お茶の茶碗は数人分の濃茶を点てて回さないといけないので大きさも自然と決まってくるし、茶碗としての用途も当然満たさないといけないので形もほぼ決まってきます。
茶碗に興味のない人にとっては柄などが違っていないと同じようなものに見えるのかもしれません。
でもある程度見慣れてくると、ひとつひとつが全然違うと思えるようになります。
見慣れないうちは全て同じに見えるということでは、万年筆と茶碗は似ているのかもしれないと思いました。
万年筆も筆記具である以上ある程度大きさも形も決まってきます。
本来の目的である書くという機能を完璧以上に備えた上で、この小さな1本の棒の中に意匠を凝らしたり、シルエットに凝ったりしていると思うと、茶碗と同じように見ることができるのかもしれません。
中之島香雪美術館に茶の湯の茶碗展を観に行ってきました。
以前千利休について本を読み漁っていたこともありましたし、茶道を習っていたこともありましたので、茶道のお道具を観るのは好きでした。
お道具の中でも茶碗は、華々しい場面で使われる花形的な存在だと思います。
私も分かって見ているわけではありませんが、美術館に展示されているものなので、変なものがあるはずがないと思います。
こういう名物を見て、自分はどういうものが好きなのか確認しているのかもしれません。
組織力で作る繊細で研ぎ澄まされた天目茶碗や豪快で力強い井戸茶碗に対して、その時日本で主流だった侘び茶の設で使われることを前提に、日本で1人の作家によって作られた楽茶碗の言葉で言い表せない凄み。
海外の豪華な限定品や日本の蒔絵を施したものが最近の観る要素のある万年筆でしたが、綴り屋の万年筆はそういったものと同じように、観ることができる万年筆だと私は思っています。
蒔絵以外で日本でこういうものが出てきたのは久し振りだと思います。
綴り屋の静謐は鋭いラインが出るまで攻めて削り込んで、木なのに硬さ、冷たさのようなものを感じる万年筆で、その名の通り静謐さを感じます。
私はこの静謐に惚れて綴り屋さんの万年筆を当店で扱うようになりました。
攻めて削り込んだものというと、月夜の万年筆もそういうものになります。
キャップも軸も薄く仕上げて、とても軽い、細い万年筆に仕上げている。
見た目も筆のような趣があり特長的ですが、書くことにおいてもコントロールのしやすさを月夜は持っていますので、ペン習字などでも役に立つペンだと思っています。
月夜に漆の溜塗を施したものを当店では扱っていますが、攻めたラインと漆の光沢による冷たさが合ったいいものに仕上がっています。
静謐を発展させて、荒々しい自然な味を付加させたのがアーチザンコレクションで、こういう手法のものはお茶道具の花入れなどでも見られます。
自然のままの姿を生かすためにとことん手を入れてこの形をとどめているアーチザンコレクションはとても人気があって、入荷するとすぐに売れてしまいます。
漆黒の森は一見当たり前に見えて、そう見えるように最大限の努力がされている。キャップを薄く作り、ボディは厚く残して重量のバランスをよくして、首軸とボディの段差を最小限にしているなど、いくらでも言えるところがある万年筆。
私たちの念願だった綴り屋さんの作品販売会を元町で開催いたします。
上記の綴り屋さんの人気の万年筆やボールペンの他にも新作もご用意して下さっているとのことで、私も楽しみにしています。
当店と590&Co.さんの共同開催で、590&Co.さん店舗内で開催します。
12月9日(土)10時~19時
12月10日(日)10時~17時
15時まで予約制とし、こちらで→ https://airrsv.net/590andCo/calendar
ご来店のご予約をすることができます。
尚15時以降はフリーで入場可能です。
当日綴り屋万年筆をお買い上げの方は、当店でペン先の装着、調整をさせていただきます。
ご来場お待ちしております。