能登の地震で亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。
被災された方のご不自由な暮らしが一日でも早く元に戻りますことを願っています。
元旦の地震から新年を迎えておめでとうと言えない沈んだ気分でいます。
でも私たち被災していない者は、自分たちのできることをやって、日本を元気にしていかないといけないのだと思います。
1月17日は阪神淡路大震災の日でした。
あれから29年も経つとは信じられません。その日だけいつまで経っても最近のことのように思いだすことができます。私たちはそれぞれの震災の記憶を持って今まで生きてきたのだと思う。
当時働いていた職場があった三ノ宮センター街ではアーケードが落ちて、お店に入れるようになるまでに何日も掛かりました。何とか店内を片付けて再開したけれど、倒壊したビルの瓦礫の横をウインドブレーカーを着て、リュックを背負った人たちが無言で行き交う街では、ガムテープと防塵マスクしか売れませんでした。
売上とか利益とかといったことが言える状況ではなかったけれど、今を何とかしないといけないということで頭はいっぱいでした。
私は当時まだ万年筆の仕事に携わっておらず、色々な迷いの中にいました。
震災はもしかしたら転機になったのかもしれないけれど、1本の万年筆で人の生き方が変わるということを自分自身で経験してから、たくさんの人に万年筆を使ってもらいたいと思うようになりました。
今は、よりこだわりの強い人のために高級な万年筆の話をすることが多いけれど、書き味が良いと思って使ってもらえるものであれば本当はどんなものでもいいのかもしれません。
要はその人が好きな万年筆を、書き味良く、書くことが楽しくなるようにできればいい。
そんな想いもあって、今更ながらパイロットの最もベーシックな14金ペン先の万年筆「カスタム74」をWEBショップに掲載しました。
どこのお店でも売っているものだと思って何となく避けていましたが、これから万年筆を始めると言う人にお勧めできる万年筆だと思いました。
こういうベーシックな万年筆も当店でペン先調整すると化けると思っているので、ある程度万年筆を使っている人にも自信を持ってお勧めします。
カスタム74は黒金の軸しかないと思っている人も多いですが、ダークグリーン、ディープレッドなどのカラー軸もあります。
上位モデルのカスタム742や743よりも硬めのペン先ですが、放っておいてもペン先が乾かない基本構造の良さは変わりません。
道具っぽい雰囲気もある万年筆なので、仕事の道具として字幅を揃えて使うのも面白いと思います。
何か万年筆を使ってみたいと思っておられる方は、こういう万年筆から使ってみるのもいいかもしれません。
書き味の良い万年筆を使うと、書くことが楽しくなって、仕事や勉強の取り組み方が変わってくると思っています。