アウロラから突然オプティマをベースにした限定万年筆が発売されました。
世界限定360本、日本入荷数100本という少量の限定品です。
これはアメリカのアウロラの販売店が企画したもののようで、アウロラのホームページにも載っていませんでした。
アウロラのある街トリノの風景をイメージし、トリノの風景に自然の厳しさを与えているモンヴィゾ山の名を冠した万年筆で、360°山々に囲まれて、それらが夏は黒々と、冬は白く見える遠景をこの万年筆は表現しているのかもしれません。
そんなふうに高い山に囲まれた街はどんな感じなのだろうと想像します。
当店のある神戸は、目の前は海、その向こうには対岸の大阪などが見え、背面には裏山と言っていいくらいの六甲山系でトリノの風景とはあまりにも違っています。
雄大な景色を持つトリノは、自動車メーカーフィアットがあることでも知られる工業都市でもあります。
アウロラが興り、発展したのも、トリノが工業都市として栄えたことが背景にあるのだと思われます。
アウロラの代表的で、最も特徴的な万年筆オプティマは1990年代はじめに1930年代のアウロラの万年筆を現代風にアレンジして復刻されたもので、万年筆らしいクラシカルさとイタリアらしい華やかさ、アウロラらしい洗練されたインテリジェンスがミックスされた万年筆デザインの名作のひとつだと言えます。
現代のオプティマ以前にオプティマに似た万年筆はなかったけれど、オプティマ以後オプティマをリスペクトした万年筆を多く目にするようになったのは私の勘違いではないと思います。
1990年代のオプティマのデザインと今のオプティマでも若干の違いはあって、使用しているレジンの色柄とキャップリングの意匠が変わっています。
1990年代のオプティマは3本リングがキャップエンドにあしらわれていて、今のオプティマではそれがよりスッキリとした現代的な1本のリングになっています。
それがデザイン上の一番大きな違いですが、3本リングの方がよりクラシカルな印象を受け、360モンヴィゾは3本リングが採用されています。
定番品のオプティマはペン先が14金で、新品時かなり硬めに感じて、使い込むうちにしなやかなものに変化していきますが、モンヴィゾに使われている18金ペン先ははじめからしなやかな書き味を持っています。
14金と18金のペン先は、実用的に差はないとお伝えすることが多いけれど、最初からしなやかな書き味を持っているのが18金、使い込んでしなやかにしていくものが14金と言えなくもなく、手にしたその時から気持ち良く書くことができる仕様になっていて、専用のレジンを使用した特別なオプティマが360モンヴィゾです。
モンヴィゾは、アウロラオプティマを愛する人が、こうあってほしいと願って、それを実現した万年筆だと思っています。