店を始めたばかりの頃、早く年数が経って創業10年、20年と言いたいと思っていました。
それが何か力になると信じていたのですが、当店は今年の9月で17周年になりますが、必死にもがき続けている状態は変わらず、年数を重ねても変わらないようです。
そんな風に思いながらも、自分たちで作り出したことや最初に始めたことにこだわって、世間の売れ筋の商品を追いかけないようにしようと思ってきました。
自分たちが望んだことではあるけれど、こんな考え方だから当店はいつまで経っても同じ規模のまま、同じ場所にあり続けているのだと思います。
いつも何かを生み出さないといけないという強迫観念はいつも持っていましたが、そうする方が楽しいに決まっている。
私たちが早く年数が経って欲しいと思っていた頃、オリジナル商品として、ペンレスト兼用万年筆ケースという3本差しのペンケースを作りました。
それから10年以上経っても変わらずに作り続けている理由は、万年筆が日常のものであって欲しい、という当店の万年筆に対する考え方を表現した存在だからでした。
持ち運び時はフラップをペンに被せるようにして落下を防止して、机上で使う時はフラップをペンの後ろにしておけばペンケースは開いたままになり、ペンを選んですぐに取り出せる状態になります。
平らなペンケースなので、その上にペンを置くことができ、ペンレストとしても使うことができます。
いかにも万年筆を収めているといったペンケースも良いけれど、なるべくさりげなく肩の力が抜けたものを作りたいと思いました。
このペンレスト兼用万年筆ケースに、新たにエレファント革と4本差しを作りました。
エレファントは新品の時、フカフカした軽い毛羽立ちのある革ですが、使い込んでいくうちに毛羽立ちが倒れてシボが潰れていき、これがとても良い風合いに変化していきます。
今年はエレファントの革に縁があって、ル・ボナーさんにはデブペンケースを作っていただきましたし、A7メモカバーもエレファントで再入荷する予定です。
このペンケースの中にペンを入れて膨らんだ状態のエレファントはなかなか迫力があり、その姿もこのペンケースの持ち味です。
4本差しは、このペンケースのサイズをそのままに、仕切りの数を増やして4本収納できるようにしました。
この4本差しにファーバーカステルクラシックの万年筆とボールペン、ペンシルそしてパーフェクトペンシルを入れることも可能です。
3本差しは、モンブラン149などのオーバーサイズのペンが入るようにしていました。
4本差しに入るのは当然細めのペンになりますが、ボールペンや万年筆でもここに入るものの方が多く、充分なスペースではないかと思いました。
このペンケースを使いやすいと思ってくれる方は多いと思います。
万年筆を日常の道具として使われる方の実情を見て、それに合うものとして当店が作り続けているペンケース、ペンレスト兼用万年筆ケースをご紹介しました。
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