
手帳用の万年筆と言えば、プラチナセンチュリーを一番に挙げます。
正方形ダイアリーにプラチナセンチュリー3776の細字の細かい字で、一日のことを書くのが日課になっています。
ウィークリーダイアリーの一日分のスペースに、その日のことを時刻とともに箇条書きしますので、センチュリーの細字くらい細かい文字が書ける万年筆でないととても書ききれませんし、滑らかさもないと続けられません。
センチュリー#3776のペン先は、硬くて多少の筆圧をかけても一定のインク量で書ける頼もしい存在で、代わりとなるペンもなかなかなく、自分の日常において必要不可欠な万年筆で、こういうものを生活万年筆というのかもしれません。
センチュリー#3776が代表するように、プラチナの万年筆のペン先の特長のひとつはとても硬いということが挙げられます。
硬いペン先と硬い書き味は何となく違うと私は思っていて、硬いペン先でも滑らかに気持ち良く書ければ、柔らかい書き味と言えるかもしれません。
逆にとても柔らかいペン先でも筆圧をかけると開き易くて内面が引っ掛るようなペン先は、柔らかい書き味とは言えないのかもしれません。
プラチナ「センチュリートラビィア」という万年筆が新たに発売されました。
ブラックの軸にブラック塗装した金属パーツの万年筆は最近の時流のデザインだと思います。キャップにはペン先の乾きにくさがさらに増した新型スリップシール機構が備えられ、定番のセンチュリーとは違う書き味を持つペン先が装備されています。
ペン先の乾きにくさは日常の万年筆の使いやすさにつながり、一般のお客様には歓迎される機能なのかもしれません。
マニアックな私たちがもっとも気になるのは新しいペン先による書き味の違いです。
今までの硬く多少の筆圧でもビクともしないのがプラチナのペン先の特長でしたが、トラビィアに搭載されたペン先はしなりを感じさせる弾力性を備えたものになります。
柔軟性と表現しなかったのは、このペン先が決して柔らかいわけではなく、プラチナの持ち味である厚みを感じさせる書き味でありながら、しなりを感じさせるものだからです。
たくさんの文字を書くほど硬いペン先の方が使いやすいと思いますので、硬さを持ったまま弾力性、バネ感のストロークが増したというのが新しいペン先の感覚だと言えます。
トラビィアに搭載されている新しいペン先は、2021年コロナ禍の真っ只中、プラチナセンチュリー10周年を記念した限定品のディケイドに搭載されていました。私は当時ディケイドを入手して、5年間使い続けています。
いつも使っているセンチュリーとは少し違う書き味。筆圧をかけたり、抜いたりして文字に強弱をつけて書くことが楽しくなるペン先で、穂先が少しすぼまった形状が意外にも見やすくて、書きやすさにつながり、愛用の万年筆の一つでした。
トラビィアは首軸などを金属パーツにすることで重量を稼いでいますので、ペン先のしなりを引き出しやすい仕様になっています。
プラチナトラビィア、他社のどの万年筆にも似ていない、プラチナらしい進化を遂げた万年筆だと思っています。