コンプロット10を使い始めて

コンプロット10を使い始めて
コンプロット10を使い始めて

その物の良さは一目見た時に分かっていましたし、本当に良い物で楔永田さん渾身の作品だと言ってお客様方にお勧めしてきました。
でも自分では使わないだろうと思っていました。
私にとって万年筆は楽しく文字が書けて、気に入ったデザインであればそれで良く、それは道具としての魅力であり、眺めて楽しむコレクション的な要素はなかったからです。
手帳用、ノート、メモなどの一般筆記用、手紙用などの用途別に各1本ずつを3本差しのペンケースに入れて、たまに組み合わせを変えて入れておけば用は足りますし、それで十分楽しいと思っていました。
コンプロット10は長い間品不足でしたが、やっとバックオーダーが納まり、店で使うことができるサンプルが永田さんのご好意により支給されました。
これは私自身が使ってみた方がいいだろうという営業的な冷静な判断で使ってみることにしました。
今まで万年筆による書くことの楽しさに魅せられて万年筆を使っていて、実用としてのみ万年筆と対峙していましたが、コンプロット10のおかげで違う万年筆の楽しみに気付かされました。
私のように万年筆をコレクションするつもりのない人でも、コンプロット10にペンを入れる時、それぞれのペンのバランスとか、コンプロット10の存在感に負けないペンを入れたいと考え、コーディネートを楽しみたいとさえ思いました。
今の私の実用に徹した万年筆コレクションはコンプロット10に入れると視覚的な統一感や華やかさがなく、とても地味に見えますが、文字を書く前に開いたまま立てているコンプロット10からペンを取り出す前に選ぶ瞬間がとてもスリリングです。
アウロラをお買い上げいただいた保証書の記入にはオプティマ、太い字を書きたければカステルエボニーといった感じで相応しい用途を一瞬で判断してコンプロット10から取り出して書く、それだけのことなのに何でこんなに楽しく思えるのか不思議です。
ル・ボナーの松本さんは万年筆を使い出して、3年と少ししか経っていないのにコンプロット10に持っているペンを入れて、眺めたり、お客様に見せびらかしたりして、万年筆の書く以外の楽しみにも気付いていました。
人生を楽しむ達人にかなり遅れをとりましたが、私も今頃気付いたコンプロット10の楽しみでした。
コンプロット10は、工房楔の永田さんがその美学に合った良材だけを使い、塊を刳り貫いたケースに、鞄店ル・ボナーの店主松本さんが革貼りの内装を担当しています。
杢が派手で美しい一番人気のある花梨と家具、調度品として机上に馴染みやすく味わい深いウォルナット、重量もあって見た目もとても重厚な黒檀、とても美しい真っ白な楓などのバリエーションがあり、使う人のお好みと中に入れるコレクションで選ぶことができます。
最高の良材を刳り貫いて使い、革の内装を施すという、万年筆を10本入れるコレクションケースには贅沢すぎる仕様かもしれませんが、万年筆を使うこと、眺めること、取り合わせることが格段に楽しくなるケースだと知りました。

*コンプロット10は今月末からインターネットでの取り扱いを再開する予定です。もうしばらくお待ち下さい。
*画像は花梨の材です。他には黒檀・ウォルナット・楓があります。

オマス~緊張感と独自性~

オマス~緊張感と独自性~
オマス~緊張感と独自性~

サンプルで見せていただいたオマスに触れた時、手に取るだけで背筋が伸びる茶道具などとの共通点を見ました。
最もオマスらしいミロードのシリーズは、大き過ぎず実用的なサイズで、当店でのオマスのスターティングラインナップの中心とし、その中で素材に特徴のあるものを選んでいます。

ミロードのウッドコレクションはオリーブとココボロの天然木を非常に高い精度で12面体に加工されています。
磨きこまれたスベスベした木の手触り、柔らかい素材であるはずの木に鋭角な印象を持たせた緊張感のある佇まいは、この万年筆を使ってみたいという強く心が動かされる逸品だと思っています。

同じミロードのシリーズのセルロイドは、極限まで削ぎ落として軽く作られた茶道具の棗(ナツメ)のような印象を受けます。
そのペンを手に取ると、想像以上に軽く、大切に扱いたいと思わせるものがありますし、羽のような軽さは自由自在に操れるイメージを与えてくれます。

オマスらしさを抑えたボローニャのシリーズは、奥行きがある柄行きのセルロイドを一般的な円筒形のボディにくり抜いたペンです。
オマスが作る実用的な万年筆といった風情で、他社のペンとの差別化に成功しています。

オマスは1925年創業のイタリアの老舗ブランドのひとつですが、日本での扱い会社がなくなるという不遇な年があり、私の認識からも消えかけていました。
昨年シガークラブなどを運営するインターコンチネンタル商事がオマスの輸入代理店となり、日本でのオマスの供給が再開され始め、有名大型店で販売が開始されました。
オマスがインターコンチネンタル商事によって日本にもう一度輸入されるという話をお客様から聞いていて、私もその動向に興味を持っていました。
お客様方からのリクエストと大阪のシガークラブI氏の口添えなどで、インターコンチネンタル商事K女史の訪問を受け、当店でも扱いが始まりました。
店をしている人はきっと皆思うことですが、私も常々他の店と差別化できる商品を扱いたいと思っています。
天邪鬼な性格のため、他店で売れているものは他店で買うことができるから、当店で積極的に扱わなくてもいいと思ってしまいますので、売れ筋の商品が出た時にそれを追いかけることがあまりありません。
他店ではあまり扱うことのない良いものを扱いたいと思っています。

売れ筋を追いかけるよりも、当店の顧客から求められる当店独自の売れ筋を見つけて、それを追求したいといつも思っているので、今までの私の万年筆の経験からは売れ筋と言えるものではないものの中から、当店だけの売れ筋が生まれています。

オマスは価格も高く一般的ではないけれど、高い完成度と独自の魅力があり、当店のお客様方にはとても相応しいような気がしましたので、オマスを扱うことに迷いはありませんでした。

私自身、使ってみたいと強く思えて、そのペンを手に入れることを考えると元気になれるペンと久しぶりに出会いました。

画像は「ミロードウッドコレクション:オリーブ」です。

エラボーの復活

エラボーの復活
エラボーの復活

廃番になっていたパイロットエラボーが昨年復刻されました。
ナミキファルコンとして、輸出用としては作り続けられていましたので、国内向けにリニューアルして復活させたというのが正しいのかもしれません。

最近の万年筆は全てペン先が硬くなってきていましたので、今なぜエラボーが復活したのかを考えると非常に興味深いと思います。
エラボーの特長は非常に柔らかいペン先にあります。
書くことを趣味的に楽しむ人に向いていて、そういった柔らかい書き味に喜びを見出す人たちのための万年筆と言えます。
逆に、万年筆で長文を書き続けたりするような使い方には、あまり向かないかもしれません。

エラボーのペン先の柔らかさの理由は、独特の形にあり、段差の部分がサスペンションのような役割をしています。
そのサスペンションの働きでペン先が上下に動きますので、ペン先があまり開かず、滑らかな書き味も持っています。

ペン先が硬い、柔らかいは好みの問題であって、それほど重要な問題ではないのかもしれませんが、おもしろいのはそのペン先の仕様から、顧客設定がはっきりと分かるところです。

設計の古いパイロットの万年筆の多くは、大容量で使いやすいコンバーター70を使うことができません。
旧型エラボーもコンバーター70を使うことができませんでしたが、新しいエラボーはボディが大きくなり、金属製になって内径が大きくなっていますので、大きなコンバーター70を使うことができます。
これはちょっとしたことと思われるかもしれませんが、パイロットの万年筆を知る人にとって大変歓迎されるところで、これもターゲットとする顧客の声に反応した結果だと思っています。

エラボーと同時期に発売された同じパイロットのヘリテイジ91は、今までカスタム74という金色の金具しか持たなかったパイロットの金ペン先入門用、あるいは実務用万年筆の新製品ですが、金具を銀色にし、ボディカラーを渋めですがカラフルなものにして、万年筆を使う人としては比較的若い30代くらいの人をターゲットとしていることが分かります。

このヘリテイジ91は、今までのパイロットらしくペン先を硬めに調整してありますので、エラボーと対比して考えると使う人の設定の違いがよく分かります。
もう少し掘り下げて考えると、メーカーは今まで、ボールペン慣れしているユーザーのために、ボールペンと同じように万年筆を使えるような改良を優先してきたように思います。そのために本来の柔らかい書き味が失われているにも関わらず、それが万年筆というものだと認識されるようになってきました。それを根底から本来の認識へ戻していこうとしているのかもしれません。
また、柔らかいペン先を求めてビンテージへと流れて行っている万年筆愛好家を引き戻したいという意図が表れているのが、エラボーの復活なのかもしれません。

⇒パイロット ERABO(エラボー)

オリジナル万年筆 Selene(セレネ)

オリジナル万年筆 Selene(セレネ)
オリジナル万年筆 Selene(セレネ)

今年、Pen and message.だけのマーレンを発売します。

この万年筆は数量限定ではなく、当店からはいつでも手に入れていただくことのできる定番モデルとして販売していく予定にしています。
定番モデルでありながらシリアルナンバーを刻印して、お客様と当店との出会いを記録させていただき、1本1本のセレネが2本とない特別なものとしたいと思いました。

昨年からマーレンを扱い出して、その個性的で独特な雰囲気のデザインと粘りのある心地よい書き味が気に入っていました。
当初、マーレンの知名度の無さを不安に思っていましたが、お客様からはその独自性のようなものが受け入れられて反応も上々でした。

独自性を持った万年筆。それは当店で通常扱う万年筆でも思いますし、お客様方にはできる限りオリジナリティを大切にしたものをご紹介したいと思っています。
当店のオリジナル商品ではさらに強く思っていて、どこかで見たことがあると感じるものは出したくありませんでした。

マーレンの独特さはとても共感していましたし、何にも似ていない、元ネタのない美しいデザインを粋なものと感じていました。
既に定番となっているものに則らず、オリジナリティのあるものを作るのは、多くの人から受け入れられるかどうか分からず非常に勇気がいることで、私はそんなマーレンの姿勢がとても好きです。

マーレンはイタリアナポリにある小さな万年筆メーカーで、その社名は往年の大女優マレーネ・デートリッヒに由来しています。某限定万年筆メーカーの下請けのようなこともしていました。
日本への供給は8年か、9年くらい前から始まっていたように思いますが、輸入元がなかなか定まらず、姿を消したこともありました。
今はモンテグラッパやヤード・オ・レッドも扱う日本万年筆が情熱を持って扱っています。

マーレンのPen and message.版は近年の代表作であるオデュッセイアがベースになっていて、当店の女性スタッフKがそのデザインを担当しました。
優美でオデュッセイアをさらに女性的な雰囲気にした、月の女神セレネという名前らしいものに仕上がったと思っています。
セレネは、凛とした女性をイメージして作りました。
この万年筆を持つだけで、気持ちが強くなり、人の意見や世の中の流れに流されず、自分の意思を貫けるような存在のものになって欲しいという願いを込めています。

4月完成予定で、お届けは少し先のことになりますが第1ロットの予約を受け付けています。
ご予約は店頭、もしくはメールで承りますので、ぜひお申し込みください。
価格は54600円です。

万年筆で年賀状

万年筆で年賀状
万年筆で年賀状

年賀状が終わらないといつまでも落ち着かない、締め切りが日々迫っているのに仕事が片付かないような感覚を覚えます。
日々の仕事がさらに忙しくなるこの時期に、さらにやらなければいけないことがあると思うととても大変ですが、どうせやらなければいけないのなら楽しんで書きたいものです。
年賀状を機会に万年筆を使い始める方も結構おられて、年賀状は万年筆を使っていただけるようになるための良いきっかけとなると常々思っています。
万年筆を日頃から使っている方からすると分かりにくいかもしれませんが、一年に一度だけの万年筆を使う機会が、年賀状を書く時という人も結構おられます。
年配の方は特にそうで、万年筆は持っているけれど、日頃は不便であまり使わない、でも万年筆で書いたほうが見栄えもいいし、書いていて気持ちいいことも分かっているので、万年筆を使うというのが一般的な見解のようです。

書きやすくて、書いた文字にも味わいが出ることを分かっていても、日頃から使わない人がいるのは寂しいですが、年賀状で万年筆を使ってその良さを再認識するきっかけになれば良いことですね。

万年筆で年賀状を書くのは、ほとんどの人が主に表書きになります。
裏はパソコンで印刷したものや、注文印刷したもので、相手先の住所、名前を万年筆で書くという人がほとんどだと思います。

宛名を万年筆で書いた場合、一番気になるのは雨で濡れて消えてしまわないかということです。
実際万年筆用のインクは染料インクで、水に濡れた場合ほとんどのものが消えてしまいますが、水に流れないインクがあります。
プラチナのカーボンブラックと顔料ブルー、セーラーの極黒と青墨です。
どれも万年筆で使うことが前提になっている、顔料インクで、乾くと水に流れないという特性と、万年筆用のインクが苦手だった光沢紙にもインクが乗ってくれるという特長があります。

特にプラチナのカーボンインクはかなり以前から使われていて、どの万年筆に入れても書き味がヌルヌルと良くなるというおまけまでついています。
染料系のインクにはない安心感が顔料系のインクにはあって、これは年賀状にぜひ使っていただきたいお勧めのインクです。

表書きに使う万年筆の条件は、中字以上の太めの文字が書けるものが大きく書くことができ、表書きらしくて良いと思っていますし、書き味も良くなるのでたくさんの枚数を書いても楽しいのではないでしょうか。
表書きの場合、国産の万年筆なら、中字以上、海外のメーカーでしたら細字以上のペン先のものを選ばれた方が良いでしょう。

顔料インクを使うという前提でのお勧めの万年筆を挙げると、顔料インクを発売しているメーカーであるセーラーとプラチナのものということになります。(顔料インクのボトルタイプを使う場合、別売りのコンバーターが必要になります)
どちらも自社で顔料インクを発売していて、普通のインクと比べるとインクが固まった時の固着度が高い顔料系のそれぞれのインクとの相性が良いからです。
使用にあたっての多少の注意(キャップを開けたまま長時間放置しない、インクを入れたまま長期間そのままにしておかないなど)が必要ですが、でも顔料インクを必要以上に恐れずに使っていただけたらと思っています。
これは私の個人的な経験で、皆さま自己責任で使用していただきたいと思いますが、アウロラオプティマにカーボンインクを入れて使用しても問題なく書くことができました。
むしろ普通のインクよりも、カーボンインクで書いたほうが描きやすかったのは驚きでした。
万年筆も、顔料インクもより多くの人に使っていただきたいと思っています。

ラミーダイアログ3

ラミーダイアログ3
ラミーダイアログ3

三角形の断面を持つダイアログ1、最もスムーズで美しいペンの形を表したダイアログ2、著名なプロダクトデザイナーの手によるデザインを具体化したシリーズ「ダイアログ」の3作目が日本に入荷しています。

ボディを捻ると、先端のハッチが回転するように開いて、ギアの効いた素早いアクションでペン先が出てきて、同時にクリップがわずかに沈み込む。
こんな仕掛けのある万年筆が好きな人も多いのではないでしょうか。

ラミーダイアログ3は遊び心溢れる万年筆ですが、デザインはごくシンプルでラミーらしさを保っています。
しかし、ラミーという会社はこのようなメカニカルな仕掛けが好きな会社で、例えばクリップには必ずバネが入っていたりといった仕掛けを好むことで、知られています。
ダイアログ3のペン先はステュディオの金ペンと同じで、とても柔らかく、気持ちよく書くことができます。
先端にペン先を繰り出す機構などが内蔵されていますので、バランスはかなり前寄りになっています。
ペンの中央より後ろを持って書かれる方にはペン先が振り回されるような感じを受けられるかもしれませんが、先端付近を持って書かれる方にはとても使いやすい、お勧めできるものだと思っています。

ダイアログ3のようにペン先が繰り出される万年筆は他のメーカーからも発売されています。

パイロットキャップレスはノック式で、ノックすることによりペン先が出て片手で書き出せる、最も利便性を追求した万年筆と言えるものです。
スティピュラ「ダ・ビンチ」はダイアログ3と同じようにボディをひねってペン先を出す機構で、そのデザインの良さで他の欠点(ペン先が乾きやすい)をも補う魅力を持っています。利便性とは程遠い存在ですが万年筆のフェラーリと私は勝手に思っています。(あくまでもイメージですが・・・)

ダイアログ3は、利便性の追求でもなく、でも実用性は確保されている、しっかりと作りこまれた万年筆で、キャップレス、ダ・ビンチの間を埋める存在なのかもしれません。
ラミーの歴史は革新の歴史だと言えます。

万年筆という様式が確立されたもので、新しいと思えるものを作ることは大変難しいと思います。
ですが、機能とデザインの両立、あるいは機能的に理由のあるデザインという考え方で他のメーカーとは違ったもの作りをしてきたからこそ、革新的なものを次々と生み出すことができたのだと思います。

名作ラミー2000は万年筆の歴史に燦然と輝くものですが、ラミーは2000の成功の呪縛などないかのごとく話題作を発表してきました。
そんな最も新しい話題作がダイアログ3です。

カンダミサコさんのペンシース

カンダミサコさんのペンシース
カンダミサコさんのペンシース

今まで製作者のカンダミサコさんに直接連絡をとって譲ってもらわなければいけなかった1本差しペンシースを当店で扱うようになりました。

カンダさんのペンシースは、持っておられるお客様から見せていただいてその存在は知っていました。また皆さんの表情から、そういったものを求めている方がたくさんおられることも分かりましたので、機会があれば扱ってみたいという気持ちは持っていました。

10月の青木の中華バー天清へ行った時、ル・ボナーの松本さんからカンダミサコさんのペンシースを取り扱わないかとお話があり、分度器ドットコムの谷本さんと一緒に、お願いすることにしました。

後日松本さんがカンダさんを店に連れて来てくれて、対面が叶いました。

ル・ボナーさんで見たその作品である鞄のイメージとは少し違う、とても可愛らしい小柄な女性で、松本さんといると親子のようでした。

おっとりとして見えるカンダさんでしたが、一人の職人としてやってこられただけあって、はっきりと意見を言うところは言うしっかりとした芯のある方で、とても好感を持ちました。

カンダさんが作ることのできる、なるべくたくさんの色数を揃えたいと思いましたので、多くの色を少しずつ作っていただくようにお願いしました。
そして先日完成し、納品されました。

店に並べてみると、お客様方の反応は上々で、たくさんの色の中からご自分が持っておられるペンとのコーディネートを皆さん楽しんでおられます。
カンダさんのペンシースを見た、遊びに来ていた古い付き合いの企画会社の社長は、この手があったのかと驚いていました。
確かに私たち万年筆の仕事に携わっている人間は、ペンを収めるものはこんな形でないといけないなどの先入観や思い込みがあって、自由な発想ができずにいたのかもしれません。

カンダさんのペンシースはとてもシンプルな形で、革を一枚丸めて縫ったような構造です。
そして中にクリップを通すスペースがあって、そこにクリップを通すとペンシースからペンが脱落することなく完全に守ってくれます。
ペリカンのM800くらいのサイズまで収納することができますので、大半のペンは収めることができるのではないでしょうか。

私たちは万年筆だけでなく、本当にたくさんの細々した文房具を持ち歩いています。
万年筆だけでは仕事にならないので、例えばル・ボナーのデブペンケースに細かいもの、ハンコやUSB、付箋、ボールペン、シャープペンシル、カートリッジインクなどと一緒に万年筆を持ち歩くためにカンダさんのペンシースのようなものがとても役に立つと思っています。

実際の使用を想定し、必要最低限の仕様で選ぶ楽しみもあるカンダミサコさんのペンシース、とても面白いと思います。

⇒カンダミサコ1本差しペンシース