持っていて、そういうところに茶目っ気を感じます。
M300の遊び心はその書き味にもよく表れています。
ペリカンの最も大きなペン先を持つ万年筆M1000がとても柔らかい、とろけるような書き味を持っていることは知られていますが、M300も実はM1000同様にとても柔らかい書き味を持っています。

それらは例えば早いスピードで書き続けるには適さないかもしれないけれど、一文字ずつ味わいながら書きつけることができる。
手帳に一文字ずつ丁寧に文字をしたためていくのに合ったものなのです。
ペリカンの真面目な遊び心に溢れた万年筆M300とベストの季節がやってきまし
た。

⇒ペリカンM300

揃いを嗜む

揃いを嗜む
揃いを嗜む

その分野では必ずその店を利用するという馴染の店を持つ人は幸せだと思います。
個人的には当店が万年筆を使う人みんなにとってそうなれたらと思いますが。
馴染みの店と同じように、この物なら必ずこの銘柄のこの商品と決まっている人も幸せだと思います。
それだけ自分の好みや持って生まれた体型などにピッタリ合うものに出会えたのですから。

私にもこの店で買うこの商品と決めているものがいくつかあって、そのひとつがシャツです。
一通りさ迷って落ち着いたのが、ブルックスブラザーズのオックスフォードシャツでした。インクが飛んでも目立たないジーンブルー色、そしてとても丈夫な生地が気に入っています。
別に西宮のその店で買う必要はなく、世界中で同じものを買うことができるのだけど、できた縁を大切にしたいと思うので行けば知ってくれているスタッフの人が必ずいるその店に行きます。

私にとってはピッタリ合ったシャツと同じくらいそれは大切に思えることなのです。
1週間毎日着ることができるように7枚は常備したいと思っています。
まだ1足しか持ってなく、揃えていないけれど、靴ではパラブーツのウイリアムがピッタリと足に合いとても気持ちいい履き心地。
天候を気にせずに履くことができるのも、自分相応なところです。
ウイリアムはこげ茶があるので、茶と黒があれば完璧だと思います。

ですがこうやって自分に合っていると思ったら同じものばかり欲しくなる気持ちは男性特有のものなのか、妻には理解されません。
シャツが毎日同じなら、「ずっと同じ服着ていると思われるやん」とのこと。

万年筆にもそういうことがあると思います。
私もそうですが、ペリカンM800が手に合うという人は多いかもしれません。
M800をインクの色に合わせて色違いで4色揃える。
手帳用にはブルーブラックのインクを入れて青縞のEF。ノート書き用はグリーンのインクで緑縞のF。手紙用は黒インクで黒軸のM。デモンストレーターやブルーオブルー、茶縞などの限定品がたまに発売されますので、そういうものに遊び用のカラーインクを入れてBにするなど。

気に入った同じ万年筆ばかり4本も持っているのはとても幸せな気分になると思います。
他の揃いの提案としては、アウロラ4部作ということも可能です。
オプティマのカラーバリエーションブラックパール、ブルー、グリーン、バーガンディと揃えることも可能ですし、次回オレンジが発売されるということになっているマーレリグリア、ティレニアと続いたイタリアの海シリーズ4部作を揃えることも楽しい。

今後発売していく当店オリジナル企画「こしらえ」も字幅違い、ボディの素材違いで揃えてもらえます。
これが万年筆を使う以上の嗜むということなのかな?と思っています。
揃いの万年筆を嗜むのに、工房楔のコンプロット4ミニ以上に相応しいものを他の知りません。
蓋を開けると4本の万年筆の姿全部を見ることができる。
外装の銘木も使い込み、磨き込むと艶などの味が出てくるものばかりです。

コンプロット4ミニにペリカンM800を4本入れて持ち歩く。日頃は隠しているけれど、分かってくれそうな人が現れるとおもむろに取り出して、フタを開ける。
これが大人の遊び心なのではないかと思っています。

*画像は当店スタッフの私物です(コンプロット4楓・M450・M600ピアッツアナボーナ・M600グランプラス・M800)

⇒工房楔・コンプロット(机上用品TOP)へcbid=2557546⇒工房楔・コンプロット(机上用品TOP)へcsid=4″ target=”_blank”>⇒工房楔・コンプロット(机上用品TOP)へ

技術継承されたパイロットのペン先バリエーション

技術継承されたパイロットのペン先バリエーション
技術継承されたパイロットのペン先バリエーション

パイロットのカスタムヘリテイジ912、カスタム742、カスタム743には他社にはない非常に多くのバリエーションが存在し、自分に合ったもの、好みに合うものを選ぶことができます。
私はこのパイロットのペン先バリエーションの多さにパイロットの技術を伝承する力を見ています。

万年筆が筆記具の中心的な役割をはたし、多くの人が使っていた時代には様々な需要が存在し、それに応えて様々な仕様のものが作られていました。
パイロットのペン先のバリエーションも昭和の時代の前半、戦前には確立されていたと言うと驚かれる方も多いと思います。
セーラーの長刀研ぎペン先もセーラー独自のものではなく、万年筆のペン先の研ぎ方としてユーザーや職人の間では知られたもので、万年筆興隆期にあった研ぎ方を現代に復刻させたものでした。
昔を知る長原宣義という名人を介して現代によみがえらせた、これもひとつの技術伝承の形だと思います。

パイロットは会社に保管されている貴重な資料の存在により、豊富なペン先バリエーションの復活がかなったのではないかと想像しています。
ボールペンが主流になって万年筆が廃れた後、また万年筆が見直された時にこういった資料が役に立って、誰も受け継いでいなかったはずの技術を再現できたのではないでしょうか。
しかしほとんどの人にとっては、バリエーションが多すぎて選ぶのが難しいのではないかと思いますので、ご案内させていただきたいと思います。
*通常の字幅EFからBBまでは、ここで説明すると長くなってしまいますので割愛させていただきます。

BBより太いペン先C(コース)というものがあります。
これは大きなイリジュウムの球をつけて、球の中心に筆記面をつける研ぎ方、ペン先の形です。縦横同じ太さの極太線を書くことができるのと、調整によってさらに太い線を書けるようにしたものです。
イリジュウムが最も大きいので万年筆の寿命が長いことも特長で、大切に使うと何世代も受け継ぐこともできるかもしれません。

MS(ミュージック)は縦線が太く、横線が細く書くことができるので、とても面白い文字を書くことができる、書いていて楽しいペン先です。
幅の広いペン先なので、イリジュウムの隅までインクが行き渡るように、切り割りが2本切ってある外観的な特長です。
ミュージックがどれくらい使いやすいかで、そのメーカーの技術力が分かるのではないかと思います。パイロットのものは滑らかに、違和感なく使うことができる優れたミュージックペン先だと言えます。
楽譜を書く人は右利きの場合、ペン先を90度親指側にひねって縦線を細く、横線を太く書くように使います。

PO(ポスティング)は万年筆全盛期、帳簿を書くために作られたペン先です。
極細のペン先を下にお辞儀させることで、ペン先が開きにくくして、インクの出が筆圧の影響を受けて増減しないように、安定して細い線を書くことができるようになっています。
帳簿はもちろん、手帳に細かい文字を書き込むのにとても適したペン先だと思います。

WA(ウェーバリー)はポスティングの逆で、ペン先を上に反らせることで、ペン先が開きやすく、柔らかい書き味にしています。SMなどソフトペン先は柔らか過ぎて、気持ち良く書くには扱いが難しいですが、WAはペン先の厚みなどは変わらないので安心感のある柔らかさが特長です。
パイロットの中字のペン先は柔らかく、書き味が良いですが、さらに気持ち良く書くことができる快感の書き味を持っています。

SU(スタブ)はミュージックの少しマイルドなものだと思っていただくといいと思います。
ミュージックほど太くないので、普通のノート書きにも使うことができます。
横線が細いので、意外と小さな文字を書くことができます。

以上、簡単でしたが、パイロットカスタムヘリテイジ912、パイロットカスタム742、743の難解なペン先バリエーションを読み解く参考にしていただければと思います。

⇒Pen and message.オリジナル銘木軸「こしらえ」cbid=2557546⇒Pen and message.オリジナル銘木軸「こしらえ」csid=1″ target=”_blank”>⇒Pen and message.オリジナル銘木軸「こしらえ」
⇒パイロットTOPへcbid=2557105⇒パイロットTOPへcsid=13″ target=”_blank”>⇒パイロットTOPへ

万年筆銘木軸「こしらえ」

万年筆銘木軸「こしらえ」
万年筆銘木軸「こしらえ」

もし本当にそうだったとしたら私は何度も斬られているかもしれないけれど・・・万年筆は私たちにとって、刀であって欲しいと真剣に思っています。
少なくとも私にとっては自分の精神を象徴するものであり、生活していくためのものであり、長く携えるものだと思っています。

万年筆を刀だと考えると、ペン先は一番大事な刀身で、それが貧弱なものだと長く使うのに値しないかもしれない。
とても書きやすいと思えて、自分の想いを気持ち良く紙に伝えてくれるペン先に出会うことができればそんな幸せなことはないし、それを持っていればそれは宝物だと思います。

パイロットの2万円クラスの万年筆のペン先は実用において完璧で宝物になり得るものだと思っています。
実用範囲内を逸脱することのない柔軟性と良い書き味を永続的に保つ硬いペンポイント。
充分なインク出を保つ、精密な設計と耐久性を持つペン芯。
そんなペン先=刀身は、それに見合った気持ちにさせるボディ=拵(こしらえ)に収めたいと思います。
パイロットカスタムヘリテイジ912やカスタム742の純正のボディは、バランスや握りやすさも考慮されていて実用には充分足りるものですが、そのペン先の性能から考えると若干味わいに欠け、アンバランスに感じてしまいます。
そういった当店の意向から工房楔の永田氏がそのペン先に見合った拵=ボディを当店オリジナルとして作ってくれました。

使われる素材はその時々にある最高のコンディションのものを使っていきたいと思っていますのでどんどん変わっていきますが、初回としてブラックウッド、ケンポナシ、チューリップウッド、マースルバーチで作ってみました。
ケンポナシは工房楔も初めて筆記具に使う材ですが、伝統工芸の指物では古くから使われる素材で、使い込むと飴色に変化するエージングを楽しむことができます。日本の木ということも拵の演出に合っている。

日本の木はあまり派手な木目を持たないので、工房楔の永田さんは余程のものでない限り使いませんが、ケンポナシのこの個体は杢が出ていて、かなりの良材だということで今回採用することになりました。
チューリップウッドも油分を多く含むのか、使い込むとピカピカの艶を持つようになりますし、滑らかな木肌が美しく、手触りが気持ちいいブラックウッドも同様です。
マースルバーチもエージングが期待できる明るい色目の木で、複雑な模様が個性的で見ているだけで飽きません。

個人的にはアウロラオプティマと88のペン先が同じなので、好みが変わったり、気分によって付け替えて楽しんでいました。
それと同じようにパイロットのペン先を使い込んでボディだけを変えていくことができればいいと思いました。
皆様も大切な刀身に見合った拵に付け替えてみてはいかがでしょうか。

⇒Pen and message.オリジナルTOPへcbid=2557105⇒Pen and message.オリジナルTOPへcsid=7″ target=”_blank”>⇒Pen and message.オリジナルTOPへ

~使いたいと思わせる存在~ ファーバーカステルクラシックコレクション

~使いたいと思わせる存在~ ファーバーカステルクラシックコレクション
~使いたいと思わせる存在~ ファーバーカステルクラシックコレクション

私には何人かの先生と言える人がいて、その方々のおかげで自分の仕事を良くしてくることができたし、本道から反れずにいられたと思っています。
いい歳と言える歳なので少しは若い人の人生や仕事が良くなるような助言を語れるような人間になりたいと思いますが、先生たちの前に私の人生哲学など出る幕はなく、いまだに教えを受けるばかりの立場にいるのは、もしかしたら幸せなことなのかもしれません。

電話での先生の言葉によって私の中にかすかにあったものに裏付けが加えられることもありました。
でもまだ課題として積んだままにしていることもあって、まだまだ教えを受ける立場であることを自覚しています。
息子と写真を撮った時に特に感じることだけど、自分が老けたことを認めざるを得ない。
齢相応と言えばそうなのかもしれないけれど、その自分を見てこれは誰だろうと思うことがあります。
それだけ自分は若いつもりでいても外見からはそれなりに見えている。自覚と姿とのギャップは齢とともに開いていきます。
いつまでも若いつもりでいてはだめで、自分の外見に合った中身になっていたいと思います。

話を戻すと万年筆には様々なタイプのものがあって、その価値はペン先の柔らかさだけではないというのは、自分の中でくすぶっていたものでした。
やはり姿形が美しいもの、存在感のあるものを最上に考えたいと思えるようになったのは、万年筆だけでなく、様々なものに興味が飛ぶ性質の結果のなのかもしれませんし、様々な美しいものの形を教えてもらえたからなのかもしれません。

ファーバーカステルクラシックコレクションは私にとって間違いなく、美を体現している万年筆で、多くの人が同じように思っておられると想像できます。
扱いが難しくてもいいから持っていたいものと言うと語弊があるけれど、バランスが難しくてどのように持ったらいいのか分からない、キャップをつけるべきなのかどうか、などと戸惑うことが多いですが、デザインがとても良いと思うので何としてでも使いたいと思える。

私もクラシックコレクションエボニーを万年筆とボールペンのセットで使っています。
筆記具というせいぜい長さ150㎜、直径15㎜以内の小さな限られたスペースで、他とは似ていない特長を出しながら、美しいと思わせるということは本当に難しいことだと思いますが、そういったことにとても興味があります。
ファーバーカステルクラシックコレクションの造形は筆記具という枠の中でオリジナリティと美しさが高い次元で実現されています。
細身のボディとキャップの特長的な形によるシルエットの美しさ、スプリングを仕込んで布地を傷めないように配慮した無垢材によるクリップと無駄な装飾のなさ。
そして自然の素材によるボディの艶と色合い、触感の良さなど。

このデザインで、ファーバーカステルクラシックコレクションは筆記具の代表的な逸品と言えるのだと思っています。
自分が良いと思えるものは、他の人にも使ってもらいたい。
そしてこの万年筆のデザインの良さと使いこなしについて語り合いたいと思います。

⇒ファーバーカステルTOPcbid=2557105⇒ファーバーカステルTOPcsid=7″ target=”_blank”>⇒ファーバーカステルTOPcbid=2557105⇒ファーバーカステルTOPcbid=2557105⇒ファーバーカステルTOPcsid=7″ target=”_blank”>⇒ファーバーカステルTOPcsid=7″ target=”_blank”>⇒ファーバーカステルTOP

工房楔製作・WRITING LAB.企画の「借景のペンレスト」

工房楔製作・WRITING LAB.企画の「借景のペンレスト」
工房楔製作・WRITING LAB.企画の「借景のペンレスト」

パリッとしすぎない、ザックリした質感のものが私の好みのようで、様々なものにそういう要素を求めます。
木で言うとウォールナットが特にお気に入りで、質感、木目などがとても好きです。
工房楔(せつ)の永田さんが使う素材の中では比較的おとなしめで、こげ茶色の色目のためにより静かな印象を受けます。
でも例えば日々水拭きなどの手入れをしてやると木肌は艶を持ち続けるし、木目も際立ってくる。
木質は硬く丈夫なので、様々なものに使うことができますが、特に家具に使われることが多いのは以上の理由が多いのと、個体差が少ないからなのだと思います。
当店にも京都のリバーメールにも展示している工房楔とライティングラボとの共同企画のデスクはウォールナットですし、当店のお客様用のテーブルも私が一日中座っている丸椅子もウォールナットです。そして私が使っているコンプロット10もそうです。

個人的な好みに依るところが大きいのですが、机上用品にもウォールナットを提案したいといつも思っています。
万年筆専門誌「趣味の文具箱」にも取り上げられたことがある、人気のペンスタンドパラーレもウォールナットをメインに使っているし、地味だけど実はこういうものが一番使いやすいと思っている箱型の銘木デスクトレーもウォールナットの無垢材の良さで際立っています。

机上用品はペンと違っていつも手に触れるものではないけれど、使い方、手入れの仕方で素材の良さが表れてくるのには相違ない。
繊細な素材ではないので、簡単な掃除の延長のような手入れで済むところがウォールナットの良さで、まさに机上用品にピッタリの素材だと思っています。

お客様のOさんから、良い木を使った写真立てがあれば嬉しいと以前にご提案いただいたことがあって、それが頭の中にずっとありました。
フレーム型の写真立てならたくさんのものが木で作られて販売されているので、何か私たちらしいものがあればとWRITING LAB.で企画したのが、ポストカードや写真を立てることができて、ペンも置くことができる「借景のペンレスト」です。

前に置くペンに合わせて、背景となるポストカードを選んだりして、机上の風景に彩を与え、仕事中の癒しになったり、朝出かける時にこのペンレストからペンを取り上げる時に気持ちに爽やかな空気が入ればと思いました。

私が好きなウォールナットを中心に、他の素材も揃えてもらいました。
栃は色変化が大きい素材で、日々変わっていく様子を楽しめますし、黒檀は木目から想像できる通り、硬く重い木なのでしまった印象を受けます。チューリップウッドは柔らかく明るい印象で、使い込むとピカピカの光沢を帯びてきます。こういうものにチューリップウッドを使うことは珍しく、大きな素材を見てなかなか貴重なものだと思いました。

工房楔のイベントを4月6日(土)に開催します。

新作中心のイベントで、この借景のペンレストや万年筆など新たに企画、製作したものをお披露目するために、岐阜から永田篤史さんが当店に来られます。
ご来店いただけましたら楽しい時間を過ごしていただけると思います。

⇒「借景のペンレスト」WRITING LAB.オリジナル商品よりご覧下さい

真面目に見える変わり者~パイロットジャスタス発売

真面目に見える変わり者~パイロットジャスタス発売
真面目に見える変わり者~パイロットジャスタス発売

パイロットは、姿形は普通でも素人(?)が手を出すと火傷するような過激な性能の万年筆を発売していて、エラボー、フォルカンペン先の万年筆などがそれにあたります。
それは昨年末You Tubeでエラボーを自在に操る動画が紹介された事に端を発します。あの動画は業界に大きな混乱を引き起こしました。

もちろんそれはパイロットのせいではありませんし、万年筆を使っている人の多くは、あのように書くことはできないと思われたのではないでしょうか。
でもあれで多くの人、万年筆を使っていない人が万年筆に対して抱いている幻影のようなものがどんな姿なのか初めて分かりました。

それは「柔らかいペン先への憧れ」です。

万年筆を使ったことがない人は、柔らかいペン先の万年筆がどれだけ実用的に使いにくいか分りませんので、憧れを持っています。
パイロットがそれに少し応えながらも、失望することなく万年筆を使い続けてもらいたいと思ったのかどうかは分かりませんが、今回発売されたジャスタスにひとつの提案があるように思っています。

それがペン先の硬さの調整ができる万年筆パイロットジャスタスの復刻発売です。
20年以上前に作られていたオリジナルのジャスタスは試作的雰囲気のある、変わり種万年筆でしたが、復刻されたものは本格万年筆とも言える、完成度の高いものになっています。
その姿からペン先の硬さを調節することができるマニアックな機能を備えている万年筆にはとても見えないと思います。

キャップトップと尻軸を平らにしたベスト型のボディは堂々とした大型で、ペリカンM800やパーカーデュオフォールドセンテニアルのサイズに近いものになっています。
ボディに刻まれた模様が2種類あって、パイロットがここぞという時にいつも施す網目模様であるネットブラックと前回のオリジナルジャスタスをイメージさせるストライプ模様のストライプブラックがあって、好みが分かれるところです。
ペン先の硬さを変えることができる機能について、様々な使い分けの可能性があります。

万年筆を何本も持っていると自然とそれぞれに役割ができてきて、用途が決まってきます。
手帳用は締まった文字が書ける硬めのペン先のもの、手紙などはゆったりとした流れのある文字が書ける柔らかめのペン先のもの。
ペン先が柔らかくなるとインクの濃淡も出ますので情緒的でもあります。
ペン習字などでもこの機能は有効で、字幅を変えるほどのことではないけれど、少しインク出量を増やしたいという時にダイヤルを回してペン先を柔らかくするとインク出量が多くなります。

ペン先の硬さを変えることができるという機能は、書き味の好みに合わせるだけでなく、書ける文字も変わってきますので、書き手の好みのための機能というだけでもないと思われます。

エラボーがまた発売されるという話だけ聞いていましたので、まさかこんなに精度の高い万年筆が発売されると思いませんでした。
これはペン先の硬さを変えることができなくても十分存在価値のある万年筆です。

でも真面目な姿をしていながら、変わった機能を備えているあたり、エラボーやフォルカンを作っているパイロットらしい万年筆だと思っています。

⇒パイロットJUSTUS(ジャスタス)

WRITING LAB.オリジナルインク2013“ビンテージデニム”

WRITING LAB.オリジナルインク2013“ビンテージデニム”
WRITING LAB.オリジナルインク2013“ビンテージデニム”

万年筆のインクの色はその人の美学というか、標榜する世界観のようなものが表れるものだと思っています。

そこまで大袈裟でなくても、選択できる範囲の中で自分が良いと思うものを選んでいるわけなので、やはりそういうことなのだと思います。
インクの色には本当に人それぞれ好みがあって、こればかりが売れるというものは非常に少なく、ペリカンロイヤルブルー、モンブランロイヤルブルーなどの超定番のものくらいです。

それだけそれぞれの人がご自分の個性を反映した色を選ばれているということの裏付けになっています。
インクの色はお店にとっても、自分たちの世界観を表現するにもとても都合の良いもので、多くのお店から本当にたくさんのオリジナルインクが発売されています。
何が都合が良いのかというと、インクの色、名前、ラベルに自分たちのセンスのようなものを込めることができるからで、それぞれのお店のコンセプトに賛同して下さるお客様がそのインクを使われる。
他のお店のオリジナルインクや万年筆メーカーのオリジナルインクではなく、当店のオリジナルインクを使っていると言われると、無条件に嬉しくなります。

昨年からWRITING LAB.でもオリジナルインクを企画しました。
昨年の色“クアドリフォリオ”は革小物、オーダー靴工房IL Quadrifoglio(イル・クアドリフォリオ)の久内さんたちとWRITING LAB.の出会いを記念したような四つ葉のクローバー色のインクでした。

結果的に明るすぎず暗すぎない緑色で、そういう色を探されていたお客様が多く、多くの方の賛同を得られました。
2012年の色としたにも関わらず、いまだに製作リピートを繰り返すことができています。
今年は、ビンテージのリーバイスとオールデンの靴をメインのワードローブにするRIVER MAILの駒村氏の提案でビンテージリーバイスの色をインクで表現したものを作りました。

デニムと万年筆のインクというあまり組み合わされることのないものですが、万年筆をカジュアルにスマートに使いたいと願うWRITING LAB.らしさが表現できていると思っています。
ビンテージデニムのように濃い藍色でありながら、ムラ感もある。
そんなことがインクで表現できるのかと、製作依頼をしながらも思っていましたが、インクブレンダーの石丸治さんは、濃い藍色なのに濃淡が出るものを本当に作ってくれました。まさにデニムの感じをインクの色で表現されています。
デニムと万年筆とは違う世界のもののように思われますが、万年筆をさりげなくかっこよく使うことを提案したいと思っているWRITING LAB.の目指すものを分りやすく表していると思っています。

ビンテージデニムと例えばオールデンのコードバンの靴がとても良い相性で、行き着く所まで行ったかっこよさなのと同じように、万年筆とデニムの組み合わせにこだわらないこだわりのかっこよさを感じます。

⇒WRITING LAB.オリジナルインク「ビンテージ・デニム」