アウロラ88オールブラックの普遍性

アウロラ88オールブラックの普遍性
アウロラ88オールブラックの普遍性

万年筆はなぜ黒と金の金具のものしかないのだろうと疑問に思っていました。
しかし、黒に金の万年筆(以後黒金)は、何歳になっても飽きずに使うことができるし、インクのシミなども気にする必要がない。
言わば感覚的にも実用的にも理由のある、万年筆においての普遍性がこの黒金の万年筆にはあると理解してから、黒金の万年筆に対して心が大きくなりましたし、どちらかというと好きになりました。

しかし、万年筆においての普遍性を持った黒金だからこそメーカーはその造形に気を配って作らないと、美しいものとそうでないものの違いが歴然と出てしまいます。
黒金の万年筆で最も美しい形を持ったものの一つとして、アウロラ88オールブラックを思い浮かべます。
ボディのラインは全て自然なラインで繋がっていて、どっしりした安定感さえも感じられる。
装飾らしい装飾はなく、シンプルなキャップリングに小さくロゴではない筆記体のAuroraの文字。
こういうデザインの手法を何というのか分かりませんが、何か理論に基づいて形作られた理知的な感じがします。

黒金の中には、シンプルな中で特徴を出そうと、ラインが不自然になってしまっているものもたくさんあるように思います。

アウロラ88をデザインしたマルチェロ・ニッツォーリはオリベッティのタイプライターやミシン、電話などもデザインしていて、どれも自然な曲線が流れるようなラインになって形作っているものばかりです。
ニッツォーリに限らず88が生まれた40年代から50年代にかけてイタリアには優れたデザイナーが何人も存在し、そのデザインによって世界中を席巻する工業製品を作っていました。

それらはイタリアデザインの第1次黄金期の中にある製品で、他のイタリア工業製品が今見ても美しいと思えるのは88と同様です。

美しい形を持ち、万年筆の普遍性を追求した黒金に、ピストン吸入機構、エボナイトのペン芯などこだわった機能を持った万年筆がアウロラ88オールブラックです。

⇒アウロラ88オールブラック