オリジナルダイアリーを発売して10年以上経ちますが、この数年でやっと認知されてきたような気がしています。
このダイアリーを愛用している人が、ご自分の使いこなしについて語れる情報交換ができたらきっともっと楽しい。でも完成したものだということに安堵せず、皆様に使っていただく努力をし続けなければいけないと思っています。
それは店の仕事も同じで、何もしなければすぐ忘れられてしまう。
新しいものを作ったり、ペンショーや出張販売でどんどん外に出たり、自分たちにできることをやり続けていく。その活動に終わりはなく、止まった時はやめなければならない時なのだと思います。
でもそれはそれほど悲壮感のあることではなく、好きであれば誰でも続けられることだと思う。
9月8日~10日に開催された京都手書道具市に参加してきました。
たくさんの人がいるのにどこか優しい雰囲気に満ちていて、京都らしいイベントだと思いました。
きっとこういうイベントにしたいというイメージが主催者の人たちにはあって、そのための気配りがされていたのだと思っています。参加者にとっても快適で気持ちの良いイベントでした。
京都手書道具市に限らず、参加しているどのイベントでもこちらからは何も言っていないのに、よく一緒に出張販売をしている590&Co.さんと毎回隣同士にしてくれているのが面白い。どのイベントでも配慮していてくれていることがよく伝わってきて、感謝しています。
京都手書道具市の主催者のTAGステーショナリーさんが集めたイベントの参加者さんたちは皆さん自分の感性を信じて、それで勝負しているのだと思います。
きっと皆さんご自分の扱っているものが好きで、その世界観に共感してくれる人を増やしたくてその仕事を続けているのだろう。
個性豊かな鋭い感性を持つ人たちの中で、当店はどうやって存在をアピールしたらいいのかと、イベントに参加する時はいつも思います。
当店は自分たちがステーショナリーや万年筆に求めていること、仕事に持ち込める趣味性というものを追究していると思っています。
仕事というのはビジネスもそうですが、家事もそこに入ります。
お客様方の生涯続けて行く仕事を楽しくしてくれるようなステーショナリーを提案して、作っていきたい。
そのひとつの柱が正方形のオリジナルダイアリーだと思っています。
予定やToDoの管理ができて、書く楽しみを感じながら記録できる。きっと多くのダイアリーもそう思って作られているけれど、それに上質な革で作ったカバーを掛けて使うことができるのは、当店の文化だと思っています。
正方形の革カバーは当店近くの革工房の藤原進二さんが作ってくれていて、正確で細かく美しいステッチは彼の腕の良さと手間を惜しまない仕事ぶりが表れています。
プエブロで有名なタンナー、イタリアバタラッシィ社のミネルヴァリスシオを使ったカバーは使ううちに艶が出て、色変化もあり、新品の時よりも時間が経ったときの方が美しいとさえ思えるものになります。
ミネルヴァリスシオの銀面をペーパーなどで擦って艶を取ったものがプエブロです。同じ革なので、そのエージングもプエブロと同様劇的なものです。
仕事をするための楽しみながら書くダイアリーに、触れて、見て、香りを嗅ぐ楽しみを纏った上質な革カバーが今年も完成しました。