元町も県庁より山側に上がると、静かで美しい住宅街になります。
こんなところに店を構えることができたらいいなと思って歩くこともありますが、駅から離れてしまうのと少し坂がきつくなるので難しいのかもしれません。
でも暮らすにはとても良いところだと思います。
そんな街の片隅にカンダミサコさんの工房があって、カンダさんも私たちと同じように、仕事に情熱を燃やしながら静かにマイペースに暮らしています。
当店の革製品の多くはカンダさんによるもので、その独創的でセンスのいい仕事に私たちも惚れこんでいます。
このたびカンダさんが独特な形状の、バイブルサイズシステム手帳用のペンホルダーを作りました。
そのペンホルダーは、システム手帳につけていない状態だと一見どう使うのか分からない形をしています。でもいざ手帳にセットしてみると、ペンのサイズを選ばないペンホルダーであり、書くべきところをすぐに開くことができるページファインダーであることが分かります。もしかしたら、もっと他にも使い方があるかもしれません。
かなじともこさんの筆文葉リフィルのように、どうやって使いこなすかを問いかけているような商品でもあります。
ペンホルダーの付いていないカンダさんのバイブルサイズシステム手帳で使うことをイメージしていますが、もちろんバイブルサイズであれば何ら問題なく使うことができます。
25mmリングを装備した厚手のマルセシステムバインダーにつけると、持ち出さず書斎やオフィスでの使用をイメージしているこのバインダーが持ち出して使いたいと思わせる機動力を得たような気がします。
上質な革ブッテーロを薄く剝いて、曲げやすく、挟むペンのクリップを傷めないようにしています。むしろ薄く剝くことで柔らかさが出て、 ハリのある滑らかなブッテーロ革の質感が活きている気がします。
他に似ているもののないこのペンホルダーはとてもシンプルですが、いくつもの試作を経て実際使ってみながら、やっとたどりついた形です。
多くの人に使ってもらっていて、名作だと私は思っているカンダミサコさんのM5サイズ手帳用のペンホルダーも、こうやって少しずつ修正して、丁寧に作り込んでいって、あの独特だけどスムーズな形ができたことを思い出しました。
丁寧で正確なステッチが施されたシステム手帳やペンケースとはまた違った、シンプルに革のカットだけで機能性を作り出している、カンダミサコさんのモノ作り。
新作のバイブルサイズシステム手帳用ペンホルダーが出来上がりました。